小林朋道のレビュー一覧
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シリーズ10巻目にして、今まで”見辛いなー”、”何が写っているのか分らんなー”と思っていた写真が、冒頭の方だけだけどカラー写真になった!
しかし10巻も出していて、よくネタが尽きないものだなーと思うが、今回も改めて面白い。
小林節が全開なのはいつものとおり。
何となくだが、10巻目=10年も経った訳で筆者も10年歳を重ねたわけだが、心なしかパワフルさが抑えられてきたかな?という気がしないでもない。
様々な周囲との関わりが増える中で、学内外での責任と役割も増えて多忙そうなのが感じられる。
どうか、来年以降も楽しい本の出稿を!、と願って止まない。 -
Posted by ブクログ
著者は、動物行動学に関するユニークな著書を多数発表している鳥取環境大学教授である。
本書で著者は、「ヒトの脳にはクセがある」、即ち「ヒトの脳にはかなり偏った性質がある」ことを、その原因・背景から明らかにしようとしている。
具体的に、「なぜマンガは文字より分かりやすいのか?」、「なぜヒトは時間の始まりと宇宙の果てをイメージできないのか?」等のヒトの脳のクセ(=性質)を挙げて、それは、ヒト(=ホモサピエンス)にとって当座の生存・繁殖のために何が有利であったのかを反映しているのだという。つまり、自分たちの歴史の99%においてアフリカのサバンナ地域で狩猟収集を中心とした生活を送ってきたヒトにとって、現代の高度な学問を文字だけで理解したり、時間の始まりや宇宙の果てを想像することは、自分たちの当座の生存・繁殖に何ら有利性をもたらすものではなく、よって、ヒトという動物の認知系や情報処理系の能力の限界を超えたものなのである。ヒトがいまだに狩猟収集生活に適応したクセ(=性質)を持っていることは、“火”に対して特別な関心を抱くこと、“ヘビ”に対して強い反応を示すこと、男性は「(狩猟に必須の)長距離のルートの把握や検出」が得意であるのに対し、女性は「(他の女性や子供との触れ合いに必須の)言語の流暢さ」が得意であることなどからも説明できるという。
また、それぞれの動物種の脳にクセがあることは、実在の世界はヒトを含む全ての動物にとって同じであるにもかかわらず、それぞれの動物種の、実在の世界を写し取る部分や方法(どのような光の波長を使うのか、音を使うのか、においを使うのかなど)が異なることからも明らかである。
そして、そのことは、原始生命の遺伝子が数十億年の間に様々な形に変化してきた中で、生存・繁殖のために有利であった設計図のひとつが現在のヒトの遺伝子であるに過ぎないことを示し、それはまさに、リチャード・ドーキンスの言う「利己的遺伝子論」につながるのである。
最後に著者は、現代科学の究極のテーマの一つと考えられている「なぜ脳内の物質的な変化から“意識”が生じるのか?」という問いを取り上げ、「それは、質問自体が間違っている。・・・NCC(意識相関神経)の領域の神経が興奮することと、意識が生まれるということは、おそらく根源的には同一のものだろう。同一のものをわれわれの脳が、違った内容で認知し、その理由を問い続けているだけなのであろう。」と、ヒトの脳の限界を改めて述べている。
現在存在する動物は、それぞれが進化の過程で、結果的に自分たちにとって有利であった方法で実在の世界を認識している、逆に言えば、それ以外の方法では実在の世界を認識し得ないという説明には説得力がある。ということは、現在のヒトに認識の困難(不可能)な、時間の始まりや宇宙の果て、人間の意識の発生の仕組みが理解・認識できるようになるのは、そうした遺伝子が結果的に有利となる環境が生じたときということなのだろうか。そして、そのような環境とは果たしてどのような環境なのだろうか。。。
深遠なテーマを考えさせる一冊である。
(2015年2月了) -
Posted by ブクログ
幼稚園の時の愛読書が「動物図鑑」、「シートン動物記」も「動物のお医者さん」も読破した私が、こんな面白い動物本を読み逃していたとは、なんたる不覚。
これ、シリーズの7冊目でした。
リアル「動物のお医者さん」のようなこの本。
もちろん小林先生は漆原教授のように理不尽ではない。
けど、動物の観察または実験に向かって一直線に行動する小林先生の姿は、どこかしらユーモラスで、若干はた迷惑(動物からすると)だったりする。
・学生たちが守ったヒバリの巣
・このハチは、もう家族の一員だ!
