光文社作品一覧

非表示の作品があります

  • 遺書配達人
    -
    昭和十九年夏、上海で発病した西山民次は死地に赴く十三人の遺書を預かり内地に戻った。息子の帰りを待ちきれず息絶えた『墓の女』から、本人に直接遺書を手渡すことになる『受取人なし』まで、西山の辿る八年間が十四話から成る。西山は有馬自身だ。「戦争体験の風化を厳しく告発した」という著者の言葉が新鮮に甦る名作!
  • 長官狙撃
    -
    地下鉄を襲う毒ガステロ。そして警察庁長官狙撃事件! 逮捕された教祖を奪還するため、カルト教団の武装組織〈聖徒軍団〉が猛烈なテロを仕掛ける! 日本海では、巡視艇に追われた〈軍団〉が機雷を海中に投棄し、惨事を引き起こした。最終戦争を画策する〈軍団〉と公安警察の息詰まる攻防! 想像を絶する最終兵器とは!? 男たちの熱き闘いを描ききる傑作長編!
  • 撃  つ
    -
    自衛隊機が、日本領空に接近したロシア偵察機を誤って撃墜、ロシアと交戦状態に突入した。すでに日米安保条約を破棄、孤立していた日本に対し、ロシア軍は北陸地方に上陸。ロシア軍圧倒的優位の中、たった一人残された自衛隊の狙撃兵・次頭武顕(じとうたけあき)の熾烈な戦いが始まった! 戦場でしか生きられぬ男の孤独な戦いを圧倒的な筆致で描く、会心の冒険アクション小説!
  • 黄金戦線――聖王の遺産
    -
    お家復興の悲願に燃える、土佐一条家残党・段蔵は、四国の覇者・朝宗我部元親(ちょうそかべもとちか)から、阿波剣山に眠るというソロモン王の財宝探索を命じられた。お宝を餌に南蛮諸国を動かし、打倒豊臣を謀ろうというのだ。だが、既に噂を耳にした秀吉が動いている。一番乗りはどっちだ!? 豊富な資料を駆使して注目の新鋭が描く、壮大な一大伝奇巨編!
  • 他人(ひと)のパンを狙え
    -
    ホーム電業の影近三兄弟。長兄は社長、次弟は副社長、末弟の宗佑は常務で、アメリカ現地法人の社長をしていた。独身の宗佑は、秘書と恋仲になり、「自分が死んだら会社の株を100株贈与する」という遺書をつくってやった。数日後、女は消え、彼は謎の転落死を遂げた!? ベストセラー『十年後』の著者が、恐怖の企業買収社会の到来を予見!
  • 会社喰い(マージャー)
    -
    199X年。アメリカ企業の、日本産業への狙い射ちが横行している。和光電機のコンピューターシステムに侵入した形跡が見つかった。副社長は優秀な調査員に徹底的に調べさせる。が、次々と起こる奇怪な事件。和光電機は危機に……! ベストセラー『十年後』の著者が、マージャー(合併屋)、ヘッドハンター(首刈り)の暗躍する、10年後のビジネス界を鋭く描く!
  • 異端の殺し屋
    -
    「島田左近は、おいが斬る!」 薩摩藩の志士・田中新兵衛は、勤王派にとって仇敵である左近の暗殺を決意した。成功すれば、その報酬で、惚れた女郎小りんに会えるのだ。――果たして、示現流の一太刀で、見事、左近の首は宙に躍ったのだが……。 ともに「人斬り」と称された新兵衛と土佐藩の岡田以蔵。ふたりの悲劇を描いた標題作のほか、著者会心の時代小説集!
  • 雨女
    4.0
    雨の日に限って、向津刑事が見かける美しい女。まさか、こんなときに出会うとは!?――大学教授が病いを苦にして首吊り自殺! だが、現場検証に訪れた向津は、不審の念を抱く。踏み台に使った火鉢を、重病の彼が動かせたはずがないのだ。そこへ、妻である彼女が……〃雨女〃が、現れた。(表題作)直木賞作家が描く、本格ミステリーのベストセレクト!(『ぼくたちの太陽』改題)
  • ダイヤル7をまわす時
    3.0
    戸根市にはびこる二つの暴力団・北浦組と大門組は、ことごとにいがみ合い、まさに一触即発。そんな時、北浦組の組長が何者かに殺害された! 果たして殺害現場で電話をかけたのは犯人か?(表題作) 奇術師としても高名な著者ならではのトリックを各作品にちりばめ、あなたに挑戦する〃犯人捜し〃。 推理ファン必読の珠玉の短編集!
  • 奇跡の男
    3.0
    六十人を越す死者が出たバスの転落事故で、たった一人生き残った男…宝くじを買えば、その賞金の十倍という袋くじの特賞に当たる。果たして、この世の中にそんな男が存在するのか? 写真週刊誌の記者・白岩百合子は、彼に興味を持ち、追跡を開始するが……(表題作) 小気味よい推理短編の醍醐味!
  • 空中の選択
    5.0
    「おもしろい人生だった――」漁船でひしめき合う〃海の銀座〃で、一枚のメモ紙が、腐乱死体から見つかった。身元は、かつてS商事でベトナムに赴任して以来、消息不明となっていた秋元厚朗だった。誘拐? 逃亡? そして自殺? しかし、空白の21年間には、戦うことで自分を見つけようとした男の意外な事実が眠っていた――。航空小説の第一人者が贈る感動の遺作。
  • 樹海のピラミッド
    -
    東アジア航測KKの小型双発機が富士山周辺で測量写真を撮り、余ったフィルムで青木ガ原の樹海を撮影した。翌日焼き上がった樹海の写真に、異物が写っていた。直ちに写真判読の権威に鑑定を依頼。結果は何とピラミッドだった。捜索のため樹海に入った者が目にした光景は!? 著者自ら操縦する航空機で、富士山を撮影して以来育んできた仮説を伝奇ロマンに結実!
  • 大韓航空007便
    -
    ルポライターの滝は、東名高速道路で、トラックの事故を目撃した。即死した運転手は、元自衛官〃木嶋一成〃という男だった。事故から半月後、大韓航空機事件が起きた。乗客名簿に〃木嶋一成〃の名前。滝が解明した、驚くべき事実は!? 自らも操縦桿を握る著者が、今なお謎の大事件を、新説で描破する、長編航空ミステリーの傑作!
