あらすじ
「Love Letter」から24年――映画「ラストレター」原作小説。
「君にまだずっと恋してるって言ったら信じますか?」
「君にまだずっと恋してるって言ったら信じますか?」亡くなった姉の未咲の代わりに同窓会に出た裕里は、初恋相手の鏡史郎と再会し、姉のふりをして文通を始める。
手紙は姉妹の娘たちをも巻き込み、二つの世代の時間を動かし始める――。
不朽の名作『ラヴレター』から24年の時を経て贈られる、岩井美学の到達点。
映画「ラストレター」(出演:松たか子、広瀬すず、神木隆之介、福山雅治ほか)の原作小説。
解説・西崎憲
※この電子書籍は2018年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感情タグBEST3
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再読。何十年もずっと想い続けている人がいるなんて.....。手紙を通してのやり取りもステキで、LINEやメールとは違った手紙のよさを改めて感じた。未咲はなぜ自殺したんだろう。未咲は鏡史郎のことをどう思っていたんだろう。よく分からないこともある。廃墟になってしまった母校で鮎美と颯香と出会ったのは偶然ではなくそれぞれの選択した行動から生まれた必然だと思う。最後に未咲が子ども達に遺した手紙、遺書が未咲と鏡史郎が2人で作った卒業式の答辞だったとは.....。未来への希望にあふれているステキな内容で心に残った。鏡史郎が書いた「未咲」という小説も読んでみたい。
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岩井俊二のラストレターを読みました。
小説家になろうとして20年、中年にさしかかっても代表作が書けていない乙坂鏡史郎は高校時代の同窓会に出席します。
高校時代に好きだった女性遠野未咲が参加していないかと期待して参加したのですが、その未咲の妹裕里がなぜか彼女になりすまして同窓会に出席していたのでした。
乙坂は裕里と話をするのですが、裕里は未咲のふりをしたまま奇妙な手紙のやり取りが始まります。
未咲を愛していたまわりの素敵な人たちと乙坂とのひと夏の物語が語られていきます。
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映画の予告編を見て感動し、本編を見ぬままロードショーは終わってしまい、半ば仕方なく原作を読んだ。
予告編から、ヒロインの死は明かされながらも、若き日の出来事に対する後悔を背負って生きている主人公の話なんだろうな、と勝手に解釈していた。それは間違いではなかったが、ストーリーはもっと残酷で、救いがなかった。忘れていた。岩井俊二はかつてリリィシュシュのすべてや、リップヴァンウィンクルの花嫁を世に出した人だった。
ヒロインの遺書の解釈は、たぶん多くの人がしているのだろう。子どもへの遺書を、自分が生きていた証を残すことだと考えると、きっと自分の歴史の中でいちばん輝いていた、大切な思い出を伝えるのだろうと思う。もしそうであるならば、主人公にとっては救いだったろう。そう信じないと、ちょっと耐えられないくらい辛いストーリーだった。
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映像が浮かびながら読める作品でした。綺麗に撮られた映像であればいいなと。主人公は、情けない男かもしれない。長く長く、一言を支えにし、夢=仕事を続ける。日の目を見るかどうかは他者の評価かで、彼にはそれは意味たぶんないだろう。死をもってもそこにあるものがあるのかもしれない。しかし、そこだけは私には映像が浮かばない。浮かべたくなかった。
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視点が妹と小説家の主人公でころころ変わるのが印象的だった。
また、美咲の死から始まる斬新な始まりで、どう進むのか疑問だった。
しかし、同窓会から始まって、妹が嘘をつき続ける、主人公は騙された振りをし続けるという展開で、携帯電話を壊され喧嘩になり、手紙を出し合う奇妙な関係になるのは見ていてとても面白かった。
