【感想・ネタバレ】トーキング・トゥ・ストレンジャーズ~「よく知らない人」について私たちが知っておくべきこと~のレビュー

あらすじ

『第1感』『天才!』などの世界的ベストセラーを送り出してきたグラッドウェルが、多様な実例と鋭い洞察力によって、人間の性質の暗い側面に関する定説の誤りを暴き、「他者といかにつきあうか」という人間の根源的な営みに新しい光を当てる。他者と出会う機会がかつてなく多い時代における必読の書!

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Posted by ブクログ

面白い!国際スパイ、伝説の米ドラマ『フレンズ』など、論拠とするエピソード描写が映画のように鮮やか。全体の構成は、筆者のそれ自体シンプルな主張を、少しずつ緻密に裏付けていく仕様で、頭の整理には少々労力がいる(他の方が書いていたように、訳者あとがきがだいぶん助けになった)。長さと複雑さを、エピソードの推進力で読ませる感じ。

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2025年02月20日

Posted by ブクログ

とてもおもしろい。知らん人々を推測するというのはやはりむずかしいわねえ。しかし情報量が多くて読むのにけっこう苦労した。読書家向きていうか。

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2020年12月28日

Posted by ブクログ

自分がよく知らない人と話すときに、どうすればよいかー。

物語調に進んでいくこの本は、黒人女性が些細な理由(車線変更時にウィンカーを出さなかった)で違反切符を切られるところから始まる。
女性は投獄され、獄中にて自殺した。

この事実は、アメリカ中に拡がり、
世間は黒人に対する差別だ、偏見に満ちた警察官だ、と声を荒げたが、事実はそれほどにも単純なことなのだろうかと、著者は問いかける。

もっと根源的な、

「知らない人に対するコミュニケーションの誤り」

が、関わっているのではないか。これが改善されなければ、きっと再び同じ悲劇が起こるだろうと。

さまざまな事例をもとに、知らない人に対しての人間のふるまいに触れていく。

「デフォルトで相手を信用する」「その人のことを知れば知るほど判断を誤る」そして、「結びつき」。

この事例から学ぶことは多い。

私たちは、知らぬうちに相手を単純化して、顔を見れば全てがわかると思い込む。
そして、悪いことが起こるのは、環境のせいではなく、そこにいる人間のせいである、と。


先入観だったり、偏見だったりを、丸ごとひっくり返してくれる一冊でした。

この本で学ぶべき大切なことは、ほんの数行で終わるかもしれません。

しかし、この事実を咀嚼する為には、この分厚い本に立ち向かうべきだ、と思います。

知ることと、それを理解することは、全く違います。
同じことを再び繰り返さないためにも…。

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2020年07月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【個人的経験と社会のつながり…疑うのは自分の認識】

前作の第一感と、
少し重なるようで、
でも今回はさらに人間を扱う。
知らない人に対するバイアス、
判断を謝り、
誤解がどのように生まれ、
時に取り返しのつかない事件を生むか。

警官の暴力、スパイ、独裁者、小児性愛者、…

扱う事例、伝えたい現実が、重い内容だからこそ、
伝え方でどれだけ伝わるかが変わってくるお話。
巧みなストーリー展開で、自分事として考えることのできる本になっていました。

・・・

・トゥルースデフォルト理論
真実を見抜くより、嘘を見抜く方がまちがいやすい、との研究結果があるらしい。
疑いが十分でないから信じる。
この状況を打破するトリガーは、疑いを確信する状況がいるらしい。
デフォルトを覆すのは難しい。

・透明性、透視性の例外
実際にまとう非言語情報が典型と一致していない人もいる。
文化間でも実は表情の意味に違いがあったりする。

・非対称な洞察の錯覚
「相手が自分を知るよりも、自分のほうが相手のことをよりくわしく知っている」「自分にはより優れた洞察力があり、相手の本質を見抜くことができる」「自分は誤解されている」「不当に判断されている」
お互いがこのような確信の下で会話すると、相手に対して、なかなか忍耐強く対応することができないという。

・結びつき(カップリング)理論
人の行動が、その人の性質だけではなく、その人の置かれた環境、状況、場所との結びつきに起因しているという話。
要因は代替され、その人にはいずれ起こる「置き換え」と対比される。
天然ガスへの切り替え政策が実施された時期に、一酸化炭素中毒の自殺が増えたらしい。
自殺はその人の性質だけではなく、置かれた環境と結びついて発生している例。
この結びつきを示すグラフは、その環境要因に揺さぶられることが分かる。

