濱野大道のレビュー一覧

  • プーチンの世界―「皇帝」になった工作員―

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    プーチンは、西側の指導者との接触が少なく、その動機や思惑を理解できてない。欧米がロシアを封じ込めようとしており、その手段は軍事以外の方法(民主化運動の支援等)で行われていると考えている。プーチンはロシアの国益のためには、欧米の弱点を探し、欧米のリーダーや市民を脅すことをやる。
    プーチンのこれまでやってきた事は、この本の見方でほぼ説明できると思う。また、トランプのロシアゲートについても、いかにもやりそうと言え、ますます疑念が深まった。今更だが、エリツィンの頃に支援の手を差し伸べて、もっとうまく西側に取り込んでいればこんな事にはならなかったのではと思う。

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    2018年05月15日
  • 黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実

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    2000年に起こったルーシー・ブラックマンさんの失踪事件。失踪当時から事件を追い続けていた「ザ・タイムズ」の東京支局長・リチャード・ロイド・パリーが10年越しの取材を経て書いた犯罪ノンフィクション。

    ルーシーさんの親族はもちろん、友人、知人、東京のバーでのお客、そして犯人として逮捕された織原城二とその親族など…ルーシー事件に関わる全ての人々に丹念にインタビューし、構成している。

    この著者にしかできない構成力と内容は、読んでいくうちに引き込まれて黒い闇を覗き込んでしまったような恐ろしさを感じてしまった。

    そして衝撃的な裁判の行方。
    無期懲役にして無罪。
    そして織原の控訴と上告。

    ルーシー

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    2018年01月28日
  • 羊飼いの暮らし イギリス湖水地方の四季

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    ワーズワースやベアトリクス・ポターが愛した湖水地方で代々羊飼いを生業としてきた著者とその一族を語る。
    湖水地方の春夏秋冬とともに、羊飼いの仕事を綴りつつ、祖父母から父母・著者とその家族の日々を綴る。

    学問など何ぞや、羊飼いとしての経験と知識こそ最も信頼される社会。著者もまた、幼いころから祖父について回り羊飼いのノウハウを体験で学んだ。進学することなど考えてもみない、ちょっと乱暴な仲間たち。そして何よりも頼りになる先祖伝来の羊飼いの知恵。そんな環境の中、著者は祖父・父と続く羊飼いの道を歩む。
    そんな中でも、母親の配慮で本を読む楽しさは知っていた。そして、進学の道を進んだ妹たちと自分を比べても、

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    2017年10月01日
  • プーチンの世界―「皇帝」になった工作員―

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    ネタバレ

    戦略家としてだけでなく、様々な顔を持つプーチンの研究本。読み応えのある、お勧めの1冊。これを読むと、「では、プーチンの弱点とは何か」を深く考えさせられる。

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    2017年08月27日
  • 羊飼いの暮らし イギリス湖水地方の四季

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    羊飼いの暮らしは、”牧歌”じゃない。全然牧歌じゃない。

    イギリス湖水地方と言えば、牧草地帯の美しい四季、ピーター・ラビットなどを思い浮かべ、のどかで豊かな自然の中での暮らしに憧れる、観光客にも人気の場所だ。
    でもそこには(どこでもそうだが)、観光客が見ている面とはまた違う日々の営みがある。

    何世代にも渡る経験と知恵があってこその羊との暮らし、プライド、美しくも過酷な自然、その前にあっては手だても虚しく涙を飲むばかりの口蹄疫。。。

    読み終えると、筆者の充足とプライドに、爽やかな気持ちになった。

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    2017年04月14日
  • 羊飼いの暮らし イギリス湖水地方の四季

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    美しい景観とロマンチックなイメージのイギリス「湖水地方」だが、19世紀にワーズワースによって見出され、20世紀後半に観光地化が進むまでは、外部との交流が少なく、夏の間は山腹の共有地で羊を育てる昔ながらの伝統的な牧畜地域であったらしい。そして、そのようなファーマーの生活を今も続けている著者が、自然相手の厳しい羊飼いの暮らし、彼らの誇りと喜び、そして、自分たちが過去から未来へと連綿と続く鎖の一部であるという実感について、彼の家族史を含め、リアルかつ生き生きと描いている。かなり厚い本ではあるが、読むに連れて面白くなり、どんどん惹き込まれていく。
    ピーターラビットの作者であるベアトリクス・ポターが自分

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    2017年04月08日
  • 黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実

