「ドラゴンころし」という大剣を持つ「黒の剣士」ガッツの壮大なる冒険。連載期間は30年を越え、アニメ化も何度もされているダークファンタジーの超大作です。
夜になるとあらゆる魔物や霊に命を狙われる宿命にあるガッツ、恐ろしい惨劇に襲われ、心を閉ざした最愛の女性キャスカ、そして、神々しいまでの美しさとカリスマ性を持った旧友にして最大の敵グリフィス。その3人が中心となって、騎士ありエルフあり魔女あり怪物ありというファンタジーの王道を描きながら、唯一無二の重厚な世界観で濃密な人間ドラマが展開します。
苦しみを背負いながらの闘いが続くシリアスな作品ですが、時折差しはさまれるコミカルなシーンも大きな魅力です。
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まだ残り火を感じれたから
漫画家の漫画力というものにいささか疑念があった。そうはいってもトレースでも表現は可能だとかモノマネでも情熱も真似られればそれは同じ、と。
まるで知ったつもりになって軽く見ていていたのかも知れない…こうしてまざまざと三浦氏不在のままの刊行を通して改めて「漫画家とは何か?描くとは何か?表現するって何か?」そういうものを打ちひしがれる程に思い知らされた。三浦氏の剣戟アクションはごまかさない、物語の芯であることを自覚し剣を振るうと何処で剣先が止まるか?切り返しの剣筋はどこか?まるでガッツのようによくよく研究されていた。鬼気迫る描写も少女達のあどけなさもどこか薄味で、遠い背景の深奥には力不足の嘆きや寂寥感の漂う。それが面影になってしまっている。そしてそのノイズがさらに画を濁らせる。
次巻からは、ほんとうにほんとうの他人の記憶の中にいる幻の三浦氏が語るベルセルクが綴られる。
望んでいたものとは全く別物になることをほんとうに覚悟するしかない。なんで描いた!?こんなのは三浦氏への冒涜だ!ときっと激昂することだろう。
それでも言わせて欲しい。続けてくれてありがとう!
この物語だけは終わりをみたい。