桂離宮作品一覧

  • 日本文化私観
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    1巻275円 (税込)
    「堕落論」と並び称される坂口安吾によるエッセイ。「僕は日本の古代文化についてほとんど知識を持っていない。ブルーノ・タウトが絶賛する桂離宮も見たことがなく、玉泉も大雅堂も竹田も鉄斎も知らないのである」と始まるこのエッセイは、太平洋戦争の真っ只中でナショナリズムや当時掲げられていた日本文化の伝統を重んじる風潮が色濃く及んでいたなか発表された。「法隆寺も平等院も焼けてしまって一向に困らぬ。必要ならば、法隆寺を取り壊して停車場をつくるがいい」の有名な一節など、時代を経ても色褪せない安吾独自のスリリングな日本文化批評が展開される。
  • 桂離宮
    無料あり
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    1巻0円 (税込)
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  • 桂離宮殺人旅情
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    新婚旅行で京都を訪れた新妻の夜里子(よりこ)が、桂離宮を見学した夜、謎の失踪を遂げた。唯一の手掛りは、彼女が残した一枚の紙片。夫・直道は、夜里子の親友・夏木梨香に異変を告げ、姉の香奈、さらには小早川警視正の協力を得る。やがて浮かんだ夜里子と伯父・中津原の不倫関係。だが、怪しいと睨んだ中津原が惨殺体で発見され、同じ場所からもうひとつ意外な死体が……。
  • 桂離宮―様式の背後を探る
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    『風土』『鎖国』等の名著で知られる和辻哲郎による桂離宮の様式について探った一書。 その序文では、問題意識として次のように述べている。 「この建築は日光廟と時を同じくして製作されたものであるが、その日光廟と桂離宮とは、同時代の建築として同じ時代的様式を示してゐるどころか、およそ建築として考へられる限りの最も極端な反對様式を示してゐるやうに見える。日光廟はあらゆる技術を悉く注ぎ込んで装飾に装飾を重ねたもの、言ひかへればこれでもか!といふやうに飽くことなく美を積み重ねることによって妓上の美が作り出せると考へた態度によって作られたものであるが、桂離宮はちやうどその反對に、出來るだけ装飾を捨て、出來るだけ形を簡素にすることによって、反って簸上の美が現はれるとする態度によって作られたものである。從って日光廟を「結榊」とか「美しい」とかと感ずるやうな人々の間から桂離宮のやうなものは生れて來ないであらうし、桂離宮を美しいと感ずるやうな人奇の間では、日光廟のやうなものは到底作る氣持になれなかったであらう。それほどに異なった二つの様式が、同じ時代に、しかも接点がなかったとも思へない人々の間に、出現したといふことは、一体何を意味するのであらうか。」 (※本書は1991/4/1に発売し、2022/5/17に電子化をいたしました)
  • 寡黙なる饒舌 建築が語る東京秘史 [電子改訂版]
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    1巻1,870円 (税込)
