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勝ち残り生き残るたびに、人の恨みを背負わねばならぬ。それが剣客の宿命なのだ――剣術ひとすじに生きる白髪頭の粋な小男・秋山小兵衛と浅黒く巌のように逞しい息子・大治郎の名コンビが、剣に命を賭けて、江戸の悪事を叩き斬る――田沼意次の権勢はなやかなりし江戸中期を舞台に剣客父子の縦横の活躍を描く、吉川英治文学賞受賞の好評シリーズ第1作。全7編収録。
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Posted by ブクログ
25年ぶりくらいで再読。 主人公の老剣士秋山小兵衛、その息子大治郎、小兵衛とは30歳近くも歳が離れた妻おはる、田沼意次、意次の妾の娘佐々木三冬らがエピソードと共に登場し、これから続くシリーズに思いを馳せワクワクした。 池波正太郎が秋山小兵衛は歌舞伎役者の二代目又五郎をイメージしてあてがきで書いた小説...続きを読むであり、ありし日の又五郎丈を思い浮かべながら読むと更にイメージが広がる。次作「辻斬り」が楽しみ。
老剣客の秋山小兵衛と道場師範の秋山大治郎、女剣士の佐々木三冬を中心に巡る人生が描かれる時代小説の第1巻です。 女武芸者、剣の契約、芸者変転、井関道場・四天王、雨の鈴鹿川、まゆ墨の金ちゃん、御老中毒殺が収録されています。 かつては凄腕の剣客であった秋山小兵衛は、孫くらいの歳である百姓娘のおはると男女の...続きを読む仲となっています。 息子の秋山大治郎は太平の世における剣客となり、父の小兵衛は敵討ちに生涯付き合っていく剣客の生き方を息子が歩んでいくことに虚しさを覚えるのです。 女剣士の佐々木三冬は小兵衛の剣技に惚れ、老人であるにも関わらず男性としても好くことになります。 様々な生き様が紡がれていきますが、刻々と過ぎていく日々の中でこの三人とおはるの関係性も熟していくところに人間味を感じました。 2巻にも期待します。
やっぱり面白い
20年ぶりくらいに読み直しました。お話の流れも、江戸という町への知識量の深さも、キャラクター造形も、そして文章も、なにもかも素晴らしい
スーパーおじいちゃん!颯爽と登場。 かっこよさでは、アメコミのヒーローたちと引けを取らない位のかっこよさだと私は、思います。
久しぶりに最初から読んでみようと思い立ちまして… 小兵衛さんは良いですね。 飄々としていながらも芯がしっかりしていて、背筋が伸びる思いです。
思っていたよりずっと読みやすい。色恋の古今の変わらなさとくだらなさ、筋書きの面白さがとても気に入った。
父の本棚にあって初めて読み、大人になって自分で買った。自分にとって時代小説の基準はこの作品かもしれない。
秋山小兵衛 60歳 この オトコ じつに、いいのだな。 達観している。悠々としている。すばしっこいのだ。 小兵衛 60歳 おはる 20歳 で 祝言を挙げちゃうのもいい。 うらやましいのだ。 息子 大治郎 も 朴訥として いいのだ。 まっすぐに 伸びている。 佐々木三冬 が曲者ですね。 こういう ...続きを読む処女 は・・・・天然危険物 なのだ。 剣は めっぽう強いし・・・・凛々しく美女なのだが。 どこか、ピントが ずれて 生きている。
スーパー爺さん登場!! 最近は時代小説ばかり読んでいて、読みやすく楽しいシリーズ物を探しててオススメされた作品。 短編形式で読みやすい。 秋山小兵衛=スーパー爺さん
▼「剣客商売(一)」池波正太郎。新潮文庫、初出は1972年頃、月刊「小説新潮」不定期連載だったそう。「鬼平犯科帳」「仕掛人・梅安」と並んで池波正太郎さんの「三大シリーズ」として(ファンには)説明不要の名作です。ざっくり言うと、 ・六十代の隠居状態の剣客・秋山小兵衛 ・その息子で町道場を営む剣客・秋山...続きを読む大治郎 ・小兵衛に師事する女性剣客・佐々木三冬 の三人がまあ主人公。基本は一話完結で、毎回何かしらか事件が起こって、まあ大まか小兵衛を中心になんらかの解決を見る、という言ってみれば大江戸私立探偵シリーズ。 舞台は1780年代の江戸かと思われます。なぜ分かるかというと、女性剣客の三冬さんが「老中田沼意次の妾腹の娘」という設定で、老中・田沼意次も脇役として登場します。 ▼ということは「田沼時代」と呼ばれる1780年代でしょう。ちなみに鬼平犯科帳はその10年くらい後の寛政期。実在の長谷川平蔵が火盗改だったのが1787−1795くらいだったはずなので。 そして「梅安」がその後の1799−1806くらいの設定。江戸という街の爛熟でいうと文化文政の時代かなあとシロウトとしては思いますが、池波さんの好みは違ったのか。あるいは鬼平が実在だったのでその前後を描いたのか・・・。 ▼内容は、読んでみて思いますが、「三大シリーズ」が好きな人は、それぞれに好みがあっても全部好きだろうなあ、と(笑)。 やはり基本的には短所はどれも同じで。 A・ご都合に出来ている(偶然が都合よく起きる) B・主人公が強すぎる(苦戦はしても、絶対に圧倒的に負けないし、そこらあたりの具体技術的な描写は詳しくない) C・男性本位昭和感性が強い(笑)。まあこれは男女の情事を一定の頻度で軽く描くことも含めて、「だってその時代の連載媒体が99%男性が読むものだったんだからマーケットの需要として仕方ないぢゃん」とも言えますが。 なんです。 「鬼平」は言ってみれば警察商売なので事件と調査が日常ですから、Aに関しては比較的、薄い。(だから鬼平が一番好き、という人も多いのでは) ▼ぢゃあ何が面白いかというと、結局は池波正太郎さんの世界観につきて、具体的にいうと酸いも甘いも苦いも熱いも、キレイゴトから悪臭漂う陰惨さまで、くるんで味わう人情噺、ということでしかありません。それに、探偵小説というエンタメをきれいにかぶせる。そこに、ヒーローものというさらに鉄板安心なエンタメ感がトッピング。 ▼ここまでは、池波さんご自身が知っての通り、フランス/ベルギーの作家ジョルジュ・シムノンの「メグレ警視シリーズ」と同じ作り。それにまた、「江戸情緒」をパリに負けじと厚塗りされているのが池波さんの世界観ですね。 ▼といわけで第1巻に話を戻すと?スムーズにキャラが紹介されて、なるほどとにかく小兵衛と大治郎の親子はとにかく強くて負けないんだな、ということで安心(笑)。この連載開始時点で池波さんがどうやら50歳くらいだったようですが、秋山小兵衛というキャラがどうやら60歳よりちょっと若いか?60歳か?というくらいのようで、つまりは中年〜初老の男性にとって楽しいファンタジーヒーローなんだなという感じがよくわかります。でもって読者のこっちも丁度50歳なので、そのあまりなファンタジックなヒーローぶりがやや恥ずかしい気もしますが(笑)、とりあえず楽しめちゃうところは作者の巧さだよなあ、と思いました。
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