小説 - 光文社作品一覧

  • 報復倒産
    -
    大岩昭平は闇屋から薬品メーカーに成長したワンマン社長。社風刷新のため、役員と労組が結託し、社長追放策を練りだした。大岩も負けてはいない。高値で株を売った後、内紛を流布して株価を暴落させる。社長の座は譲った。だが、制がん剤成功のニセ情報で、再び大混乱を……。悪徳経営者が社員を手玉にし、倒産へ導く残酷小説。
  • アマゾン・チェイス
    -
    女優兼歌手の水木精子、十八歳。ロック・グループの沖田烈、二十歳。二人は、新車のCMフィルムのタレントに起用され、撮影地・アマゾンに出かけた。ところが、撮影開始早々、二人の乗った4WDセダンは、かき消すように蒸発してしまった! 二人の身に何が……!? 真っ青な空の下、アマゾン流域に展開する青春冒険ハードロマン!
  • デュエット
    -
    「滝さんがこーんなきれいな人と結婚だあ!」璃々(りり)は高校一年生。滝は璃々の両親が管理人を務(つと)めるアパートの住人で、兄のように慕(した)う人だ。なのに、一見、天使みたいな彼の婚約者には、怪しげな裏の顔があるらしい……。大の親友・有美(ゆみ)と一緒に真相を探り始めると、そこには思いもかけない事件が待っていた! ユーモラスでいて切ない、恋愛ミステリーの傑作登場!
  • 名のない男
    5.0
    「私」は警視庁捜査四課の秘密捜査官。潜入先が変わるたびに違う名を持つ「名前のない男」だ。本当の身分を知っているのは、首脳部の限られた人間と一部の同僚のみ。今日も愛銃ベレッタと鍛え上げた肉体を駆使し、組織犯罪に斬り込んでゆく。スピーディーな展開と随所に光るユーモア感覚。明日をも知れぬ覆面刑事の神出鬼没の活躍を描く、連作アクション12編!
  • 雇われ探偵
    5.0
    〃俺〃のモットーは「くだらぬモラルよりも、目の前の現ナマと女」。荒っぽい仕事はお手のものだ。相棒は、女にめっぽう強い高木と美貌の秘書・千津子。今日も愛車の改造ルノーを駆(か)り、モーゼルHscをぶっぱなす! 息もつかせぬ展開に、キレの良いセリフ──無頼の私立探偵・津島(つしま)のダーティー・ヒーローぶりが光る連作11編!
  • 非情の標的
    -
    たった一人の弟が行方不明になった!? 指名手配され、アルゼンチンに逃亡していた浅岡晃一が急遽帰国した。鳥類学者だった弟に何が? 捜索する浅岡の行く手に、つぎつぎと立ちはだかる暴力団。その背後には、日本の暴力組織を牛耳る国際的謀略機関があった! 不屈の魂と自動拳銃モーゼルHSCを武器に闘う浅岡晃一。白熱のノン・ストップ小説。
  • ダブル・フェイス
    -
    落合義夫、24歳。実直に生きてきた若者の前に、美女と大金と、ついでに危険まで転がりこんできた! 落合は、自分の中に隠れていた悪の芽と強力なパワーに気づき、暴力団を相手に大暴れ。絶体絶命のピンチの中で知らされた、彼自身の秘密とは?――本格推理を得意としてきた乱歩賞作家が切り拓いた、痛快サスペンスの会心作!
  • 爆 弾 魔
    4.0
    深夜営業の量販店を狙った連続爆弾テロが発生。標的はいわく付きの社長か。しかし、新たに別のショッピングセンターで爆弾事件が! 25年前に起きた爆弾事件で警察をやめた警備員・藤村は、現場で、獄中にいるはずの男を見つけた。藤村の娘の警察官・早苗を巻き込み、爆弾魔は闇の中で哄笑する……。元刑事と爆弾魔の息詰まる攻防を描く傑作クライムノベル!
  • 水底(みなそこ)から君を呼ぶ
    3.7
    真夜中のプールに忍び込み戯(たわむ)れる4人の美女。ふと気づくと、1人が忽然と姿を消していた! 水面(みなも)に浮かぶ大輪の白い花……。そして、残りの3人にも何者かの魔手が忍び寄る。2人目はニューカレドニアの海でダイビング中に消えて――。新妻を喪(うしな)った男が知った、女たちが共有する冥(くら)く忌(い)まわしい秘密とは? 人の心の奥底に巣くう深い闇と切ない愛を描く、戦慄(せんりつ)の物語。
  • 死人(しびと)を恋(こ)う
    3.4
    (クリスマス・イヴに死のう)人里離れた山林に死に場所を求めた「僕」の前に、一台の車が現れた。やって来たのは、自殺サイトで知り合ったらしき男女6人――。彼らの最期(さいご)を陰から見届けた僕は、その中の一人の美少女に目を奪われた。彼女のあどけない死に顔が、僕の冥(くら)い欲望に火をつけた……。人間の深い業(ごう)を描き、戦慄の世界へと誘う衝撃の書!
  • 影踏み
    -
    中学生のボクは、成績優秀でいわゆる優等生だった。クラスのいじめられっ子を救済したこともある。ところが、一カ月の入院生活がボクに気持ちの変化をもたらした。退院すると、かつてのいじめられっ子を、今度はこのボクがいじめるようになってしまったのだ……!? 少年の日常を通して、いじめ問題を、いじめる側から描いて警鐘を鳴らす現代教養小説。
  • 銀行喰い
    -
    バブル景気の最中、30代の若さで建設コンサルタント会社を設立した鬼頭慶之介は、「不動産こそ、濡れ手で粟の商売」を信条に、地上げに野心を燃やす。暴力団、仕手集団など闇世界の人間との絆を深めながら、都市銀行のなかでももっとも利益追求に貪欲な御堂銀行をメインバンクにして、経済界に乗り込むが……。銀行と企業の暗部を描いた衝撃のドキュメント・ノベル。
  • 夕焼け小焼けで殺されて
    -
    忍び込み(ノビ)専門の泥棒・八島(やつしま)大二郎は、宝石商の事務所に盗みに入る。ところが、苦心して開けた金庫の中から転がり出たのは、男の死体だった! 殺人容疑をかけられた大二郎は、警察署から脱走、自ら真犯人捜しに奔走(ほんそう)する。続いて起こる、第二、第三の殺人――。北多摩署の名物刑事・蟹沢、相馬と密かに連携を取りながら探り出した、驚くべき真相とは?