    建築家が語る東京の建物物の歴史と建築家、またそれにまつわる物語を語る。 東京駅が皇居を向いて建設された理由など建築と権力の関係や、明治期に活躍したジョサイア・コンドル(ニコライ堂、帝室博物館、鹿鳴館などを設計)やフランク・ロイド・ライト(東京帝国ホテル、自由学園などを設計)などの外国人建築家とその弟子たちの手による建築物の紹介、そして辰野金吾や安藤忠雄、村野藤吾、篠原一男などの建築家の作風や建築観を詳解する。 軽くするすると読める筆致ではあるものの建築家ならではの鋭い視点が興味深く、知的好奇心を刺激される。建築家・東京大学特別教授 隈研吾氏推薦。 【目次】 Ⅰ・天皇の街 東京駅——天皇の可視化 第一生命ビル(GHQ)——大屋根の権力・列柱の権力 築地本願寺——日本とギリシャ・快男児たちの気宇壮大 岩崎邸——華麗なる西洋館・その光と陰 ニコライ堂——ビザンティン文化の窓 漱石という建築——赤煉瓦のメランコリー ——戦争は人を生む—— Ⅱ・モダニズムとテロリズム 日本工業倶楽部会館——モダン・アーキテクチャーと團琢磨暗殺 自由学園・明日館——ライトの遺品・自由が輝いていたころ 鳩山一郎邸——政治史に残る友愛と野人の巣 東京ミッドタウン六本木——大名屋敷が「街中街」をつくる 朝香宮邸(東京都庭園美術館)——宮家のアール・デコはモダンの桂離宮 帝室博物館(東京国立博物館)——天皇の家には宝物がない ——「壁と都市」の文化・「屋根と家」の文化—— Ⅲ・槌音ひびく 吉田茂邸——戦後日本の方向を決めた「大磯もうで」 聖アンセルモ目黒教会——ボヘミアンが共鳴した木造文化 国立西洋美術館——巨匠ル・コルビュジエの苦悩と呪縛 東京文化会館——モダニズムに筋をとおす 国立代々木競技場——国家の建築家・丹下健三 パレスサイドビルディング——かつて工業は美であった ——風土と建築と文化の地理学—— Ⅳ・世界の「やど」へ 雷門と日本橋――哀しみの底流・脱自動車都市へ 目黒区役所(旧千代田生命ビル)――村野藤吾・時代遅れが時代を超える 安藤忠雄の「壁」――地球に刻印した男 トッズ表参道店――伊東豊雄・風の建築家 すみだ北斎美術館――北斎の天分・妹島の天分 東京工業大学博物館百年記念館――篠原一男・疾走する孤高 ――「家」制度の住まい・「やど」逸脱の住まい―― エピローグ・もう一つの世界都市として 【著者】 若山滋 1947年台湾生まれ。東京工業大学建築学科卒業、同大博士課程修了。工学博士。1974年入社の久米設計を経て名古屋工業大学教授。米国カリフォルニア大学バークレー校、コロンビア大学客員研究員。現在、中京大学客員教授、名古屋工業大学名誉教授。専門は建築学・都市論・文化論。 著書は『建築へ向かう旅』、『組み立てる文化の国』、『「家」と「やど」— 建築からの文化論』、『漱石まちをゆく——建築家になろうとした作家』、『建築家と小説家——近代文学の住まい』『アイドルはどこから』など。
  • 京都、パリ――この美しくもイケズな街
    3.0
    【内容紹介】 26万部『京都ぎらい』の井上章一氏、フランス文学界の重鎮である鹿島茂氏が、知られざる京都とパリの「表と裏の顔」を語り尽くす。 知っているようで知らなかった「京都とパリ」の秘密がわかる。 【著者紹介】 鹿島 茂(かしま・しげる) フランス文学者。明治大学教授。専門は19世紀フランス文学。1949年、横浜市生まれ。1973年東京大学仏文科卒業。1978年同大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。現在明治大学国際日本学部教授。『職業別パリ風俗』(白水社)で読売文学賞評論・伝記賞を受賞するなど数多くの受賞歴がある。膨大な古書コレクションを有し、東京都港区に書斎スタジオ「NOEMA images STUDIO」を開設。新刊に『悪の箴言 耳をふさぎたくなる270の言葉』(祥伝社)、『明治の革新者~ロマン的魂と商業~』(ベストセラーズ)、『カサノヴァ 人類史上最高にモテた男の物語』(キノブックス)などがある。 井上章一(いのうえ・しょういち) 1955年、京都府生まれ。京都大学工学部建築学科卒、同大学院修士課程修了。京都大学人文科学研究所助手ののち現在、国際日本文化研究センター教授。