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“つながらないさみしさ”“つながりすぎる苦しみ”――自閉症と脳性マヒというそれぞれの障害によって外界との「つながり」に困難を抱えて生きてきた二人の障害当事者が、人と人とが「互いの違いを認めた上でなお、つながりうるか」という、現代社会の最も根源的課題に挑む画期的な書。
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Posted by ブクログ
とても面白かった。自己と向き合う、をビジネス書に書いてないアプローチで理解したい人にも良さそう。(でも抽象では同じこと言ってる)。 弱さは終わらない、と最後の章にあるように、一生付き合っていく自己との折り合いの付け方、がリアルでよい。 本質主義的にならない=決めつける、無理に答えを出すことを控え...続きを読むる、は、深い。
アスペルガーの方と脳性麻痺の方による、それぞれの特性について当事者の立場で考察した交換書簡。特に自閉についてとてもよくわかった。
常識やコモンセンスといった液体で満たされたグラスの中に、マイノリティー成分とでも呼ぶべき固体(氷みたいなもの)が沈んでいる。 恐らくはこの液体・固体両者を含めてのものが「私」。しかし色のついた液体は容易に固体を覆い隠す。またその状態こそが正解だと思い込まさせられる。結果、固体をもった私は「悪い私...続きを読む」となってしまう…。 「対話」の場は、そんな「私」達が集い、氷を中央のボウルへと入れていく「場」である。このボウルは、安全安心という規則のもとで、出来るだけ常識・コモンセンスという液体が混ざり込まないように工夫されている。そこに集められた氷達は、ゆっくりとボウルの中でとけだし、緩やかに混ざりあう。 これは、従来の個々人の中では決してみられなかった現象だ。個人のコップ内にある限り、その固体は決して溶けない。異物として、マイノリティーとして残り続け、「悪い私」を産み出し続けてしまう。 となると、この液体自体が強固な固体を作り出す作用を持っていると言える。固体の輪郭線を厚くするのは、固体そのものではなく、液体のほうの作用ということになる。 そしてボウル内でとけだして混ざりあった新たな成分は、再び個人というコップに戻されていく。その結果生じたのは、もはや常識・コモンセンス色に染まったかつての「私」ではない。化学変化を起こした「変化し続ける私」なのだ。その中でマイノリティーとして沈められてきた固体成分が、私の一部として緩やかにとけだしていく。 そういうイメージだ。
私と似通った特性の綾屋紗月さんの当事者研究、パートナーの熊谷氏との共著。 自らの特性を深く追求し、研究し続けるさまに、頭が下がります。 多くの発達特性の人は、自らのセルフモニタリング能力が難しい中、綾屋紗月さんは、当事者研究に立ち向かっている生き様に、あこがれをいだきました。 私のこれからにも、 当...続きを読む事者研究のスタートラインに立てたように思えました。文中のなかの、独特な表現に、「わたしも、あるよな〜で、おうちで、ぐったり」とうなずける部分あり。 熊谷氏のつながりの研究にも、頭が下がります。 当方、福祉の仕事についているため、利用者様に寄り添い、ただつかずはなれずてきにも、支援しようと学びの機会になりました
とてもツラい時期にこの本に救われた。(お二方と同じ状況、境遇なわけではないけれど)わたしの孤独をわかってくれるひとがここにいたんだ、と。当時、暗くて出口のないトンネルを歩き続けているような日々だったけど、この本が理解者として優しく寄り添ってくれた。いまでも読み返すと涙が止まらない。
当事者研究、熊谷先生、「つながり」に関心があり手に取った。 ASD当事者と脳性麻痺当事者の、身体の中の「つながり」、他者・社会との「つながり」をベースに当事者研究について綴られていた。 自分の弱さをそのまま他者やコミュニティに共有し、少し心が軽くなる。また、それを経て自己の理解を更新し続ける。当事...続きを読む者研究のあり方をそう理解するならば、心や身体の状態に疾病や障害の名がついていなくても、苦しいと感じることがある人なら誰でもこの取り組みに共感し、実践していけるものだと思った。自分自身、何度も救われてきた友人との対話がこれに近いのではと感じた。 何度か引用されていた「その後の不自由」も読みたい。 印象に残った箇所。 ・ネガティブな話は他者に話してはいけないものだという規範に生き… そうした規範こそが家族という密室の中で支配や暴力を生み出すカリクリとなっている… ・「横の笑い」は「あんたもやっぱりそうか」という仲間同士の共感 ・身体や世界の不確実性に怯え続けている人は、不確実性を減らそうとして過剰に規範的になる場合も多い ・痛みの記憶は消えることはない。でも痛みが静かな悲しみに変わるということはあり得るのかもしれない
