小林朋道のレビュー一覧
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本書は今年の1月に発行の最新刊なのだが、内容の大半は2023年に執筆したものらしい。
学長になって授業もゼミもしていないので、当然新しいネタがないのでしょう。
話題もこれまでの「先生シリーズ」を振り返るような内容が増えている。
最終章の、「先生、学長になるんですか?」では15年に渡るモモンガの研究のおさらいになっていた。
最後の4ページは「先生!シリーズ*思い出クイズ」になっていて、本書が最終巻だと感じてしまう。
が、答えを次巻に掲載予定と書かれており、来年第20巻が出ることがわかって安心。
(1冊ある番外編はカウントしないみたい)
今回は、イソヒヨドリが街に進出していることに目を付け、 -
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科学情報サイト「ナゾロジー」に掲載されている研究報告を
紹介し、生き物の新たに分かりつつある認知・行動を、
ホモサピエンスの実態を交えながら、分かり易く解説する。
・はじめに
1章 動物たちの不思議な生態
2章 環境に適応する驚きの身体機能
3章 生き物たちの生存戦略
4章 意外と知らない身近な動物の謎
5章 いろいろあります・・・・・・複雑な親子関係
野生動物に関する研究には、今までの認識が変化する報告が
あったり、研究が進行することで新たな発見に繋がる
可能性があったりもする。研究者の地道な努力に賞賛!
解説し、考察し、仮説も唱えるのは、鳥取環境大学学長の
小林教授。至って真面目であれど -
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今回登場する主な動物は、
ニホンモモンガの子ども、ヒバリのヒナ、ヤギ、ヤマトシロアリ、骨折して飛べなくなったユビナガコウモリ、
アカネズミ、アカハライモリ、ブチサンショウウオ
といったところだが、これまでと少し雰囲気が変わった。
動物行動学的な考察が始まるのだ。
大学の講義のような内容がはさまって来る。
このシリーズには、そんなアカデミックさは求めていないので、別の本にまとめて書いた方がいいと思う。
小林先生は、そういった趣旨の本も出されているので、興味があればそっちを読みますよ。
環境科学が学べる大学はたくさんある。
この分野は「快適で持続可能な社会の実現を目指す」というのが基本思想だ。 -
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今回は、
カワネズミ、ヤギ、ヒキガエル、ヤギ、シジュウカラ、ヤギ、ニホンモモンガ、スナガニ
ヤギの体毛が季節によって変わる。
寒い時期は体毛の下に細くて縮れた毛が生えて体温保持をしたり、暑い時期の体毛は太くなり断熱効果を低下させている。
ヒキガエルはダンゴムシが1匹ならパクっと食べるが、2匹になると両方が気になり結局どちらも食べられない。
8匹くらいになると(わけが分からなくなるようで)食べようという気配すら見せなくなる。
シジュウカラは、生きているシカやキツネから毛を抜いて巣材に使う。
ニホンモモンガは、家族の匂いが分かる。しかし家族と家族以外の声は聞き分けられない。
こんな感じの内 -
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前巻で予告されていた「母親を失った子モモンガ3匹を育て森へ戻す」までの報告から始まり、
ヤギ、ヤドカリ、ヤマネに関する話にキノコとスギの話題が加わった。
子モモンガは生まれてすぐに小林先生が育てることになったので、小林先生を信頼しきってなついているのが可愛い。
「教員時代」という言葉が出てきた。
調べてみたら2022年に鳥取環境大副学長、2024年には学長になっていた。
本書は2021年4月の発行だが、単なる「教員時代」とは年々仕事内容が変わってきているのだろう。
このシリーズも最初から順番に16巻読んできたので、続く限りは読むつもり。
主役の動物は、ヤギ、モモンガ、コウモリで、ほぼ毎回 -
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「ヒトとしての行動」に関する質問を、著者の
動物行動学の知見をもとに検証し、仮説し、回答する。
・はじめに
1 親しい友人と会った時、とび跳ねたりするのはなぜか?
2 ヒトはなぜ「怖いもの」を見たがるのか?
3 子どもがやる「地団駄を踏む」動作は本能か?