  • 破牢の人
    -
    無実の罪で無期懲役を言い渡された男の、執念の脱獄行! 愛する妻子と暮らす獅子原由造。彼は借金に困って強盗を働くが、身に覚えのない殺人罪まで着せられてしまう! 冤罪の屈辱に堪え、服役する獅子原。そんななか、妻と娘が何者かに惨殺される事件が! 犯人を探すため、獅子原は最初の脱獄を決行し、雪深き八甲田越えを目指した。──一読感動の巨編。
  • ネズミを狩る刑事(デカ)
    -
    「犯人(ネズミ)を捕らない刑事(ネコ)には用はない」。たとえ出世はしなくても、犯人検挙に全力を尽くす蟹沢石太郎警部補の信条だ。──毒ヘビによる死亡事件や連続拳銃強盗事件など、何かと物騒な北多摩署管内で、またも大事件! ホステスの強姦殺害が発生した。捜査陣はB型の男をマークする……が!? 逆転また逆転。蟹沢・相馬の好漢刑事コンビが大活躍!
  • 殺人幻想曲
    -
    現代版〈阿部定〉事件発生! 東京・立川市で見つかった会社員の死体は、犯人によって股間のものを切り取られていた。動機は嫉妬か怨恨か? それとも痴女の犯行か? 混乱する捜査陣を尻目に、やがて第二、第三のチョン切り事件が! 昇進よりも犯人検挙に力を注ぐ北多摩署・蟹沢石太郎警部補が、相馬刑事とコンビを組んで、難事件に立ち向かう!
  • 北リアス海岸殺人事件
    -
    15年前、ブラジルで仲間四人を殺害し、15億円を持ち逃げした阿部は、故郷岩手でホテル王として君臨していた。濡れ衣を着せられた井出は、脱走に成功、復讐の鬼と化し、日本に帰り着いた。しかし、阿部失脚を画策した矢先、事態は急転。そして謎の連続殺人が! 風光明媚な三陸海岸を舞台に、著者渾身のサスペンス!!
  • 女学生
    3.3
    父親の会社から2千万円もの大金を持ち出し、恋人に貢(みつ)ぐ少女。女子高を舞台に、生徒と先生の禁煙競争を提案し、教師を翻弄する優等生。家出少女と勘違いされ、老紳士の豪邸で生活することになるセーラー服を着た“女優”。殺人犯に似た若い男性教師を追い詰める2人の女子中学生……。ハプニングと向きあう女学生たちの心理を鮮やかに描いたオムニバス・サスペンス。
  • ひとり夢見る
    -
    女子高生・浅倉(あさくら)ひとみの母・しのぶは元女優。これまで女手ひとつで、ひとみを育ててくれた。だが、母にパトロンがいると聞かされたひとみは、ショックを受け、夜の町に飛び出してしまう。泣き疲れて、眠りに落ち――、ふと目を覚ますと、そこは18年前の撮影所だった。母と共演することになったひとみは、父親が誰なのかを探るが……。母娘(おやこ)の絆を描いた傑作ミステリー。
  • オロロンの呪縛(じゅばく)
    -
    過去を棄てた女・遠山崇子(とおやまたかこ)は、偶然出会った男と納沙布(のさっぷ)市の民宿に泊まった。ところが何者かの力で、他の三名の宿泊者とともに、突如監禁されてしまう。脱出を図る五人の男女の行く手を阻(はば)む、姿なき敵の正体は? 一方、妹の救出に北海道に飛んだ遠山直弘(なおひろ)は、そこで某大国の恐るべき陰謀を知るが……。戦慄が疾(はし)る北の町を舞台に描く、西村バイオレンスの極致。
  • 犬  笛
    4.0
    殺人現場に遭遇したことから、愛娘が何者かに誘拐された! 行方を探すため、父親は愛犬の鉄を連れて全国を彷徨(さまよ)う。一縷の望みは、娘の首に下がっているゴールトン・ホイッスル、犬笛だ。娘が吹けば、必ず鉄が感応する。娘を想う父親の執念。誘拐の陰で蠢(うごめ)く巨大組織間の抗争……。父娘と愛犬の絆、そして真の男たちを活写した感動の名作!
  • 悪霊の棲む日々
    -
    〃ある所に不老不死の仙薬と、美女をはべらす「悦楽のルート」がある〃殺人容疑で逃亡中の多門辰也は、バスの中で自分に酷似した男から、そう打ち明けられた。奇妙な雰囲気を醸し出す男。その彼が、突然、心臓麻痺死した。多門は、その男になりすまして「悦楽のルート」を追う。やがて瀬戸内に浮かぶ小島に辿り着いた彼は、そこに魔性の群れを見た……。驚愕のハード・バイオレンス!
  • 道(みち)
    -
    麻薬の最大陸揚げ地といわれる東京湾のなかでも、屈指の麻薬業者〃港湾運輸センター〃。この闇の世界に〃ガンス老〃は、いっさいの過去を捨てて潜入し、はや十五年……。そのガンスが襲われ、さらに彼が育てた安芸友十も拉致された! 隙をつき脱出した友十は、ガンスが殺されたと聞き、復讐の旅に出た……。巨大麻薬組織(ベイ・コネクション)との死闘を活写した著者会心の新暴力巨編(ハード・バイオレンス)!
  • 死神(ザ・デス)
    3.0
    刑事安芸新八の妻・真澄は、一人息子の守介を連れて郷里の新潟県十日町に向かっていた。途中、豊富な金の産出で賑わう国分村に立ち寄った際、飢えた七人の少年に襲われ、守助は撲殺され、真澄は性交奴隷として飼われるはめに……。行方を追う新八も村人の罠に落ちた。復讐に燃え、鬼と化した夫と妻の凄絶な怨念を描く著者渾身のハード・バイオレンス衝撃作!