  • A HAPPY LUCKY MAN(ア・ハッピー・ラッキー・マン)
    3.0
    県人会の学生寮で、管理人が緊急入院。留年必至のレポート課題をかかえる、お人好しの寮長・柳瀬幸也が代役を仰せつかることに。飯の支度や便所のつまりぐらいはなんとかなるが、ライバル寮との喧嘩騒ぎや、恋のもつれに、痴漢冤罪まで――。次から次へと難題続出! はたして、幸也に未来はあるのか!? 愛と涙と笑いがいっぱい! スラップスティック青春小説。
  • おんなの条件
    -
    小谷敬子は昼はOL、夜は大学生。明るい彼女に忌まわしい秘密がある。中学時代、遠戚の石崎淳に暴力で犯されたことだ。そのため、現在の恋人花田英昭の胸に素直に飛び込んでいけない。やがて敬子は完全結合がなく、処女であったと証明される。ところが今度は花田に困った噂が……。誰もが苦悩する結婚への道を探る恋愛傑作小説。
  • 狙 撃 者
    -
    山口組四代目が竹中正久に決まると、不満分子が一和会を結成し、狙撃班を編成したのは周知のとおり。風屋健三にも拳銃(チャカ)が手渡された。全身が慄いた。当日から竹中組長を追う。ところが、別の攻撃隊が先に組長を斃したのだ。風屋は獣のように吠え、泣き喚いた。この表題作を含めた七編で、著者はアウトローの心理と行動に肉迫する!
  • 第三の首領(ドン)
    -
    45口径拳銃が夜の銀座で火を噴いた。通行人が斃れた。狙われた関東会関口会長は車の床に伏せて難を避けた。襲撃隊は神戸の親和会相馬会長の一味。タレントの奪い合いからの怨みが高じたのだ。全面戦争となる。ところが関東会にソ連が、親和会に中国が〃第三の首領(ドン)〃よろしく武器と資金の援助を――。雄大な構想の新ヤクザ小説。(『六本木奇兵隊』改題)
  • 深海の鮫
    -
    ノンキャリアで大手都市銀行の支店長にのし上がった品川菊次は、倒産寸前の商社の再建にも成功する。暴力団と繋がりを持つ人間を抜擢し、勢いに乗って地上げに手を染めバブルを謳歌するが、次第に身動きが取れなくなってしまうのだった。そこへカネを食いちぎる〃鮫〃が言葉巧みに接近して……。裏の勢力が形を変えて表に進出。その恐るべき実態とは何か!?(『深海の鮫たち』改題)
  • 悪魔(サタン)の罠
    -
    元貿易会社OL島谷千代子の音信が突然途絶えて半年のち、母親のもとに、「お宅の娘(こ)は北海道に行きました」という不審な電話が入った。警察に捜査願が出されたが、杳として行方がわからない。ところが、失踪の背後に、奇怪な宗教団体『天宙教』の存在が浮かび上がってきた。その同じころ、米国ロスアンジェルスで、身元不明の、東洋人女性の死体が発見された!?
  • おれが撃つ
    -
    速水巡査部長と鎌田巡査のパトカーに、「銀行強盗!」の通報が入る。犯人は散弾銃で、すでに人を撃ち、銀行に籠もっていた。防弾チョッキは一着だけ。「部長どうぞ」と鎌田は譲り、犯人に迫った。途端に散弾銃が火を噴き、鎌田が崩れた。現場は立入り禁止となる。だが速水は復讐に燃え、中華料理店の出前に化けて裏口から犯人に向かう。著者の正義感と娯楽性が横溢する一冊。
  • 東京コカイン作戦
    -
    押収したビデオにはコカインを吸い、快楽に酔う裸女が写っていた。新宮俊介は思わず瞠目する。彼は警察庁直轄・極秘麻薬捜査機関から特に選ばれた剛腕の国際秘密捜査員。新宮はまず裏ビデオ屋に変身して獲物を追う。間もなく南米コロンビアの世界最大のコカイン密輸組織が、日本の経済界・新興宗教・暴力団をマーケットに狙う策略を知った。新宮の死闘がつづく。(『麻薬捜査官ジャガー3』改題)
  • 愛と死の極道戦争
    -
    「二人で殴り込みをかけるんや」 妻の幸恵が、夫の慎吾を誘った。幸恵は和田組の平凡な極道の娘で28歳。5歳年下の慎吾と新婚の愛欲に溺れている。そのとき恩人の若頭補佐が宿敵三輪組の狙撃を受けた。「いざ復讐!」と幸恵がバイクで飛び出し、慎吾は背後で拳銃(チャカ)を握る。うまくいけば出世の望みもなくはない。だが、二人を怖い罠が待つ……! 興奮渦巻く「極道戦争」傑作集(オムニバス)。
  • 暴力団の兵士たち
    -
    奇襲の乱射。賭場荒らしの四人は蜂の巣にされた。だが、この四人は日本最大の暴力団・山菱組の最下部組織に属する兵士だった。狙撃したのは博打一筋の小暴力団・花田組の兵士。山菱組は代紋のメンツかけ、花田組は極道の仁義で戦う。血みどろな抗争。不利な花田組が大逆転を図るには、山菱組の首領(ドン)を殺るしかない……。暴力団(アウトロー)小説の権威が底辺から捉えた迫真小説。
  • 驚愕の犯人
    -
    地方都市のキャバレーで猟銃が乱射され、死者や怪我人が出た。犯人は逃走。派出所の宮田巡査にも検問指令が下った。実家(さと)に帰省中の妻、みさ子は事件を知り、三歳の子を背に夜の山道を駆ける。と、犯人が出現! みさ子は凌辱の受ける隙に傍らの猟銃を奪い、驚く男を蜂の巣に……(表題作)。犯人の挙動を凝視する迫真の傑作集。
  • わが王国の住人たち
    -
    ムツゴロウの動物王国には、実に個性豊かな若者たちが集まる。自称動物博士、家出娘、そしてときには外人もいる。そんな人たちが、動物との交流を深めるなかで展開する、おかしくて、心温まるドラマの数々……。優しく、またチョット厄介な、愛すべき王国の人間と動物たちの生態(?)を、ムツゴロウが活写する生きた人間博物誌!
