あらすじ
やがてこの町から消える少女なずなを巡る典道とその仲間の少年たち。花火大会のあの日、彼らには何があったのか。少年から青年になる時期の繊細で瑞々しい時期の友情と初恋の物語。映像化されなかった幻のエピソードを復刻し、再構成し、劇場アニメ版にあわせて書き下ろされた、ファン待望の小説。テレビドラマ版『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』のOAから、24年の歳月を経てよみがえる、原点ともいえる物語。岩井版の『銀河鉄道の物語』。本書の本編のあとに書き下ろされた「短い小説のための長いあとがき」には、本作品を、始まりの部分から深く楽しむための創作秘話が書かれている。
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アニメがファンタジーなのに対し、
原作の本作はリアリティー小説。
工夫があって、面白かった。(自分が行かなかった灯台遠足は、中学、高校になって、聞いた話として描いてあったり。)
それと、母親の違いが面白かった。
アニメはヤンママをちょっと上品にした感じの若いお母さんなんだけれど、
原作は、野性的と言うか、田舎でのびのび育った感じのお母さん。なずなと「一緒にお風呂入っちゃいなさいよ。」と言うところが面白かった。(いや、ま、それだけではナインですが(^^ゞ
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伝説のドラマの小説化。
元となった小説「檸檬哀歌」のエピソードを追加し、
(この小説と同名のDVDで紹介されている)
他にも幾つかドラマと違う点が見受けられるが、
結末が二つあるドラマと主人公視点の小説の構成の違い、
影が薄かった四人の少年達を掘り下げるための違い、
今度公開される映画に対するエールと思しき違いであり、
基本的には同じストーリーを小説化したものである。
解説にもある通り、銀河鉄道の夜がモチーフであり、
広瀬なずなは「君の名は。」の三葉のような存在だが、
奥菜なずなはカムパネルラのような存在なのである。
アニメ版とは同じ登場人物、同じシーン、同じ台詞でも、
全く意味合いが異なる別の物語と言わざるを得ない。
そう言った意味ではリメイクではなくオマージュだろう。
結末の後に書いてある文章を見てハッとさせられる。
そして表紙の写真に胸を締め付けられる。
夏はまた訪れるが、同じ夏は帰ってこない。
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打ち上げ花火の映画が大好きな諸氏には堪らないだろう、幻のプロットを基にした監督本人によるもう一つの『打ち上げ花火』のノベライズ。
久々にREMEDIOSのサントラを聴きながら、読み返したい。
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「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」のテレビ(映画)版(岩井版)が大好きでそれの描かれていなかった話を含めたストーリーが本当に良かったです。
アニメ映画版の内容の「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」のノベライズより「少年たちは花火を横から見たかった」の方が好み
テレビ(映画)版(岩井版)と比べると、アニメ映画版の「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」は正直嫌いです。無駄なSF要素を入れて変にしてる。
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打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?の映画を見たので、あらすじは理解したうえで読んだ。懐かしい初恋のような幼い恋心に共感するし、なずなの大人びたミステリー感漂う雰囲気と典道の少年感の対比がたまらない。甘酸っぱいような、せつないような、短いけれど、話がスッキリまとまっていて満足。
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ドラマ版のストーリーと、その前のボツネタを一つにまとめたお話
アニメ映画のノベライズと同時に企画されたようだ
ってか、あとがきでアニメ化したときのエピソードが語られていて、大根仁とのやり取りにお互いの愛を感じる
それにしても岩井俊二は子供の頃の話を作らせたら、心を抉られるようなクリティカルな作品を作るからなぁ
熱烈なファンがいるのがよくわかる
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「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」のスピンオフ。
岩井俊二さんが好きな人は是非読むべき。
"小学生が駆け落ち"という組み合わせがとてもスパイスが効いていると思った。
