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  • よそ者の目
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    外国からどう見られているかに過敏な日本人を、同じアジア人の視点であえて語る快著。中国的立場から作家の目で見た日本人論――よそ者(外国人)が日本について発言するとき、たいてい強い反撥を喰う。放っておいてくれ、というわけだ。そのくせ、外国からどういう目で眺められているか、日本人はひどく気にする。島国からくる過敏性であろうか。中国的なものの考え方から、同じアジアの日本人の動向を綿密にとらえる、深甚なるエッセイ集。
  • シルクロードの旅
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    ロマンの香り溢れる西域の秘境の旅路。西欧と中国、さらには日本にまでつながるシルクロ-ド。厳しい自然と闘いながら、先人たちが営々と築いたこの東西交流の道をたずね、いにしえ人の夢と憧憬のあと、歴史の息吹きをたどる――中国西域。広大な自然と厳しい環境の織りなす天然の神秘。シルクロードは、そのまっただなかを延びている。西欧と中国、さらには日本にまでつながり、文化と風俗と人情と……あらゆる人間の営みを交流させたシルクロード。先人たちが営々と築いた秘境の旅路をたずね、いにしえ人の夢と憧憬のあとをたどる。
  • 恋をする女たちへ
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    捨てられた、裏切られた、騙された、といった言葉が、いまだに女性の間に、当然のことのように通用している。何とも不思議なことだ。いったい、現代の若い男女に、恋愛や結婚というものがわかっているのだろうか? ――愛の実践経験豊かな著者が、初めて愛の諸問題(男女の心理や生理)を、徹底的に告白・検討して教える、長編ラブ・ガイド・エッセイ。
  • 時計の針がナイフに変わるとき
    3.0
    「お前が48時間以内に自殺すれば娘は解放する」……刻一刻と迫る時間が、ナイフのように光る! 一人娘を誘拐犯から救う手段は……。――一人娘の香織(3歳)が誘拐され、父親の夏八木鉄人に「お前が自殺すれば娘を解放する」という脅迫状が届いた。誘拐犯は、自分の妻が夏八木に殺されたと誤解し、彼の生命と引替えに娘を返すという。香織を救うには、48時間以内に真犯人を突きとめるしかない。刻一刻迫る娘の危機。息づまる長編推理小説。
  • 死の追走 次は誰か
    3.0
    連鎖する「死」と心の闇を描く傑作。レイプ殺人を皮切りに次々と……――一人娘をレイプ殺人で失った老夫婦宅に、事件が時効を迎えたあと、毎月送られる10万円。贈り主は、いったい誰なのか……。次々と連鎖するように起こる人の死と、それにまつわる謎を解き明かしながら、人間の心に宿る悲しみを描いたミステリー連作。鋭い文章が冴えわたる、笹沢文学の新傑作!
  • もしもお前が振り向いたら
    -
    哀しい宿命に泣く男女の悲劇を描く、愛の長編ロマンティック・ミステリー――バーのマダム殺しの犯人は、8年前の作曲家殺しの犯人と同一人物なのか? 幾重にも仕組まれた鉄壁のアリバイを、刑事が崩したとき、容疑者は鉄道自殺! 事件はこれで解決したかに見えたが、それは新たな、より大きな謎の始まりだった……。真犯人は、まったく別の所で成功者となっていたのだ。都会派ミステリー長編傑作。
  • 夕暮れ 夜明日出夫の事件簿
    -
    ドジなヤクザ3人組が奪った車の荷物は、男の右腕。夜明が解いた真犯人の謎。3人組に泣きつかれた夜明の秘策は? ――男2人と女1人のドジなヤクザ3人組が、借金取立てのために車を強奪した。ところが、車のバッグの中から、切断された男の右腕が出てくる。3人組は警察に追われ、組織からも見放されて、自力解決あるのみ。リーダーの男は打開策を求めて、刑事時代のライバル・夜明日出夫を頼った。真犯人を暴く方法は何か?
  • 夜明け
    -
    名探偵・夜明日出夫のアリバイ崩し! 美人OLを熱海へ車で送った夜明探偵。熱海にいた女が、同時刻に那須で殺人? ――元警視庁随一の敏腕刑事で現タクシードライバーの夜明日出夫は、ある晩、熱海まで美人OLを乗せた。だが彼女は、同時刻に起きた那須別荘殺人事件の容疑者であった。OLのアリバイを証言する最有力の証人である夜明自身が、皮肉にもアリバイ崩しに挑むハメに陥る。ニヒルでシャイな名探偵夜明の推理の答は!?
  • 泡の女
    -
    義父殺しの容疑で逮捕された夫の無実を信じ、空白の時間を追求する妻。彼女を待ち受ける非情の罠! ――木塚夏子の父・重四郎が、茨城県大洗海岸で死体となって発見され、夏子の夫・達也が容疑者として勾留された。夫を信じる夏子は、懸命の努力でアリバイ証明に奔走し、達也の無実も明らかになったかと思えたが、ある重大事実も判明し、彼女の不安も極点に達する。夫婦の愛の虚妄を非情に描いて深い余韻を残す、長編推理の傑作。
  • 突然の明日
    -
    白昼の交叉点で女が消えた、と口走った直後に、凉子の兄は殺された。消えた女とは、兄の元愛人・緋紗江。凉子は、兄の親友・瀬田の協力を得て、犯人追及を試みる。鍵をにぎる緋紗江の行動は、九州へも拡がっていた。そのアリバイを調べる凉子たちの身に、衝撃的な「突然の明日」が襲う! アリバイ崩しを主題にした、著者会心の作。
  • 昼下がり 夜明日出夫の事件簿
    -
    アリバイ崩しに挑戦する夜明の推理。社長邸で軟禁状態の女が夜明に助けを求め…。距離と時間の謎と格闘する夜明探偵が、不可能殺人のアリバイを崩す! ――助けてください……と、夜明日出夫のタクシーに乗り込んできた美女の背後には、限りなく巧妙な罠が潜んでいた。元警視庁の敏腕刑事からタクシードライバーに転身した夜明は、殺人事件の容疑者のアリバイ、9時間の空白を埋めるべく、愛車を駆る。距離と時間の壁と格闘する夜明の、冴えわたる推理が犯人を追いつめる!
