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死者数千万人といわれる世界史上最悪の内戦,太平天国の乱を平定した文人にして軍人.稀代の名文家でアジテーター,その一方で,小心翼々とした謹直居士.地味でマジメな山出しの秀才が,激動する一九世紀世界で果たした画期的な役割と,身の丈を超えた「英雄」像が転変するメカニズムを描き,中国史の論理を剔抉する.
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Posted by ブクログ
「曾国藩 英雄と中国史」岡本隆司/岩波新書/2022年/880円/卒読。2億弱だった人口の7000万人が死んだ14年続いた内戦-太平天国の乱を清朝側から指揮した政治家。清末の科挙制度、清朝内部、西洋からの侵略と交渉、内戦の発生から終焉まで書かれていて面白かった。袁世凱と李鴻章も読みたくなった。
湘軍を率いて太平天国の乱を平定したことで知られ、世界史の教科書にも載っている曾国藩の評伝。 傑物ではあるが、失敗もし、地味で真面目な曾国藩の等身大の生涯を実証的に、かつ洗練された筆致で綴っている。世界史の教科書ではあっさりとした記述であるが、曾国藩の湘軍が太平天国軍を破るまでに、かなりの一進一退の攻...続きを読む防があり、曾国藩にしくじりも少なくなかったということを本書で知った。 そして、特に中国においては、社会情勢や立場によって人物評価ががらりと変わるということの事例としても興味深かった。歴史学において人物を取り上げる場合の在り方についても考えさせられ、毀誉褒貶に流れるのではなく、著者のごとく、史料に基づきその人物のありのままの姿を描くようにすることが大切と認識した。
太平天国の乱を鎮圧した人物として知られる人物だけど、その事実しか知らなかった。軍人だと思っていたし、その後の軍閥に繋がっていく人なのかな、と。 てんで違うのですね。科挙にも合格している高級官僚だし、そも実戦で直接指揮して勝ったことがない。江南の漢の人だったのですね。そして李鴻章の上司でもあった。近代...続きを読む中国を支えた人だけど、共産党国家になってからは評価も低い。今再評価されているそうだけど、優秀な国家官僚だったわけだから、国家が変われば優秀かどうかも変わっちゃうよね。
中国史の泰斗・岡本隆司による、マジメ一徹の儒教・宋学信者である曾国藩の人物伝。 「李鴻章」と「袁世凱」にならぶ岩波新書の三部作の一冊。 曾国藩の人柄には好感が持てて、その生きた歴史も面白く読んだが、前作の李鴻章が面白過ぎたせいで、なんだか物足りなくも。 やはり近代化の中心を生きた李鴻章の評伝は時勢の...続きを読むスリリングさもあって抜群に面白かった。 中国が比類のない激動期に突入したその端緒となる太平天国の乱についての興味は新たにしたが、それを平定する側の曾国藩の政治手腕や軍頭指揮は凡庸で全然面白くない。 ただ、こういうマジメ腐った人間がその後崇拝を受けているのはなんだかアジア的でいいと思った。
太平天国の乱を鎮圧した湘軍の長、曽国藩の生涯。科挙エリートが騒乱を通じて、私兵をまとめ上げて中興の名臣までなる姿が描かれる。中興の名臣とはいえ、与えられた役割を全うしたに過ぎないと思えた。軍事は軍事指揮は振るわず、北京との関係も微妙と苦労は絶えない。また、西洋と現実的に付き合うと、郷紳ら在地エリート...続きを読むからの評判も悪い。 中国ではよくあることだが、政治的立場によって、死後の評価が著しく変わった。現在の共産党下では、農民運動と評価されている太平天国を鎮圧したことや、蒋介石が高く評価してたことで、否定的に取り扱われている。 同じ著者の岩波新書で出版されている、李鴻章や袁世凱は読み応えがあったが、業績の割に地味な印象を受けたのは、曽国藩本人のキャラクターのせいだろうか。
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曾国藩 「英雄」と中国史
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岡本隆司
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