  • 監置零(ゼロ)号
    4.0
    高沢法律事務所のイソ弁・原田恭司は、人間を平等に見る男で、順番の回ってきた国選弁護人を断わったことがない。その原田が、人を殺した! 彼は警察の取調べに完全黙秘を通し〃監置零号〃と呼ばれるようになった……。法廷の裏側に隠された驚愕の事実を暴く敏腕弁護士の苦闘を描いた、ハード・サスペンスの傑作!
  • 襤褸(ぼろ)の詩(うた)
    5.0
    掏摸の亀造、元博徒の三四郎、そして元刑事の源吉は、あてのない旅を続けていた。ある日、亀造が中国人の男から財布を掏ったところ、中には諜報戦の鍵を握る機密文書が隠されていた。 各国の諜報部員が入り乱れての機密文書争奪戦が始まった! レイプの嵐吹き荒れる長編ハード・アクション小説の痛快作!
  • 衄(ちぬ)られた寒月
    5.0
    三人の人妻を凌辱した暴走族を、異常聴覚を持った少年・古城洋佑と愛犬クロが襲って殺傷、そのまま山中に行方を絶った。徳田左近は、警察庁刑事局捜査第一課の特別処理係長。事件を調べる徳田刑事は、背後に大がかりな贈収賄事件の影を見た! 人間の心理の限界に迫るハード・サスペンスの圧倒作!
  • 最終列車
    -
    広島駅構内で中谷は手錠を掛けられた。〃怪盗もヤキが回ったなァ〃と舌打ちした。彼は六年前から、名古屋に多喜子、京都に比佐子、広島に美佳という美女を囲い、新幹線を活用し、窃盗で稼いでは彼女らを歓喜させてきた。だが、今は人生の「最終列車」に乗せられたに等しい。ところが、まず、美佳が激励に現われて……。犯罪小説(クライム・ノベル)の名手が、様々な男女の生きざまを展開!
  • 勇士の墓
    -
    大日本電話公社の玉城季明(たましろとしあき)は、総裁秘書の肉感的美人・桜井ケイ子を武器に、辣腕を振るってきた。しかし思わぬ左遷の打診。玉城は、マルチメディア事業への進出を図る会社・アカツキの社長へと転身した。そこに待ち受けていたのは……。「IT革命」の戦士である一人の起業家の目を通して、この新しい産業の深層と、その最も隠微な部分を白日の下に曝(さら)す経済小説。
  • 架空集団
    -
    天性の美貌とプロポーションに恵まれた真木珠恵は、大手デパートを取引先にもつギフト用品販売会社の社長である。資本金わずか200万円。しかし彼女は金融業者から3500億円の融資を受け、230億円の債務をつくる。返済を迫られた彼女がとった行動とは? いつでもどこでも誰の身にも起こりうる悲劇。金融業界のからくりに翻弄される人間を描いた経済悪漢小説(ピカレスク)。
  • 株価操作
    -
    津上修二との結婚を控えた滝沢麻衣子が突然姿を消した。勤務先の極東(きょくとう)製薬には長期休暇届が出されている。行方を探し始めた津上は、怪しげな業界紙で働く旧知の具坂英史(ぐさかえいじ)から「3年前、杉並区で起きた轢(ひ)き逃げ事件を調べろ」と示唆(しさ)された……。また極東製薬は過去に2度、株価操作の疑惑がもたれていた。津上が明らかにする驚くべき事実とは!? 傑作長編経済推理。
  • 相続人の妻
    -
    兜町の名門証券・玉文(たまぶん)グループは、相場師・玉木文吉(たまきぶんきち)が一代で築き上げた。文吉亡きあと、長男の由晴(よしはる)がグループの中心企業・玉文証券を、弟の耕司は系列の玉文産業を継ぐ。……バブル崩壊の不況下、玉文証券が経営危機に陥ると、由晴は責任逃れに終始。耕司が協力する代わりに経営責任を問うと、兄弟は敵対関係に。ここに名家の出、由晴の妻が絡み骨肉の内紛劇が起こった。
  • 派閥渦紋
    -
    日本有数の財閥系生保・結城生命相互。その結城家に唯一の男子として生まれた結城正男は、不義の子ゆえに傍系の昭和製鉄に勤務していた。いつか重役として迎えられるという夢、その可能性が皆無だと思い知った正男は、目標を切り替え昭和製鉄内での出世を目指す。そして熾烈な派閥抗争の渦中に、積極的に身を投じていくのだが……。大勝負に出た一課長の賭けは!?