・・・

・個人的なやり取りから得た情報への過信
この本は見知らぬ人、の話だけれど、知っている、と思っている人についてもどこまで知っているかを過信しがちであると言っているのだろうと思う。
直接会って話を重ねたひとが、逆にヒトラーという真の人間の姿を見極めることができなかった事例。
個人的な交流から得た情報に価値があると信じる傾向は、たしかにある。
覚えておきたいのは、
ー.人間は複雑であり、変化し続けること。
ー.狂人、例外はいる。

対面面接なのでの印象や、会った時の感覚が大事だというのは、
より人間的であることを望む時。
特定のスキルや真偽を調べる際には、それ以外の情報をできるだけ排除してバイアスができるだけかかりにくい状態で評価すること、も前著に触れて述べられていました。(オーケストラの例)
実際は、その客観と主観の評価の混ざり合いなのかもしれないけれど。

・確かにみんなを疑うことはできない、
でも一度人間不信になったら、なかなか立ち直れなかったり。
自分の受けた心理的影響の大きさ、人に対する考え方。
恐怖心はまず強いと思う。

・・・

・真偽を覆すコストも
ジャニーズの問題と重なるような事例があったけれど、
リークするかしないか、
現状を信じつづけるかという点に加え、
現状に間違いを認めても覆すコスパがどうか、という点も大きいと思う。
認知的不協和とか、正義感とか、社会構造とか、
社会と個人の行動の関係って、複雑だということでもある。

・・・

「あなたのよく知らない他者はけっして単純ではない。」
だから、見知らぬ人を理解しようとするとき、
慎重さ、謙虚さを持つこと、理解への限界にも自覚的であること。

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2024年06月18日

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日本ではノンフィクション版の村上春樹と言われるベストセラー作家のマルコムグラッドウェル。
多くの事例をもとに、なぜ人は他人を誤解したり、決めつけてしまったりなど、正しく理解できないのかを明快でわかりやすいストーリーテリングで示してくれた本。
サンドラ・ブランドに起きた一つの悲劇を簡単な見方をするのではなく、多くの事例から他人に対する理解の難しさ複雑さをパズルが組み合わさっていくように、その深い洞察から示唆してくれるのは読んでいて非常に気持ち良いものであった。

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2022年08月05日

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人はなぜ他人のことを正しく理解できないのか、採用面談でも相手のことを正しく理解できないとこが多い。人は必ずしも自分が想定したリアクションをしないということが原因なのだろうが、ではどうすればいいのか。会わずにデータだけから判断すれば良いのかもしれないが、相手の客観的データは入手困難な場合が多いしやはり難しい。謙虚に見かけでは分からないことを肝に命じるしかない。

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2021年06月10日

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今まで会って話せばわかると思っていたけど、却って会ったからこそ難しくなることもある。判断にはいろいろな影響があることを知つておけてよかった。

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2021年02月13日

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ネタバレ

<目次>
はじめに
第1部 スパイと外交官~ふたつの謎
 第1章  フィデル・カストロの復讐
 第2章  アドルフ・ヒトラー総統と知り合いになる
第2部 デフォルトで信用する
 第3章  キューバの女王
 第4章  佯狂者
 第5章  事例研究 シャワー室の少年
第3部 透明性
 第6章  『フレンズ』型の誤謬
 第7章  アマンダ・ノックス事件について単純で短い説明
 第8章  事例研究 社交クラブのパーティ
第4部 教訓
 第9章  テロリストの心の内は覗けるか
第5部 結びつき(カップリング)
 第10章  シルビア・プラス
 第11章  事例研究 カンザス・シティの実験
 第12章  サンドラ・ブランドに何が起こったのか

<内容>
我々は「見た目」や「経験」から初対面の相手でも、様々な判断を行っている。それを正しいと信じている。しかし、そうなのだろうか?著者は、”はじめに”のところで、一つの事例を提示する。警官と車を止められた女性の話だ。それは悲劇的な結末となった。それが何を意味したのか、多くの事例を挙げながら、我々の判断が間違ってきたことを示す。現在、アメリカでは警官による黒人殺害の事件から、人種差別撤廃の嵐が吹き荒れている。これもおそらく、この本で提示した課題が表面化した問題だと思われる。ちょっとしたボタンの掛け違いなのだが、初対面の両者が、違う認識を示し、それが確認されないまま時間が過ぎてしまうと、いくつもの事件となってしまうのだ。それは、「ヒト」の感覚の問題なのか、宗教的なものなのか、生理的なものなのか、心理学が解明できることなのか…。

