【感想・ネタバレ】今昔物語集 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「今は昔、~となむ語り伝えへたるとや。」の説話集。
天竺(インド)、震旦(中国)、本朝(日本)から成る。
ウサギが焼身自殺して月になる話。
紫式部の父、藤原為時が素敵な漢詩を読んで国司になった話。
谷底に落ちても平茸とってくる強欲な受領の話。
平定文が美女に夢中になりすぎて・・・してしまう下品な話。
様々な面白おかしい話が、古文とともに楽しめる。

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2024年01月21日

mac

ネタバレ 購入済み

短編集

一部ご紹介します。
『炎に飛び込み、身を焼いて食事に差し出したウサギ』:昔々、とある場所で、行き倒れた老人を、ウサギとキツネとサルが見つけた。
キツネとサルは、食べ物を探してまわり、老人に与えた。だが、非力なウサギだけは、何も与えることができなかった。
そこで、ウサギは、キツネとサルに焚き火の準備を頼んだ。彼等が火を起こしたところで、ウサギは言った。
「僕には食べ物を探し出す力がありません。だから、僕の体を焼いて食べてください。」と言うや、 たちまちウサギは炎の中に踊り込んで焼け死んだ。
このとき、老人に変身していた神は、このウサギが火に飛び込んだときの姿を、そのまま月の中に移して、命あるもの全てに見せるために、月面に刻み込んだ。
月を見上げる人間の心には、ウサギへの愛情と共に自己犠牲の意味が染み込んでいく。
月はウサギの墓標なのである。
・『前妻のミイラと愛し合った侍』:昔々、京に若くて貧乏な、だが仲の良い夫婦が住んでいた。
ある時、仕官(就職)の機会が訪れた。それには、地方に赴任することが条件だった。
遠い地方に下るには、それなりの旅支度がいる。旅支度は自腹で用意しなければならなかった。そして、法律が守ってくれない時代でもあった。 そこで、最愛の妻を捨てて、裕福な女に乗り換えた。
だが、希望が叶い生活が落ち着くと、思い出すのはかつての妻のことばかりだった。
やがて、任期を終えて、帰京した男は、別れた前の妻の元へ走った。
すっかり荒れ果てた家の中に入ると、前妻は、いつもいた場所に、ひとり座っていた。
他には誰もいない。
男は、妻に、地方の赴任先で長年心にかけていたことをあれこれと語った。
妻は夫を見て、捨てられたことを恨むようすもなく、嬉しそうに聞き、長年積もり積もった思いを語っているうちに、夜も更けていった。
「話はこのへんにしてもう寝よう」ということになり、南側の部屋で二人は固く抱きしめ合い、互いの愛を確かめた。
夜が明け、日の光が部屋に差し込んで、男は目を覚ました。
隣を見ると、自分が抱きしめて寝ていた女は、からからに干からびて骨と皮ばかりになった死体だった。
貧困であるがゆえ、愛し合いながらも別れざるを得なかった男女の物語である。

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2022年09月30日

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