岩井俊二のレビュー一覧
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第二次成長期が男子にも現れ始める小学6年生。今までのような馬鹿騒ぎにどこか違和感を感じ始め、自意識の芽生えを感じる少年たち。「少年たちは花火を横から見たかった」は、今まさに多感な時期を迎えようとしている少年たちの記憶の物語である。人間は、あの時こうしていれば今とは違う人生を歩めたのに、と後悔する生き物である。しかし過去に遡って起きてしまった事象をねじ曲げるなどできない。だから我々は他の誰でもない我々の人生を歩み続けるしかない。この小説はそういった諦めの心境、苦い後悔、そして記憶の海に漂う美しい思い出を描ききった作品である。初恋とはなんと甘美な果実であろうか。
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いい意味で虚無に突き落とされた。
本当の意味で愛することについて教えてくれた本。
本当の意味で恋することについて教えてくれた本。
どんな人でも、心の中で優しく生き続けていくのだと思った。
とても切ない。けれど、とてもあたたかい気持ちになった。
主人公の2人のような出会いは今のご時世難しいだろうが、とても憧れるものだった。
人と人との巡り合わせはいつも必然的で、すべての関わりは繋がっているのだと思う。
その人に必要な出会いが、その時出会うべくして出会うのだと思う。
その自分たちの繋がりをくれたきっかけもまた、必然的だったのだと思う。
どんな出会いが、どんな関係が、どんな出来事が、今の自分を作って -
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同じ作者の「ラストレター」を読もうと思っていたが、先に23年前のこの本から読んでみることにした。
ちょっとした勘違いから始まった博子と樹の手紙のやり取りで描かれるお話は、サクサクと進み、200頁チョイということもあり、あっという間に読み終えた。
良く出来た作り話の印象で(褒めてます)、博子が恋人への思いを吹っ切る話なのか(ちょっと違うか)、樹が気づいてなかった自分の恋慕に気がつく話なのか(違うよね)、何だかはっきりしないけど、あまり難しいこと考えずに、絵柄を思い浮かべながらお話の流れに身を委ねればOKという感じ。
全体の雰囲気は嫌いじゃなくて、★は甘めに。
余談ながら、少し前に歌番組で中山 -
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岩井俊二監督の映画を原作にしたノベライズ作品。
映画の初項と決定稿と、乙一のオリジナルのブレンドで、
映画とはまた別の作品として仕上がっている。と思う(^ ^;
済みません、映画の方は見てないので(^ ^;
登場人物が、みな濃ゆい(^ ^;
主人公も、クラスメイトも、親も(^ ^;
親の離婚で転校して来た中学生が主人公。
クラスでは、何故か皆から距離を置かれてしまう。
いじめっ子やら、クラスを支配する謎のオカルト少女やら、
隣家からずっと覗いてくる引きこもり少女やら、
四クセも五クセもある連中に囲まれてもがいている間に、
徐々に全貌が見えてくる「学校で起きた事件」。
その事件の謎を暴き、 -
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ネタバレ「私が勝ったら、何でも言うことを聞いて」
夏休みの花火大会の日。島田典道は小学校の時から気になっていた及川なずなに、親友の安曇祐介も想いを寄せていることを知る。真夏のプールサイド、いつものように祐介とふざけていると、二人はなずなから突然、50メートルの競泳で"賭け"を申し込まれる。
賭けに負けた典道は、その日の夕方、親友の祐介がなずなから花火大会に誘われたことを知る。しかし典道は、何故かなずなと花火大会へ行くことになってしまう。事情が飲み込めない典道は、家出をして来たと言うなずなと共に花火大会へ足を向けるが、なずなは彼女の母親に連れ戻されてしまった。彼女を取り戻すため典道 -
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面白かった。でもまあこの面白さはほとんど映画の中の面白さそのままだから、あえて語るべきことがあまり思いつかないけど、なんとなく映画との違いは感じた。
一番はセリフの空気感かな、映画だと自然と不自然の境界をさまようような浮遊感のある台詞回しだったのが、漫画にして読むと不思議にむちゃくちゃしっくりきた。この微妙な感覚についてはなんとかして解き明かしたいけど、まだ良くわからない……。
あとやっぱり漫画やアニメのパロディが静止画で読むとすごく目立つなと思った。映画だとしれっとさりげなく描き込まれてたような感じだったけど。
記憶のなかの映画とかなりそのままそっくりって感じでびっくりしたけど、絵コンテ