  • 雨 の 扉
    -
    「雨さえ降れば……」「そう思っているうちは、あなたはここからは抜け出せない。雨なんて、自分で降らせるものよ」迷っている時間などない。自分で決めたことを信じて歩きつづけなければ……。絡み合う時空と人物が、読む者を心地好く幻惑する。人生の境目で、気づけば何かを失っているやるせなさと、それを乗り越える興奮を贈る、切なく温かい恋愛物語。
  • 慶安太平記
    3.0
    東海道は由比の宿。才気煥発な紺屋(こうや)のせがれである与四郎の夢は「公方様になる」ことだった。彼は、長じて由比民部之助橘正雪(ゆいみんぶのすけたちばなのまさゆき)と名を改める。由比正雪である。泰平無事の世とはいいながらも、巷には多くの浪人があふれ、時の執政に対しての不満が鬱積していた。幕府の転覆を企てた憂国の軍学者の、その波瀾万丈の生涯を描いた傑作時代小説。「慶安事件」始末記!
  • 妻を怖れる剣士
    -
    江戸での御前試合のため、沼田藩から五人の若い剣士が旅立った。試合は好首尾に終わったが、剣士たちは華の吉原でおいらん遊びの楽しさを知ってしまう。「我が城下にも小吉原を!」の要求で、藩内に奥方連も巻き込んだ騒動が起こって……。強いばかりが剣豪ではない。表題作など、血のかよった九人の剣士たちのほほえましい人間性に迫る異色の傑作剣士小説集!
  • 裁きの石牢
    -
    岡豊(おこう)城の城主は、城内に石牢を設け、みずから裁く罪人を入れておいた。そして、裁きの場では、神のごとく罪人の胸中を察し、空恐ろしいまでに罪状の虚実を看破した。領民は不思議がり、その〃裁きの石牢〃は、感謝と畏怖の象徴となっていた……。善政の裏にこめられた恐るべき領主の秘密の企みとは何か? 戦国乱世の無常を描く苛烈悲痛の残酷武芸譚!
  • 燈 台 鬼
    4.0
    遣唐副使として唐に渡ったまま行方不明となった父・石根(いわね)を求め、道麻呂(みちまろ)はかの地へ赴いた。二十数年の歳月を経て、ようやく出会った父は、あまりにもおぞましい姿に変わり果て……。 直木賞受賞の表題作のほか、オール新人杯第一回受賞作「子守りの殿」、異色作「水妖記」など初期の作品六編を収録。直木賞受賞までの歴史小説をすべて網羅した、巨匠の原点!
  • 黒田長政
    3.0
    豊臣秀吉、徳川家康にも一目おかれたほどの稀代の軍師・黒田官兵衛(如水)、そして武功輝くその子長政。豊家(ほうけ)ゆかりの大名に対する幕府の圧力をみごとにかわし、黒田藩五十二万石の礎を固めた。父子二代の活躍!
  • 寺田屋おとせ
    -
    京の伏見で船宿・寺田屋を営むおとせ。黒船以来、世相は風雲急を告げ、薩摩藩御定宿の寺田屋にも若き勤王の志士たちが集う。おとせは彼らの面倒をみるが、その中に、土佐の脱藩浪人・坂本龍馬の姿もあった。
  • 少年と拳銃
    -
    今津少年は、本気で撃った! 友人の安田少年は鞠のように飛んだ。静かな渓谷である。今津は、実業家で弁護士の安田の家に駆けつけ、「彼がお宅から持ち出した拳銃で重傷を…」と告げた。父親と角刈りの男が現場へ急いだ。今津少年は再び至近距離から二人を撃殺!! 少年をここまで激昂させた動機とは? 直木賞作家が社会の盲点を撃つ表題作ほか四編の秀作。
  • 野薔薇の殺人者~深夜のコンビニ事件簿~
    -
    「私」中里雄一は、コンビニエンス・ストアの店員である。深夜に事件が舞い込み、行き掛りで「探偵」を引き受けることがよくある。監禁された娘の救出、ニセ札偽造団にまつわる殺人……他人事には首をつっこまない、が身上の私が、いつも事件に深入りしてしまう。――冒険小説、恋愛小説でも才能を発揮し、大作、傑作を発表する著者が描く、ハード・ボイルドという原点。
  • 善意の報酬
    -
    サラリーマンは経営者から能力を評価されにくいし、意見の上申もむずかしい。志村哲夫はこの障害を取り除こうと、ハーバード・ビジネス・スクールで学び、学友の日本財界二世(ジュニア)と親交を深めた。帰国後、彼らの協力を得て経営コンサルタント業を開店し、ドライな恋人葉月冴子とともに弱いサラリーマンを救う善意の活動を展開!
  • 残酷な昇格
    -
    縁談を断ってまで出世に賭けたキャリア・ウーマンを描く『残酷な昇格』。名家令嬢の誘拐事件にからむ熾烈なホテル戦争を衝く『罠の代償』。京都・西陣の老舗へ婿養子作戦を図った勤め人(サラリーマン)の策謀を暴く『許せない男』。どの作品も、企業の非情さと人間の葛藤をからませた臨場感が胸を打つ。長い通勤生活を経た著者ならではの白眉の傑作集。
  • 課長の操
    -
    百貨店の花房宣伝課長が、部下の野川に囁きかけた。「相談にのってくれ。今晩、喫茶店で待っている」と。用件は、「ネクタイ売場の嵯峨景子君を紹介してくれ」。 善良で気の弱い課長でも浮気の虫が騒ぐらしい。だが野川と景子は婚約中である。困って、さて、結末は?(「課長の操」)。表題作のほかに会社員(サラリーマン)の喜怒哀楽を満載!
