藤子・F・不二雄のレビュー一覧
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ますますパワーアップしていく魔美の超能力。念写、それも動画フィルム。念動力は大人4人や車など軽々。他人の心のイメージを感知するだけではなく、自分のイメージを他人に送ることもできるようになった。「スズメのお宿」では「遠く離れた人と人をめぐり合わせる」という能力の発露もあった。そんな超常能力を手にしても魔美の活躍の場は市井である。被害者の心の叫びは魔美の事情によらず聞こえてきてしまうため、不機嫌だったり寝不足だったりする。スーパーウーマンにも生活があるのだ。
楽しかったのは「スター志願」。魔美をスカウトする悪徳タレント事務所と魔美のすれ違いが絶妙の語り口で描かれる。完全にずれまくっているのがおかしい。しかしこの話は魔美の超能力がなくても成立する。だからこそ魔美というキャラクターの面白さが存分に味わえる佳作となっている。
つづく「生きがい」は傑作短編『ノスタル爺』に通じて興味深い。
「エスパーもさらわれる」は複雑ないい話。いわゆるいい人が借金苦に魔美を誘拐してしまう。テレポーテーションで自宅に戻り自ら身代金要求の電話を受けたりなどして誘拐犯をからかう魔美だったが、テレビの「人探し」で事業失敗と借金苦で自殺をしていないかと家族が心配していることを知り、誘拐を諦めさせようとする。真実を殺そうと魔でしたが、やはりいい人なのでそれもできず逃亡する犯人。自宅に戻った魔美の元に警察が、自首してきたという犯人を連れてきたが魔美は知らないと言う。実際、誘拐されていたと言う期間には学校にも通っていたのだから。何となく丸くおさまっていい話っぽいけどどうもすっきりしない。確かに犯罪は行われてないことになっているし、犯人も自首して改心したようなのだが、この犯人ははたして別な誘拐事件を起こさないのだろうか?最後のコマで警察は去り、犯人はキツネにつままれたような顔でいる。魔美はよかったねとばかりに涙して見送っている。たいていのF作品であればこの犯人が家族の元に帰って大団円となりそうなものなのだが。
うーむ。いよいよ次で最終巻。解説は豪ちゃんこと永井豪。 -
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作風が安定した『週刊少年サンデー』版後期。感動のというか唐突な最終回まで。連載当初のカオス感は薄れ、藤子・F・不二雄による絶妙なネーム構成と見事なキャラクターの配置によりスタジオゼロ内での作業がシステマティックになったと思われる。「サングラスのQ太郎」、「世界で一枚しかない切手」など一つのテーマで14ページにまとめるような一貫性のある作品が増えている。これらは落語的な味わいがある。
意外なところでは毎日ラーメンを食べている小池さんの仕事が判明する「上にドがつく小池さん」、『ドラえもん』と『バケルくん』の「ぼく、桃太郎のなんなのさ」のプロトタイプのような「咸臨丸とQ太郎」(こちらの場合夢落ちということになってはいるが)が掲載されている。
おまけとして赤塚不二夫との合作名義による「オハゲのKK太郎(ケケたろう)」が収録されているが、どうも藤子不二雄が描いているとは思えない。さらに「7年あとのQちゃん一家」という1ページものも掲載されている。これは後の『劇画・オバQ』とのミッシングリンクになりうるか。ならないか。その『劇画・オバQ』内で思い出される「オバQ王国」も収録。
解説は北見けんいち。当時、赤塚不二夫のアシスタントとして『Q太郎』の背景などを描いていたという。石ノ森章太郎のエピソードがあり、「ペン軸の真ん中辺りを軽くつまむようにして、サラサラサラーッと一気呵成に描き上げちゃう」と速筆で有名な石ノ森の作業風景が語られて興味深い。月産300枚というのも伝説ではないようだ。「筆で俳句でも書いてるよう」だったそうだ。 -
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パーマン登場!(小四版)(小四 66年12月号)
雪山救助(小四 67年01月号)
猛獣がいっぱい(小四 67年02月号)
★パー子登場!(小四版)(小四 67年03月号)
それでもみつ夫はやる(小四 67年04月号)
自動車強盗(小四 67年05月号)
パーマンのアルバイト(小四 67年06月号)
脱獄囚とおばあさん(小四 67年07月号)
わが友「有名人」(小四 67年08月号)
★夜の魔王アカベロン(小四 67年09月号)
★コピーの秘密(小四 67年10月号)
パーマン5号大かつやく(小四 67年11月号)
特大クリスマス(小四 67年12月号)
動物解放区(小四 68年01月号)
山小屋の男(小四 68年02月号)
怪獣家族(小四 68年03月号)
★パーマンは眠い(小四 68年04月号)
砂男(小四 68年05月号)
ギャド連大懸賞(小四 68年06月号)
やとわれパーマン(小四 68年07月号)
パーマンの休日(小四 68年08月号)
★キューピッド・ジム(小五+小六 67年04月号)
忍者でござる(小五+小六 67年05月号)
コピーパーマン出動す(小五+小六 67年06月号)
女の戦い(小五+小六 67年07月号)
潜水艦見つけた(小五+小六 67年08月号)
★車どろぼう(小五+小六 67年09月号)
ダイヤの呪い(小五+小六 67年10月号)
★コピーのいたずら(小五+小六 67年11月号)
★オカメ仮面(小五+小六 67年12月号)
パーマンは推理する(小五+小六 68年01月号)
★暴力団をやっつけろ(小五+小六 68年02月号)
★数千万円の絵画(小五 68年03月号)
ギャド連花見(小五 68年04月号)
★パーマンが金もうけ!?(小五 68年05月号) -
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1966年前半の『週刊少年サンデー』版。
ドロンパの登場のせいなのかようやく面白くなってきた。実際の初登場は1965年『小学五年生』12月号とのこと。『少年サンデー』での初登場はあっさり。唐突に「友達になってやるか」とドロンと出てきてゴジラに「なんだおまえ」と言われる。憎まれキャラであり、斬新なデザインに驚きはあるもののやけにあっさりしている。
ドロンパのことを好きだった訳ではないのだが、さびしがり屋のくせに意地悪なアメリカおばけが『オバケのQ太郎』の世界に深みを与えたのは間違いない。Qちゃんの比較対象がなかったのだ。人間ではない外部のものだから多少のナンセンスが許容されてきた。そこへある意味、常識のあるおばけドロンパが比較対象として現れたことでQ太郎の善良さ、面倒見の良さが強調された。それは一方で同じだけドロンパの意地悪とはうらはらな悲哀が強いということでもあるのだが。
どういう経緯かドロンパは町一番の怖いおじさんである神成さんにものすごく可愛がられ、居候させてもらっている。
巻末に赤塚不二夫とつのだじろうとの合作「ギャハハ三銃士」が掲載されている。ベースは超ナンセンスな赤塚不二夫の世界観。三銃士ではなく西遊記。つのだじろうを『恐怖新聞』でしか知らない人は軽妙なギャグに触れることができる。そのつのだじろうが「奇跡の合作「ギャハハ三銃士」ができるまで」という談話を寄せているが、「とにかく忙しくて」「経緯はよく思い出せない」とのこと。編集の方、見出しを変更してあげてください笑。
解説は泉麻人。