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第二次成長期が男子にも現れ始める小学6年生。今までのような馬鹿騒ぎにどこか違和感を感じ始め、自意識の芽生えを感じる少年たち。「少年たちは花火を横から見たかった」は、今まさに多感な時期を迎えようとしている少年たちの記憶の物語である。人間は、あの時こうしていれば今とは違う人生を歩めたのに、と後悔する生き物である。しかし過去に遡って起きてしまった事象をねじ曲げるなどできない。だから我々は他の誰でもない我々の人生を歩み続けるしかない。この小説はそういった諦めの心境、苦い後悔、そして記憶の海に漂う美しい思い出を描ききった作品である。初恋とはなんと甘美な果実であろうか。
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「打ち上げ花火下から見るか横から見るか」の作者が書いた本です。私は昔の「打ち上げ花火下から見るか横から見るか」を知らないのですが、アニメ映画のノベライズを読んでみて、この「少年たちは花火を横から見たかった」の方が内容が理解しやすいと感じたのですが、相変わらず作者が何を言いたいのかが全く分かりませんでした。(申し訳ないです)
しかし、アニメ映画のノベライズの「打ち上げ花火(略)」よりも、詳しい感情の描写が入っていて小説の雰囲気を想像しやすく、良かったです。
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映画のノベライズ版を先に読んでいたために、読み進むに連れて先回して予測しまったせいで、ワクワクがちょっと減ってしまたかな。心のより深いところまで入っているので、感情移入はしやすい。結末がモヤモヤっとしていて物語としてはちょっと消化不良。でも現実ってそういうものかもしれないね。
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アニメ化のおかげで岩井俊二監督の映画版に出会えた世代。奥菜恵がホントにかわいい。小さい頃にはドラマ「ふたり」を毎週たのしみに観ていたことを思い出した。
なずなが言う「今度会えるの二学期だね。……楽しみだね」の破壊力。これは、典道がナズナはもういなくなってしまうということを知らないと思うからこそではないか。
小学生男子のあの頭のなかゲームとマンガとうまい棒みたいな感じがリアルに描かれていて、初恋とよぶにはぼんやりとした親しみの置きどころがわからない感じが懐かしい。
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1993年のドラマ版「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」を原作者の岩井俊二が24年後の2017年にノベライズした作品。
原点となったドラマは「if」というテレビ企画の中で進められた物で制約も多かった。その制約を無くして書き直すとしたら・・・そうして1993年のドラマ版や2017年のアニメ版とも異なるこの「打ち上げ花火」の物語ができた。
ドラマ版の前日談として、なずなと典道が典道の部屋で一晩過ごしたり、なずなが朝の海でもしも玉を拾ったりする部分が追加されている。もしも玉はアニメ版に登場したアイテムだが、こちらではなずなはもしも玉を使うことがない=運命を受け入れる大人、として描かれている。
また、1993年のドラマ版は「銀河鉄道の夜」がベースになっているが、このノベライズではさらに直接的な表現で「銀河鉄道の夜」が出て来る点も注目ポイント。
小学6年の課外授業のプラネタリウムで銀河の説明を聞いて「銀河鉄道の夜」と指摘するなずな。
駅から引き返すバスの中で、雲に映る花火の反映を見て「なんか銀河鉄道に乗ってるみたい」と言うなずな。
なずなと典道がプールで仰向けになって浮かびながら話す夏の大三角形アルタイル、デネブ、ベガは銀河鉄道の夜に出てくる三角標だ。
監督の構想にあった「銀河鉄道の夜」の幻想的な世界が、この物語とオーバーラップする。
気付いた点を羅列しただけの文章になってしまったが、このノベライズのおかげで1993年のドラマの世界がより味わい深いものとなるはずであり、1993年のドラマのファンにとっては喜ばしい一冊となっていると思う。
Posted by ブクログ
『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の放送からもう24年も経つのか。
『if もしも』もその前番組の『大人は判ってくれない』も大好きだったけれど、この映像は異色でテレビに釘付けになって観たのを今でもはっきり覚えてる。
最後に流れた「Forever Friends」の余韻が花火が消えていくイメージと相まって、次の日にCD化されないのかを問い合わせるためにフジテレビとフォーライフレコードに電話したもんなぁ。
高校生の迷惑な電話にどちらも丁寧に応えてくださった。
何年か経って『Undo』と同時上映でスクリーンで観た時も全然色褪せていなかった。
だからこそ、この小説を読んでいても全部、奥菜恵や山崎裕太など映像の中の役者さん達がそのまま頭の中で物語を紡いでいってくれた。
表紙の主人公二人、見てるだけで泣けてくる。
ドラマ版とは微妙なパラレルワールド。
だから多少の違いがあって「あのシーンはカットされちゃったのか」とか思うところもありながら、やっぱり良いストーリーだなと再確認。
前日談、後日談とドラマで描かれていない部分もあって、嬉しくなっちゃう作品。
しかし、この帯のコピー酷いな…。
テーマそこか?