  • CIRKILLER(サーキラー)~戦慄の都心環状線~
    -
    深夜の首都高に現われる謎のクルマ。それを追ったサーキット族に犠牲者が続出する。これを調査するため、現代神話学者の早瀬美砂子は首都高へ。彼女の傍らを凄まじいスピードで駆け抜けて行った謎のクルマ。そのテールに食らい付くもう一台のクルマは、美砂子の恋人和倉だった!?――カーマニアの著者が書き下ろすカーホラーの傑作!
  • 嗜虐の檻
    -
    二十四歳の菜保子を待っていた執拗な暴力と残酷な陵辱。廃墟と化したラブホテルの一室で、菜保子は恥辱の果てに殺された。恵津子は、行方不明となった姉・菜保子を探しはじめたが、悪鬼のような犯人・永富は、恵津子をも亡き者にしようとする。姉を殺され、婚約者の進を凄惨な拷問の末に殺された恵津子は、犯人への復讐を決意するが……。女流鬼才が放つ超ハード傑作!
  • 能登はやさしや鬼までも
    -
    作家の田辺浩三に、推理劇執筆の依頼が舞い込んだ。舞台は能登で、犯人はこの女でと、あらかじめ指示がある。奇妙な設定がもうひとつ。「死体は、高い崖の上に生えた松の木に、御陣乗太鼓の鬼面をつけて首を吊っていること」自然の密室である。ただし、「謎をどう解くか」の部分は白紙。困惑した浩三は、能登へ旅立った。いわくありげな美人女優をお伴に連れて……?
  • 東海道本線殺人事件
    -
    「可能克郎さんが亡くなりました」警察の知らせに、あわてて現場に向かう妹・キリコの前に、当の克郎がノンビリ現われた。克郎は前の晩、上着を盗まれた。盗んだ男が殺されたのだ。ダイイング・メッセージ〃アカサカノ〃……事件の核心に迫るキリコたち。そして新幹線内で克郎が襲われた。東海道にスーパー・トレインが駈ける! 著者会心のレールウェイ・ミステリー。(『東海道36殺人事件』改題)
  • 最後の誕生日(ラスト・バースデー)~満月先生推理袋~
    -
    丸山満月、年齢不詳。ちょっと太めの霊媒占い師。ある日オフィスに現れた早瀬一馬を占うと、不吉な予感が…。数日後、それが的中!彼が、恋人の夫・戸部凡太郎を刺し殺したというのだ。戸部は、遊園地の空中浮遊乗り物〃ミラクル・バブル〃を発明し、成功した男だった。 興味津々! 助手の野々村花子を伴って、満月先生ナゾに挑戦!
  • 死者の還る渚~伊勢・志摩殺人事件~
    -
    同郷・志摩出身の島崎との結婚を決意した天宮珠子。だが、両親が猛反対!以前、志摩から逃げるように上京した両親に秘密が? さらに、珠子に残る、幼時の血塗られた記憶……。友人福子と過去を探るために帰郷した珠子は、「年迎え」の行事の最中に起きた殺人に遭う。 伊勢・志摩の風光と民俗が異彩を放つ、乱歩賞作家のサスペンス!
  • マリリン・ブルウ
    -
    〃ブルウ……というよりは、グレエがかった、グレイッシュブルウ。私の、心の憂鬱程度を表せば、その色味は日により(時により)濃い薄いこそあるものの、依然として、色調(カラー)は変わらない。〃 自殺願望を持つ女性が、男性との関係でも、敏感すぎるがゆえに陥るブルウな世界。新感覚女流作家が書き下ろした神秘的小説(ミステリアス・ノベル)!
  • 秘  密
    -
    PR誌編集部の小野田副編集長と部員の光子は気の合う上司と部下。それにお互いが結婚していることで、傍目にも危なげがなく見える。この両人が二人きりの秘密を楽しみ、完全不倫ときめこんだ。ところが……?(「秘密」書下ろし)。全作品をヤング・ミセスが巻き起こす不審な出来事で統一。現代物路線でも中津作品の幅を拡大した。
  • 野獣都市
    4.0
    ボクシングで鍛え引き締まった体、精悍で端正な容貌。有馬靖浩(ありまやすひろ)は、銃の修理や自動車のセールスで生計を立てる大学院生だ。猟友である会社社長・石浜(いしはま)からの依頼が、彼の胸にくすぶっていた野望に火を点(つ)けた。麻薬組織から大量のヘロインを強奪。不正を働く企業家からは大金を掠(かす)め取る。女たちを利用し、死体の山を築きながら、疾走する欲望の終着駅とは?
  • 探偵事務所23
    4.0
    田島英雄(たじまひでお)は、特別に拳銃所持を許されている腕利きの探偵だ。田島の事務所に、警視庁捜査一課からとびきりハードな仕事が飛び込んだ! 殺人容疑で逮捕された男が釈放される。男には拳銃密売容疑もかかっているが、物証はない。囮(おとり)となって密売組織に潜入し、組織壊滅(かいめつ)に一役買って欲しいというのだ。ヤバ過ぎる任務に田島の豪腕が唸(うな)る! 著者会心の連作集!
  • 人 狩 り
    -
    「大和興業に潜り込んでくれ」三光組の依頼を受けた一匹狼のプロ・水野雅之(みずのまさゆき)は、用心棒として大和興業の中枢(ちゅうすう)に入り込んだ! 狙いは拳銃の入手ルートを潰し、仲間割れを起こさせること。凄まじいまでの銃の腕と抜群の頭脳を武器に、水野は組織に次々と罠を仕掛けていった──。疾走(しっそう)する暴力! 炸裂(さくれつ)する銃弾! 圧倒的な迫力に満ちた、大藪春彦初期の傑作長編!
  • 濡衣を着る男
    -
    藤堂新一は十年前、亡父から引き継いだ事業が困窮のどん底にあり、窃盗を働いた。藤堂の代わりに誤認逮捕された男がなぜか犯行を自供、そして服役……!? 事業が順調に軌道に乗った今、藤堂はその男に償おうと接近を計った。男はなぜ冤罪を主張しなかったのか?――巧妙なアリバイの罠と結末の意外性、書下ろし力作!
