岩井俊二のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1996年8月31日に劇場公開された映画「ACRI」(監督・原案・ACRIデザイン:石井竜也)の原作として執筆が開始されたものの、間に合わず映画完成の後に刊行された一冊。(この原因に付いては、本書の後書きで著者が記しているので参照して下さい。)
映画は美しい南の海の映像と、浅野忠信の演技が印象的でした。
小説は最新の進化論と生物学をふんだんに盛り込んだサイエンス・フィクションの要素に岩井俊二独擅場の恋の物語が堪能できる、四百頁を超える大作。舞台も南太平洋、沖縄、香港、アラスカと、太平洋を囲む広範囲に渡っています。スケールの大きさは、映画を凌駕しており、映画の原作としての制約を解き放たれた著者の -
Posted by ブクログ
沼正三「家畜人ヤプー」並の奇書です。
(と、これぐらいの事を書いておかないと、迂闊に手に取った人に怒られそうなので、大げさに書いておきます。)
近未来を描いたSFです。
「「ラストレター」に感動したから、岩井俊二の近作を」
と思い立ったのなら、別の小説が良いです。
(その場合は、「少年たちは花火を横から見たかった」KADOKAWA文庫2017/6/25が良いです。
さりとて、岩井俊二作品のSF奇書としては、以前にも
「ウォーレスの人魚」2000/10/25角川文庫
「ヴァンパイア」2012/8/25幻冬舎
という流れもあり、空想に夢だけを見る人とは異なる、岩井俊二の冷徹な現実認識を投影した -
Posted by ブクログ
映画の予告編を見て感動し、本編を見ぬままロードショーは終わってしまい、半ば仕方なく原作を読んだ。
予告編から、ヒロインの死は明かされながらも、若き日の出来事に対する後悔を背負って生きている主人公の話なんだろうな、と勝手に解釈していた。それは間違いではなかったが、ストーリーはもっと残酷で、救いがなかった。忘れていた。岩井俊二はかつてリリィシュシュのすべてや、リップヴァンウィンクルの花嫁を世に出した人だった。
ヒロインの遺書の解釈は、たぶん多くの人がしているのだろう。子どもへの遺書を、自分が生きていた証を残すことだと考えると、きっと自分の歴史の中でいちばん輝いていた、大切な思い出を伝えるのだろ -
購入済み
映画では描き切れなかった背景や設定がとても丁寧かつ残酷に描かれていて、世界観にさらにどっぷり浸かることができました。
小説を読み終わってから、また映画を見て、またどっぷり。。。 -
Posted by ブクログ
こんなに綺麗で素敵な話、他にありますか........?
映画監督が書く小説ってどんなものなんだろうかと期待を抱いて読み進めた。この本、まぁ素敵で。読む人によってそりゃ感性が違うから一概にいいとは言えないけど物凄く私は好きだなって思った。
神戸に住む女性が、亡くなった婚約者の以前住んでいた北海道の小樽に、彼宛ての手紙を出し、返ってくるはずのない手紙が届くところから物語が始まる。
こう距離が遠かったり時間軸が行ったり来たりする物語がめちゃくちゃ好きなんですよね。淡々と時間が流れていくだけの話より自分がより感情移入しやすくて、その風景や匂いや独特の雰囲気、人物の心情とかを想像できる域が幅広くなる -
購入済み
最高
エーテルとかまだ1回読んだだけではよく理解できてないけど、感じたことがない感情を感じました。
これからもっと深く読んで、読書感想文を書きます。
古すぎて書店には置いてないと言われ、電子書籍で読みました。しおりの使い方をマスターすれば、とても読みやすいと思います