  • 衝動ゲーム
    -
    不条理な現代に、ひそかに急速にはぐくまれる犯罪の、意外な結末を描く傑作推理6編。若者たちの殺意の深層をえぐる! ――現代の若者たちが引き起こす、殺人や心中や復讐の数々……。はたしてそれらの理由は、何なのか? 不条理なこの社会の中で、ひそかに、しかし急速に育まれる犯罪や、意外な結末の事件や、美談の背後、深層にある真相・真実を、ミステリー・タッチで描き解く、著者会心の推理連作6編を収録。
  • 傷だらけの放浪
    4.0
    大富豪の殺害を巡り、逃げる美貌の養女と追う若き刑事。笹沢ロマン・ミステリーの会心作! ――殺人容疑の汚名を晴らす、人間の執念と愛の葛藤。……大学の理事長で億万長者の江口正次郎が殺され、捜査の手は一族にのびる。だが、それぞれに不審な点のある、近親者たちのアリバイ捜査の結果は、二転三転する。一方、担当刑事の一人である若き矢代は、被害者の養女で美貌の千秋を、ぴったりとマークしていた……。
  • 結婚って何さ
    -
    必死の逃亡者となった元OLが、恐るべき謎の殺人事件を解く、サスペンス&ロマン・ミステリーの傑作長編――行きずりの男と一夜をともにした女が、いつの間にか殺人事件の容疑者に仕立てられていく、その戦慄すべき罠。彼女は身内も友人もすてて、たった一人、狂わされた自分の人生をみずから修復すべく、逃亡と真犯人探索の旅へと出立する……。
  • 一方通行 夜明日出夫の事件簿
    -
    アリバイを見事に崩していく夜明の推理が光る! 妻が殺された時刻に、夫は夜明のタクシーの客だった。隠されたトリックを次々と暴き、元刑事のタクシー運転手が大活躍! ――東京から九州まで、何とタクシーで! そんなバカげたことをした男の妻が殺された。殺害時刻を考えれば、その男を乗せた運転手の夜明日出夫は、重要なアリバイ証言者となるはずだった。が、そこは、さすが切れ者の元刑事。事件の裏に隠されたトリックをひとつひとつ暴き、真犯人を見事、追いつめて行く!
  • シェイクスピアの誘拐
    -
    名優が舞台から美女に投げたメッセージが怪事件の幕あきになった! 8つのトリックを駆使した推理連作――ハムレットを演じる名優・上杉夏也が、舞台上から美貌の人妻・柏原絵美に投げた謎のメッセージ。演出家・松永連太郎は、その陰に、絵美の一人息子の誘拐事件が存在すると知る。暗号を解かなければ、絵美の子は助からない……。推理界の鬼才が8つのトリックをちりばめて描く、華麗な連作ミステリー。
  • 炎の虚像
    -
    赤い悪魔が闇を刺す! ――テレビ界の実力者・加古川が、自ら演出する大作の撮影をすっぽかした。代わりを女性ディレクターがつとめ撮影は進行したが、その頃、加古川は交通事故に会い、新進女優の家で眠り続けていた。加古川へテレビ界の風当りは強い。しかも今度は、新進女優の死。事態は謎めく一方だ。テレビ界に巣喰う野望を描いた傑作推理。
  • アリバイの唄
    3.5
    元刑事の夜明日出夫が車を駆って犯人を推理――孫悟空タクシーのドライバー・夜明日出夫は、38歳。3年前まで、警視庁捜査一課の警部補だった。ある晩、夜明が乗せたカップル客の女の方が、3週間後に殺された。容疑の濃い美貌の女は、夜明の幼なじみで、逗子の豪邸にいたという鉄壁のアリバイがある。最後に夜明が解く、前代未聞の大トリックとは、いったい何か?
  • 青い小さな葡萄
    5.0
    フランスのリヨンに留学した日本の一青年を主人公に、戦争で片腕を失ったドイツの神学生、拷問・虐殺をひそかに行った対独抵抗組織の内なる暗黒を描くことにより、人間と人間の疎外、異人種ゆえのコンプレックス、裁く者と裁かれる者の憎しみという問題を追究。遠藤文学の原点ともいうべき処女長編。
  • 新撰版 怪奇小説集 「恐」の巻
    5.0
    1~2巻660円 (税込)
    ルーアン、リヨン、熱海で起きた怪現象を綴った「三つの幽霊」をはじめ、とっておきの身の毛もよだつ怖い話が9編。人一倍怖がり屋だった作者の恐怖心と好奇心が生み出した、不朽の名作集の新撰版。<「恐」「怖」全2巻・『怪奇小説集』改題作品>
  • 何でもない話
    3.3
    心臓の凍るような恐怖と、絶妙のユーモアを織りまぜた、10編の小説世界。なにげない平凡な日常生活のかげに、人知れぬ秘密を隠し持って生きねばならない人間という小さな存在……。あるテレビ・ディレクターの人生を描く表題作ほか、「姉の秘密」「爪のない男」「恐怖の窓」「猫」「気の弱い男」「知らぬが仏」などを収録。
  • わが恋う人は(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    霧の軽井沢で雑誌記者・秋月美子がめぐり会った男は、豊臣秀吉の家臣・小西行長の子孫だった。戦国のならいによって夫との仲を裂かれた行長の娘・たえは、別離に際して男女の雛人形を夫と分けあったという。女雛に託された悲しみと呪いが、400年の時を越えて現代に甦える恐怖の物語。サスペンス大作。<上下2巻>
  • 楽天大将
    -
    修道女を志す若い保母・朝吹志乃は、みずから園児の身代りとなって、誘拐犯人・金山と逃避行をつづける。しかし、その金山は、白血病の宣告を受ける……。金山を、なんとかして人間の荒地から脱出させ、再生させようとする志乃の献身も、ほとんど空しかった。錯綜する人間関係の中に、無償の愛に生きる女性の姿を鮮烈に描いた、感動長編小説。
  • 快男児・怪男児(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    青雲の志を抱き秋田から上京した中村留吉は、生き馬の眼を抜く東京に足を踏み入れたとたんに、盗難にあい無一文になる……。一方、女優志願で、やはり秋田から上京したエイ子は、額縁ショウの女優になるが、脚本家志望のアルバイト学生・久保直樹に恋心を覚え、結核に倒れた久保に献身的助力を惜しまなかった……。純情多感な留吉とエイ子の夢と現実を軽妙な構成で描く感動的長編小説。<上下巻>
  • ぼくたちの洋行
    -
    敗戦国・日本をあとに、初めての留学生として、意気揚々とフランス船に乗り込んだのだったが……。4人の留学生の直面した現実を描いた表題作。死の臭気が漂う青春時代に、愛国心への疑問を抱いた青年を描く「入営の日」、芸術家の娘を持った父親の孤独を描く「父親」のほか、「あわれな留学生」「ピエタの像」「弟と犬」「終戦記念日」「ナザレの海」「鏡」「老いの岸辺」。人間心理の襞に触れる、感動の10名篇を収録。
  • イエスに邂った女たち
    4.0
    遠い昔、愛に渇き、病に苦しみ、夫に裏切られ、子を失い、人をネタンだ女たちが、人生の途上、イエスに出会った……。イエスはその時、どうされたのか? 人間の夢、歎き、祈りのこもった出会いの物語を、名画を通し、現代の光をあて、昔を今に甦らせる感動のエッセイ。本当の愛を知った聖書の中の女たち……マリア、マルタ、サロメもあなたの中にいます。
  • 悪霊の午後(上)
    4.0
    1~2巻660円 (税込)
    現代の魔女・南条英子の妖しい魅力を描く長編サスペンス。交通事故で夫を亡くした若く美しい未亡人に魅せられる男たち。作家・藤綱は、英子の夫の事故死に疑問を抱き、不可思議な事件の糸をたぐり寄せて、戦慄する。彼女のつつましやかな昼の素顔の下に隠されている魔性とは……。遠藤文学の異色作。<上下巻>
  • ユーモア小説集
    3.5
    1~3巻660~671円 (税込)
    1990年。人体の1000分の1に縮小されたK大学の若い医師山里凡太郎は、3人の医師と、同じく縮小された潜水艇にのり込み、癌におかされた凡太郎の恋人の体内にもぐり込む。患部の手術を無事に終えた時、思わぬ出来事が彼らに襲いかかる……「初春夢の宝船」ほか11編を収めた抱腹絶倒の作品集。(講談社文庫)
  • 大友の皇子東下り
    3.3
    大友の皇子は、生きていた! 戦乱の近江京を逃れ、勇猛な影武者たちを従えて東へ向かっていた――古代日本を震撼させた壬申の乱で、大海人の皇子と皇位を争い敗れ自殺したとされる、悲劇の皇子の最期に潜む数々の謎……。古代史通作家が「日本書紀」の記述の矛盾を衝き、大胆な推理と構想で描く、会心の歴史ロマン。大友の皇子には5人の影武者がいた?