専門の建築史・意匠論のほか、日本文化や関西文化論、美人論など、研究範囲は多岐にわたる。1986年『つくられた桂離宮神話』(弘文堂、講談社学術文庫)でサントリー学芸賞、1999年『南蛮幻想』(文藝春秋)で芸術選奨文部大臣賞、2016年『京都ぎらい』(朝日新書)で新書大賞を受賞。その他、『美人論』『関西人の正体』(朝日文庫)、『京都ぎらい 官能篇』(朝日新書)など著書多数。 【目次抜粋】 まえがき 第1章 京都人とパリジャンの気質 第2章 京都の花街、パリのキャバレーや娼館 第3章 京女、パリジェンヌの美人力 第4章 京都とパリの魅力、都市史 第5章 京都とパリの食事情 注釈 あとがき
  • 共同討議 ドストエフスキーの哲学
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    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【内容紹介・目次・著者略歴】 19世紀ロシアの大文豪にして思想家ドストエフスキーの哲学的な意味を、和辻、高坂、唐木、西谷、森の5人が徹底的に読み解いた快著。 【目次】 第一章 ドストエフスキーとその時代  唐木順三 ドストエフスキーの哲学的意味 将来の哲学への示唆 ドストエフスキーの思想的境位 ドストエフスキーの生涯 ドストエフスキーの芸術 ドストエフスキーの思想 『おとなしい女』 ドストエフスキーにおける芸術と哲学の葛藤 リアリティの問題 ドストエフスキーにおける主体的リアリズム 第二章 ドストエフスキーにおける「人間」の問題  西谷啓治 ドストエフスキーの人間観 ドストエフスキーの人間観と人間としてのドストエフスキー ドストエフスキーの人間理念 ドストエフスキーにおける美の問題 ドストエフスキーの自由観 美と愛の問題 ニーチェとドストエフスキー 悪魔の問題 スタヴローギンの解釈 自由と自殺について ドストエフスキーと哲学者たち 第三章 ドストエフスキーにおける「革命」の問題  高坂正顕 人間とロシア的なるもの ロシアと西欧 社会主義と革命 ドストエフスキーと西欧精神 ドストエフスキーと社会主義 スラヴォフィールとインテリゲンチャ 予言者ドストエフスキー 第四章 ドストエフスキーにおける「神」の問題  森 有正 神の問題 罪悪の問題 キリストの問題 信仰の基礎としての共同存在 罪と共同存在 世界悪と復活 ロシア的宗教性の特質 第五章 ドストエフスキーと現代  和辻哲郎 ドストエフスキーの残した問題 倫理の世界と合理主義 倫理と宗教 知性と宗教 絶対の立場と相対の立場 ドストエフスキー受容の問題 ドストエフスキーと新しき哲学 参考文献 和辻 哲郎 1889-1960年。哲学者、倫理学者、文化史家。 東京帝国大学文科大学哲学科卒業。法政大学教授、京都帝国大学教授、東京帝国大学教授を歴任。日本倫理学会会員。文化勲章受章。 著書に、『ニイチェ研究』『ゼエレン・キエルケゴオル』『偶像再興』『古寺巡礼』『日本古代文化』『日本精神史研究』『原始基督教の文化史的意義』改版『原始キリスト教の文化史的意義』『原始仏教の実践哲学』『人間の学としての倫理学』『続 日本精神史研究』『風土 人間学的考察』『カント 実践理性批判』『面とペルソナ』『倫理学』『人格と人類性』『孔子』『尊皇思想とその傳統』『日本の臣道 アメリカの國民性』『ホメーロス批判』『國民統合の象徴』『ポリス的人間の倫理学』『ギリシア倫理学史』『ケーベル先生』『イタリア古寺巡礼』『鎖國 日本の悲劇』『近代歴史哲学の先駆者』『埋もれた日本』『日本倫理思想史』『日本芸術史研究』『桂離宮』『自叙傳の試み』『故国の妻へ』『妻 和辻照への手紙』『黄道』『初旅の記』『仏教倫理思想史』『沙門道元』などがある。 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
