濱野大道のレビュー一覧
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プーチンのペルソナを国家主義者、歴史家、サバイバリスト、アウトサイダー、自由経済主義者、ケースオフィサーの組み合わせとして分析。筆者はプーチンを現実主義者としているが、今般のウクライナ侵略はペルソナの変化(パラノイア的歴史家)なのかもしれない。本文中の興味深い点は以下のとおり。
・プーチンにとって重要なのは情報が真実かどうかよりも周りの反応。
・プーチンは副市長時代の失敗により、天然資源の備蓄が不可欠で、民間企業は当てにならないことを学んだ。
・プーチンは96年、オリガルヒの掌握という明確な目的のもとに、アウトサイダーとしてモスクワに呼び寄せられた。
・ドレスデン勤務のために80年代後半のゴル -
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1部4章を中心に読んだ。ニンゲンの進化を遺伝子学の観点から考察。中でも性淘汰の話は、興味深い。より強い遺伝子を残すためにメスは「質を伝える正直な信号」を見極めるようになる。たとえばそれは、孔雀にとっての派手な柄である。生存のリスクが下がるはずの派手な柄を備えた孔雀のオスはそうでないオスより強く逞しくなければ、ここまで生き抜くことができない。かくして一般的に生存リスクを下げるはずの見た目が逆説的によりメスを惹きつける。
これをヒトに置き換えると、対称性・強さ・身長・ユーモアだそう。また性淘汰の観点からこれらは相対的に優れているかが大切であり、その限りにおいて人は周囲と比べるという事から逃れられな -
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ネタバレ我々の脳が進化の賜物であるならば、我々の心理もまた進化の結果である。
我々が嫉妬しやすく、心配性で悩みが多く、承認欲求を満たしたがる(いいね、が欲しい!)のは、進化の過程で種の維持に有利に働く形質だったからだろう。
という進化心理学者の書いた本。
重要なのが、「種の保存に有利である事と、個人の幸不幸は別物」という事。
進化の過程で残った我々の心理状態を受け入れるだけでは個人としては幸せになれない。いや、むしろ不幸になるだろう。
我々が幸せになるには、種としての心理傾向を理解しつつ、発達した脳で意図的に幸福を得られるように考え方や行動を改善する努力をする事が肝要だ。
そんな考え方に根拠を与 -
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いつか読まなければ…と思いつつ先延ばしにしていた本。今年の3月であれから10年。あの日自分がどこで誰と何をしていたか…そのあと続く余震の日々をどんな気持ちで過ごしていたか。今でもありありと思い出す。直接の被害を受けたわけではない私ですらこうなのに、当時東北地方に暮らしていた方にとって
この本で紹介された人たちの声は、どんな記憶を呼び起こすだろう。津波が襲って来る前から私たちの社会はどうだったか?大川小学校では、何があったのか。読むのも辛い場面も多かったが、残された家族が生きていくため、
せめて同じ時代を生きている私たちは見てきたこと、聞いてきたことを語り継がなければならないと強く思った。#八蔵 -
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今年で10年。もう10年も経ってしまったのかと驚いているけど、それでも戦い続けてる人がいるのを忘れてはいけないと改めて気付かされた。
イギリス出身のジャーナリスト、リチャードロイドパリー氏が書いた本だけど、とてもきちんと丁寧に調べていて
この方じゃないとここまで詳細に書けなかったなと思う。
昨年、石巻に住んでいる友人に半日被災地を案内してもらった。
当たり前けど、テレビとかネットで見るよりも衝撃的で言葉にならないとしか言えない。
海沿いまで家があって、そこで普通に暮らしてたのだという記憶とか
各場所に設置してある、写真で見る今と災害前とか。
大川小学校にももちろん行ってきた
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リチャード・ロイド・パリー『津波の霊たち 3・11 死と生の物語』ハヤカワ文庫。
あれから10年。在日20年の英国人記者が東日本大震災の津波による悲劇と被災地の不可思議に迫ったルポルタージュ。英国ラスボーンズ・フォリオ文学賞受賞、日本記者クラブ賞特別賞受賞。
リチャード・ロイド・パリーと言えば、ルーシー・ブラックマン事件の真相に迫った傑作ルポルタージュ『黒い迷宮』が記憶に残る。
74人の生徒と10人の教師の命を奪った宮城県石巻市の大川小学校で起きた津波による痛ましい事件の全貌が関係者へのインタビューを通じて描かれる。何故、北上川の下流に位置する危険な小学校で、教師は子供たちを山へ避難させ -