  • 非・文化人類学入門
    -
    なに、よくあることさと見すごしてしまう日常の出来事も、狂気と知性に妖しく彩られた華麗なる料理人・豊田有恒の手にかかると、ドタバタハチャハチャと、たちまちその姿を怪しく変える。読者の前に出されたこの奇妙な20の一品料理。はたして、いかなる味がするものか? ぜひご試食されんことを!(ただし食あたりされても責任は持ちません。――編集部註)
  • 長屋王横死事件
    -
    奴(やっこ)の名は、大伴小虫。10歳のときから長屋王に仕えてきた。そして今、すべての真実を明かそう……。天武天皇の孫で、聖武天皇即位とともに左大臣となった長屋王は、729年に密告が原因で自害した。だが、藤原氏の陰謀とされるこの「長屋王の変」に、真の黒幕が存在した! 歴史の闇に迫る古代史ミステリー。
  • 邪馬台国を見つけよう
    4.0
    邪馬台国はどこにあったのか? これは史学界、考古学界、そしてアカデミズムの世界から在野に到るまで、諸説紛紛、まさに論者の数だけ意見も錯綜するといわれる謎中の謎である。本書は、この難問に、SF界の奇才が長年の構想と収集資料をもとに、すべての「邪馬台国」に独自の実地踏査を試みて成った、ユニークな邪馬台国紀行・入門書である。ロマンと知的冒険心を湧きたたせるトラベル・エッセイ。卑弥呼の国を旅しよう!
  • 倭王の末裔 ―小説・騎馬民族征服説―
    3.5
    日本国家は、いかにして誕生したか? 古代史の謎に、SF作家・豊田有恒が、該博な知識とSFの手法を駆使して挑戦した、雄大な歴史ロマン。その迫真性と実在感は、ノンフィクションとも見まがう力で読者を衝つ。――第一章・女王卑弥呼/第二章・神功皇后/第三章・太の安麻呂。
  • 夢の10分間 ショートショート
    -
    夢料理人が心をこめて贈る傑作ショートショート25編――これは夢のレストラン。料理長・豊田有恒が心をこめ、腕によりをかけ、睡眠時間を減らしまでして創り上げた25品。1品10分、一気に食べれば4時間10分のフルコース。もちろん砂をかむような味つけはしてありません。悪夢や奇夢や凶夢に怪夢……。全部食べても340円。さあ、バクと共に、この奇妙なレストランを訪ねよう!
  • 崇峻天皇暗殺事件
    -
    臣下に暗殺された最初で最後の天皇、崇峻天皇暗殺事件の解明に、聖徳太子が挑戦! ――日本の古代史上最大の謎といわれる崇峻天皇の暗殺と、さらなる連続殺人……。当時の大陸渡来人との複雑な人間関係、熾烈な権力争い、奔放な性風俗などがからみあって発生したこの事件の驚愕の「真相」を、古代史研究家でもある著者が同時代人の聖徳太子の卓越した頭脳に託して解く、異色の傑作長編ミステリー。緻密な資料分析と想像力!
  • 古代史を彩った人々
    -
    激動する「今」を、冷静に見すえ、生き抜くためには、「歴史は繰り返す」の原点たる古代へ! 神武天皇、穴穂部王子、蘇我入鹿、坂上田村麻呂、空海ら、7人の政治家、軍人、宗教家のロマンに満ちた生涯をとおして、古代日本の世界を鮮やかに照射する、古代史通作家による、力作人物評伝集。古代日本の巨人たちの事蹟を新視点で活写!
  • 悪魔の城
    3.0
    変身や分身への願望、コピー人間や冷凍人間の実現、ドリーム・ショップやプレイイング・アスレチックなどを背景に、鬼才が想像力の限りを尽して描く、ファンタスティック・ワールド・ストーリー。夢と笑いと恐怖とお色気がいっぱいの宝石箱。現代と未来の様々な「ドリ-ム・ランド」に遊ぶ、ヤングたちの奇想天外な物語。単行本末収録作品をふくむ傑作ショートショート20編。せち辛い世の中に反発して幻想の世界に飛び出せば、俄然勇気と希望が湧いてくる!
  • モンゴルの残光
    5.0
    あの強大をほこったモンゴル帝国。もし、日本や西欧への進出が成功裡に終わっていたなら……。物語は、元が世界を支配する、ジンギスカン紀元811年に始まる。虐げられた白人の怒りは、激しい抵抗運動となり、主人公・シグルトは、白人支配の世界を創るべく、タイムマシンで時を駆ける。彼の眼前を滔々と流れる巨大な歴史の姿を、若々しい筆致で描く、著者の処女長篇。
  • 落日の群像
    -
    妻に裏切られ、さらに部下の背信で、破滅に追い込まれた中小企業経営者の悲劇をえがき、人間の絆を主題にした表題作。金策に行きづまり、ついに占いに頼る「女予言者」。女がある計画を秘して、猛烈に事業に打ち込む「同伴者」。ほか、苛酷なビジネスマンの世界を扱った4編を収録。初期短編から精選して編んだ傑作短篇集。現代人の孤独と都会生活の非情!