  • 京の離宮と御所
    完結
    -
    桂離宮・修学院離宮・京都御所・仙洞御所・大宮御所のいわゆる京都の五大宮廷建築は、日本文化および美意識の精髄として多くの観光客を集め、国内外の識者から賞賛されてきた。これらの離宮と御所、国の迎賓施設として2005年に開館して以来人気を集めている京都迎賓館をあわせて、写真家・中田昭氏による美麗なビジュアルで紹介・解説した1冊。 巻頭特集では、日本庭園に造詣の深い造園の第一人者・十一代植治こと小川治兵衛氏に桂離宮や修学院離宮のみどころをガイドしていただく。 ●桂離宮  (表門、御幸門、外腰掛、州浜、松琴亭、賞花亭、園林堂、笑意軒、書院、月見台、月波楼、御輿寄、 ●修学院離宮  <下離宮>寿月観  <中離宮>楽只軒、客殿  <上離宮>大刈込み、隣雲亭、窮邃亭、浴龍池、楓橋、西浜 ●京都御所  紫宸殿、清涼殿、小御所、御学問所、御常御殿、御三間、皇后御殿、飛香舎、諸大夫の間、紫宸殿南庭、清涼殿東庭、建礼門 ●仙洞御所・大宮御所  京都大宮御所御車寄、京都大宮御所御常御殿と南庭、北池、又新亭、阿古瀬淵、紅葉橋、南池、醒花亭 ●京都迎賓館  正面玄関、聚楽の間、夕映の間、藤の間、桐の間、庭園 ・用語解説 ・関連年表 ・参観・見学申込要項 ※この電子書籍は2020年3月にJTBパブリッシングから発行された図書を画像化したものです。電子書籍化にあたり、一部内容を変更している場合があります
  • 「笹離宮」蓼科笹類植物園の魅力
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 2014年8月、長野県茅野市に完成した「笹離宮」。 日本、いや世界でも例を見ない笹類の見本園である笹類植物園と、数寄屋造りの建物、庭を合体させた日本初の竹笹文化と数寄屋文化の融合した施設。数寄屋部分は、日本でも屈指の建築家、故・安井清氏の設計。 氏は、数寄屋を中心に伝統建築を手がけた伝統建築家で、千利休の遺構、茶室「待庵(たいあん)」の修理をはじめ、国宝茶室「如庵(じょあん)」の移築などに携わり、1976年(昭和51年)から行われた桂離宮の大修理では現場の責任者として職人を束ねた棟梁でもある。 笹離宮~蓼科笹類植物園~の紹介、数寄屋造りは日本の「心」、笹類についての考察などが主な内容。
  • 茶人・小堀遠州の正体 寛永文化の立役者
    4.0
    小堀遠州の生きた時代は、後水尾天皇を中心とし、茶の湯では、千宗旦・金森宗和・小堀遠州、生け花では池坊専好、儒学では石川丈山・林羅山、禅では沢庵宗彭、書は寛永の三筆(近衛信尹・松花堂昭乗・本阿弥光悦)、美術では、俵屋宗達・狩野探幽・野々村仁清などがいて、まさに文化が花開いた時代だった。当時の建築物としては桂離宮・修学院離宮・日光東照宮などがある。 その時代に、幕府の作事奉行として、デザイン等を仕切っていた小堀遠州の人物像は、意外に知られていない。本書では、茶陶研究の第一人者である著者が、当時の茶会記や、周辺の記録を分析し、その考え方や人物像を明らかにしていく。草庵の囚われを排除し書院を茶室にして、端正な品格を生み出し、また中国、朝鮮半島、オランダに焼き物を注文するなどその美意識の高さはいまなお注目に値する。千利休、古田織部と並び称されるまでに新しい茶の世界を切りひらいた芸術家・小堀遠州の美意識とは。
  • 月と日本建築~桂離宮から月を観る~
    3.3
    古来、観月と日本建築は深く結びついていた――。敗者のシンボルか? 滅びの美か? 研究着手から15年。桂離宮、銀閣寺、伏見城を中心に、秘められた数奇なドラマを読む。
  • 豊臣家の人々
    4.1