  • 銀行恐喝
    -
    北九州N県の地銀・西海(さいかい)銀行は、融資の停止などの業務の見直しを進めていた。そして頭取の久慈悟(くじさとる)は、取引先の怨みを買った。その一泊ゴルフは、闇の世界が仕掛けた罠だった。同伴ホステスのマリコと、裸で絡(から)んだ写真。久慈は嵌(は)められた。たった数葉の写真が、巨額の不正融資事件へとつながった。銀行と闇世界の拘(かかわ)り、銀行の旧弊な体質を、白日の下(もと)に晒した傑作。
  • 社内情事
    -
    “浮気でもしたら?”課長職にあって心身ともに疲労する夫を気づかった妻の一言は、まさに悪魔(あくま)の囁(ささや)きだった。部下とベッドをともにする男。ありふれた社内情事に、崩(くず)れはじめるサラリーマンの心理。――男と女の物語を濃密(のうみつ)なエロチシズムで描きながら、企業やサラリーマンの経済活動と、人間社会の本質を鋭く見抜いた傑作企業小説。
  • 出世運の女
    -
    シガ化学工業常務取締役の高沢秀雄(たかざわひでお)は、55歳のとき、小肥りで平凡な容貌の料理屋仲居(なかい)と、ふとしたはずみで関係を持ったことから運命が変わった。筆頭専務、副社長、社長という出世の階段を一気に駆け上がったのだ。社長の権力を利し私腹を肥やす高沢に、女が告げた言葉とは……?(表題作)――。企業人の中の人間的な部分、その心理を的確に捉えて描く異色作品集。(『取締役の首』改題)
  • 三人の賢者
    -
    エアライン・日空ビルの28階取締役室。そこでは名誉会長、会長、社長、3人の老人が、後継社長人事をめぐって暗闘を繰りひろげていた。トップの確執を、社員は息を詰めて見守った。前途に不安を抱き緊張がみなぎっていた……。「その女、スパイかもしれないぞ」上司の邪推に、経営企画室の岡弘文はたじろいだ……。巨大企業の中に息づく人間群像を鮮烈に描く力作。
  • 裏  金
    -
    年間五、六十億円の裏金。政治家への成功報酬、受注競争の工作資金はここから捻出される。アイダ建設の柏木はある日、業務企画部長を命ぜられた。それは、本来ないことになっている金、裏金の管理が仕事だった。そして贈賄が発覚、柏木の日常は一変した。逃亡生活、彼を追う殺し屋(ヒットマン)。──現代社会の暗部、ゼネコン汚職の構図を、「裏金」をテーマに鮮やかに描いた傑作。
  • 君  臨
    -
    杉友銀行会長・鹿島正勝は、なぜ13年間も君臨していられたのか? 経済評論家の岩沼満之は、その鹿島の訃報に接して自殺ではないかと疑った。低迷する杉友を最強の戦闘集団に変え、都市銀行のトップに返り咲かせた鹿島。彼はその後の独断専行と相次ぐ不祥事で、銀行を追われたのだった。一人の男の姿を通じて、バブル崩壊、金融業界の内幕を鮮烈に描く傑作。
  • 支店長の遺書~憤死~
    -
    東京新宿で、中野区の区会議員の変死体が発見された。捜査の結果、この事件の二カ月前に焼身自殺した筑波銀行新宿支店長との関連が浮かんだ。議員らにだまされ、二億円もの不正融資をさせられたとの抗議の遺書。しかし銀行は、スキャンダルを恐れ、事件をうやむやに処理していた。現代の聖域、銀行の知られざる内幕に、鋭いメスを入れた企業推理小説の傑作。
  • 重要参考人~医大理事~
    -
    産婦人科病院を経営し、医大と付属高校の理事・副理事を兼務する菊川に、その人生を一変させるような事件が起きた。父兄代表を名のる男が菊川を監禁脅迫し、三億円近い大金を学校の口座から引き出したのだ。まぎれもない被害者・菊川。しかし彼はその金権体質を批判され、いつしか重要参考人、容疑者へ立場をすり替えられたのだ。サスペンスあふれる濃密な小説。(『医大理事』改題)
  • 神は裁かない
    -
    深夜の怪電話に導かれ、夫の情事を目撃した松岡医院院長夫人・柳子は、翌朝自分の隣りのベッドで夫の死体を発見!? 柳子は錯乱状態で夫殺しを認めたが、彼女の弟・徹夫は疑惑を感じた。同じ地区内の医院で起こった誘拐事件と医師の事故死! 外科医・徹夫の推理が冴える。……現代医療の問題点と医師のあり方を、三つのトリックを駆使しながら抉る、社会派推理小説の傑作。
  • 出向拒否
    -
    日本有数の巨大企業、そこで社内PR誌の編集に携わる中沢幸平は、減量作戦を図る経営者の格好の標的だった。サバイバルのため中沢がとった行動は、打算的できれいごとではなかった。なにしろ、出向されそうな会社は、今の社と天と地ほどの差がある。──綿密な取材調査によって掘り起こした、同時代に生きる人間ドラマの数々。珠玉の経済企業小説短編集。
  • 動 機
    -
    銀行の取締役が、週刊誌記者を刺殺! 二年前、本州銀行の支店長を務める亘理靖皓は、数日後の株主総会で取締役昇進が確実になっていた。気の遠くなるような出世競争に勝ち抜いた亘理にとっては、まさに春の到来だった。そんな彼に、週刊誌から取材申込みが。亘理個人の醜聞をつかんでいるという……。陰謀渦巻く銀行の暗部を、企業小説の旗手が鋭く抉った傑作。
  • 偶像本部
    -
    巨大メーカー・ホウトク自動車の労連会長・大宮英樹は、社長の人事を左右するほどの絶大な権力と、大邸宅や大型ヨットまで持つ労働貴族であった。若き労連書記・山脇徹夫はある日、大宮からシンガポール新婚旅行をプレゼントされたが、ハネムーン中に東京で殺人事件が!……ここには恐るべき陰謀が隠されていた。巨大労組の実態に鋭く迫った企業推理小説の傑作。
  • 器に非ず
    -
    戦中、戦後の厳しい時代を生きぬいた神山竜男は、浜松の発明王と呼ばれ、〃本州モーターズ〃の社長である五十島繁哉を紹介された。神山は営業面で、技術屋の五十島を助け、オートバイの販売からスタートしたこの会社は、二十数年後、大企業にのし上がった。が、神山に最後の試練が……。栄光のNo2と呼ばれ、会社経営に生命を滾らせた男の〃光と影〃を鋭く抉った会心作。
  • 惨劇~石油王血族~
    -
    池谷幸雄は、伯父長原家の三人をつぎつぎ惨殺していった……。石油王長原家の莫大な資産を一人占めした憎い一家。サラ金の返済期限が目前に迫っていた幸雄は、伯父に借金を申しこんだが、にべもなく断わられてしまったのだ。――綿密な心理描写で、戦慄すべき凶悪犯罪のなかに塗り込められた「人間の怕さ」「罪と罰」を浮き彫りにする、推理小説を超えた推理小説。
  • 百億円投機
    -
    三愛銀行ニューヨーク支店資金課長代理。これがついこの間までの村田博史の地位であった。ドルのカラ売りを仕掛け、巨額の欠損に終わった投機(スペキュレーション)の責任を負った村田。美しい妻と子供に囲まれた安逸平穏な生活をとるか、それとも男の闘争本能のまま行動し、さらなる戦いを挑むか……。現代企業に生きる人間とその人生を、鮮烈に描いた経済サスペンス推理小説集。
  • 末席重役
    -
    取締役企画部長というお情けのポストにある土屋は、任期切れ直前、人生最後の勝負に賭けた。香港仕手筋の株買い占めに便乗して、自社株の思惑買いに出たのだ。スタンド割烹のママの色白な肌を掌中するために……。(表題作)人生を懸命に生き抜こうとする群像を通して、現代社会を鮮明に浮き彫りにした傑作作品集。
  • 銀 行 員
    -
    堀友銀行得意先係の吉川は、隣りの丸和銀行窓口から現金を強奪し、それを新規開拓の口座として入金した。その異常行為を本人は全く記憶していなかった。……巨大企業による吸収合併の波にのみこまれる地方銀行。その中で神経を蝕まれていく行員の悲哀。――現代社会を懸命に生き抜く人間群を鋭く描き尽くす傑作集。
  • 一億円の死角
    -
    路上に放置された一億円。拾得者が警察へ届け、大々的な報道がなされたが、落とし主は名乗り出なかった……。日本の基幹産業の一翼を担う巨大企業の内部で、何が起こっている!? T自動車販売株式会社の大功労者、〃販売の神様〃とまで言われたK氏の、不肖の息子に関連した事件らしいという噂。老いてなお煩悩に身を灼く経営者の姿を見事に捉えた経済企業小説。
  • 空を翔ける影
    -
    丸宮利秋(としあき)は丸宮工業社長の長男で専務の地位にいるが、社内の地倉(ちくら)早苗と不倫関係にある。利秋が森羊之助常務と初めてのヨーロッパ旅行に出掛けてから、奇怪な事件に遭遇する。だが、同行の森は〃旅行ノイローゼ〃だと取り合わない。一方、東京の丸宮本社では大事件が起きていた……!? 新田文学中、数少ないロマンミステリー!
