小林朋道のレビュー一覧
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動物行動学者小林朋道教授による、動物にまつわるエピソード集。
動物との交流や観察、実験などを通じて得られた知見や感想が、わかりやすい文章で紹介されており、読み物としても大変面白い。
私も動物を飼うことが好きだ。ことに子供が生まれてからは、買ってきたものやら捕まえたものやらを含めて、常に複数の動物を飼育している。ちなみに今は、娘が捕獲したクロベンケイガニと、ペットショップで購入したハムスターを飼っている。
こうして人間が動物を飼育する理由はいったいなんだろう。
どうして人間は異種の生物を身近に置きたがるのだろう。
異種の生物を保護し、生活を共にすることから動物の家畜化は始まった。
家畜た -
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≪目次≫
はじめに
1 自転車にからまっていたカラスの話
2 庭で暮らすカナヘビを追いかけ回した話
3 街の迷い犬を田舎に送った話
4 プレーリードッグと一緒に住んでみた話
5 小さなヒミズに畏敬の念を持った話
6 土の中の魅惑的な生き物たちの話
7 「コウモリを連れたタクシー運転手」の話
8 ドバトは人間をどう認識しているか考えてみた話
9 アカネズミが食べるドングリ、貯めるドングリの 話
10 トンビのため”狩り"に明け暮れた話
11 口の中で子を育て雌から雄に性転換した魚の話
≪内容≫
動物行動学の専門家による、肩の凝らないエッセイ集。著者の動物、いや生 -
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常識は時代と共に変わるので、誤った知識の更新が必要です。
鎌倉幕府の成立年が1192年から1185年になったり、太陽系の惑星の数が9個から8個になったりと、歴史や天文学だって変わっている。
動物の行動についても、検証実験が足らないのに「こうだろう」と思い込んでいたことが沢山ある。
いろんな実験や観察により新しい事実が発見され、これまでの動物に関する常識も変わってきている。
例えば、鏡に映った自分の姿を見て「自分だ」と認識できる動物をどれくらい知っていますか?
イルカやゾウやカササギが認識できるらしいが、魚の中にもいると聞いたら驚きです。
自分を認識できる「知能」って何?となる。
まあ、本 -
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ヒトとはどんな動物なのかを、13のテーマで探ってみたという内容。
13のテーマは、一般の人からの質問。
「モフモフはなぜ可愛いのか?」は、そのうちの一つ。
全部がモフモフに関することだと思っていたが、モフモフは8ページだけです。
・ヒトにとって「音楽」とは何なのか?
これは昔から不思議に思っていたことだ。
リズムに合わせて体を動かすと心地よさを感じる。
私にとっての音楽は、「癒し」の道具といった意味合いが強い。
生き物は、生存・繁殖に優位となることにはコストをかける。
音楽はこのことに関係しているのだろう。
ひとりでは生きていけないホモサピエンスにとっては、「人を団結させる力」として音 -
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2024年発行の最新刊。
シリーズ第一作が2007年、17年の年月を実感させる一冊だった。筆者が加齢を隠すことなく綴っているところ、そしてだからこそ見えてきた事象についての語りは、読んでいて少しだけ寂しくもあり、嬉しくもある。第一作では様々な無茶を楽しげに語っていたけれど、そうした無茶はなりをひそめて、若い人たちを見守る視線になっていく。大学の教授にとっては研究こそが本分なのだろう。けれど、もともと教師であったという経験もあるせいか、著者の若い学生たちに向けた目は未来への期待に満ちている。生命というものは、自分だけで完結するものではないと間接的に、そして軽妙に語りかけてくる。
既読も含めて、こ -
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動物行動学と言う、なかなか耳慣れない言葉ではあるが、まずホモ・サピエンスを「自然の中で100人程度の集団を作って、狩猟採集を行う生活の中で、自分の遺伝子が子孫により多く伝わるように、外界の事物事象を認知し、感じ、思考するように、脳を含む心身ができている動物」ととらえ、それぞれの生物種本来の生活環境において、生存・繁殖がうまくいくように進化しているいることを、出来るだけ簡明な言葉に変えて説明しようとしているのが窺える。
行動経済学はともかく、認知世界の話になると少し分かりにくくは感じたが、我々が何千年も生物種として生き続けていることによって、不安や怖れを感じる本能があり、生存・繁殖にとって有