    殺生関白秀次、太閤様以上と囁かれた北ノ政所、桂離宮を造営した八条宮、大坂城とともに滅んだ淀殿母子など、ひとひらの幻影のような豊臣家の栄華のあとを、研ぎ澄まされた史眼と躍動する筆で現代によみがえらせ、司馬文学の魅力を満喫させる連作長篇。
  • 虹いくたび
    -
    建築家水原のそれぞれ母の違う三人の娘、自殺した母の悲劇と戦争に恋人を奪われた心の傷みのために次々と年下の美少年を愛する姉百子、京都の芸者の子である妹若子、全く性格の違う姉や妹をはらはらと見守る優しい麻子。大徳寺、都踊り、四条から桂離宮――雅やかな京風俗を背景に、琵琶の湖面に浮んだ虹のはかなさ美しさにも似た三姉妹の愛と生命の哀しみを描く名作。

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  • 日本建築入門 ──近代と伝統
    3.3
    近代の日本建築には、「日本という国への意識」が脈々と流れている。つまり、日本の建築を見れば、「日本的なるものとは何か」というアイデンティティの問いに対峙することにもなる。オリンピック競技場、万博パヴィリオン、国会議事堂、皇居など、海外からの注目も集める国家規模のプロジェクトが計画されるたび、伊勢神宮、桂離宮などの伝統建築が再検討され、議論が重ねられてきた。本書では、建築史・建築批評の第一人者が日本のシンボリックな有名建築をとりあげ、それらの議論を詳細に追う。日本のナショナリズムとモダニズムの相克がいま蘇る!
  • 日本庭園のひみつ 見かた・楽しみかたがわかる本 鑑賞のコツ超入門
    完結
    -
    全1巻1,892円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ★ 鑑賞にやくだつ 全国 日本庭園MAPつき! ★ 鑑賞のポイントから 歴史に欠かせない重要人物まで。 豊富な写真と解説で、 奥深い庭園の世界にご案内します。 ★ 野原の小川を示す「遣水」、 あの世への思いを託した「中島」、 結界の役割を持つ「橋」… 構成要素で見る鑑賞のポイント。 ★ 枯山水、書院造、茶室と露地… 時代で見る鑑賞のポイント ◆◇◆ 著者からのコメント ◆◇◆ 「庭」とは、古くは祭祀や儀式を行うための 神聖な場所をさしたといわれます。 日本の政治はおもに天皇を中心とする朝廷によって 行われてきましたが、まさに朝廷の「廷」は 庭に由来するのです。 早朝、白砂を敷いて浄化された庭に皇族が集まり、 儀式を行ったことがその語源とされます。 いっぽう日本各地で発掘される「環状遺跡」と呼ばれる 巨石を円状に並べた古代の遺構がありますが、 これらは古来、神が宿ると信じられてきた巨石(磐座)を 中心に古代人が祭祀を行った場所で「にわ」と 呼ばれていました。 京都のルーツ・平安京が開かれると、 皇居である大内裏に接して日本最古の 寝殿造り系庭園である神泉苑が作られますが、 この庭も儀式のための神聖な場所でした。 庭とはただ単に自然を楽しみ癒される 対象というよりも、むしろ日本人の精神の発祥に関わる 神聖な存在であることが垣間見えるのです。 本書は、従来の庭園のガイドブックに 数多く見られるような、その造形的魅力の 解説に加え、さらにこうした庭園の本質的な 意味について、平易な文章でまとめたものです。 これまでの庭園の解釈に加え、 新たな視点をもって庭に対峙した時、 そこにさらなる魅力を感じていただければ、 本書のもくろみははたされたことになります。 