  • 悪女の秘密
    3.5
    心の奥底に封印した過去、口にできなかった一言、それが解き放たれるとき、普段の風景は恐怖の色に塗り替えられる……。妻子ある男を愛してしまった早紀子(さきこ)は、突然、彼の妻から誘われた。夫は出張中、離婚してあげるから、二人だけで旅行しようと。動揺を抑えきれないまま、早紀子は真意を知ろうとその言葉に従うが……(「二人旅」)。日常に潜む殺意を描く11編。
  • そばにいさせて
    -
    恐怖は、すぐそばの日常に潜む──。自分を捨てた男を見返すため涙ぐましい努力をし、理想的容姿を手に入れた佐山ゆかり。職場も住居も替えて新生活をはじめた彼女に、悪質なストーカーがつきまとう! そいつの正体は? そして、ゆかりを守るため隣人の女性がとった意外な行動とは!?(表題作)女性作家が同性の心理を濃やかに描きだす作品集。
  • スパイク
    3.4
    瓜(うり)二つのビーグル犬を連れた林幹夫(はやしみきお)と私・江添緑(えぞえみどり)は、初対面から惹(ひ)かれ合った。驚いたことに、飼い犬の名前も同じ「スパイク」なのだ。ところが再会を約束した日、幹夫は現れなかった。気落ちする緑に、突然、愛犬が話しかけてきた! 「ぼくは幹夫のスパイクだ」と。幹夫の消息を求め、一人と一匹の冒険が始まった――。不思議で切なく愛(いと)おしい、心に沁(し)みる恋の物語。
  • 迷宮の女
    -
    この文庫に収めた短編のいくつかは、書けなかった事件の背景をベースにしている。主人公は、人生の迷宮に踏み込んだ女性たちばかりである。物語の状況設定にまさかと思われるものもあるだろうが、それでも小説の方が現実よりおとなしい。(略) 彼女たちのしたたかさ、裏にある寂しさ、貪欲さ、好色さなど、本書の主人公にちりばめたつもりである。〔「あとがき」より〕
  • 魔 道 拳
    -
    VALE(バーリ)-TUDO(トゥード)……どんな攻撃も許される過酷なルールのもと、素手素足で行なう命懸けの闘い。最も危険な格闘競技。ブラジルの奥地で育った少年セーギは、目の前で父を殺された。バーリ・トゥードの王者の手で。数年後、成長したセーギは、日本で父の敵(かたき)を発見し、復讐という名の魔道を歩み出す!
  • レモン・インセスト
    3.4
    生後間もなく誘拐され、行方不明になっていた弟が、見つかった。24年ぶりに再会した弟は、亡き父の端整な面影を受け継いでいた。気ままに生きる美しい姉と、アルバイトで生活費を稼ぎながら大学に通う弟。互いに恋に落ちてはいけないと理解しながら、二人は、なす術もなく惹(ひ)かれ合っていく……。禁断の恋をテーマに、純粋な愛の行方を描く、美しい物語。もっとも純粋で、もっとも不安な愛。
  • プワゾンの匂う女
    3.0
    毒という名の香水、その匂いが漂うとき、男が死ぬ。小泉哲夫は、銀座のクラブ〃アビシニアン〃に社用で通ううち、新人ホステスのグレに魅かれていった。プワゾンを愛用していること以外、グレの素性は謎。ある夜、二人は山中湖にドライブに出かけたが、翌朝、多量の睡眠薬を服用した小泉の溺死体が発見された。グレの行方は……? 戦慄の傑作サスペンス小説。
  • 正義を測れ~不動産トラブル請負人~
    3.0
    本書の主人公・大地尚一郎(だいちしょういちろう)の肩書は「土地家屋調査士」。あまり馴染みのない職業だが、国家資格であり、土地問題のスペシャリストなのだ。隣家との境界トラブルで依頼に訪れた内野雨季子(うちのうきこ)は、その解決をきっかけに彼の助手となり自らも資格取得を目指す。次々に持ち込まれる土地トラブル。背後に見え隠れする犯罪の影。「正義」のために戦う二人。社会派推理の傑作!
  • ボディーガード午前四時
    3.0
    ある日、私立探偵・矢田のもとに来島(くるしま)と名乗る一流商社の重役が身辺警護と調査依頼に訪れた。何者かに命を狙われているという。矢田は同業に助勢を頼み、中年探偵四人組を結成する。腕に覚えのある彼らだが、若い頃のようには立ち回れない。来島にかかった謎の電話とは? さらに過激派に属する彼の息子はどこに? 正体不明の襲撃者に、4人は男の意地を賭け挑む。
  • 柩(ひつぎ)の十字架
    -
    辻昂(つじたかし)はかつてプロの殺し屋だった。ある日、辻が親代わりになっている母子が誘拐され、脅迫者から殺人強要の電話が入る。タイムリミットは20日間。標的は戦闘機疑獄の証人。彼の背後に姿を見せぬ脅迫者の配下が迫る。眠っていた野獣の血がふたたび目覚めた。辻はたった一人で暴力団に挑み、黒幕を追った。圧倒的な迫力で描く、著者会心の長編ハード・バイオレンス!