かけおちなのか?
しかも夜じゃないし。
これ、新作映画のコピーじゃなくてこの本の煽りだよね?
映画観ていないからわからないが、『打ち上げ花火…』の映画化なのだとしたら、アニメじゃ無いよなぁ。
アニメにしちゃったら何でもアリになるからタイムリープが魔法みたいになっちゃうもん。
やっぱりどうせリメイクするなら実写がいいなぁ。
でも、最初の壁は超えられないだろうけれど。
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打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? の続編。
ストーリー的には、アニメ映画よりテレビドラマよりの続編になると思います。
祭りの花火の時の友達の行動や典道やなずなの心情が描かれていて、淡い恋や2度と戻って来ない時間と友達との時間が描かれていて、後半の展開はスティーブンキングのスタンドバイミーに近いなーと思いました。
ちっちゃな子供にとって別れは死別に近いほど辛く苦しいものだった。の一文が印象的なセリフだと思いました。
子供にとっても別れは、心に傷を残し人生観にも影響を残すのだと思いました。
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最後に書いてあるナズナの意味にはっとした。これも1種の伏線なのか?
好きだーって叫ぶところにグッときた。こんな青春過ごしてみたい人生だった。
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本作こそがある意味で原作であり、もう一つの軌跡。少し大人になった典道のあの夏の日の回想。僕らはまだ子供だった。自分の気持ちの説明もできず、理性も芽生えていない。うまく表現できない感情を持ったまま、言葉を放つ。友達とは変なノリの連続で、急に叫び出す。そんな中、なずなとの出会いは永遠の記憶となった。なずなも同じ。「不思議な玉」を見れば思い出す。だから渡した。典道に覚えていてほしくて。そして典道との「かけおち」がなくなるなんてもったいないから。だからこそ、定められた運命の中であの日はかけがえのないものになった。
岩井俊二さんのあとがき、典道らがあの頃なにを思っていたのか(特に第十章とか)、映像だけではわからない部分が知れて色々とスッキリした部分もあり、読んで良かったと思う。最後に「なずな」の意味も知り、あぁ……切ないよ。。。
ドラマ版は見てないが、映画版とアニメ版、そしてこの小説版で一つの作品のようだ。
Posted by ブクログ
「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」はモストフェイバリット。
アニメ映画は惜しいと思った。
「短い小説のための長いあとがき」が読みたくて買ったが、意外と本文も楽しめた。
映画版との違い、というか気になったのは、
・「銀河鉄道の夜」への言及。
・なずなと二段ベッドで、というシチュエーション。(をいをい!)
・なずなの鬼母が結婚式前日にかけおちを考えていたという挿話。(「卒業」未遂。娘による真似。)
・自転車で二人乗り、海岸で貝拾い、大きな真珠玉。(アニメ映画への目くばせ。)
・なずなが転校……肩の荷が下りたような安堵感。(わかるぅ! でも知らなかったからこその抒情だったと思うので、この改変は大きい。)
・花火大会以後険悪になり、高2で純一から聞いた、少年たちの灯台行き。稔の火傷。(下へつながる。)
・例のプールシーン。大泣きする感受性が失われて大人になるのだとしたら、あの夏はそのはじまりだった。(子供目線そのままではなく、その後も緩やかに含んでいる描写。)
・「願い事言ったら、叶うかなと思ったけど、もったいないから使わなかったよ」(アニメ映画への目くばせだが、もはや奥菜恵の声で脳内再生されるので、この一言の追加は嬉しい。)
Posted by ブクログ
この作品の経緯が未だ理解できず笑
あらすじの著者版『銀河鉄道の夜』というのもよくわからなかった。
アニメ映画しか見てないからですかね?アニメ映画の方が銀河鉄道の夜らしさはあった気がするけど。。