そこから一旦、美咲が死ぬ原因だった男に、「お前は部外者で見ていただけ、それを理由にグズグズ小説家でいるお前に何も言う資格は無い」的なクズ男のくせに正論パンチで殴られて苦しくなる。
だけど、最終的にはハッピーエンドなのが良かった。母校で妹の子供たちと出会って、手紙を見て、お互いにちゃんと好きだった純愛だと分かり、前向きに終わって良かった。美咲がとても魅力的に描かれていて、人間的に好きだった。
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これから出会う大切な人。もう出会っている大切な人との時間も、それぞれが多くの選択をしてきた結果であり、それらがうまく奇跡のように噛み合い出会うことができたのである。そんな風に日々起きる出来事に対しても思うことができ、過ごすことができたら幸せだ。そうでありたい。
主人公乙坂、
ずっと好きだった人、
その妹、
好きだった人の娘。妹の娘、
好きだった人の旦那、
君が死んでから進み始めた物語。
好きだった人の娘から、あなたがお父さんだったら良かったのに。なんて言われたら、どんな気持ちだろう。。辛くどうしようもない気持ちに涙が出た。
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映画は見てない。そういや映画そのものを最近見てないな。。。
映画ならでは、小説ならではなのかもしれないけれど、そういう場面に出会うことはあるのかなぁ。。。
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過ぎた日々は二度と戻らず、死んだ者は二度と帰らない。どう足掻いても、人生はやり直せず、死んだ者とは会うことが叶わない。だからこそ、人は、悔恨や苦い記憶があっても、過去に郷愁を感じ、亡き者に思慕の情を抱くのかもしれない。中学の同窓会に出た鏡史郎。彼は、初恋の人・美咲の振りをしている美咲の妹・裕里と再会する。なぜ、裕里は姉に成りすましているのか。その真相を知った時、鏡史郎は、自分の生き方に真剣に向き合う。淡々としながらも、人生につきまとう苦しさや、苦しみの中から生まれる光を描いている。
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自分もこんなふうに誰かにどうしようもなく惚れてみたいと思った。
それ程までに鏡史郎の“君”への恋心は強情だし、小説を読んでいる間中それに圧倒され続けた作品だった。
美咲サイドから描かれている章節がないので結局美咲がなぜ鏡史郎からDV男に乗り換えたのかは分からなかったからそこがちょっとモヤモヤしたけれど。
だけど手紙や小説を大切に保管しておくくらいだから最期の時は鏡史郎の事を想っていたのだろうか。
それともただ自分の幸せだった思い出に縋りたかっただけなのだろうか。読み終わってからそこが気になって仕方がない。
My Little LoverのHello,again~昔からある場所~が聴きたくなったので聴いてこようと思う。
とても感動出来る作品でした。
命は死んでしまったら消えてしまうけど魂は消えない。
だから誰かがその人の事を想っている限り、誰かの中では死んだ人だって行き続けられる。
こういう考え方?ってよく聞くような気がするけどこの小説を読んでこういった考え方って素敵だな!って改めて思った。
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「ラブレター」を思い起こさせる題名で、映画化もされているそうで、実際、ヒロインの妹と主人公のやりとりには似たような雰囲気のドタバタが感じられた。ヒロインの死をみなが背負いつつ、その思いでを共有しながら、皆が一歩一歩前に進もうとしている感がとても良かった。
冒頭の鳩のエピソードがそれ以降まるで生かされていないのは? だったけれど。
映画も見てみたいです。
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この本を読む前に、なんとなく恋愛小説はじれったく退屈な感じかな~などと思っていました。しかし、大きな波風はないもののラストレターはセンテンスが短いせいもあるのかな?テンポよく読みやすくて面白かった!