  • 日蝕の街
    -
    ある夜、ルポライター・鷲津洋人のひとり娘・久美子が、何者かに拉致された。平穏な家庭を突然襲った誘拐事件。娘の安否を気づかい泣き頽れる妻。やがて犯人から電話が入り、身代金は妻の兄である代議士の荒木から出してもらえという。犯人は義兄を知る者か? 鷲津は娘の無事を祈りながらも不審を抱く。黒い怨念と強烈なサスペンス。性&暴力の極致を描く傑作。
  • 髑髏を抱け
    -
    小谷幸一は二年前、夜明けの道を裸足で歩いているところを発見された。過去の記憶をすべて失っていた。彼は、記憶を辿る旅の途中南房総の町で、絡み付くような視線を感じる。その晩、スナックで知り合った女とベッドを共にするが、突然三人の男たちに襲われた……。わずかながらも紡ぎ出された過去の記憶、そして驚愕の事実が……!? 復讐に燃える男を描き切る!
  • 悪夢の交わり
    5.0
    真由子は、半ば強引に岩井の愛人にさせられた。彼は代議士の地元秘書で、手広く商売をしている。彼女があてがわれたマンションに定期的に届く段ボール函がある。それはすぐに岩井の後妻の弟、田原が運び出していく。その中身を知ってしまった真由子は、自分を欲する田原を利用して謀略のドラマを自作自演した!?――肉体を武器に仕掛ける悪女を描く力作!
  • 鬼影(きえい)
    -
    小出達夫・39歳・塗装工として、川崎の工務店に勤めている。深夜、二人組の男と諍いになり、元プロボクサーの彼は二人をあっけなく倒してしまう。そのとき手に入れた拳銃が彼の人生を変えてしまった!?―― 殺戮と陵辱の限り、性と暴力の魔性にとり憑かれた男を描く。勝目文学の極み!
  • 露  出
    -
    三根恒一郎は、会社の社長夫人・辻川彬子と不倫関係にあった。二人は情事の帰りに、代議士秘書の矢沢をはねてしまう。大金をもっていた矢沢は、事故の事実を隠すように二人に頼んだ。釈然としない三根にやがて脅迫電話があり、彬子との密会写真が届いた……!? 汚ない罠に敢然と挑む男を描く傑作長編ハード・アクション!
  • 鬼聲(きせい)
    -
    殺人歴のある取立屋、仙波敏明。彼の仕事のやり方は、債務者を自分のアパートに連れ込み、裸にして、手足を縛る。トイレには行かせず、その場でさせる。どんなに頑張っても四日目には皆必ず観念する。若い女社長の場合もそうだった。ところが、彼女を解放後、女の兄で組の若頭をする男が、仙波の部屋に乗り込んで来た!――暴力、陵辱、官能、究極のハードバイオレンス!
  • 暗黒の鎖
    2.0
    家族の留守中賊に押し入られ、陵辱の果てに、すべてをビデオに録られた咲子。夫の照彦は、通勤の車中で、若い女に擦り寄られ、後日、再会後その女のアパートで甘美な一夜をすごした。そして、娘の洋子が誘拐された! 罠に嵌められた照彦への要求は……!? 権謀術数の限りを尽くす悪党(わる)と裸身を晒して挑む女の凄まじい対決!
  • 霧の殺意
    -
    一月も終わりに近いよく晴れた朝。夫を送りだした奈美子は、宅配便のためドアを開けた。一人と思っていた配達の男は二人だった。突然、一人の男が奈美子にナイフを突き付け、もう一人の男は、持ち込んだ段ボール箱から撮影機材を取り出した。「奥さん。裸になってもらうよ」……!? 凄まじい凌辱と溢れる官能の渦!
  • 悪党図鑑
    -
    美人局をしている昇と順子が狙ったカモ・小池は、一筋縄ではいかなかった。昇は逆に小池にヤキを入れられ、小池の女房・咲子を強姦しろという奇妙な仕事を請け負わされる。忠実に実行した昇は、咲子の情夫から命を狙われるはめになり、遂に殺人まで犯す……。罠にはまった男の血にまみれた、官能とバイオレンスの復讐劇!
  • 進め! 電波探偵
    -
    売れっ子作家でタレント、ド派手ファッションで話題のマルチな男・加茂田景康は、人の良さが災いして、ある俳優の浮気調査をする羽目になる。「何でオレが探偵を?」と愚痴りながらも好奇心を抑えきれず、ついには暴漢に襲われる始末。しかし、調査を進めるうちに事態は一大スキャンダルへと発展して……? 絶好調の著者が贈る、痛快新シリーズ堂々のスタート!
  • 屍蝶(しかばねちょう)の沼
    -
    中国地方の山間(やまあい)の町で起きた美少女惨殺事件。死体には犯人の猟奇的な刻印が残されていた。「羽室新報」の稲葉菜月は、かつての恋人でフリーライターの高野舜と事件を追うが、町に残る因習に阻まれる。やがて、新たな惨殺死体の発見を契機に、二十年前に隠蔽された〃謎〃に絡む驚愕の真実が浮上してきた。本格派の著者が、ホラーと社会推理を融合させた意欲作!
  • 青年の領域~ビジネス・エリートへの道~
    -
    三宅謙一(みやけけんいち)、岡田徹男(おかだてつお)、高川明夫(たかがわあきお)が富国(ふこく)銀行横浜支店に就職して4年2カ月経(た)つ。揃って26歳。同じ業務渉外係で競(きそ)いながら、今は自分の足で歩いている。だが実態は転職を策したり、大口融資に勇んだり、恋に悩んだりの日々。やがて三人は配属が変わり新しい出発に燃えた。――銀行員の著者がビジネスマンの生き方を活写する!