  • 悲  鳴
    -
    一人の男が関わった四つの悲鳴。最初の悲鳴は、人影の少ない海岸での若い女性のもの。二番目は、彼の上の階に間借りしているホステスの悲鳴。第三の悲鳴は自らがあげることになった。そして、第四の悲鳴の後に殺人が……!? 本格推理の名手が巧みに織り成す表題作「悲鳴」ほか、珠玉のミステリーを揃えたオリジナル短編集。
  • 真面目すぎた男
    -
    亡父から真面目だけを取り柄に育てられた西並玄一郎。彼は、彼の婚約者の父親であり、父の友人であった赤堀養治から旅行バッグを託された。その数日後、赤堀の他殺体が自宅で発見された。そして、西並が預かっていたバッグも何者かに盗まれていた……!? 『邪魔な男』で新境地を拓いた著者の洒脱な人間ミステリー第三弾!
  • 西麻布 紅の殺人
    -
    建設設計事務所で残業中の社員は、向かいに建つ鏑木商事の社長が銃撃されるのを目撃した。現場へ急行したが、鏑木の姿は発見できなかった。が、引き返した彼らの事務所に、その死体があった! 警視庁は、かつての女性ロック歌手を探り当てるが、すでに彼女は病死。そして、謎の遺書を発見……!? ロマン、謎、サスペンスが見事に融合した本格推理の新境地!
  • 子犬のように、君を飼う
    3.0
    悦楽の街マカオ。小説家は束(つか)の間の自由な時間を楽しんでいた。カジノで大勝している時、日本語で声をかけてきた美しい中国人の少女。娼婦を買ったことなど一度もなかった彼は、魅入(みい)られたようにホテルへと連れ帰ってしまう。それは、甘美な地獄への入口だったのか――。30歳も年下の少女との蜜月の先に待っていた運命とは? 異端の純愛を描いた、究極の恋愛小説。
  • 女奴隷は夢を見ない
    3.7
    「あなたのご両親は、あなたを売ることにした」女子大生・川上春菜は、父親の使いで訪れた横浜のビルで、突然告げられた。自分は売られ、間もなく「奴隷市場」で競(せ)りにかけられるというのだ。ビルの一室に拘禁(こうきん)され、絶望にくれる春菜。だが、仕入れられていたのは、彼女だけではなかった。女たちを待ち受けていた壮絶な運命とは? おぞましくも美しい禁断の書。
  • 人を殺す、という仕事
    3.8
    僕のもとにある日届き始めた一通の手紙。そこに書かれた指示に従うことで、僕の人生は驚くほど順調だった。手紙のお陰で、今後も幸福な人生が続くと信じていた。それが「殺人」を命じるまでは。従わなかった結果――母が死んだ。次は妻や娘たちの番だというのだ。あどけない少女、臨月の妊婦……僕は次々と手を血に染めていく。邪悪で美しい、傑作「暗黒小説」!
  • 虚業紳士~兜町を揺さぶった闇の男たち~
    5.0
    住宅・マンション分譲・ゴルフ場開発……。商才と有力者のコネに恵まれ、大峰秀直のビジネスは破竹の勢いで拡大しつづける。彼は資金力をつけると、上場企業株の買い占めに乗り出す。さらにその野望は大仕手戦へと向かう……。だが、巨額の資金繰りに窮して追いつめられた大峰は、一か八かの賭けに出た……。野望の実現へと突き進んだ男の半生を描く出色の経済小説。(『バブルの帝王』改題)
  • 歌麿おんな秘図
    -
    爛熟した江戸文化を背景に浮世絵師が続々誕生した。なかでも歌麿の絵の評価は高い。彼は醜男だった。遊女を知ったのも22才。女が言った。「美人画をお描きよ。必ずモテるから」と。彼は遊郭の名妓から茶屋の女まで、それぞれの美を探求した。春画も多く、どの男性も巨根なのは彼自身の描写とか。勇助から豊章、さらに歌麿と改名して世に出るまでの秘話を満載!
  • 広重おんな秘図
    -
    「東海道五十三次」を描いた絵師・安藤広重が、晩年に艶本を描いたことはあまり知られていない。広重の描く人物は滑稽で、人間くさい。特に女人には目がなく、艶本の基礎は、実は東海道五十三次の旅での女修業によって培われたものであった……。社会派ルポルタージュの俊英が、北斎、歌麿に続いてスポットを当てた、浮世絵師・安藤広重の〃色と艶の東海道〃。
  • 北斎おんな秘図
    5.0
    鉄蔵、のちの葛飾派の祖・北斎は15歳で吉原の門をくぐった。洒落本の木版を頼まれても、女に無知では話にならない。女体は生きた芸術品だった。ふと知った女掏摸・かえでと結婚、その紹介で浮世絵師・勝川春章の門下となり世に出る。のちに女体修行に明け暮れ、秘画も多いが「富嶽三十六景」は光る。ルポルタージュの名手だった著者が奇才の激しい生涯を辿る野心作!
  • ふところの牝
    -
    売れないタレントの鳩村八一は、ある夜ふとしたことから、美貌の人妻と巡り会う。罠にはまり、夫殺しの容疑で追われているという。その女・岡部安芸子の妖しい魅力にひかれた鳩村は、彼女の無実を晴らすため、真犯人捜しを決心するが、事件は意外な方向へ……。 計られたのは牡か、牝か。人間心理の謎を抉る傑作長編推理。
  • 仙石騒動
    -
    但馬出石藩(兵庫県)の当主・仙石道之助の廃嫡を狙って、実父播磨守(はりまのかみ)と国家老(くにがろう)の仙石左京が暗躍。江戸詰勤番侍(えどづめきんばんざむらい)・金子半十郎は、但馬出石五万八千石の行く末を案じ、あえて不忠の臣となることを決意した!
  • フルムーン殺人旅行
    -
    愛猫のケントを連れて、九州へフルムーン旅行にでた土屋夫妻。しかし、旅先で妻・美代の身に次々と災難が。そしてケントが行方不明に……。彼女は、事故をよそおった裏側に何者かの殺意をかぎとった。仕掛人は夫か? 熟年に達した夫婦を通して「真実の愛とは何か」かを、得意のサスペンス・タッチで描いた会心の力作!