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これは君の死から始まる物語。
どこにでもありそうな、無さそうな始まり。相手も居ないのに誰に贈るのだろうと読み始めた。
読んでみると、確かに君の死から様々な出逢いが、謎が生まれ、最後には解明される。
個人的には遺書の中身に一番驚いた。みさきにとっての一番良い時代はその時代だったってことなのでしょうか。
色々な人の視点から書かれる割に、丁寧に複数回同じ描写がされるので、ほけ〜っと読んでもついていけます。
確かに、齢40のおっさんの初恋ウジウジ物語なので、女性には理解しがたいかも?笑 男性としては綺麗な初恋が描かれていて(成就しませんが)良い気持ちになれるのではと思います。
魔法が使えたら、とか海外でセレブな暮らしが出来たら、とかありもしないことが叶えられるのが文学の良いところではないかと思います。
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2018年作品。読みやすい。若干、感傷的すぎるかなと言う感もありますが。中学時代の恋を忘れきれずに第三者的に見れば、大人になりきれていない40代半ばの男に共感してしまう60代の爺さんである私には「うん、うん」と思わせる部分が多々ありました。ただ、重要な人物の一人である美咲の心情が全くと言っていいほど描かれていないことに不満が残ります。二人の交際していた頃のエピソードや、どうして別れたのかなど触れられていたら、彼女の心情なども押しはかることができたのかも知れません。でも、面白かったです。
Posted by ブクログ
想像以上に面白かった♪ヽ(´▽`)/
単純に感動作品系だと思い込んで読みましたが…
結構 笑えました。
しかし、最後は結局感動させられました。(゜ロ゜;ノ)ノ
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また2人の話を行き来するのか、、難しそうだなと思ったのが読み始めの感想
でも一人の人の話にもう1人の人のこともちゃんと書かれてる。私みたいなあまり頭が良くなくて読書し始めでも理解し手読み進められた
内容も面白くてどんどん読み進みたいって思う感じだった。
結婚も恋愛も難しいな、言わないと伝わらないし言ったらマイナスになるかもしれない。その難しいことを壁にぶっかって超えていく登場人物達が良かった
Posted by ブクログ
先に映画を観てしまった。映画とは細かい設定が違うのだな。
どこかふわふわと過去や想いの中に生きているような乙坂と日常に振り回されながらも現実を生きている裕里達。
裕里と颯香の無邪気さが眩しい光だったな。
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岩井俊二氏大好き人間なわたし。
読んでる途中(終盤に差し掛かったあたり)で映画観たもんで、続き読むとセリフ部分が映画のキャストさんの声で脳内再生されるし、脳内映像化ももう映画通になってしまって…それはそれで良きでもあるが、やっぱりわたしは原作を先に読んどきたいタイプだなと改めて思った。
小説家による、新たな小説を書くにあたって作られた文章の並びが、これ自体がその出来上がった新たなる小説なのだと。
構成が好きだった。岩井俊二氏の小説は脳内映像化すぐにされる、感情移入しやすい作品だわ。
何度か読んで、どの登場人物にピンポイントで感情移入する遊びでもしようかな。
何度でも読みたい。そんな作品でした。
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美しい。それが私のこの小説を読んだ感想だ。文章が美しく、読んでいて優しい気持ちになれるというか、時間がゆっくりと流れている感じがした。
文庫サイズの小ささと、表紙のシンプルなイラストが相まって、可愛らしい見た目の本だ。もし部屋に本を飾るとしたら、この本を飾るだろう。
正直、美咲の不遇さには嘆いてしまうし、元夫のことも許せない。でも、それが運命と言ってしまえば終わりなのだが、そういった偶然の重なりが導く出会いというのは素敵だと思った。
誰かに手紙を書いてみよう。そんな気持ちにさせてくれる小説だ。
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痛いおじさん小説家の話。
作中でも過去は悪で未来が善とされる中で、主人公が過去に拘り、過去を原動力にして今を、未来を生きていくそんな生き方もいいんじゃない?って肯定しているように思えた。
過去があるからこその今やし、未来がある訳で、今を生き急いで道に迷ってる人や先が見えない人に読んで欲しい作品。
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ラヴレターは原作も映画も好き。この作品は映画も知らなかったが文庫本の裏に「ラヴレターから24年の時を経て贈られる岩井美学の到達点」とあったので気になって読むことに。
自分がラヴレターを読んだころから年を取ったから、現実離れしてるな…と全く入り込めなかった。途中出てきた編集さんと同じ感情。
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映画が大好きなので、本をたまたま近所の古本屋で見つけて購入。読んでみた。
やはり作家ではないから書き方とか描写が人気作家に比べると素朴というか、シンプルな感じがした。
映画とは少し違う部分があったのか、自分が理解できてなかっただけでそのままなのか、もう一度映画を観て確認しなければ。
本が薄くてサラッと読めた。
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自分もどうしようもなく忘れられない人がいるので、主人公邇感情移入してしまった
昔に固執せず、進まないといけないがそれはそれとして縋っていたいものもあると思う
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君にまだずっと恋してるって言ったら信じますか?