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アフリカ勢が上位を独占するランニングで、日本人だけは少なくとも戦いを挑もうとしている。なぜ日本人はそんなに長距離レースへの思いが強いのかに興味を持ったイギリス人ジャーナリストによる、半年間の日本滞在ルポ。
立命館大学の駅伝部、日清食品の駅伝部、比叡山の千日回峰行を終えた僧侶への取材、そして自らもランニングクラブに入り、レースに出場する。こうした取材を通して、日本人にとってランニングは武道などに近い精神的な意味合いが強いことを身をもって学んでいく。さらには大学、実業団の選手との交流を通して、ロードだけでの、しかも昔ながらの体育会的練習によるケガ、モチベーションの低下という問題や、駅伝の功罪につい -
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自分がよく知らない人と話すときに、どうすればよいかー。
物語調に進んでいくこの本は、黒人女性が些細な理由(車線変更時にウィンカーを出さなかった)で違反切符を切られるところから始まる。
女性は投獄され、獄中にて自殺した。
この事実は、アメリカ中に拡がり、
世間は黒人に対する差別だ、偏見に満ちた警察官だ、と声を荒げたが、事実はそれほどにも単純なことなのだろうかと、著者は問いかける。
もっと根源的な、
「知らない人に対するコミュニケーションの誤り」
が、関わっているのではないか。これが改善されなければ、きっと再び同じ悲劇が起こるだろうと。
さまざまな事例をもとに、知らない人に対しての人間 -
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ネタバレアメリカを含め、世界各国の民主政治や民主化、そして独裁化の多様な経験を事例として多く引用し、民主主義の持続に必要とされる要素について理論を組み立てている。
制度的側面のみでは民主主義を保つことには十分ではなく、政治に参加するひとびと、政党、組織の間での不文律が大きな役割を果たしていることを論じる。相互的寛容と組織的自制心と概念化されているこれらの暗黙のルールが民主主義を支えるガードレールとして機能すると説明する。
二極化や政党の過激化とは、これらの不文律が四方八方で破られることで問題化し、主流派にも浸透し常態的になることでますます悪化する。
特定の人種や宗教、グループに対して排他的にならず、多 -
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自然の描写を読んで想像するだけで清々しかった。
羊飼いと聞くとのどかなイメージがあるけど、実際の仕事はとてもハードだ。
体力的にもハードなのはもちろん生き物の生死に触れるという点から精神的にもハードだと思う。
また品評会や、仲間との腹の探り合いなど、人間らしい力が試される場面があることも意外だった。
また、その中で観光産業や、工業化にも言及しており、伝統と商業を両立することの難しさも感じた。
昔から変わらない風景というのは、なかなか難しいけどあってほしいと思う。
著者が羨ましいと感じる点は、自分のしたいこと、すべきことが幼い頃からわかっていて、それに向けてまっすぐ努力してきたということ -
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[多様な顔,統合された人格]世界で最も影響力のある人物とも言われるロシアのプーチン大統領を,6つのペルソナ(人格・仮面の意)を持つ人物として読み解こうと試みた大作。現代ロシアを考察する上で,欧米においては非常に高く評価されている作品でもあります。著者は,トランプ政権下で米NSCのロシア・欧州上級部長に任命されたフィオナ・ヒルとブルッキングス研究所のシニア・フェローを務めたクリフォード・G・ガディ。訳者は,濱野大道と千葉敏生。原題は,『Mr. Putin: Operative in the Kremlin』。
非常に実証的かつ体系的にまとめられているプーチン大統領理解のための必読書といった感の -
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毎年恒例、プーチン大統領が国民の質問に丁寧に答えてくれる
よという茶番劇…じゃなかった、TVショーが今年もロシアで放送
された。
そこに登場したのが誰あろう、エドワード・スノーデン氏である。
そう、アメリカ政府の情報監視活動を暴露した、元NSA(米国
国家安全保障局)の元職員だ。
アメリカ政府による監視活動んいついて述べた後、ロシアも
同じような監視活動をしているのかというのがスノーデン氏
からの質問だった。
プーチン閣下曰く「情報収集に関しては法律を順守して行って
いるが、アメリカみたいに豊富な予算し、技術的能力もないさ」。
あぁ…元KGBがこんな答えですよ。なんたる茶番。
さて、