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2020年07月19日

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自己と他者の間にある絶対的な壁をどう乗り越えるかというのが、この作品の主題。

人は相手を信用するよう初期設定されているというトゥルースデフォルト理論。人の感情は、表情に如実に現れるという透明性の嘘を暴く誤謬。飲酒によって目の前の経験が見えなくなる近視理論。行動と場所が密接に関連しているという結びつき理論。小難しい理論を並べたが、この本にはそれらのモデルとなるエピソードがそれぞれ挿まれるので、その話により理解できる。

しかし本著が最もこだわった黒人女性のケース。この話からの学びは何だろう。サンドラ・ブランドは、車を運転中に方向指示器の合図を出さなかったとして警官に止められた。警官は車から出るように命じたが、彼女はそれを拒み、警官の対応はエスカレートする。

黒人への偏見?挙動に対しての過剰反応?素直に車から出れば良い、と先ずは思う。彼女は身体や精神の問題を抱えながらも、生活を何とか立て直そうとしていたところ。新しい街に引っ越し、新しい仕事を始めるところだった。逮捕された彼女は取り乱して泣き続け、3日後に自殺した。

アメリカの世論は彼女に対して同情的だ。確かに、警察はやり過ぎた。しかし、彼女が問題を抱えていたなんて、だから警官の指示に従わなくて良いなんて事があるだろうか。そして、自殺されても、そこまで感情移入してのケアはできない。それぞれの巡り合わせの悪さだ、と思うが。

どんな理論を並べようと、私はあなたにはなれない。世論は、人ごと。同情も、人ごとだ。その人の精神や肉体の保有者ではないのだから、他者を知るなんて事は、部分的にしか出来ない。

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2024年03月23日

Posted by ブクログ

すごく重く深い本でした。
アメリカで白人警察官が黒人女性を路上で逮捕するという2015年に起きた事件を元に、数々の実在の犯罪や事件を取り上げて検証していきます。
スパイやテロ犯罪など日本で普通に生きている私とかけ離れたことも多く、悲惨な事例もあり読み進めるのがつらかったりしましたが、それを取り上げることで最初にあげた事件の真実を考えることにつながるという納得の展開でした。

「私たちの予想どおりに相手が行動しないこと」と思い込みから生まれる誤解や悲劇。
日常生活にもあることだと思います。
「見ず知らずの相手とコミュニケーションを取ることのむずかしさ」
最近社会での他者への批判や誹謗中傷がひどくなっているようにみえますが、やはり原因はこのような、自分は正しい、相手がこうしないのはおかしいと思い込んでしまうことなのではないかなと感じました。

「私たちは、見ず知らずの相手の心の内を読み解く能力に限界があることを受け容れなくてはいけない。」

「われわれに必要なのは抑制と謙虚さだ。」

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2024年02月29日

Posted by ブクログ

人に出会う。人間は人に出会うとまずは他人を信じてしまうという癖がある。そして、人の考えは顔色や態度を見たら分かるという「透明性」の誤謬があるという。人は複雑で簡単に分かるものではない。う~む、それならどうしたらいいのかな?どれぞれのトピックは面白かったけど、他者とどう付き合ったらいいかという結論はでていないようだけど…。

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2021年04月10日

Posted by ブクログ

マルコム・グラッドウェルの新刊は、他人とのコミュニケーションの難しさを語った一冊。ビジネス書というよりはノンフィクション小説に近い内容(400ページ超とかなり長い)、 2015年に発生した、黒人女性が車線変更時に方向指示器を出さなかっただけで白人警察官に逮捕され、自殺した事件の本当の原因を、さまざまな事例を通して解明していく。中でもキューバのスパイが長年CIAの中枢に潜入していて、誰もスパイだと気付かなかったという事例は、ショッキングだが、簡単に他人を信用してしまう人の思考など学べることも多かった。

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2020年08月21日

Posted by ブクログ

とても良い本。人間がなかなか他人を理解できない事を事実に基づいてきちんと説明している。これを読むと、むしろ人に会う方が間違った判断をする気すらしてくる。人間の本質を新鮮な視点から説明しているが、社会への処方箋にはなっていない。

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2020年07月24日

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