  • 伊豆半島殺人行
    -
    東京から伊豆の下田に到着した「踊り子13号」のグリーン車内で、初老の男が意識不明で発見され、間もなく絶命した。残されたドリンク剤の瓶の中から農薬パラコートが検出され、中毒死と判明。自殺か? 他殺か? 下田署は無差別殺人説に傾く。が、車掌が車内に被害者と続き番号の指定席券を持った中年女がいたと証言した。
  • 死霊鉱山
    -
    冬山登山中の男女5名は、猛吹雪に遭い、廃鉱になった鉱山事務所に避難する。そこは幕末に暴動が起き、鉱夫全員が斬殺の末、鎮圧された暗い歴史を持っていた。暖をとるため、彼らは坑道に入り、進路を遮断する禁柵を破って、これを燃やしてしまう。その夜から、一人一人、命が消されていった……。著者得意の恐怖推理力作!
  • 三幕殺人事件
    -
    ゴルフ場建設反対運動のリーダーで老人ホーム所長・由利勝が変死した。さらに反対運動を引き継いだ息子・徹まで轢き逃げされて急死。不審を抱く由利の娘・美香と四人の老人たちは、町の有力者・松井と暴力団・星野組を必死にマーク。やがて、彼らの背後に驚くべき黒幕の存在が浮かぶ。戦慄の真相、二重三重の逆転劇! 緊迫の本格サスペンス推理!
  • 喝采(かっさい)
    -
    西伊豆・常ヶ島の天窓洞で、美貌の映画助監督・大渡敬子が突き落とされた。親友で同じ職場の記録係・谷川淳子に嫌疑がかかったが、彼女は自殺!? 淳子の無実を信じる青年監督の梅田は、謎の〃黄色いコートの女〃の足跡を追うが、ついにたどりついた真相とは? サスペンス・ミステリーの第一人者が放つ渾身の力作!
  • 見えない罠
    -
    「娘をさらった、要求を聞かねば、殺す」旭警察署警部補・阿部俊夫の愛児に誘拐の魔手が――。ところが、犯人の要求は身代金ではなく、「暴力団追放運動のリーダー島田敬三を殺せ」だった! 拒否する阿部。やがて島田が何者かに刺殺され、容疑は阿部に。彼は同僚たちの厳しい追及の手を逃れ、真犯人を捜す。 サスペンスの名手が放つ、戦慄の犯罪、驚愕のトリック巨編!
  • 人妻小雪奮戦記~神戸ニュータウン事件簿~
    -
    薬師寺小雪は才媛の誉れ高い29歳のピアノ教師。自宅のある神戸のニュータウンで殺人事件が! 反抗当時、鳴っていたチャルメラの音色がいつもと違うことに気づいた小雪は……(「哀しきチャルメラ」)。そしてあの大震災。次々と起こる事件に、小雪は持ち前の向こう気の強さと正義感、行動力で立ち向かう。 神戸在住の著者が自らの体験も投影させた異色ミステリー!
  • 吟遊 直九郎内探記
    -
    千石取りの旗本の子息で、俳諧好きの高瀬直九郎は、おりおり気楽な吟行の旅に出る。が、それは表向き、実は大目付高木伊勢守の密命により、諸般の内情を探るのが彼の任務だ。 家来の友平、十吉少年、それに筆丸(伝書鳩)、給(愛犬)の一行が、悪人どもをむこうにまわして、丁々発止と火花をちらす。 複雑怪奇な陰謀を暴くニューヒーロー颯爽と登場!
  • 黄金の聖獣~ゴスペル特捜(コマンド)~
    -
    「ソ連を崩壊させた魔獣が、日本にくる!」ロシアの将軍は、そう言い残して死んだ。やがて都内の教会で、連続殺人事件が発生。現場に派遣された刑事たちの目の前で、神父が魔獣に虐殺される。だが獣は、FBIから来たリタにしか見えない。「奴はなぜ、日本人には見えないのか? 目的は?」事件を追って志摩半島へ飛んだ刑事たちの前に、恐るべき敵が出現した!
  • 滅びの宴(うたげ)
    -
    突如大発生し、甲府市を殲滅(せんめつ)した数十億匹のネズミの大群は、2年前に滅び去ったはずであった。しかし、強靭な生命力をもつ彼らは、歳月を経て蘇った。20億のネズミが、ついに多摩川の防衛ラインを突破! さらに過激派の破壊工作により、首都・東京は火の海と化した……。鬼才が世に問う衝撃の長編警鐘小説!
  • 密  謀
    -
    人間は誰でも殺される動機をもっている。京都郊外に『B・W・リサーチ京都』という謎の研究所が誕生した。小金持ちの軽食喫茶を営む近藤小一郎の出資である。所長・若狭芳樹と他の四人の幹部は、犯罪者であり、借金魔の会社員。儲かることなら脅迫も平気だ。ついには女事務員を絡めて、近藤を殺害、保険金を狙う。著者の名作『鬼畜』を彷彿させる人間の究極像。
  • 流亡(りゅうぼう)
    -
    ロシア生まれの神父が、長野県大町の教会で絞殺された。神父の名はヤコフ、72歳、独身。革命で肉親を奪われ、流亡の果てに日本での布教活動に専念していたのだ。犯人の市川勉が捕えられた。なんと昔、ヤコフが神に背き、〃瞬時の関係〃を結んだ人妻、典子の息子だった。社会派犯罪小説の鬼才が絶妙な素材を静謐に描く慟哭の巨編。
  • 終着駅
    -
    二人の貧しい若者が薄暮に睦み合う恋人を発見、激しく興奮。男の背中を刺し、揃って女を襲ったがついに取り逃がす。犯人が、山へ登ったのも、恋人たちを苛めたのも、殺傷を図ったのもみなアソビ。罪の意識はなかった(「徒花」より)。 ――人生の辛酸を嘗めてきた著者が、さまよえる孤独な人間たちの魂を剔出する珠玉の傑作選。
  • 風よ迷路を吹き抜けよ
    -
    京都在住の大月信平・エリ子夫妻には子供ができない。だが信平は36歳。若い。交際誌で『私たちの夫婦生活を見て!』という記事を読み、名古屋の神田夫妻を訪問。さらに松本夫妻と交際し、鑑賞より実践が迷路を開くことを悟った。そこに快感未体験の八木夫妻も加わりスワッピングは盛り上がる。鬼才が性を通して人間の業を描く。
  • 無 人 駅
    -
    石見が安紀子の全裸死体を谷底に投げ捨てた。これまで石見は、母親ほど年上の、職場の先輩・安紀子と性を貪り合っていた。やがて石見が結婚すると、安紀子は嫉妬に狂う。石見は発作的に絞殺したのだ。身を隠すには〃無人駅〃が格好の盲点に思われたのだが……。表題作のほか、誰もが起こしかねないはずみの犯罪小説を七編収録。
  • 風の別れ
    -
    スナックのママ・加代(かよ)は、金づるの情夫・照間(てるま)の心変わりを恨み、殺害計画をたてた。彼はコークハイを好む。加代は冷蔵庫のコーラ壜に青酸塩の粒を混入した。うまくいった。二階で男が死んでいる。顔を覗いて驚いた。男は死体処理を頼むはずのちんぴら・千頭(せんず)であった……(『地辷り』)。犯罪小説の第一人者が精選した八編の会心作。
  • おいしい水
    3.4
    同じマンションの主婦仲間と子育てに勤(いそ)しむ30歳の弥生(やよい)。夫の微妙な変化に気付きながらも、社会との接点を求めて、タウン誌のライターを始める。そこに、新たに入居した隣人のあけすけな言動が、平穏だった日常をねじれさせていく……。リアリズムの名手が切実に描く、人生の岐路に立つ女性の〃渇き〃と〃癒し〃。あなたにとって結婚は〃おいしい水〃ですか?