「当事者研究の可能性」という章の中に、「所属するコミュニティの言語、社会制度、信念や価値観」という基本設定が文化人類学者の大村敬一さんにならって「構成的体制」と呼ぶことにして紹介されているが、この「構成的体制」と、「個人の日常実践」との相互循環という考え方が読後に一番印象に残った。個人間の差異だけ見...続きを読むる、木だけ見るのでもなく、構成的体制という全体としての森だけを見るのでもなく、木のために森を見て、森のために木を見るというような印象を受けた。また、この構成的体制というのは、普段「当たり前」としていて意識にものぼらないもののことで、構成的体制を無意識に受け入れられているときは人は自由に思考できるという内容を読み、ある程度縛られている環境の方がより自由を感じやすいという自分の感覚にも合うと感じた。 また、それより前の章の「つながりすぎる身体の苦しみ」という章では、睡眠•覚醒サイクルの話が書かれていて、身体が日中に取り入れた情報は夜間に睡眠時という密室で処理•統合されるという話だった。 安定した「私」を手に入れるためには、「わたし」が得た情報と「わたし」が上手くつながる必要がある。上手くつながるためには、安心できる森の中の一本の木としての「わたし」が、日中に取り入れた情報を夜間健やかに眠ることで処理するというようなイメージが生まれた。
冒頭では、そもそもアスペルガーとは、自閉症とは何かを、筆者の日常とシナプスの結合という科学的な仕組みにより、非常にわかりやすく、イメージされやすく解説している。 その後、個と集団の両立の難しさや、同族感による安心感と煩わしさなど、私にも共感出来るような形で書いている。 個人的には、人と違うことは...続きを読む不安だけれど、かといって同調しないといけないのは面倒だという人間関係にはすごく納得がいった。 ―――――― 綾屋さんは、アスペルガー症候群と自分が気づくまで、自分と周りとの違い悩んだ。 やっと同じ症状の人がみつかり安心感を得られ、アスペルガー症候群への理解高まり、生活しやすくなるだろうと思ったら、そうでもなかった。 今度は集団の中でアスペルガー症候群らしくしなければならないこと、型にハメられる気がし、そもそも障害者と健常者の区別は何を持ってして決められたのかそもそもその基準を疑問に思う。 アスペルガー症候群と症状を括って、症状に対して社会的なアプローチをかけるのではなく、都度都度発生したパターンに応じてよりよい対処をしていくのがよいと考えた。 そうして、綾屋さんは、当事者研究として、自分の内面と外部環境を改善していくしくみを考えた。 観者的な役割と自信の経験を都度都度フィックスさせて、当事者研究を進めることで、自分への気づき、周りへの変化をもたらすと考えている。 ―――――――――― 章立てで流れるように記述されており、2人の著者の内容が、上手く絡まっており大変読みやすく、理解もできた。 1度読み、やっと自分なりにこの本を要約できだが、文の中にはたくさん心に残るワードが記されていたので、再度読み直そうと思う。
過剰につながれない綾屋と,過剰につながりすぎる熊谷の両氏が,それぞれの立場から,多様な他者を他者として認めた上でどのようにつながれるのかを考察した一冊。 どのようにしたらつながることができるのか(つながりの作法)についての著者らの考えは大きく4つにまとめられる。 1. 世界や自己のイメ...続きを読むージを共有すること 2. 実験的日常を共有すること 3. 暫定的な「等身大の自分」を共有すること 4. 「二重性と偶然性」で共感すること これらのポイントはなかなか実践するには困難があるものの,ポイント自体は納得できるものであるので,興味のある人は本書で確認してみてほしい。 個人的にはつながりの作法よりも当事者研究の成果としての本書に感銘を受けた。 ・自分の経験を経験として終わらせず,体系化した「知識」にまで昇華し,他者と共有できる形にしたこと ・その「知識」を得るために,自身の経験をどのように捉えたら良いのかについての視点 ・両極の経験から同じ現象を考える方法 など,自分の悩みをモヤモヤした曖昧なものに終わらせず,悩みを解消し,あわよくば他者の悩みを解消するきっかけになるものへと発展させている。本書で最も魅力的に感じたのはその点である。 読めば読むほど,つながるのが簡単ではないと感じるかもしれないが,味の出る一冊であるように思う。
面白い! 最近、自閉症の人が周囲の環境からどういう刺激を受けているのか、テレビなどで可視化されているが、この本はその先駆け。 それだけではなく、当事者研究の豊かな可能性を示している。 生きづらさを感じている人が生きやすい世の中に なるヒントであり、健常者、マジョリティと思っている 自分も「地続き...続きを読む」であることを気づかせてくれる。
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つながりの作法 同じでもなく 違うでもなく
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