宮元健次 ◆◇◆ 主な目次 ◆◇◆ ☆ 第一章 時代ごとに見る日本庭園鑑賞のポイント * 時代ごとに見る庭園形式 ・ 浄土式庭園の特徴を見る ・ 寝殿造り系庭園の特徴を見る ・ 枯山水庭園の特徴を見る ・・・など全9項目13ポイント * 時代ごとに見る作庭家 ・・・全2ポイント ☆ 第二章 構成要素から見る日本庭園鑑賞のポイント * 庭園を構成する要素を見る ・ 自然風景式庭園 ・ 水 ・ 石 ・・・など全5項目28ポイント * 茶室の露地を見る ・ 茶室の露地 ・・・全1項目8ポイント ☆ 第三章 庭園鑑賞の基本をおさえる ・・・全4ポイント 【Column】 * 重森三玲の作品に触れられる「重森三玲庭園美術館」 * 日本庭園の最高傑作「桂離宮」造営の歩み * 岩石の特徴を知る * 3つの離宮から構成された雄大な日本庭園「修学院離宮」 ・・・全4項目 ※ 本書は2010年発行の 『歴史と文化を愉しむ 日本庭園 鑑賞のポイント55』 を元にした新版です。
  • 「日本の遺産」ミステリー
    -
    誰もが一度は目にした「この遺産」には「表の顔」と「裏の顔」がある!仁徳天皇陵古墳の埋葬者、法隆寺の謎の柱、桂離宮とキリシタン、松本城の傾いた天守……不思議な「符号」はいったい何を語るのか?▽藤ノ木古墳……出てきたのは「女装の被葬者」!▽高松塚古墳……おなじみの飛鳥美人は「コピー」だった▽補陀洛山寺……那智海水浴場に残る「不老不死」への船出▽四国お遍路……八八番札所から逆回りに巡ると何かが起こる!?▽戦場ヶ原……誰と誰が戦ったからこう名付けられたのか▽徳川実紀……幕府の正史に記録された「宇宙人との遭遇」!?▽源氏物語……タイトルだけの帖「雲隠」――その幻の内容とは?▽グラバー邸…長崎の洋館に残る「フリーメイソンの紋章」の謎古墳、寺社、絶景、古文書、美術、城郭……73の遺産に秘められた「ドラマ」が明らかに!

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  • 日本美の再発見 増補改訳版
    3.6
    桂離宮をはじめ、伊勢神宮、飛騨白川の農家および秋田の民家などの美は、ドイツの建築家タウトによって「再発見」された。彼は、ナチスを逃れて滞在した日本で、はからずもそれらの日本建築に「最大の単純の中の最大の芸術」の典型を見いだしたのであった。日本建築に接して驚嘆し、それを通して日本文化の深奥に遊んだ魂の記録。

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  • 庭と日本人
    3.4
    縄文のストーンサークルも浄土庭園も、はたまた枯山水も京町家の坪庭も、日本の庭にはすべて魂(タマ)すなわちオーラがある。現代日本人をも魅了してやまない数々の名庭もまた、西洋の庭園とは異なり、ただ美しく快適なだけではない。それらは時代ごとの理想を体現し、日本人の精神の歴史をもの語る――。桂離宮や御所をはじめ、有名無名とりまぜた京都の庭めぐりを通じて読み解く「庭の日本文化論」。

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  • 文豪と京の「庭」「桜」
    -
    「仙洞御所庭園」を“美しい老いた狂女”に喩えた三島、「糺(ただす)の森」に子規を失った“心の寒さ”を覚えた漱石、「平安神宮」の紅枝垂れ桜に“エロスへの憧憬と拝跪”を秘めた谷崎……。日本の近代文学を彩る文豪たちは皆、京都の情景に魅せられ、自らの作品にそれを描いてきた。本書は、祇園の夜桜や竜安寺の石庭など、誰もが知る京都の新たな魅力を、数々の名作を手がかりに描き出す。また、京の「庭」「桜」という新たな観点から文豪を捉え直すことで、彼らの知られざる本質を明らかにした一冊である。【目次】はじめに/第一部 桜/第一章 平安神宮<『細雪』の紅枝垂> 谷崎潤一郎 川端康成/第二章 円山公園<祇園の夜桜> 丸谷才一 九鬼周造/第三章 常照皇寺<九重桜> 福永武彦 芝木好子/第二部 庭(1)――社寺/第四章 下鴨神社<京に着ける夕> 夏目漱石 高浜虚子/第五章 青蓮院<楠の巨木> 永井荷風 芥川龍之介/第六章 竜安寺<石庭を読み解く> 志賀直哉 井上靖 立原正秋/第三部 庭(2)――御所・離宮/第七章 紫宸殿南庭<京の10日間> 森鴎外/第八章 仙洞御所<「静寂」の庭> 三島由紀夫/第九章 修学院離宮<帝王の庭> 大佛次郎/第十章 桂離宮<美の意匠> 野上豊一郎 和辻哲郎 井上靖