そんなことあるかな…と思う気持ちと作家さんならあり得るかもという気持ち
内容的には哀しいお話でもあるけど、さらっと描かれていて重くない。それは、乙坂さんの目線で描かれている事だからかも知れない
時間は戻らないからこそ、過去の出来事やもうこの世にいない存在の神格化
死へ向かう者の話では無くて、死んだ人から始まるストーリー
思い出話って美しいよね
映画を見てからの本でしたが、福山雅治さんが、マチネの終わりにの時とかぶった笑
映画の方も、広瀬すずちゃん、森七菜さん、神木隆之介くんと透明感のあるキャスト揃いで、松たか子さんも好きだからよかったー
裕里の旦那(庵野さん)の存在は本の方がわかりやすく描かれて映画ではマイルドな表現だった気がする。
初めての監督+原作者さんだったけど、こういう場合って本より脚本が先なのかな?ノベライズって扱いなのか、本が先なのか?気になるところではあります。
また、この監督の他の作品も観てみようかなと思いました。脇役だったけど、中山美穂とトヨエツってなんかある時期の安定王道コンビ感ありました笑
Posted by ブクログ
映画化された作品という事しか知らず
人が亡くなる、遺されるという作品を好まない為
手に取らなかった作品
小説家 乙坂鏡史郎の長年の想い人である岸辺野未咲が亡くなる
未咲の遺書の中から同窓会の知らせが見つかる
未咲の妹 裕里は姉の死を伝える為に同窓会に出席するが周りから未咲と間違えられたまま会は進み、鏡史郎と再開する
物語の始まり、設定の描かれる序盤は
鏡史郎サイド、裕里サイドとほぼ同じことが書かれており深みはない
同窓会以降、裕里からの一方的な文通が始まる
鏡史郎は裕里が未咲を装っていることは気づいているが、なぜ装っているのかが分からず
書いた返事は未咲と裕里の娘たちの元へ届いてしまう
鏡史郎が裕里の元を訪れてやっと未咲が亡くなっていることを知り、文通の相手にも気づく
鏡史郎、未咲、裕里、娘たちが繋がり
全員の止まっていた時間が、想いが解けていく様子は心温まる文章だった
作品全体的に広く浅く、各々の心情が描かれていてぼんやりしているように思う
Posted by ブクログ
一人の女性の死をきっかけに始まる邂逅。
手紙という不完全なコミュニケーション手段だからこそ起こる出来事。
小説家の止まっていた時間が、この偶然と正面から向き合いはじめる中で動きだす。
人は皆、不完全で、でも、それを受け止めて前に進むしかない、魂の成長の物語。
とりまく登場人物の性格づけがそれぞれ味わい深い。
前半のややふわっとした展開を我慢して最後まで読む事をお勧めします。
この物語がどんな映像になったのか、岩井さんのつむぎ出す空気感を今度堪能したくなりました。
Posted by ブクログ
ずっと想い続ける気持ちがスゴいと言うか、女々しくもあり...
面白かったですが、そこまで想っていたのであれば何故⁉︎
未咲さんも何故その選択⁉︎ 裕里さんも一体どうしたいの⁉︎
でも、なんだかんだジーンとして良かったです。