・シマリスはヘビの匂いを体につけてヒグマを追い払う!?
・ヤギの放牧場のイイオ池で育った絶滅危惧種のアカガエルたち
・大学のヘラジカ林に棲む動物たち
・芦津モモンガプロジェクト、NOW
・ヤギはイモムシを食べる隠れ肉食類か?
各エピソードのタイトルを並べてみても、これといって面白そうでもないのに、読んでみたらこれがいちいち愉快至極。
本当に本当に動物が好きなのだな、この人は。
キャンパス内のどこにどういう動物の痕跡があるかを、知り尽くしている。
そして新しい発見が報告されれば、必ず見に行く。のぞきに行く。
私にとっての動物とは哺乳類のことなんだけど、この先生、昆虫も両生類もひとしく全てを愛している。
げ~。今日も虫の話を読むのか…。そう思ったのも一瞬。
蜂のハチコの子育て物語は、意外にも面白く読めたのである。そう言えば「ファーブル昆虫記」も読破できてたわ。面白いものは面白いのだ。
家の玄関に蜂の巣があったらどうします?
私はギャーギャー騒いでさっさと撤去してもらいます。
ところが先生は、蜂がかわいくてかわいくて、撤去しようという奥さんにこう言うのです。
「あのアシナガバチはもう何日も玄関で暮らして、私とも顔なじみになっている。ハチが危険を感じるようなことをしない限り、絶対、人を刺したりはしない。玄関のハチは、一つ屋根の下で暮らす家族の一員みたいなものだ!」
そんな感動的な言葉に対して奥さんは、ゆっくり落ち着いた声でいうのである。
「家族の一員ではありません」
というわけで、ハチにばれないように巣を5m移動する作戦が実行される。
なんか、他人事とは思えない会話だな~。
「ものを増やさない生活をすると言っておきながら、どうして本がどんどん増えるんだ!」と言われて「本は物じゃないのよ!本は家族なの!!」と答えた私。
うん、方向は違うが気持ちはわかるよ、先生。
ヤギ部の話とモモンガプロジェクトの話は続きものなので、シリーズの最初から読んだ方がよかったかもしれない。
モモンガプロジェクトとは、小林先生が芦津(鳥取県智頭町)の地域の方々と一緒に行っている、モモンガをシンボルにした地域活性化の取り組みのこと。
芦津モモンガプロジェクトのロゴは、先生が描いたもの。
そしてグッズに押されている焼印も、一つ一つ先生が押しているらしい。(誰にもさせないための努力がまた素晴らしい)
“木から顔出しモモンガ”という大変ラブリーなグッズの、モモンガを作っているのも先生だそうで、なんと多才な人であろうか。
そのうえ、モモンガが杉の木を巣づくりに使う理由を解明したりと、ちゃっかり研究もなさっている。
肝心のキャンパスに侵入した大型野獣の正体は、それほどのものではなかったけれど〈わたしの脳内ではジュラシックなパークを闊歩するティラノザウルスの姿が…)、キャンパスの中にある森にはそれこそいろいろな動物が棲んでいて、それを糞や足跡から判別し、行動を予測し、仮説を立て、実験をし…。
それらのいちいちが、読んでいるわたくしの心を熱くするのでございます。
シリーズ全部読む! -
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ドーキンスの『利己的遺伝子』をもとに、現代の科学的な知見を追加してわかりやすく説明した書。
2部構成になっており、第1部は『利己的遺伝子(selfish gene)』の解説と、遺伝子の機能や構造を『利己的遺伝子』の考え方から解説されている。第2部は人間にみられるさまざま行動を霊として『利己的遺伝子』をもとに解釈・解説が加えられている。また、エピローグには、そういった『利己的遺伝子』の理解を通して、個体としての幸福を得るための助言が書かれている。
著者のユーモアも加わり、かなりわかりやすい説明となっていて読みやすかった。
読み進めて気がついたんだけども、著者(小林朋道氏)は鳥取環境大学の教授だった。県民として何となく嬉しい。
また、著者は他にも面白そうな本を書かれている。
タイトルが・・・
『先生、カエルが脱皮してその皮を食べています!』『先生、子リスたちがイタチを攻撃しています!』『先生、シマリスがヘビの頭をかじっています!』『先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます!』などなど・・・。
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【目次】
プロローグ
なぜ、今、利己的遺伝子説なのか
第1部 利己的遺伝子説とは何か
遺伝子とは何か
生命誕生の時点の遺伝子の状態
「自分自身を複製する」=生命体?