  • プロジェクトX 挑戦者たち 未踏の地平をめざせ 桂離宮 職人魂ここにあり~空前の修復作戦~
    5.0
    情熱に満ちた人々の挑戦を描くドキュメンタリー番組「プロジェクトX」第7期シリーズ。昭和51年に行われた京都・桂離宮の空前の大修理に挑んだ大工の棟梁・川上英男。今作は、日本が誇る建築物の復活に賭け、困難な仕事に立ち向かった男たちの姿を描く。

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  • 横濱王
    4.1
    今の日本に、こんなリーダーがほしかった!  昭和13年、青年実業家の瀬田修司は横濱に降り立った。関東大震災から復興した横濱は、ジャズが流れモガ・モボが闊歩する華やかな文化あふれる国際都市。折しも日中戦争が始まり、軍需景気にあやかりたい瀬田は、横濱一の大富豪である原三渓からの出資を得ようと、三渓について調べ始める。  実業家としての三渓は、富岡製糸場のオーナーであり「生糸王」の異名を持っていた。関東大震災では、復興の先頭に立ち私財をなげうって被災者の救済にあたった。また、稀代の数寄者として名を馳せ、茶の湯に通じ、「西の桂離宮、東の三渓園」と言われる名園を築いた文化人。前田青邨や小林古径など、日本画家の育成を支援……と、いくら調べても交渉材料となるような醜聞は見つからず、瀬田は苛立つ。  やがて「電力王」として知られる実業家、松永安左ヱ門に会った瀬田は、松永の仲介で三渓に会うことが叶う。  三渓園の茶室を訪れた瀬田は、そこで原三渓と話を交わしたことで、少しずつ考えを変えていく。  実は少年時代、瀬田には三渓にまつわる忘れ得ぬ記憶があった……。 ※この作品は過去に単行本版として配信されていた『横濱王』の文庫版となります。
  • 旅行が楽しくなる 日本遺産巡礼 西日本30選
    3.5
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 古都の名所「桂離宮」、「龍安寺石庭」から 必見の秘境「三仏寺投入堂」、「今帰仁城」まで 西日本の珠玉の名所の30選をイラスト入りでリポート 富士山、富岡製糸場をはじめ、日本の名勝・史跡が登録されたことによって、「世界遺産」が今、再び注目を集めています。 これに登録された施設には確かにため息が出るような絶品が多いですが、海外からお墨付きをもらって初めて訪れるというのは、日本人としては少し寂しい気がします。 日本国内には、「世界遺産」への登録や申請の有無にかかわらず、必見の歴史遺産はたくさんあるのです。 本書では、これら「日本遺産」の施設を、文章担当の磯達雄とイラスト担当の宮沢洋が訪れ、特に強く心を動かされた西日本の30件をリポートしています。これまでの旅行本とは一線を画すダイナミックな写真も見物。旅のお供に必携の一冊です。
  • 和辻哲郎 建築と風土
    -
    いまだかつて哲学研究者たちによって顧みられることがなかった和辻哲郎の建築論を、四つの著作『風土』『古寺巡礼』『イタリア古寺巡礼』『故国の妻へ』と、「桂離宮印象記」をはじめとした桂離宮論のうちに探り、知られざる和辻の射程を、その広がりと深さにおいて示す試み。唐招提寺、薬師寺、法隆寺から、マルセーユ、ローマ、ゴスラー、ローテンブルクの寺院や遺跡を訪ね歩き、そして桂離宮へ――。その足取りをたどりなおし、空間的要素と時間的要素を総合する和辻の眼を手に入れる。

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