岩井俊二のレビュー一覧
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自分もこんなふうに誰かにどうしようもなく惚れてみたいと思った。
それ程までに鏡史郎の“君”への恋心は強情だし、小説を読んでいる間中それに圧倒され続けた作品だった。
美咲サイドから描かれている章節がないので結局美咲がなぜ鏡史郎からDV男に乗り換えたのかは分からなかったからそこがちょっとモヤモヤしたけれど。
だけど手紙や小説を大切に保管しておくくらいだから最期の時は鏡史郎の事を想っていたのだろうか。
それともただ自分の幸せだった思い出に縋りたかっただけなのだろうか。読み終わってからそこが気になって仕方がない。
My Little LoverのHello,again~昔からある場所~が聴きたくなったので聴いてこようと思う。
とても感動出来る作品でした。
命は死んでしまったら消えてしまうけど魂は消えない。
だから誰かがその人の事を想っている限り、誰かの中では死んだ人だって行き続けられる。
こういう考え方?ってよく聞くような気がするけどこの小説を読んでこういった考え方って素敵だな!って改めて思った。
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絵の世界で生きていくことを諦めた花音は広告代理店で働いていたが、あることをきっかけに仕事を辞めてしまう。
その後、紹介してもらった美術雑誌で働くことになる。花音に与えられた仕事は、死神の異名を持つ謎の絵師、ナユタの取材だった。
ナユタのモデルになった人物は必ず死んでいる。
ナユタとは一体何者なのか。
取材を進めていくうちに、ナユタの存在が明らかになっていくのだが・・・。
かなり初期の段階で、ナユタの正体は想像がついたし、零の正体もわかったが、それでも尚、ナユタがなぜナユタになったのかなど、物語の面白さはただの謎解きで終わることなく、先へ先へと読者をより深みへと誘ってくれる。
本作は、ミステリと恋愛と青春が混ざり合った贅沢な物語だ。 -
Posted by ブクログ
表紙の絵が "零"の『晩夏』 だと思って読み始めたのですが、これは三重野慶さんという画家の作品でした。
この表紙の女性が主人公の八千草花音だというイメージが頭から離れず最後まで読んでしまいました。
最初の3ページで「零の晩夏」という作品の説明があり、写真みたいな横顔という以外は表紙の絵とは違うのですけどね、、、
バンクシーのような正体不明の画家の記事作成のため、取材に駆け巡る女性編集者のお仕事小説でもあるし、
その画家が描いたモデルの女性は必ず死に至るという謎解きミステリー小説でもあるし、
取材中に再会した高校の美術部の後輩に心がときめいてしまう恋愛小説でもある。
なぜかノンフィクションのように感じてしまったのだが、これも表紙の写真のようなリアルな絵のせいかもしれません。
沢山人が死にますが、死の描写は「○○で死んだ」と事務的に説明する程度だし、自殺の原因にも深入りしないのでドロドロ感はありません。
おかしな言動をとる人も何人か登場しますが、この物語の語り部でもある八千草花音の平凡なキャラが、そのおかしさを吸収しています。
いろんな要素が含まれる物語でしたが、読後感はさわやかでした。
テーマの中に死を含ませておいて、結局は生まれてきた意味を考えさせる、「零の晩夏」にまつわる恋愛小説だからだろうと思いました。 -
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原作映画、アニメ未鑑賞。
同じ一日を繰り返すという意味でいうと、活発時をかける少女」に近い部分もあるかもしれないが、原作が岩井俊二さんということもあって、文章も映像寄りな書き方になっているように感じた。
中学一年という設定での心理描写も上手く表現されているし、読んでいるこちらがそれぐらいの頃の自分になったような気持ちで読めた。
典道となずなの恋心は、読んでて懐かしいような甘酸っぱいようなドキドキ感を感じた。
なずなを強く想う典道の熱い気持ちが「もしもの世界」という奇跡を起こし、花火大会での「二人だけの世界」を作った。
最後の方の花火大会の二人のシーンは胸キュンでした。
岩井監督の綺麗な映像も観たいので、映画版とアニメ版も観てみたい。 -
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映画は見たことがないのですが、韓国でもかなり人気があってリバイバル上映も何度もされ「お元気ですか~」の場面のパロディも沢山されてきたので気になってはいました。小説本をたまたま見かけたのでとうとう読んでみることにしました。とても面白くて一気に読みました。しかしながら、読後、悶々と考えこんでしまうのも事実です。これは渡辺博子が主人公なのではなく本当は藤井樹なのではないのか??