  • 一日未亡人
    -
    月に一日だけ、仕事とも家庭とも縁を切って、のんびりしたい――この夫の提案を、妻は諒承したはずだったが、やがて疑惑がめばえ、それはしだいにふくれあがっていく。企業の最前線に立つ夫と平穏な家庭内にいる妻との人間関係を追求した表題作。ほかに、ビジネスマンの愛と欲望と挫折をミステリアスに描いた7編を収録。
  • 病葉の踊り
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    旧満州の曠野に見棄てられ、死を待つばかりの重症結核患者。その幽鬼ただよう悲憤を、反戦の気するどく追求した処女作「北満病棟記」。看護士相手におどける俺を嘲笑う、女の冷やかな眼。肉体に欠陥をもつ男が過去を暴かれ、おのれの全存在を否定される恐怖を描いた表題作。ほかに、「相場師」「天穴は見えず」など7編を収録。
  • 西成海道ホテル
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    釜ヶ崎に接する西成海道町。かつては人間的な体臭に満ち、庶民の哀歓が溢れていた街は、今やその面影を失い、陰湿な街に変貌していた。一時、この街に落魄の身を寄せていた著者が、現地取材し、古ぼけたアパートの住人を中心に、愛憎にうごめく底辺社会の人間像を活写。失われたものへの愛惜をこめて描いた力作。
  • 我が炎 死なず
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    突然襲った、原因不明の全身麻痺。その日から、生への執念と奇病との格闘が始まった。芋虫のようにのたうつ我が身の惨めさ、意のままにならぬ入院生活、看病してくれる妻とのいさかい、絶望的になる日々の中で、作家になることを心の支えにして、ついに難病を克服。強烈なバイタリティがほとばしる、自伝的長編。
  • 夜の水藻
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    日本国籍だが、済州島出身のコールガール・那江子は、一昨年も昨年も、クリスマスイブの夜、街をさまよった。そしてその度に、彼女の人生を変える出来事が起った。初めの年のイブ、彼女は韓国人の暴力バーのマスターと知り合った。次の年のイブの夜、拘置所に入っている彼に、妻子が居ることを知った。そして今年のイブ……。夜の大阪を背景に、体を張ってたくましく生きていく女たちと、周辺にうごめく男たちを描く傑作短篇集。
  • 花と骨群
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    部下との浮気でノイローゼになった課長代理が入院。そこで、神経障害者や精神病患者たちの必死の形相にぶつかる。病いに蝕ばまれた心と体の苦悩と、〈健康な生〉への凄まじい執着を追った表題作。ほかに、「さ迷える魂」など、生きること、愛することの苦しみと悲しみを、極限に追いつめられた人間群像のうちに見た6編を収録。
  • どぼらや人生
    -
    儲けた株の大暴落と小児麻痺罹病で陥った、どん底生活。釜ケ崎での、その日暮し。占い商売でみた客の、数奇な人生。キャバレー勤めで見聞した、ホステスの哀歓――社会の底辺にいて、その生存を脅かされる人々と生活をともにしながら、小説家をめざす強固な意志と執念で、苦境を脱出した著者の、苦難時代の体験記である。
  • 朝を待つ女
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    澄子を見たとたん、欲望が爆発した。なんのために、わしは生きてきたんや……。黒い肌に清潔さを匂わせ、妖しい魅力を発散する、アルサロの女。戦後の落し子という、暗く佗しい運命に訣別し、新しい朝を待ちながら、男を狂わせずにおかない「悪女」の肖像を描く表題作、ほか5編。黒岩重吾の才腕を示す、多彩な異色短編集。愛とサスペンス。
  • 西成涙通りに舞う
    -
    ドヤ街に住む男女の、たくましい生き方を描く、傑作短編集。西成の遊戯場に勤める八城は、別れた妻・広美を探すため、キャバレーに通ううち、妻にそっくりの女・奈緒子に会った。八城は、やもめ暮らしの自分の部屋に、奈緒子を誘うが、トイレから出た彼女は、八城の顔を見て大声で悲鳴を上げる。奈緒子の隠された秘密とは……。という表題作ほか5編を収録。人生の谷間に垣間見た、男の地獄と女の業。
  • 心斎橋幻想
    -
    堅実な生活設計を立て、誘惑に負けない決意を固めて、女ひとり、大都会での生活を始めたが……。という、聡明な娘の転落を、都会の非情さにからめて描いた、表題作。華やかなネオンの海で送る男と酒を相手の虚飾の日々。したたかに泳ぐ女、辛酸をなめる女、傷つく……。運命に翻弄される薄倖の女たちの哀歌をうたった8短編。
  • 開かない花
    -
    学生運動に熱中し、中小企業に就職後も労働運動をしてクビになり、会員制クラブのマネージャーになった津村の前に現われた悠子は、悲しい運命の女であった。男から男を転々としながら彼女が求めていたものは、いったい何であっただろう。美女の奇妙な行動に秘められた悲劇。両親から受けついだ自分の血を呪いながら……。という表題作など、傑作6編を収録。現代社会をたくましく生きる庶民の男と女のバイタリティを描いた、興味尽きない1冊。
  • 愛の装飾
    -
    妻子ある男の巧みな罠に翻弄されながら、真実の愛を求めて生きる女性を描くロマン小説──建設会社の上司の技師長によって、順子は性の喜びを知る女になった。だがその上司は、汚職に関係しているらしい。旅先で自殺を図った同僚の妙子を救う、青年・桂との遭遇。順子の心は、いつしか彼に傾斜していく。愛と性の桎梏に悩んだすえ、上司と訣別、桂への愛を貫こうとする。装飾のない一途な愛を求める、若い女性を描いた力作。
  • 明日なき巡礼たち
    -
    おれを左遷したヤツはだれだ? 左遷を画策した「犯人」を追う、長編サスペンス。D薬品の有能なプロパーである立槍は、創業者会長の縁戚の娘と見合したが、愛人の存在を理由に破談の上、九州転任を命じられる。辞表を出した彼は、総会屋の部下になり、見えない敵に復讐を誓う……。サラリーマン社会に渦巻く、飽くなき人間の欲望と闘いを鮮やかに描く、サスペンス力作。
  • 背徳のメス
    3.5
    大阪の施療院で、殺害未遂事件が起こった。被害者は、憑かれたように女をあさる、背徳産婦人科医だった。彼を憎み、うらむ者は多い。犯人追及の過程で浮び上がる、彼や容疑者たちの暗い過去……。戦争で青春を失い、宿命ともいえる業を背負って、吹き溜りにうごめく、人間の生きざまを描いた、社会派ミステリー。直木賞受賞作。
  • 人間を売る(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    友人に紹介された津野木の助力を得て、斎田章子は女実業家に転身した。野心家の男たちに伍して燃えあがる熱意と自信。その美貌と魅惑的な肉体を武器に販路を拡張していく。一方、酷薄で計算高い津野木は、ある陰謀を胸に秘め、協力者の面をかぶって章子を煽る。章子は津野木の思いどおりに変貌していくのだが……。<上下巻>
  • 砂を這う蔦
    -
    東京で金をつくっては、パリで若い男と恋愛する、麻由子。アメリカ帰りのデザイナー・美香。銀座でクラブを経営する、真紀とまどか。女たちの生活は、自由で華やかだ。物語は、麻由子の5度めのパトロン探しから始まるのだが、華やかさの陰に滲む孤独を追って、人生の表裏を描く。ほかに、不気味な味の短編「木枯しの女」を併録。