  • 昭和御前試合
    3.0
    ――何はともあれ、ここに私の原点があることは確かである。この短編集の中に、今の私につながるいくつもの要素、パロディ精神であり、ものを奇妙な角度から見る視点の取り方であり、文体模写などであるのだが、それがちゃんと入っている。清水義範はここから始まった(文庫版へのあとがきより)。 人気急上昇著者のデビュー作!
  • 事件屋悠介
    -
    三十坪の部屋に黒皮のソファ、さまざまな娯楽設備を完備した豪華な事務室。これが大洞悠介(おおぼらゆうすけ)の誇るオーロラ商事だ。だが、その業務内容はもっと奇抜だった。汚職情報をネタに汚職の元凶(げんきょう)に喰い込み、その上前(うわまえ)をハネる。悠介は、建設汚職に連座し、勤務先のY県庁を首になった。そして一念発起であみ出した究極の金儲けの秘法が、この仕事だったのだ。快進撃が続くが……?
  • 湿 地 帯
    -
    大同銀行の秘書室副部長・三浦昭二は、政界担当実務、実態は政治献金を政治家に届ける役目を命じられていた。ある日、その三浦に、保守党の代議士秘書から電話がかかった。厚かましさと押しの強さで有名な、通称ナベヤス。話を聞くうち、三浦は蒼(あお)ざめた。――巨額の金をめぐって生まれるどす黒い野望。永田町という湿地帯。銀行と政界の癒着を鋭く抉る問題作。
  • 兜町(かぶとちょう)物語
    -
    興業証券の危機的な経営を再建するため、もちまえの剛腕を買われて大抜擢をうけた谷川。彼は経営陣を刷新し、首位野村證券の牙城(がじょう)に肉迫した。――ルポライターの安部は、超特ダネ山一證券の経営危機を追ったが、地方紙の報道協定破りで夢破れ、作家への道を狙っていた。2人の男がそのとき出会った。苛烈(かれつ)な競争に明け暮れる兜町の舞台にぶつかりあう、男たちの夢。
  • 虹の海藻~東証第二部~
    -
    証券市場は、岩戸相場の終焉で沈滞気味であった。最大手・大山証券の事業法人部次長・庵達夫は、新しく発足する市場第二部で、業績の悪い東洋紅藻工業の株を任された。この会社は莫大な借入金に苦しんではいるが、技術は非情に優秀である。庵は、立て直しに全力を傾けた。しかし、再建寸前に……!? ビジネスマンの本質と悲哀を鋭くえぐった傑作長編企業小説。
  • 欲望集団
    -
    証券担保金融という怪しげな会社を経営する犬塚誠のところに、十兆円の儲け話がもたらされた。日露戦争で財宝を積んだまま沈んだ軍艦を引き揚げるための、資金提供者を探してくれというのだ。犬塚は政財界の黒幕に取り入り、三十億円を捻出させたが、そこには恐るべき罠が……。現代欲望社会の裏面を凄絶に描く内幕経済小説。
  • 非常勤取締役
    -
    突然、非常勤取締役に左遷された熟年ビジネスマンの不安、失意、あせりが招いた思わぬ悲劇(「非常勤取締役」)。出世コースを歩みつづけるエリートの影で、二十五年間も踏みつけにされた男の意外な報復(「黒い結晶」)。――現代社会の複雑さ、限りない欲望に身を灼く人間の姿を、迫真をもって描き尽くす傑作企業推理小説!
  • 暗黒の月曜日(ブラック・マンデー)
    -
    ニューヨーク株式市場で、史上最高の大暴落! その余波はたちまち日本へ波及し、角六証券の吉村和夫の運命を大きく狂わせた。私生活のごたごたで仕事への集中力を欠いた彼は、百億円の損害を出した。大暴落は、失敗を一気に挽回する策を立てた矢先に起こったのだ。(表題作)現代企業社会に生きる人間たちの公私両面に光をあて、深い味わいを醸す経済企業小説集。
  • 鬼女伝説殺人事件
    -
    銀座で般若の面を付けた男の絞殺死体が発見された。被害者は能登の町役場の嘱託で、町おこしのために「鬼の棲む里」キャンペーンを促進していた民俗研究家。ちょうど、その町に取材に出かけていた旅行ライター・江本は、町の観光化をめぐる、町長派と反対派の暗闘をかいま見る。「鬼女伝説」に隠された秘密とは?