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    「日本の犯罪率の低さの本当の理由が、警察の管理能力に起因するものではなく、国民のおかげであることはあまりに明らかだ。警察の能力が高いからではなく、日本人は常に法を守り、互いに敬い、暴力を忌み嫌うのだ。」

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    2017年03月05日
  • 暴露―スノーデンが私に託したファイル―

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    スノードンの問題は、現時点でも未解決の問題としてメディアでも度々話題になっている。
    米国情報機関の機密情報の取り扱い、ということ以上に、インターネット社会における情報の取り扱いについて、一石投じた事件として、当時、どのような動機、背景で、何が起こったのか知ることは重要なことだと思う。
    インターネットこそが国境を越え、自由に情報を展開することができる場であると同時に、それを管理することが可能であれば、それを誰かがコントロールし、その自由を抹殺することすらできる。

    本著は”暴露”した側が書いたものであるが、これを否定的に取る側の論理にも触れられているし、事の本質にも深く踏み込んでいるので、頭の整

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    2016年12月27日
  • 黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実

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    外国人記者が書いた本の中では
    とても中立的で抑えた筆致だった。
    正直市橋事件と最初勘違いしてたくらいだけど、
    事件のことはうっすら覚えている。
    良いも悪いも人はなかなか一面からしか見えないから難しいけど、
    フェアであろうとする記述にはいろいろ考えさせられた。

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    2016年06月09日
  • 駅伝マン 日本を走ったイギリス人

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    ネタバレ

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    新刊書から選んだ一冊。
    我々日本人は「マラソンが弱くなった」と嘆いていますが、
    世界から見ると、そうは言えないらしい。

    ランニングクラブに属し、オリンピックの選手にこそ
    慣れないものの、そこそこの記録を持ち、
    マラソンを愛する著者は走るライター。
    (イギリスの新聞「ガーディアン」編集者兼フリーランスのジャーナリスト。)

    世界中の大規模なロードレース、優勝者は
    ケニア人かエチオピア人の超高速ランナーたち。
    誰もがその牙城を崩せない。
    本の著作中2013年当時、最新版世界の男子マラソンの
    100傑のうち、アフリカ出身者以外は6人のみで、
    そのうち5人が日本人。
    女子マラソン100

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    2016年06月09日
  • 暴露―スノーデンが私に託したファイル―

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    「NSAは外国人にかぎってプライヴァシーを侵害します。」実際には全員が対象。

    NSAの資料が公開され、アメリカのデータ盗みが明らかになった。外国首相のケータイを盗聴していたのもすごい話だ。

    データの内容ではなくメタデータを集めたのはとても興味深い。つながりを追えば内容もわかるのは面白い。

    メディアが国の従僕であるという批判は、全世界で共通のものだと感じた。

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    2016年05月29日
  • 黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実

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    キム•ソンジョン 金聖鐘 星山聖鐘そして織原城二、これが15年前に起きた『ルーシー•ブラックマン事件』の犯人であり同一人物である。彼は今無期懲役囚として服役中ではあるがルーシー•ブラックマンへの殺人罪には問われていない。それ以外の女性に対する罪で裁かれたのだ。
    ルーシーへの決定的な証拠はない。が、死ぬ直前まで一緒にいたのは事実。これらの謎、いや織原城二という謎の資産家と織原から見舞金として1億円を受け取ったブラックマン一家の人生を徹底的に調査したルポルタージュ。
    これは日本人ではなく著者であるイギリス人記者だからこそ中立的に調べることができたのではないだろうか。小説としても読み応えのある1冊。

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    2016年01月31日
  • 黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実

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    ルーシー・ブラックマン事件のルポルタージュ。被害者家族、被疑者の生い立ち、六本木事情、日本の警察と司法のあり方。様々な要素を複合的に描き出しており、個別の事件への興味は置いておいて読むに値する一書。
    著者は英国人であり、在日である被疑者(犯人で間違いないと思うけど一応)の生い立ちと立ち位置が日本人が書くものと違い、政治信条的にフラットに書けていることはこうした複雑な題材を取り扱う上で随分とメリットであったと思う。

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    2016年01月12日
  • 黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実

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    この事件のことは憶えている。犯人が捕まった後に聞こえてきた事件のおぞましさ。悪魔の所業に吐き気がしたが、何となく自分には関わりのない別世界の事と考えていたような気がする。
    でも、本当にそうだったのか?この本を読むと
    今もなお残る謎、ある意味平凡な人間が陥ってしまった闇の世界の存在にただ戦慄する。
    あとがきにもあるように、イギリス人記者の丹念な取材、構成力による読み応えのあるノンフィクション。まさに「事実は小説より奇なり」日本語訳も素晴らしい。

