濱野大道のレビュー一覧
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プーチンは、西側の指導者との接触が少なく、その動機や思惑を理解できてない。欧米がロシアを封じ込めようとしており、その手段は軍事以外の方法(民主化運動の支援等)で行われていると考えている。プーチンはロシアの国益のためには、欧米の弱点を探し、欧米のリーダーや市民を脅すことをやる。
プーチンのこれまでやってきた事は、この本の見方でほぼ説明できると思う。また、トランプのロシアゲートについても、いかにもやりそうと言え、ますます疑念が深まった。今更だが、エリツィンの頃に支援の手を差し伸べて、もっとうまく西側に取り込んでいればこんな事にはならなかったのではと思う。 -
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2000年に起こったルーシー・ブラックマンさんの失踪事件。失踪当時から事件を追い続けていた「ザ・タイムズ」の東京支局長・リチャード・ロイド・パリーが10年越しの取材を経て書いた犯罪ノンフィクション。
ルーシーさんの親族はもちろん、友人、知人、東京のバーでのお客、そして犯人として逮捕された織原城二とその親族など…ルーシー事件に関わる全ての人々に丹念にインタビューし、構成している。
この著者にしかできない構成力と内容は、読んでいくうちに引き込まれて黒い闇を覗き込んでしまったような恐ろしさを感じてしまった。
そして衝撃的な裁判の行方。
無期懲役にして無罪。
そして織原の控訴と上告。
ルーシー -
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ワーズワースやベアトリクス・ポターが愛した湖水地方で代々羊飼いを生業としてきた著者とその一族を語る。
湖水地方の春夏秋冬とともに、羊飼いの仕事を綴りつつ、祖父母から父母・著者とその家族の日々を綴る。
学問など何ぞや、羊飼いとしての経験と知識こそ最も信頼される社会。著者もまた、幼いころから祖父について回り羊飼いのノウハウを体験で学んだ。進学することなど考えてもみない、ちょっと乱暴な仲間たち。そして何よりも頼りになる先祖伝来の羊飼いの知恵。そんな環境の中、著者は祖父・父と続く羊飼いの道を歩む。
そんな中でも、母親の配慮で本を読む楽しさは知っていた。そして、進学の道を進んだ妹たちと自分を比べても、 -
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美しい景観とロマンチックなイメージのイギリス「湖水地方」だが、19世紀にワーズワースによって見出され、20世紀後半に観光地化が進むまでは、外部との交流が少なく、夏の間は山腹の共有地で羊を育てる昔ながらの伝統的な牧畜地域であったらしい。そして、そのようなファーマーの生活を今も続けている著者が、自然相手の厳しい羊飼いの暮らし、彼らの誇りと喜び、そして、自分たちが過去から未来へと連綿と続く鎖の一部であるという実感について、彼の家族史を含め、リアルかつ生き生きと描いている。かなり厚い本ではあるが、読むに連れて面白くなり、どんどん惹き込まれていく。
ピーターラビットの作者であるベアトリクス・ポターが自分 -
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スノードンの問題は、現時点でも未解決の問題としてメディアでも度々話題になっている。
米国情報機関の機密情報の取り扱い、ということ以上に、インターネット社会における情報の取り扱いについて、一石投じた事件として、当時、どのような動機、背景で、何が起こったのか知ることは重要なことだと思う。
インターネットこそが国境を越え、自由に情報を展開することができる場であると同時に、それを管理することが可能であれば、それを誰かがコントロールし、その自由を抹殺することすらできる。
本著は”暴露”した側が書いたものであるが、これを否定的に取る側の論理にも触れられているし、事の本質にも深く踏み込んでいるので、頭の整 -
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ネタバレイメージ 1
新刊書から選んだ一冊。
我々日本人は「マラソンが弱くなった」と嘆いていますが、
世界から見ると、そうは言えないらしい。
ランニングクラブに属し、オリンピックの選手にこそ
慣れないものの、そこそこの記録を持ち、
マラソンを愛する著者は走るライター。
(イギリスの新聞「ガーディアン」編集者兼フリーランスのジャーナリスト。)
