言いたいことが言えないひとの政治学

言いたいことが言えないひとの政治学

1,980円 (税込)

9pt

「給料上げてと会社に言いたい」
「暴言やめてと老親に言いたい」
「戦争やめろと世界に言いたい」……
じっとガマンするのでも、ガツンと言ってやるのでもない――
人生を自分でつくっていく、大人のための対話術

家庭でも職場でも地域社会でも、ふつうに生活しているだけで、
私たちは他者との不和やトラブルに悩まされる。
言いたいことは溜まるけど、そうそう言えないのが大人の世界……。
主張や発言ができないのなら、黙って我慢するしかないのか。
そんなわけない、と政治学者の著者は断じる。
ほどよく交渉したり、提案したり、説得したり……
ふだんづかいの対話術を、政治学の知恵をつかって考えていく。
個人・集団・社会にたいして、自分の思いを届ける技法と
マインドをユーモアたっぷりに惜しみなく提案する一書。

「いろいろな人間がいるこの世界で心の異音が大きくなった時、「言う/言えない」の二つに一つの選択肢しかないということはやはりないのだ、ということです。「言う」と「言わない」の間には、広大なエリアがある……そのことをみなさんは知らない、いや「忘れている」のです」(本書より)

-----目次より-----

【理論編】

第1章 「声を上げよう!」と言われても
◆言いたいことはそうそう言えない
◆「ちゃんと言いなよ」がもたらすもの
◆「沈黙してはならない」と伝えた理由
◆正論で世界を変えることが難しくなった
◆名づけられようもない生活者
◆言えない理由を切り分けてみる
◆自分の気持ちをつかめないから
◆波風が立つのが嫌だから
◆角が立つと面倒くさいから
◆圧力や制裁が怖いから
◆孤立するかもしれないから

第2章 「言う」ための技法
◆「言う」と「黙る」の間にあるもの
◆着地点はどこか?
◆言い方はたくさんある――工夫しながら言ってみる
・勇気を出す
・言い方を工夫する――毅然と言う/丁寧に言う/お願いするように言う/静かに言う
・目的に重心をかける――ぶつける/示唆する/頼りにする/探り尋ねる
・沈黙してみる

第3章 「やる」ための技法
◆「言う」だけでなく「ふるまい」もある
◆主張できることが貴重だった過去
◆「私たちの物語」が成立していた時代
◆個人へとミクロ化する「言う」という行為
◆ふるまいの技法もたくさんある
・勝つ――対処可能な範囲に収める/仲間にしてしまう
・勝たないが負けない――負け越しを受け入れる/捕まえておく/引き延ばす
・助けを求める――仲間をつくる/事態を公開する
・言ったりやったりしている人を孤立させない――頑張る人たちの話を聞いてあげる/プロセスを記録してあげる/頑張る人たちを励ましてあげる
・逃げる・諦める

【実践編】

第1章 ネトウヨになった父に暴言はやめてと言いたい
第2章 「男なら泣くな」と子どもを叱る夫に言いたい
第3章 マンション管理組合の長老に「話を聞いて」と言いたい
第4章 PTA活動で「ムダな仕事は省こう」と言いたい
第5章 会社に給料を上げてほしいと言いたい
第6章 子どもに「ダメなやつ」と言った担任の先生と学校に言いたい
第7章 近隣外国人に生活マナーを守ってほしいと言いたい
第8章 地域イベントをやってみようと言いたい
第9章 多様な選択肢をつくってと政治に言いたい
第10章 戦争をやめてと世界に言いたい

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言いたいことが言えないひとの政治学 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ



     理論編では、単に言葉にするだけでなく、振る舞いや行動を伴うことで世界を少しでも変える技法について論じられる。

    過去には「正しいことを言う」こと自体が重要だったがこともあったが、現代では単に主張するだけではなく、状況に応じた振る舞いが求められる。

    例えば、議論の前提を変える、対立ではなく協力

    0
    2025年02月13日

    Posted by ブクログ

    政治のお話ではないのでご安心ください。 言いたいのに言えない事ってたくさんありますよね。それでずいぶんモヤモヤとしてきたなと思っている方もたくさんいると思います。家族、パートナー、職場、PTA、自治会、学校‥などなど、本書は、なぜ言えないのかを分かりやすく紐解いてから進めていきます。
    けして 安直な

    0
    2025年01月31日

    Posted by ブクログ

    小田嶋隆さんきっかけで読みはじめた著者とは、同年齢だとか共通のご縁もあり、新刊が出る度に読んで10年以上になる。10冊目になる本書では紹介されるエピソードのそこかしこに、“友人知人やわたし自身”を発見するような解析度。著者本人の声が聞こえてくるようで、とてもおもしろかった。個人的には“傾聴”の意義を

    0
    2024年12月31日

    Posted by ブクログ

    学校や社会で「言いたいことが言えないひと」の状況を例に挙げて説明した本。哲学的でもありますが現実的な落としどころが何かを理解させられる本でもあります。
    労組の話(p187)「使う側の理屈と市場の都合で「あんたは⚪︎⚪︎円ね」などと値段をつけられたくありません。‥我々は物ではなく人間だからです」や選挙

    0
    2025年11月02日

    Posted by ブクログ

    言いたいことが言えない私は、筆者岡田憲治の言葉にほんのり笑みを浮かべながら自戒する。では次の行動に踏み出せるのか、それとも臆したままなのか。ズバリ即答はできないが、できる限り周囲に向けた言動を発したい。勇気がいるし、メンタルも疲弊するだろう。それでも自身が変わらなければ社会は変わらない。非コスパ・タ

    0
    2025年07月07日

    Posted by ブクログ

    これは良書。世の中を簡単に「味方」と「敵」に分けるのではなく、「対話」を通して集団のパフォーマンスをあげるための公共の知恵が惜しげもなく公開されていました。問いの立て方を変えて、少しでも出来ることを探そう、という気にさせられました。

    0
    2025年06月15日

    Posted by ブクログ

    “勝手に言っちゃいけないんだと決めつける症候群“思い当たる節がありまくりです。“非常識と誹られることを死ぬほど恐れるメンタル“まさにそれです。
    だけど、自分が「ん?」と思っていることは、もしかすると他人にとっても納得できていないことかもしれない。勇気を持って、えいや!と言ってしまえることに越したこと

    0
    2025年03月17日

    Posted by ブクログ

    言いたいことが言えない気持ちを持ち合わせていたとしても、やっぱり人と人との間に横たわるものは言葉であり、大事なのは言葉を「言う」「言わない」という二項対立に落とし込んでしまわないことなんだろうな。「言う」と「言わない」の間にはただ陥穽があるのではなく、広大なスペースが拡がっている、という指摘はとても

    0
    2025年02月03日

    Posted by ブクログ

    特に後半の実践編を読み進めることで、そもそもの前提でゴールとしていた地点が果たして本当にゴールなのか?という問いに気づけた事に驚きつつも視界がひらけた気分になれた

    0
    2025年01月07日

    Posted by ブクログ

    筆者は言える側の立場なのに、言えない側のことを慮ってこの本を生み出してくれたことが、まず尊い。

    言えない理由についての掘り下げが丁寧で、首がもげそうになるほど頷くポイントが多いところも(以下略)

    少し引っかかったのは、実践篇の課題について。政治や価値観が関わってくる比重の高い題材で、テーマによっ

    0
    2025年11月16日

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