4 「血のつながり」の正体とは?そして「自爆テロ」との関連は?
5 「思い込み」はなぜ起こるのか?
6 ヒトは現在も進化しtりるのか?
7 寄生虫はどのようにしてヒトを操るか。そして遺伝子とは?
8 ヒトにとって「音楽」とは何なのか?
9 赤ん坊の黄昏泣きはなぜ起きるのか?
10 他人の口調やしぐさがうつってしまうのはなぜか?
11 なぜヒト -
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最近かなり新書を読んでいるような気がする
そしていわゆる「当たり」が多いような気がする
それは何故かと言えば、理由は「タイトル」にあることが明確である
これは書評家の三宅香帆さんが仰っていたことだが、新書に多い実用書やビジネス書のタイトルにはそのものズバリというタイトルが多い
これは売るための戦略なのだという
一般に「小説」を買うときに何を指針にするかというと、ほとんどの人が作家さんなのだそう
「好きな作家さんは無条件に買う」という購買行動だ
ベストセラー作家さんは黙ってても売れる
それに対して新書はというと、小林朋道さん?誰やねん?である
そこで『モフモフはなぜ可愛いのか』である
それ -
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動物行動学者が雑談のような軽い語り口で自身の専門とする学問の知見を用いた様々な見解を紹介している。
100人程度の集団で狩猟採集生活を送るのに適した進化を遂げた人間の脳は、病原体の感染リスク回避のためによそ者嫌いだし、確証バイアスから振り込め詐欺にもひっかかるし、自分の血縁者を探したがる。擬音語や擬態語、耐えることを賞賛することも動物行動学的に説明ができる。1番面白かったのは意識の話で、なぜ脳という物体が意識という非物体という問いはその問い自体が間違いで、物体も意識もヒトの認知装置が生み出したイメージに過ぎない。動物はそれぞれ独自の認知装置を持って、何かの正しい姿を正しく判断した断片をつかんで -
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おもしろかった。
毎作、ほんまにエンジョイしております、先生シリーズにハズレなし。
今回は、表紙にあるとおりだが、
真無盲腸目の動物、シン・盲腸をもってない動物。ヤギの体毛や認知能力の話。ヒキガエルの新しい威嚇行動と、タイトルにあるように、捕食時に群れた昆虫の場合、ターゲッティングができず諦めるという行動(ハヤブサやサワラみたいなことか?はたまた視覚的にターゲティングできないんだろうか、すごく気になる??)。ロードキル動物研究の学生。シジュウカラの巣材。ニホンモモンガのビヘイビア。千代砂丘の生き物。
面白い箇所はたくさんあるが、個人的に一番笑ったのが雛人形エピソード。思わず朗読したくなる面白さ -
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「人には、生命、あるいは生命のシステムに対する関心や愛情を感じる、生得的な精神特性が備わっている」と、生物多様性の研究者、E.O.ウィルソンさんが主張しており、その精神特性を「バイオフィリア」(この言葉はドイツの心理学者が作ったそう)と呼んでいる。
そのバイオフィリアの本質をこの本の著者は、〝自然の中での狩猟採集生活”において、「さまざまな生物の習性に強い関心を感じる心理特性」、「その習性をより深く理解しようとする欲求」が、ヒトの生存・繁殖にとって明らかに有利だ、と考えていると記している。
前置きが長くなったが、あまり動物好きとは言えない私が、動物の行動に興味を持ち、このような本を読み、面 -
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ネタバレサブタイトルの「動物行動学的人間論」に魅かれて読んでみた。前半は特に面白かった。中でも
p37
「それぞれの動物種が生存する環境によって、写し取る部分や、写し取るやり方(どのような波長の光を使うのか、音を使うのか、ニオイを使うのか、そしてそれらを脳内でどのように処理するのか等)は異なっている。」
がとても腑に落ちた。
人間よりも嗅覚がすぐれている犬、紫外線が見えるチョウ…確かに、実在世界の反映の仕方は、それぞれの動物で異なっている。
そして、実在世界をどう認知しているのかは、ヒトの個体それぞれも微妙に違っているわけで、この点は日ごろから常に意識しておきたいと思った。