  • 砂の巣
    -
    夫婦のかすかな欲求不満に仕掛けられた甘美な罠は、しだいに獲物を追いつめる。巧みに仕組まれた汚職に巻きこまれ、家庭の崩壊を招く「砂の巣」。殺人事件に関わり、夫の秘密を知ってしまう妻。夫婦の破滅をミステリアスに描いた「煮えた欲情」。鋭く深い人間凝視で、欲望の魔力に蝕ばまれる悲劇を描出した、佳編2作。
  • 古代浪漫紀行 邪馬台国から大和王権への道
    3.0
    高松塚古墳の壁画、出雲で出土した358本の銅剣、藤の木古墳、吉野ヶ里遺跡――このような発掘が相次いだにもかかわらず、古代史は相変わらず霧の中にある。古代史ブームの火付役であり、第一人者である巨匠が、曖昧模糊とした霧中に想像力の光を照射し、これまでの学説から1歩踏み込んだ、古代への浪漫紀行。
  • 影を燃やせ
    -
    恋人のまりが、殺された。いまや、美しい思い出となった、たった一夜の契り。夜の紳士・宝木は、恋人に対する愛と犯人への怒りに燃えて、自力捜査を決意する。彼の危険をおそれぬ追及で、事件の輪郭は、徐々にあらわにされる。悪徳と情欲の渦まく大都会を舞台に、女を縛る謎のフィルムをめぐって展開する、ハードボイルド推理。
  • P+D BOOKS 私版 京都図絵
    4.0
    作家人生の礎(いしずえ)となった地を、随筆と絵で辿る。 『雁の寺』『五番町夕霧楼』『金閣炎上』他、京都を舞台にした水上作品はいかにして生まれたか――。 僅か九歳で京都の寺に預けられた著者が、精神形成期を過ごしたこの地を、《愛憎もつれあって、悲しみも喜びも、吸いこんでいるつめたい土壌の街だけれども、いつまでたっても、この古都は私から消えぬ。》と綴る。 往時を回想しながら六孫王神社、五番町遊廓、今宮神社、相国寺塔頭瑞春院、衣笠山等持院、東山二条産寧坂、千本丸太町、保津峡、嵯峨鳥居本、大原桂徳院と十の地を巡り、自ら絵筆を揮い、街々の景色を描いた挿絵も掲載。
  • 松平長七郎旅日記~東海・西海編~
    4.0
    故駿河(するが)大納言(だいなごん)忠長(ただなが)の遺子・松平長七郎と、側役(そばやく)・三宅宅兵衛、田村右平次の主従三人は、紀州大納言頼宣(よりのぶ)の行列を追って江戸を離れ、東海道へ……。道中、幕府覆滅を企てる万字(まんじ)組が長七郎を陰謀へ誘う。痛快道中記。
  • 月影兵庫 放浪帖
    -
    東北から北陸、そして関東へ、兵庫と安の旅は続く。各地で起こる難事件を推理と剣の冴えで切りぬけ、兵庫は江戸へ! そこに待っていたのは例のごとくの“女人禍”であった。剣難と女難! 月影兵庫シリーズ最終巻。
  • 月影兵庫 一殺多生剣
    -
    愛妻桔梗の死……孤独に耐えて数年。旅をつづける兵庫は、古河の城下で、元スリの“合点の安”と出会い、旅の伴とする。一殺多生の剣光が、東北の地で繚乱! 兵庫の強靱な肉体が、女と剣の修羅場をくぐり抜けた!
  • 北国の女の物語(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    大正3年、青森県尻屋崎で遭難した船から、ただ一人生き残った赤子があった。その子は沖子と名付けられ、観音堂守りのもとで育てられたが、長じて材木問屋の女中として働くことになる。沖子の美貌と陰日向ない働き振りは誰からも好かれ、17歳の年に番頭の伊助と結婚するが、運命の悪戯は沖子に無情だった……。暗い宿命に耐えて生き抜く女の哀しさと美しさを謳いあげる哀切ロマン。〈上下全2巻〉
  • 杉浦明平著作選(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    渥美半島・福江湾のノリ養殖に関して、利権にむらがるブローカー、漁業ボスのあさましい行動。それはやがて不正を生んで、素朴な漁民たちの目を覚まさせた。戦後の民衆運動の典型を、重い視点と深いユーモアで描いた名作「ノリソダ騒動記」のほかに「町会議員一年生」を併録。知性と野性が結実する杉浦文学の秀作選。
  • 湖の琴
    -
    若狭の国の貧しい農家に生れた栂尾さくは、琵琶湖の北端にひっそりと水をたたえた余呉の湖の近くの蚕の糸とりの家に、糸取り娘として奉公に出る。そこで、同じく若狭出身の宇吉にめぐり会うことにより、さくは新たな運命の糸にもてあそばれていく……。三味線糸生産地の風土を背景に、悲痛な女人像を浮かび上がらせ、哀しみと詩情をこめて描いた人間愛が、哀切な琴の音をひびかせる長編ロマン、悲恋物語。
  • 火の舞い(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    若狭の山村に祖母とつましく暮らしていた村瀬ふくが、男女の仲にうるさい田舎をあとに、京都の町へ出たのが19歳の秋。多情の血を継ぐふくは、勤め先の工場で出会った初めての男・田島の子を宿すが、それを知った田島は突然、姿をくらます。やむなく腹の子を堕ろし、呑み屋、ホテルの女中を転々とし、男遍歴を重ねるふく。そして偶然にも田島に再会したふくは、幸福な結婚を夢見るのだが‥‥。男たちへの愛に命を賭けた女の哀しい半生を描く。〈上下全二巻〉
  • 野の鈴(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    扁平足で脚が短く、あひるのようにペタペタと歩く、少年・庄吉。9歳の彼の姿は、どことなく剽軽でもの哀しい。その孤独な歩みのたびに、背の鈴の音が響く。戦地の中国・満州で父を失い母と生き別れ、戦後ひとり荒廃した日本へひきあげた庄吉。敗戦直後の東京の焼野原で、母を求めて彷徨い、四国の田舎で生きていく。運命の神に翻弄されながら、やがて来るつかの間の再会。だが、それが永遠の別れへの旅立ちとなった……。戦後の混沌とした時代状況の中で、人間の哀しい定めと愛の美しさを謳い、凜とした深い感動を伝える名作。<上下全2巻>
  • 風を見た人(一)
    -
    1~5巻660円 (税込)
    強い季節風の吹き下す、新潟県の石曾根で生れた真崎ちよは、幼い頃に父を失い、貧しい娘時代を過す。しかし、不幸な青春の中にあって恋を知り、やがて妊娠する。だが、愛する男は軍隊におり、男の両親はその責任から逃れようとする。「別れ」の人生を送ってきたちよが、誰にも恥じない陽の下道を選んで生きようとする、哀切きわまりない長篇ロマン。<全5巻>
  • 谷捨蔵の憂鬱
    -
    京都の畳職人・谷捨蔵は、昔に比べると仕事がめっきり減ってしまった。近代化の波が、畳業界をも襲ったのである。しかもあと継ぎ息子は、畳なんかはもう前代の遺物だといって、家業をかえりみず、バンドにうつつをぬかしている。50年も畳一筋に生きてきた谷捨蔵の憂鬱は、深まるばかりである……。という表題作のほかに傑作8編を収録。
  • 石を抱いた樹(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    巨木は、地中深く、石を抱いているものだ。……名門・布施学園の理事長・布施英之は、樹木を愛し、学園のマンモス化により、緑が失われていくのを憂えていた。折しも20年の歳月を経て、敗戦の混乱のうちに、生き別れた息子が姿を現わす。大地にしっかり根を張ろうと、父と子それぞれに歩む道を描く、感動の長編問題小説。生き別れた息子との再会、親子の運命……水上文学のロマンチシズムの源泉がここにある!