世界中の大規模なロードレース、優勝者は
ケニア人かエチオピア人の超高速ランナーたち。
誰もがその牙城を崩せない。
本の著作中2013年当時、最新版世界の男子マラソンの
100傑のうち、アフリカ出身者以外は6人のみで、
そのうち5人が日本人。
女子マラソン100 -
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キム•ソンジョン 金聖鐘 星山聖鐘そして織原城二、これが15年前に起きた『ルーシー•ブラックマン事件』の犯人であり同一人物である。彼は今無期懲役囚として服役中ではあるがルーシー•ブラックマンへの殺人罪には問われていない。それ以外の女性に対する罪で裁かれたのだ。
ルーシーへの決定的な証拠はない。が、死ぬ直前まで一緒にいたのは事実。これらの謎、いや織原城二という謎の資産家と織原から見舞金として1億円を受け取ったブラックマン一家の人生を徹底的に調査したルポルタージュ。
これは日本人ではなく著者であるイギリス人記者だからこそ中立的に調べることができたのではないだろうか。小説としても読み応えのある1冊。 -
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事件ノンフィクションには、しばしば下世話なのぞき見趣味を刺激するものがあって、読んでる自分が嫌になってくることもしばしばだが、これは違っていた。被害者と加害者の双方、本人はもちろん家族や関係者のプライバシーにかなり踏み込んでいるけれど、興味本位に暴き立てる感じがなく、こういうのって非常に珍しいと思う。
著者は、英国「ザ・タイムズ」紙アジア編集長および東京支局長で、滞日20年だそうだ。さすがに日本のことをよく知っているなあと思わされる。繰り返し言及されている、日本の「水商売」のありようとか、警察の捜査や司法制度についての疑問・批判には、若干西欧中心的な感じがあるものの、なるほど「外」からはそう -
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ルーシー・ブラックマン事件のことは覚えているつもりだったが、来日した家族の活動とか、ブレア首相が森総理に協力要請したとか、知らないことが多かった。
本書は「タイムズ」記者による綿密かつ詳細なルポであり、ルーシーの家族関係、犯人である織原の深い謎、日本の警察と治安といった様々な点について切り込んでいる。特に、被害者やその家族との長期にわたる関係は、英語を母語とする英国人記者ならではという気がする。かといって、日本人相手の取材にも不備がないのがすごい。
この事件、あるいは織原の犯罪を、日本人男性による西洋人女性に対する蛮行といった人種的ステレオタイプな一見分かりやすい説明にしてしまうことなく、深く -
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ネタバレ2000年に起きたルーシー・ブラックマン殺人事件。
犯人の情報。
犯人は韓国系日本人、金聖鐘(キム・ソンジョン)。
父親は日本に渡り、戦後のわずか10年で大阪の最も裕福な男になった。
駐車場・タクシー・パチンコとすべて「土地」が必要な商売ばかりで成功。
一家は星山という通名を使っていた。
学生時代には黒板に日本や日本人への怒りをあらわにした政治的なスローガンをよく書いていた。
目の一重を二重に手術したことを「交通事故にあって目を縫った」とウソをついていた。
有り余るカネで他の学生の比ではない生活をしていた。
昭和44年(1969年)から女性に睡眠薬を飲ませて強姦していた。ちなみにこの時は童貞 -
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2013年6月、香港にて本書の著者やその他数人に対し、
アメリカ合衆国NSA元職員のスノーデンが自身の良心に従って、
行きすぎたアメリカの監視体制に関する機密文書数万点を暴露したことは、
日本でも大ニュースになり、みなさんもご存じだと思います。
その機密文書の内容は、アメリカやイギリスの新聞社から記事として発信され、
スノーデンはモスクワに移動して逮捕を逃れ、
本書の著者であるグリーンウォルドも共犯者とみられる向きもあり、
ブラジルのリオデジャネイロに住んでいながらも、
アメリカに帰国した際には連行される危険性も否定できないらしいです。
そんな危険を冒してまで、
政府に屈せずに報道をしていく -
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