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    2015年11月16日
  • 黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実

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    事件ノンフィクションには、しばしば下世話なのぞき見趣味を刺激するものがあって、読んでる自分が嫌になってくることもしばしばだが、これは違っていた。被害者と加害者の双方、本人はもちろん家族や関係者のプライバシーにかなり踏み込んでいるけれど、興味本位に暴き立てる感じがなく、こういうのって非常に珍しいと思う。

    著者は、英国「ザ・タイムズ」紙アジア編集長および東京支局長で、滞日20年だそうだ。さすがに日本のことをよく知っているなあと思わされる。繰り返し言及されている、日本の「水商売」のありようとか、警察の捜査や司法制度についての疑問・批判には、若干西欧中心的な感じがあるものの、なるほど「外」からはそう

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    2015年10月20日
  • 黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実

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    ルーシー・ブラックマン事件のことは覚えているつもりだったが、来日した家族の活動とか、ブレア首相が森総理に協力要請したとか、知らないことが多かった。
    本書は「タイムズ」記者による綿密かつ詳細なルポであり、ルーシーの家族関係、犯人である織原の深い謎、日本の警察と治安といった様々な点について切り込んでいる。特に、被害者やその家族との長期にわたる関係は、英語を母語とする英国人記者ならではという気がする。かといって、日本人相手の取材にも不備がないのがすごい。
    この事件、あるいは織原の犯罪を、日本人男性による西洋人女性に対する蛮行といった人種的ステレオタイプな一見分かりやすい説明にしてしまうことなく、深く

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    2015年08月07日
  • 黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実

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    ネタバレ

    2000年に起きたルーシー・ブラックマン殺人事件。

    犯人の情報。
    犯人は韓国系日本人、金聖鐘(キム・ソンジョン)。
    父親は日本に渡り、戦後のわずか10年で大阪の最も裕福な男になった。
    駐車場・タクシー・パチンコとすべて「土地」が必要な商売ばかりで成功。
    一家は星山という通名を使っていた。
    学生時代には黒板に日本や日本人への怒りをあらわにした政治的なスローガンをよく書いていた。
    目の一重を二重に手術したことを「交通事故にあって目を縫った」とウソをついていた。
    有り余るカネで他の学生の比ではない生活をしていた。
    昭和44年(1969年)から女性に睡眠薬を飲ませて強姦していた。ちなみにこの時は童貞

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    2015年06月22日
  • 暴露―スノーデンが私に託したファイル―

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    2013年6月、香港にて本書の著者やその他数人に対し、
    アメリカ合衆国NSA元職員のスノーデンが自身の良心に従って、
    行きすぎたアメリカの監視体制に関する機密文書数万点を暴露したことは、
    日本でも大ニュースになり、みなさんもご存じだと思います。
    その機密文書の内容は、アメリカやイギリスの新聞社から記事として発信され、
    スノーデンはモスクワに移動して逮捕を逃れ、
    本書の著者であるグリーンウォルドも共犯者とみられる向きもあり、
    ブラジルのリオデジャネイロに住んでいながらも、
    アメリカに帰国した際には連行される危険性も否定できないらしいです。

    そんな危険を冒してまで、
    政府に屈せずに報道をしていく

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    2015年02月21日
  • 暴露―スノーデンが私に託したファイル―

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    いずれかの国でスパイ活動が行われていると想像したことはあったが、まさかここまでとは。
    書かれていることが本当であれば、恐ろしい。
    監視を意識することで行動抑制が起きると言うのはうなづける。
    とてつもない逆風の中でジャーナリズムを貫く筆者にも感服。

    全ては保身、集団心理がなせる技なのか。

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    2015年02月19日
  • 暴露―スノーデンが私に託したファイル―

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    国家による無差別監視。やってるだろうな、と思いつつも、ここまでやってるのか、とゾッとさせられる。

    イギリスでは報道の自由が憲法で保障されていないとは知らなかった。新聞社に乗り込んで、合意のもとでハードディスクを破壊させるって、結構えげつないことするなあ、と。
    アメリカの大手メディアの体制寄りっぷりがショックでした。もちろんこれは著者側から見た意見で、大手メディア側にも言い分はあるだろうけど。

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    2015年01月31日