  • 恋愛とは何か 初めて人を愛する日のために
    4.5
    愛についてのエッセイ・方法論は数多い。本書は豊かな恋愛経験と古今東西の文学に精通する作者が、わかりやすく男女間の心の機微を鋭く解明した、全女性必読の愛のバイブル。
  • 女人古寺巡礼
    -
    世の不幸な妻たちの味方だった縁切り寺・東慶寺、花の面影を伝える、紫式部の邸宅跡・廬山寺、幕府を守るためには我が子をも処断した薄幸の母・北条政子が鎮もる寿福寺、周を亡ぼして日本に乗りこんで来た・玉藻ノ前(たまものまえ)因縁の真如堂……。多くの女性たちが縁を求め、心の救済を願った名刹を訪ねる、好個の歴史読物。心の救いを願う女性たちの祈りがつくりあげた名刹、史上に名高い女たちとゆかりの古寺の物語!
  • 平家物語を歩く
    -
    夏草おい繁る祗園女御塚、墨色の暮靄に沈む祗王寺……、一ノ谷、壇ノ浦へ、そして大原寂光院へ……。春浅き西海に散った平家の滅びの美を謳う一大叙事詩「平家物語」を、「人間業」の記録とみた著者がいざなう、もう一つの平家物語の世界。――歴史の舞台を彩った人々の、封じこめられた呻き、悲歎、呪咀を行間につたえる歴史紀行。平家の舞台を旅しその「心」を探る。この1冊をポケットに平家物語を歩こう!
  • 執念の家譜
    3.7
    三浦光村は元服して初めて、三浦一族と北条氏との40年にわたる暗い宿縁を知る。同じ関東の豪族でありながら三浦氏は、鎌倉将軍家補佐の任を北条氏に奪われ続けたうえに、北条氏は、鎌倉幕府存続のために、地元の豪族・三浦氏を巧妙に利用してきたのだ。だが、三浦氏の北条に対する反撥は、何度かの争いを経て増幅されてゆく……。という表題作のほか、曽我兄弟仇討ちを扱った「裾野」など、精緻な歴史小説の短編6作を収める。
  • 淀どの哀楽(上)
    5.0
    江北に名高い豪勇の将・浅井長政と、たぐい稀な美しい妻・お市との長女・茶々は、恐れを知らぬかわいい姫君であった。幼いときに伯父・織田信長によって浅井が滅ぼされ、母の再嫁先・越前北ノ庄もまた、豊臣秀吉の手によって落城した時、何事にも敏い茶々は、託された妹たちをかばって、戦国の女の宿命に従い、敵将・秀吉の側室となった。信長、秀吉の影に生きた淀君の生涯を描いた傑作時代長篇。<全二冊>
  • 武家女夫録
    -
    出雲藩の木実方添奉行(このみかたそえぶぎょう)・梅沢作之丞が惨殺された。特産物の生蝋の専売役で内福を噂され、茶屋女・お鯉の身請話を決めた直後のことであった。藩の詮議に、年若い妻・寿恵と若党・弥八は、互いに庇いあって……。体面を重んじながら、困苦に耐える微禄の武家の暮らしと、封建制に抗した男女の愛情を描く、名作短編集。体面にしめつけられても、燃え上がる不義の愛!
  • 人喰鉄道(上)
    5.0
    1~2巻660円 (税込)
    暗黒大陸と怖れられたアフリカ大陸に、文明の曙光を投げかけんと企てられた、ウガンダ鉄道建設。英人鉄道技師・パターソンは理想に燃えて赴任するが、サバンナは、人間の侵略に〈人喰い(マン・イーター)〉と化したライオンとの血みどろの戦場だった。雄大な大自然のなかに、ライオンと人間の死闘を非情なタッチで描き出した、異色の動物文学。
  • ヒトはなぜ助平になったか
    -
    なぜヒトには「交尾期(さかり)」がなくなったのか? ヒトはなぜ「対面位」で交わるようになったのか? なぜオッパイはいつも肥大しているのか? 比較動物学という見地から多くの動物たちの場合と照応しながら、ヒトの性を男女の結合力の根源として据えなおし、ヒトと動物の性の本質を、真面目に楽しく考察する名著。
  • 他人の血
    4.0
    袋を足に鎌首もたげて、勝手に歩き出したイチモツは女の股間にもぐりこむ。驚愕と喜悦にうちふるえる女。オレの背筋を電流がはしる――口、指、へそ、足など肉体の一部が自在に変化して、主人公の秘めた熱い願いをかなえてくれるのだが……。奇想天外な発想と、巧みな語り口で展開する、セクシャル・ブラック・ユーモア。文句なく笑わせる傑作10編。
  • 鬼恋童
    4.3
    萩焼の窯元に代々秘蔵されてきた、古萩「白虎」。凶々しい伝説に包まれた名器が歴史の闇から浮かび上がった時、惨劇は始まった。表題作「鬼恋童」の焼物、「阿修羅花伝」の能面、「炎帝よ叫べ」の隈取り――伝統の美に囚われた人たちは、官能の暗い情動のままに破滅への道をひた走る。耽美派の鬼才が描く妖美世界。めくるめく伝奇ロマン、赤江文学の傑作5編。
  • 花曝れ首
    4.8
    地獄が恐うおすのんか? 修羅がそんなに恐ろしおすか? 好いた男と見る修羅や。おちる地獄や。おちとみやす――夏の北嵯峨、陽ざらしの化野に立ちあらわれた妖かしの影、秋童・春之助二人の色子が物語る、はかない栄耀のはての無惨な性……。表題作のほか「恋怨に候て」「影の風神」など4篇、魔に憑かれた魂の官能美の極致、妖かしの陶酔境を描ききった伝奇ロマン。身性の毒が、人を花に変える!(作品集「熱帯雨林の客」改題)
  • いとしのブリジット・ボルドー
    3.0
    歴史的絶品である1834年産の最高級ワイン「ブリジット・ボルドー」の発見にからむ顛末を描いた表題作。「ます女バンド」なる生理用具を考案・発売して大当りしたアイディア婦人・ます女の、痛快な生き方を描いた「烈婦! ます女自叙伝」。ほかに、「電波大泥棒」「王様の白切手」など、ユーモアとペーソスあふれる4編を収める。
  • 波まくらいくたびぞ 悲劇の提督・南雲忠一中将
    -
    機動部隊司令官として南雲忠一が戦果を挙げた真珠湾攻撃でも、長官・山本五十六を高名にしたものの、南雲への評価は低かった。そして、近代海戦の始まりといわれるミッドウェーでは、南雲に敗戦の責めが負わされる。だが、ここでも英雄は、墜死した山本五十六であった。南雲に対する偏見を正すべく、真実凝視を意図した、著者の一大労作。