  • 伊勢志摩殺人事件
    5.0
    失踪した恋人・昭彦を追って、テレビレポーターの路子(みちこ)は伊勢志摩へと向かった。そこで彼女は真珠養殖の会社社長・夕子と出会う。ミステリアスな美人社長と昭彦の間に、ただならぬ関係があるのではないかと感じとった路子は、事件の渦に飲み込まれていくのだった。優美な光沢を放つ真珠に隠された秘密が、愛を生み、死を引き起こす、傑作長編推理小説。
  • 恋 盗 人
    -
    「妻が殺された!」愛人・杉正彦の声が凶々(まがまが)しく響く。不安におののく細川知子は、杉と二人でひそかに死体を埋めた。だが、「犯行と情事は知っている」という脅迫状が! 脅迫者の要求はとめどなく、金策に苦しむ知子。二転三転の運命に翻弄される知子を襲う、衝撃のドンデン返し! 女の性を描く傑作サスペンス・ミステリー。
  • 代理妻殺人事件
    5.0
    恋人に捨てられた和美は妊娠していた。職も失い絶望的になった和美は、彼との思い出の地、四国へ向かうフェリーから身を投げ出したが、同船していた夫婦に救われた。――「代理妻になって、私たちの子を産んでくれ」夫婦の提案は、和美に悪心を芽ばえさせた。殺人に至る女の心理を、絶妙のストーリー展開で描き切る力作。
  • マスカット・エレジー
    -
    有吉葡萄(ありよしぶどう)、30代半ば過ぎ、独身。ローカルTV局の台本書きだが、本当はノンフィクション作家志望。死んだ父が三年前に連れてきた初老の女・高岡鮎子(たかおかあゆこ)と横浜・山手の陋屋(ろうおく)に暮らしている。二人の周辺で起きる事件を鮮やかに解いてみせる鮎子。ポジティブな彼女の生きかたに、消極的な葡萄も次第に影響されて……。軽快なテンポで読ませる、人情味あふれるミステリー!
  • 緋色の真珠
    -
    雑誌連載で人気がでてきた真珠占い師・高原野衣を危機が見舞う! 客の一人・野々宮久美が、まるで野衣に殺されたかのような嘘をつき絶命したのだ。警察の追及を逃れ、編集者の笠木と事件の真相を探りだす野衣。ところが! 見つけたのは野衣と瓜二つの死体だった。謎の言葉「緋色の真珠がすべてを語る」の意味を追う、ノンストップ・サスペンス、登場!
  • ありふれた不倫だったのに
    -
    〃妻の美津子が四歳の女の子を誘拐してきた、助けてくれ〃不倫相手・北代文也からの電話が吾妻柚子の運命を変えた! 無事に女の子を保護した柚子だったが……。まゆと名乗ったその子は、母親が崖から転落死、父親は美津子に包丁で刺殺されたと言うではないか!?──これが不倫の代償か。柚子はすべてを賭けて事件に挑む。乱歩賞作家が描く危険な恋!
  • 男の極楽~千束圭太(せんぞくけいた)日記~
    -
    〃男の極楽というのは、絶頂をきわめているときではない。うだうだと陽溜(ひだ)まりにうずくまりかける頃をいうのだ〃独身を謳歌(おうか)する演歌作曲家・千束圭太(せんぞくけいた)は、ヒット曲もあり、女にも不自由していない。今夜もまた、オンナが飛び込んできて……。男と女の実像と虚像をみごとに抉(えぐ)りだす、ユーモアとペーソスあふれる傑作連作小説。
  • 女主人(マダム)
    -
    「長い銀座ぐらし、さぞいろいろあったでしょうとよくひとに訊(たず)ねられる。ええ、と頷(うなず)きながら、答えのほうはいつも曖昧になってしまう……」(あとがき)。虚飾とカネが交叉するクラブで、マダムは華麗に、そして逞(たくま)しく夜を泳ぐ。女の修羅場を生き抜いた著者が男と女の本性を冷徹な目で描ききった傑作連作小説。
  • 蜜の罪
    -
    教え子の数村孝文(かずむらたかふみ)が父親に刺殺された――これは中学教師・倉園範子(くらぞののりこ)にとって悪夢のニュースだった。〃問題児〃ではあったが、志望高校にも入り、笑顔で卒業したばかりだったのに……。「家庭内暴力」という新聞記事に納得できない範子は、事件の背後にある真相を探る。直木賞作家が、綿密な取材を基に〃子殺し〃と対決した渾身(こんしん)の力作!(『親と子の氷河』改題)
  • 女を見て死ね
    -
    服飾デザイナー・宇佐見治郎は、充実した日々を送っていた。TVにも出演し人気を博している。しかし、そんな彼にも忌まわしい過去があった。2年前、デザインの盗用を抗議してきた男とその妻を殺害したのだ。それは完全犯罪のはずだった。しかし、ある日、彼のもとに死者からの脅迫状が――!(表題作)男と女の深淵を見事に描ききった傑作サスペンス・ロマン!
  • 女の決闘
    -
    夫と息子が外国に出かけている2カ月間、敷地200坪、建坪60坪の奥平家は、女二人だけである。真佐子は姑と呼ばれる隠居の身であり、嫁の立場に置かれる奈緒は専業主婦である。――姑は嫁に日常のあらゆることに嫌味を言いはじめる。嫁も負けずにやり返す。疑心と憎悪が渦巻いて、女同士の闘いは、日に日に激しくなる。危うい人間関係を描く異色サスペンス。
  • 通りすぎた夜
    -
    四年間の平凡なOL生活が終わった。美弥子は郷里で結婚する。しかし送別会の夜、波乱のなかった人生をくつがえす事件が起きた。ひとり暮らしの彼女の部屋に、深夜、殺人犯の男が逃げ込んだのだ。異様に熱っぽい目。女の本能で、彼が何を考えているのかを予知できる(表題作)。笹沢作品の根底にある、あるものが濃厚に漂う、常に高い評価を受けてきた推理短編傑作集。
  • 危険な関係
    -
    父と娘の年齢差。しかし、空港で二人を見かけた者はみな、奇異な印象を受けた。小利根志郎(ことねしろう)は56歳、暗く長い過去をもつ中年男。花村絵美子(はなむらえみこ)は18歳、まだ手つかずの長い未来をもつ美少女。二人は、マドリードからカナリア諸島へ、そしてパリへと観光旅行をつづけながら、次第に男と女の愛に目ざめていった。危険で不思議な愛の形を、鮮(あざ)やかに描いた恋愛小説。(『あれはブローニュの森』改題)
  • 残 照 岬
    3.0
    都下、国分寺市の水谷家が不審火で全焼、焼け跡から新婚まもない水谷夫人の絞殺死体が発見された。夫が殺人容疑で逮捕された翌日、隣家に住む日比野蓉子の義妹・川添真紀が失踪。さらに千葉の殺人事件現場に真紀の定期券が! 真紀の残した言葉「三日月」の謎を解くべく、蓉子は恋人・瀬戸とともに九州へ飛んだが!? 平穏な家族の裏に隠された恐るべき真実とは?