いずれにせよどちらの立場からでも感じ方は切なさと懐かしさが混じって胸を打つことには変わりません。今はメールもメッセンジャーもあって郵便ポストに入れて手紙をやり取りする機会が少なくなりましたが、手紙にはやはり浪漫がありますね。美しい余韻の残る物語でした。 -
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ネタバレ表紙の写真、若い女性を横から写したものであるが、この写真の意味が本を読んでいる間、けっこう気になっていた。
題名になっている「零」は画家の名前で、「晩夏」はその零が書いた作品の名前である。そして、主人公が、その「零」の「晩夏」を見るところからこの本は始まっている。その作品、すなわち、「晩夏」を示すものが表紙になっていると考えるのが普通だと思うが、本書の最初で紹介されている、零の「晩夏」は、「女子高生と思しき女性が窓辺に佇んでいて、制服のような衣装と紺のジャンパースカートと白のブラウスを着ており、胸元に紺のリボン」というものであり、本書の表紙の写真とは明らかに異なる。そうすると、表紙の写真の意味は何だろうか?小説の中に、横顔を見せる主人公の印象的な場面はなかったはずであるが。
本書を読み終わり、ふと、最初の部分を読み返そうとしたときに、「装画 三重野慶」という文字が目に入った。もしかしたら、と思い、ネットで調べてみると、三重野慶は画家、それも、超写実絵画と呼ばれる作品を描く画家であった。そう、表紙の「写真」と思ったものは、実は三重野慶が描いた絵画だったのである。
物語の中で主人公、八千草花音が見た、零という作家の「晩夏」という作品も、主人公は最初、写真であると思うのだが、実際には絵画だったのである。この作品は、物語の最後にも登場し、作品を締めくくる。なかなか簡単にはうまくは伝えられないのであるが、最後は、なるほどと思わせながら感動的な場面をつくるのに成功している。ストーリーから言って、「晩夏」は写実的な、写真と見まがうような作品でなければならず、そういった作品を書いている三重野慶の作品を表紙に持ってきたということであった。
ミステリー仕立ての恋愛小説というか、恋愛小説仕立てのミステリーというか、といった作品。ミステリーとしては少し無理を感じるが、恋愛小説として読むと、なかなか読ませる。 -
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これは君の死から始まる物語。
どこにでもありそうな、無さそうな始まり。相手も居ないのに誰に贈るのだろうと読み始めた。
読んでみると、確かに君の死から様々な出逢いが、謎が生まれ、最後には解明される。
個人的には遺書の中身に一番驚いた。みさきにとっての一番良い時代はその時代だったってことなのでしょうか。
色々な人の視点から書かれる割に、丁寧に複数回同じ描写がされるので、ほけ〜っと読んでもついていけます。
確かに、齢40のおっさんの初恋ウジウジ物語なので、女性には理解しがたいかも?笑 男性としては綺麗な初恋が描かれていて(成就しませんが)良い気持ちになれるのではと思います。
魔法が使えたら、とか海外でセレブな暮らしが出来たら、とかありもしないことが叶えられるのが文学の良いところではないかと思います。 -
Posted by ブクログ
どんどん惹き込まれていく不思議な感覚の本でした。あらぬ噂で退社して失意のうちに美術誌出版社の試用員になった女性がとある肖像画が自分に似ていると言われてその絵画を見たことに端を発する物語。もともと子供の頃から絵は好きだった主人公、その画家について調べを進めるうちに信じられないような不可思議な事実が次々に判ってきて彼女自身も第三者では居られない状況が.....
絵画とその画家に纏わるミステリーではあるのだけれど深淵な青春恋愛作品でもあるような印象も受けます♪
映画監督以外にも多彩な才能を示す岩井さん、作家分野でも非凡さを遺憾なく示されております。 -
Posted by ブクログ
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岩井俊二さん
『零の晩夏』読みました。
瑞々しくも壮絶な物語でした。
『どういうこと?』と謎を投げかけられて、
絡まった糸をほぐすように、一つひとつ丁寧に
結び目を解いていくのですが、すごく難しい
話ではなく、ドンドン読み進めたくなる
物語でした。
姿が見えない存在すら不明な人を追う行為は、
自分の遠い記憶を辿る行為に似ているような、
変な既視感がありました。
ああ、読み終えれて良かったと感じました。
個人的な読後感です。
ある部分は爽快。
別の部分では、純粋な心が狂っていく様に
息が詰まりました。
失った物にもう一度向き合う逞しさが、
眩しくて尊いと感じました。
全ては零から始まり、際限無く続くが、
いつしかまた、零に還ってくる。