  • 古城秘話
    3.5
    「文化的遺産はすべて、それをめぐる人とのかかわり合いにおいてこそ、後世の人々の心をより強く打つものなのだ」隠密が潜み、裏切りが行われ、亡霊がさまよう。──北は松前城から南は鹿児島城まで、全国三十の古城名城にまつわる秘話裏話伝説記録を、そこに込められた哀しみと憤りと、怨念と呪詛と、闘いとその血汐とともに鮮やかによみがえらせる。
  • P+D BOOKS 決戦の時(上)
    3.0
    知られざる織田信長「若き日の戦いと恋情」。 「神も仏も、己の他に何も信じぬ。余は魔王になる!」18歳の若き織田信長は、自らをうつけ者と断じ、棟梁と認めない叔父、そして弟を謀殺する。 その一方で、やがて尾張を巡る攻防でしのぎを削ることになるであろう今川、斎藤との勝算のない決戦に命を賭して挑む。 若き日の信長の知られざる苦境や孤独と、唯一無二、信長が心を許した年上の恋人・吉乃(きつの)との恋情、交情の日々を初めて詳細に描いた、筆者渾身の歴史長篇前篇。 吉乃の実家・前野家の文書「武功夜話」をベースに、戦国時代のヒーロー織田信長の知られざる一面が描かれている。
  • セブン殺人事件
    3.3
    新宿淀橋署の宮本刑事部長と、本庁から来た佐々木警部補。年齢も容姿も経歴も好対照の2人は、その名前から「宮本武蔵と佐々木小次郎」にたとえられるライバル同士だ。そんな異色の凸凹コンビが7つの難事件に挑む。どんなときも、2人の推理は真っ向から対立、はたして正しいのはどちらか?息もつかせぬ展開、綿密なトリック、思いもよらない結末と、推理小説の神髄が味わえる7編を収録。
  • 戯作者銘々伝
    -
    恋川春町、式亭三馬、山東京伝など。どこをとっても個性的な江戸の戯作者たちは、娯楽を求める庶民の熱狂的支持を得、笑いと嘘で社会・文化を支えた。権力におもねることなく物語を書いた戯作者たちと、彼らを取り巻くちょっとハミ出た市井の人々の紡ぎだすドラマを、史実を踏まえて生き生きと描き出す。江戸の空気感たっぷり、粋な井上節が炸裂、痛快。
  • 西陣の女
    4.5
    1巻660円 (税込)
    露ぶかい山繭の村、奥信濃の有明から、京都の西陣に奉公に上り、美しい風光の中で、雅やかな西陣の女へと磨かれてゆく刈田紋。つづれ職人・松吉と密かに愛し合い、心惹かれながらも、日本画壇の長老・今畑冬葉の後妻となった紋は、夫の死後、何処へともなく失踪する……。愛憎に絡まれた哀しい女人の物語を、伝統美あふれる西陣つづれ織の世界を背景に、情感豊かに描く長編小説。
  • 日本夫婦げんか考
    -
    イザナキ・イザナミの壮大無比なけんかに始まり、山内一豊とその妻など、古代から江戸にいたる歴史上の夫婦げんか十七例をとりあげ、ユーモアと諷刺をこめて男女の機微を軽妙な筆で綴る、喜劇夫婦の日本史。 虚実入り乱れる夫婦史伝を、詳細な史料をもとに読み直す。 【目次】 われらが祖先はかく戦えり――伊邪那岐命・伊邪那美命 やきもちニッポン事始め――磐之媛皇后と仁徳天皇 天平の王者は奥様本位――聖武天皇と光明皇后 優雅な王妃の投石――藤原安子と村上天皇 王朝美人は強かった――「蜻蛉日記」の作者と藤原兼家 うかれ女 離婚始末記――和泉式部と橘道貞 浮気のいましめ――茨田重方とその妻 過保護パパの代理戦争――高倉帝と徳子・平清盛の場合 徒労を重ねた正義派夫人――北条政子と源頼朝 妻の根性夫を走らす――日野富子と足利義政 不信のなかの裏切り夫婦――織田信長と濃姫 戦国“女性外交官”の怨念――徳姫と信康 歴史に残る痴話げんか――豊臣秀吉と禰々 夫に与えた強烈パンチ――前田利家とおまつ 奇妙なけんかの奇妙な結末――細川忠興と玉子(ガラシャ) 貞女の頭脳プレ――山内一豊とその妻 忠臣蔵にみる偽装離婚卜大石良雄と妻りく あとがき 改版に際して 【著者プロフィール】 大正14年東京生まれ。東京女子大学国文科卒業後小学館に入社し、『女学生の友』『マドモアゼル』の編集者を務める。 小学館時代から歴史小説を執筆し始め、昭和39年『炎環』で直木賞を受賞。その他にも吉川英治文学賞を受賞した『雲と風と』等多くの素晴らしい作品を世に送り出している。 男性的目線になりがちな歴史人物や歴史事件を解きほぐし、その陰になりがちな女性にも焦点をあて、歴史上の人物、出来事を鮮やかに浮かび上がらせる作風は、歴史小説に新風を巻き込んだものと評価されている。 また、直木賞受賞作品である『炎環』、『北条政子』などは、NHK大河ドラマ『草燃ゆる』(1979年)の原作として、また『山霧 毛利元就の妻』『元就、そして女たち』などは、同じくNHK大河ドラマ『毛利元就』(1997年)の原作としても知られている。
  • 前田利常(上)
    3.0
    幼名・猿千代。ただ一度だけ対面した父・利家に“眼の内はよろし”と誉められ、兄・利長の継嗣(けいし)となる。利光を名乗り、わずか13歳で海内(かいだい)随一の大大名・加賀百万石を継いだ。その後、大坂の役では先鋒として出陣、家康の孫・松平忠直と戦功を競う。前田家取りつぶしを画策する徳川方の陰謀に、股肱(ここう)の臣の富田重政・重康父子の協力を得て、危難を脱するが……。
  • 忍法新選組
    -
    幕末動乱に乗じて、諸国に逼塞(ひっそく)していた忍者群が一斉に蜂起(ほうき)した。勤皇佐幕、攘夷開港と湧き立つ中、彼らは東につき西に奔(はし)る。近藤勇(いさみ)たちに徳川家の命運を託す伊賀や高志(こし)の忍び、尊皇討幕の旗を掲げる百千(ももち)党や不知火(しらぬい)党。さらには向背不明の風魔党などが出没し、陰で競う。 新選組の活躍の陰で、忍び同士が妖艶凄絶な死闘を展開する、長編伝奇ロマン!