  • 東北四大祭り殺人事件
    -
    血まみれの鎧武者の亡霊が出現! 遺跡発掘の祟りか? フリー・ライターの森原は、亡霊を目撃した四人の主婦を取材。ところが、その主婦の一人が亡霊を見た現場で他殺体で発見された。続いて、もう一人が殺され、残った二人も失踪! 四人を結ぶ糸は、三年前の東北四大祭りツアーでの殺人事件? 七夕、ねぶた、竿灯、花笠。夏の風物詩を背景にした傑作推理。
  • 幕末算法伝
    -
    最上流算法家の金盛吉之丞は、維新の動乱に巻き込まれ、官軍参謀暗殺の一味に加わって失敗。逃走の途中、負傷して動けぬ親友の渡会清明を手にかけた過去がある。その事情を明かせぬまま、彼は清明の妹・志ほに、実の兄同様の愛情を注ぐ。ところが、志ほは彼を恋人として慕い、ひたむきな思いを寄せていた――。 日本独自の算学(和算)を題材とした、異色の長編時代傑作。
  • 算学武士道
    -
    水沢藩の勘定方に勤める保(たもつ)は、貧しさゆえに、好きな算学(数学)に打ちこむことができいない。ある日、算学を嫌っていた父が水死した。母の行動に疑惑を懐きながらも、そのままにしてしまった彼は、自責の念にかられる。保は、算学への夢を捨て、母を道連れにして…。(表題作) 剣の道よりも、和算の解に命を賭けた男たちの悲喜劇を描く、異色の傑作時代小説集!
  • 殺意の爪
    3.7
    怒鳴り合う声、立ち去る男、長く続く女の悲鳴。――同じマンションで愛人を待つ木部比呂子はそのとき不審な思いにかられた。翌日、その部屋から布施夏美の死体が発見され、夏美の恋人が逮捕された。「彼はシロだ」真実を知る比呂子はしかし、不倫の恋の発覚を恐れて口を噤んだ。秘密に怯える彼女の前にあらわれた男は!? 赤いマニキュアの謎。日常の中にある恐怖。
  • 父からの手紙
    3.6
    家族を捨て、阿久津伸吉は失踪した。しかし、残された子供、麻美子と伸吾の元には、誕生日ごとに父からの手紙が届いた。10年が経ち、結婚を控えた麻美子を不幸が襲う。婚約者が死体で発見され、弟が容疑者として逮捕されたのだ。姉弟の直面した危機に、隠された父の驚くべき真実が明かされてゆく。完璧なミステリー仕立ての中に、人と人との強い絆を描く感動作!
  • 甘美な凶器
    -
    楠木谷純一郎は、女性に接すると狂乱状態になり、性的不能に陥るという奇妙な病いを持っていた。そんな彼は、歯科医院の受付をしている佐々木千織に声をかけられ、生まれて初めての恋に落ちた。彼女の、まさに献身的な努力が始まった。だが、彼の閉ざされた心の殻が一枚一枚剥がされたとき、ある衝撃の事実が浮かび上がった……!? 傑作長編サイコ・サスペンス。
  • 鬼刃
    -
    平凡な勤め人である海野は、離婚して十年、孤独な日々を送っていた。ところが、スナックで知り合った十四歳年下の淑子と再婚した。久々の幸福感に浸っていた海野だが、新婚旅行先のハワイで、淑子の母と弟が殺されたことを知らされる。ショックから記憶障害の発作を起こすようになった妻の身にも……!? 殺人事件に隠された巨悪に立ち向かう、男の凄絶な復讐!(『髑髏が往く』改題)
  • 破滅の天使
    -
    警視庁の元刑事である根岸は、温泉町でスナックを開いている。ある夜の客・真鍋は、七年前極誠会石田組若頭補佐で、根岸が刑務所に送り込んだ男だ。しかも、彼の愛人の一人が、根岸の妻・圭子だった。「戻してもらわなきゃならないもんは、ちゃんと戻せ」との圭子への伝言を残して、真鍋は帰ったが……? 陵辱の果てに熾る復讐の炎、勝目ワールド円熟の真骨頂!
  • 白昼の処刑
    -
    鬼刑事と恐れられた牛尾克巳は、一人娘で高校生の香織の自殺を契機に退職した。妻の病死、そして娘の自殺と、憔悴し切った牛尾に追討ちを掛けるように、香織の日記から驚愕の事実が……!? 罠に嵌った香織は、シャブ漬けにされて売春させられていたのだった。元刑事の血塗られた復讐が始まった!――勝目ワールドの極み!!
  • 闇の秘祭
    -
    東城鬼彦――詩人として世間に知られているが、若い女ばかり狙う残虐な切り裂き魔としての正体はだれも知らない。第三の犯行直後、現場近くで知り合いの女優・毛利瑞子と行き交った。瑞子は鬼彦に気付いたか? 彼は血の祝祭の生贄として、瑞子に接近した……! 鬼才が新趣向で書下ろす、凄まじい官能と恐怖のサスペンス!
  • 闇の亀裂
    -
    俺は泥棒のプロ。六年間、ただの一度もドジったことはなかった。クラブの美人ママの家に忍びこんだ。主の帰宅に気付かず、俺のいる部屋のドアが開かれた。黒いスリップ一枚の女と鉢合わせ。俺は女を頂戴した。そして、女は一世一代の大仕事を持ちかけてきた……!?「性」と「暴力」を華麗に駆使。著者得意の痛快ハードバイオレンス!
  • 小説四十九歳大全集
    -
    男四十九歳――はや「知命」の域に達しようとするが、地位は課長待遇。出世コースからはずれているからといってひがみもせず、けっこうオフィスラブも楽しむ……。 戦争のさなかに青春を過ごしてしまった中年男の、ちょっぴりセンチメンタルな心情を、著者得意のユーモアで綴ってみせる、傑作哀愁小説集!
  • 目撃者なし
    -
    交通事故に遭った妻が、みずからの意志で失踪した! 残された夫は、妻の行方を追ううちに、かえって自分の過去の秘密があばかれてしまう。――オフィス・オートメーションの波に乗り切れなかった男の焦燥と偽装工作を、サラリーマン小説で知られる著者が、凝りに凝った構成で描いた、サスペンス推理の力作!

最近チェックした本