  • 血の砂丘
    -
    能代(のしろ)三香子は、別れた夫船津久彦が溺愛する娘千秋を、復讐のため誘拐した。三香子は交通事故を理由に離婚されたが、これは久彦が愛人と結婚するための罠だったのだ。ところが、何者かが娘を逆誘拐!? 三香子は現在の愛人・別所攻次郎とともに、娘の行方を追ったが……。二重誘拐という斬新な状況設定のなかで展開する、本格ミステリーの白眉(はくび)!
  • 鍵(かぎ)
    -
    社長秘書をつとめる倉沢ユミの姉のマヤは、結婚を餌(えさ)に騙した男を札幌で殺し、姿を消した。が、社長の大木戸(おおきど)は、マヤが犯人でないと主張、ユミを誘って現場を訪れた。美男の社長への淡い恋心。殺人事件は逆転できるのか!?(踊らされた殺意) 不可能興味あふれる本格推理から、意外な結末をむかえるサスペンス、怪談まで、笹沢作品の良質多彩が味わえる傑作集。
  • 十五階の地獄
    -
    美貌の若妻・津村三重子は、ホテルの部屋に突如、侵入した三人の暴漢に犯された。しかも、その鬼面をつけた一人の男は、彼女の八年前の過(あやま)ち、少女売春の相手だった。夫に知られることを恐れ、地獄の脅迫電話に呼び出されたホテルの15階の部屋。三重子がそこで目撃したものは!? 現代の性と犯罪を鮮やかに抉(えぐ)る愛欲サスペンス。
  • 地獄の愛
    -
    軽井沢で偶然巡り会ったふたり。許されざる愛に苛立つ男は、六千万円強奪の企みを秘めている。深い官能に陶酔しながらも、女は男の疲れきった双眸(そうぼう)の中に、野望を垣間見た。幸福な結婚を望む彼女の前に、計画実行の日は刻々と迫ってくる……(表題作)。激しく燃える愛と人間の美醜を鮮やかに描き出した官能の美学!
  • 妖  女
    -
    運命・宿命が、想像もできない結末を描き出す「真知子の決心」、男女が官能の姿態を晒す「情事の絵本」、怪奇色濃い「蚊帳の中」、推理小説の手法が存分に駆使された「殺人計画」……。巧妙なドンデン返しと、機知や工夫が随所にほどこされた結晶の数々。待望された、著者唯一のショートショート集!
  • お前の名は地獄
    -
    愛人・鎌倉糸路に結婚を迫られ、妻・多恵には離婚を拒否され、悩みぬく小山田光男。ところが突然妻が蒸発、死体で発見された。……妻の昔の恋人など関係者と対決しつつ犯人を追う小山田は、ついに愛する女性・糸路をも疑いはじめた。すべてに疑惑の眼を向けざるをえない悲劇の男を、サスペンス・タッチで描く傑作長編推理。
  • ささやかな復讐
    3.0
    南伊豆今井浜温泉の、とあるホテル。静養に来た週刊誌の記者が、そこで妖艶な美女と意気投合し、彼女の部屋でひと夜の情事を楽しもうとした。しかし、いざという前に彼女は不可解な失踪を。彼は警察から疑われる羽目に。(表題作)魅力的な謎の設定、論理的推理、そして結末の意外性。本格推理の醍醐味を伝える推理小説集。
  • 愛  人
    1.0
    ●愛する人と愛される人、だから愛人って素敵だと思わない? 三千代は、こう決意した。(表題作)●大邸宅に囲う美女七人、今夜もその一人の部屋へ行く。華麗な生活に浸る男の隠された一面。●相手がよければいくらでも失神くらいするわよ。平然と言ってのけるハイティーンの思わぬ誤算。――愛と欲望をめぐる傑作小説集。
  • 悪魔の道連れ (『同行者』改題)
    -
    白昼の路上で、美也子は夫と愛するわが子を刺し殺された。犯人は錯乱状態を理由に不起訴。そして四年後、その犯人と人妻の心中死体が発見され、美也子と、再婚した夫・石毛晴彦に容疑がかけられた。二人は、九州、北陸、北海道と旅をしながら、予想外の真相へ。前人未到、古今未曾有の全編会話だけの長編推理小説!(『同行者』改題)
  • 猛烈に不幸な朝
    -
    〃今年こそレコード大賞を獲れ〃レコード会社のやり手ディレクター鬼頭一平に至上命令が下った。――老獪な裏工作と卑劣な暴露作戦。そして生贄の女。ライバル追い落とし戦争は熾烈を極めた。病床の妻を失い、部下にも去られた鬼頭がつかんだものは?……現代社会を生きる人間が否応なくおちいる罠と孤独を非情に抉った傑作。
  • 明日に別れの接吻を
    -
    妻を陵辱した不良学生を殺した須賀原純は、将来を嘱望された若手官吏だった。情状酌量され、五年の執行猶予判決。それもあと11日で自由の身になる……旧友が突然来訪したのはそんな大事な時だった。「人を殺した。アリバイ作りに協力してくれ」――複雑な人間のもつれを鮮烈に捌き、アリバイ打破に新機軸をみせる傑作推理。
  • 女子大生短歌殺人事件
    -
    女子大生の則子と里奈は、故郷・岡山にできた観光国〈アメランス共和国〉一周年記念の祭典のため〃帰国〃した。パーティの当日、二人の高校時代の恩師が襲われた! 謎のダイイング・メッセージは、「52/100」。好奇心旺盛な女子大生二人組は探偵役を買って出たが、彼女たちにも殺人者の影が……。

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