ほか
第2部 利己的遺伝子説から見た人間の行動
遺伝子は細部にわたって遺伝子自身が増えやすいような個体を作り出している
乗り物がつくられた環境の理解が大切
妊娠した女性の「つわり」
ほか
エピローグ
遺伝子の戦略を利用して、個体が幸福になるためには
「幸せ感」につながる行動とは
狩猟採集時代の生活環境に適応した脳の性質を現代の生活環境にうまく合わせる
遺伝子の増殖に都合よくつくられた脳の性質を利用して幸せ感の持続につなげる
ほか
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Posted by ブクログ
「生物の形態や生理特性、行動、心理といった形質は、その生物がもつ遺伝子のコピーが世代をとおして増えやすいような性質につくり上げられている」というリチャード・ドーキンスの利己的遺伝子説に関して、最新の研究結果(2012年3月時点)を交えてその正当性を示唆している。
文章自体読みやすく、人間や動物の行動における具体例も面白い。
科学に対する非常に魅力的な考え方が記載されていたため、以下に長々と抜粋。
科学の研究を進めるためには、仮説が必要であり、仮説は研究を通して捨てられたり、修正されたり支持されたり、発展させられたりする。そしていずれにせよ、仮説は、完全に正しいものになることは永久にありえない。科学に可能なことは、仮説を検証することを通して、より真実に近い仮説を提示していくことだけである。”現在”において、それまでの研究の結果をより合理的に説明でき、また、今後の研究を進展させることができる仮説を提示することが科学の本質なのである。 -
Posted by ブクログ
鳥取環境大学のステキ変人教授小林先生。
登場(人)物?のページに、人?いますっけ?ページのまんなかにいらっしゃる先生はあれ、フェアリーの類ですよね!しってる!
コバヤシ先生の行く先には動物珍事件が待っている!ナナナナンダッテーーーー!
むしろコバヤシ先生が動物珍事件を引き寄せているんじゃないんですか!引力!
フィールドワークたのしそうでうらやましいです先生。大学すらフィールドで充実してますね先生。とりあえず雪山には気をつけて!
テンポよく読めておもしろい、でも筆者はさすが教授先生でございますから知識もしっかりしてるんですよ!
でもなんでどうしてこんなにおもしろいんだろうね! -
Posted by ブクログ
先生!シリーズ第5弾。写真がカラーになっている! そして見やすくなっている! 素晴らしい!
この手のシリーズものは、得てして失速しがちなものだけど、これに限って「ハズレがない」と思ってしまうのは、自分が動物好きだからか、小林先生がイキのいい「好奇心の目」を失っていないからなのか。
これまでの本に出演してきた動物達の「その後」も登場しつつ、今回も里山に囲まれた小さな大学で起きた騒動が読みやすい文体で楽しく書かれています。
一つひとつがさほど長くなく、また、女の子が苦手としがちな論説文、自然科学が内容に含まれているので、生徒たちの音読教材としてもこれまで同様活躍してもらう予定。
子どもたちにウケそうなのは、モモンガやキジの話ですが、個人的には「ツコ」のその後の話が万感迫るものがありました。
……あそこであの行動がとれる、ということに、本当に自然を大切にするとはどういうことなのか、ということを考えさせられたもので……。