  • 前田利家(上)
    -
    天文七年、尾張荒子城主・前田利春の四男として生まれた利家。幼名を犬千代。容姿端麗にして知略にも秀れ、槍をとっては天下無双。信長に従い、群雄割拠の乱世を勇猛果敢に突き抜けた姿を描く長編歴史小説!
  • P+D BOOKS 剣士燃え尽きて死す
    4.0
    青年剣士・沖田総司の数奇な一生を描く。 不運な出会いを持たねばならなかった武家の娘・千鶴。その形見の懐中鏡に、新選組副長助勤・沖田総司はつぶやく。 「また、ひとり斬った」、命令のまま人を斬る! 組織に属し、その命に服しながら……。 だが、人斬りの空しさ、新選組への絶望、局長・近藤勇への不信、そして労咳に冒された肉体。幕末の青春とは、そして死とは? 筆者の美意識が投影された終章。多くの作品のテーマとなっている新選組を、沖田総司の視点から、組織に属しながらも“一匹狼”として厭世的な目で見つめた青年剣士の数奇な一生を描く異色の時代小説。
  • 北条政子
    4.7
    伊豆の豪族の娘と生まれ、源頼朝に嫁いだ政子。歴史の激流にもまれつつ乱世を生きた女の人生を直木賞作家が描いた。 直木賞作家、永井路子が描く王朝貴族の野望と葛藤。 藤原道長亡き後、王朝社会を操る黒幕となった息子藤原能信。 皇子誕生を巡る貴族たちの思惑と歴史に翻弄される人々がたどる数奇な運命。 『この世をば』に続く平安朝の物語を直木賞作家、永井路子が彩り豊かに描く。 【著者プロフィール】 大正14年東京生まれ。東京女子大学国文科卒業後小学館に入社し、『女学生の友』『マドモアゼル』の編集者を務める。 小学館時代から歴史小説を執筆し始め、昭和39年『炎環』で直木賞を受賞。その他にも吉川英治文学賞を受賞した『雲と風と』等多くの素晴らしい作品を世に送り出している。 男性的目線になりがちな歴史人物や歴史事件を解きほぐし、その陰になりがちな女性にも焦点をあて、歴史上の人物、出来事を鮮やかに浮かび上がらせる作風は、歴史小説に新風を巻き込んだものと評価されている。< また、直木賞受賞作品である『炎環』、『北条政子』などは、NHK大河ドラマ『草燃ゆる』(1979年)の原作として、また『山霧 毛利元就の妻』『元就、そして女たち』などは、同じくNHK大河ドラマ『毛利元就』(1997年)の原作としても知られている。
  • P+D BOOKS 幻妖桐の葉おとし
    -
    風太郎ワールドを満喫できる時代短編小説集。 「桐華散ラントシテ桐葉コレヲ護ル……」謎の言葉とともに大阪城絵図を北の政所から託された秀吉の遺臣7人は、そこに込めた秀吉の豊臣家生き残りの秘策を探る。そこに降りかかる思わぬ悲劇と、この謎の真意とは……。表題作「幻妖桐の葉おとし」のほか、うだつのあがらぬ旗本たちの生き様を描く「数珠かけ伝法」、忠臣蔵をテーマにした連作「行燈浮世之介」、「変化城」、桜田門外の変でたおれた井伊直弼の首に纏わる奇談「首」など、全6編の時代小説集。 江戸時代初期から幕末までの時代に生きた様々な身分の人間の情念、人間味を独特の視点から描いている。その時代の世相をときにユーモラスにときに皮肉たっぷりに描く山田風太郎ワールドが満喫できる。
  • 井上ひさしの読書眼鏡
    4.4
    面白くて、恐ろしい本の数々――。足かけ4年にわたり『読売新聞』読書面に連載された書評コラム「井上ひさしの読書眼鏡」34編。そして、藤沢周平、米原万里の本を論じる。著者の遺稿となった書評集。〈解説〉松山 巖
  • 「優駿」観戦記で甦る 有馬記念十番勝負(小学館文庫)
    -
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 競馬界の1年の総決算ともいうべき有馬記念は実力日本一を決定するレースでもある。そこでは、本命馬の圧勝、息詰まるマッチレース、奇跡の復活、そして大波乱と、さまざまな歴史に残る名勝負が繰り広げられてきた。その中から、シンザン、カブトシロー、テンポイント、オグリキャップ、トウカイテイオーなど感動の10戦を、「優駿」誌上に掲載された寺山修司、山口瞳、遠藤周作、古山高麗雄らの観戦記で再録。さらにその後の馬と人を書き下ろしの「蹄跡」で追う『十番勝負』シリーズ第3弾。
  • 天皇の料理番 上
    4.0
    1~2巻660~726円 (税込)
    小さいときから強情でいたずらっこだった篤蔵は、福井の大庄屋の次男坊。高等小学校の時、ひょんなことから鯖江連隊の田辺軍曹からご馳走になった〈カツレツ〉の味に仰天。彼の運命が大きく変わることに――。その後、家出同然に東京へ行き、西洋料理の世界に裸一貫で飛び込んでいく。明治生まれの若者が、日露戦争以降の東京で、激動の時代と共に、力強く成長していく立身出世の物語。
  • 悪魔の情事
    -
    若く美しい女社長西條ユリとハンサムな芸能企画社社長小久保三郎の秘められた情事。台湾留学生○清華(とせいか)と信金社員香川晴彦の若い恋。心臓を病む世界的指揮者二本松伸に献身的に尽くす妻の虹子。六人の男女。無関係な彼らが結びついた接点。ひとりの男は撲殺され、もうひとりは自殺した。謎の言葉「悲劇は睫毛よ……」を残して。その情事には、なにかがあった!?(『悲劇は睫毛よ』改題)
  • 女人切腹
    2.5
    町方の女とお武家さまの恋は、成就しにくいのだが、お雪は長七郎と恋に陥ってしまう。そして、不祥事からやむをえず恋人を裏切ってしまうお雪。その哀れな末路とは……。(表題作より) 江戸の女性の恋心を描いた異色作、怪談仕立てで謎解きの趣きもある作品など、バラエティに富んだ物語(ストーリー)展開の8作品を収録。著者独特の語り口をたっぷり堪能できる傑作時代小説集!

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