あらすじ
為尊親王の死後、弟の敦道親王から和泉式部へ便りが届き、新たな恋が始まった。恋多き女、和泉式部が秀逸な歌とともに綴った王朝女流日記の傑作。平安時代の愛の苦悩を通して古典を楽しむ恰好の入門書。
※本作品は紙版の書籍から口絵または挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ビギナーズ・クラシックスは『和泉式部日記』でございます
平安のもて女こと和泉式部(紫式部の同僚だったこともある)と天皇の子プリンス敦道親王の恋を綴った日記(とされている)でございます
いやーあのね『和泉式部日記』自体がもちろん面白いんだが、川村裕子さんの解説がなにしろ分かりやすくて面白い
そして古典愛をビシバシ感じる
なんか古典を読んだら、毎回書いてる気もするが、今回も書いちゃう
だって毎回そう思うんだもん
ほんと繋がってるな〜って思うのよ
当たり前かもしれんけど確かに繋がってる
千年以上前の話なんだけど、男と女のあれやこれやなんて今と変わらんよ
恋の駆け引きみたいとことか、いわゆる押してダメなら引いてみな的な
和泉式部のツンデレもかわいい( ・∀・)イイ!!
あとね、和泉式部は作中けっこう自分のことを「〇〇という人」って書き方をしてるのね
例えば「もとも心深からぬ人(もとからじっくり考える人ではなくという意)」みたいな
今でも女の子でよくいるよね
「わたしって〜、深く考えない人じゃ〜ん」みたいな言い方する子
いや、知らねーよ!( ゚д゚ )クワッ!!
Posted by ブクログ
面白かった。平安貴族は、本当に和歌によって自分の気持ちを伝え合うということがよく理解できた。
和泉式部は、実に魅力的な女性だったことがよく分かる。
当時としては、驚き、好奇、批判の的とされてしまうのは理解できる。凄いなとも思う。
Posted by ブクログ
最近、平安時代の書記に興味があって、和泉式部日記を読んでみました。
ここでは、周りからはなかなか認められない、すれ違いの多い切ない恋が描かれていましたが、お互いの熱い気持ちや、愛の深さが描かれていました。
平安時代の恋愛ならではの、華やかな恋愛で私は
p112からの敦道親王の和泉式部に対する和歌の返事の部分が、短くも和泉に対する愛が伝わってお気に入りです。
また、p148の敦道親王の冗談を和泉が不安に思い、その時の焦る様がとても、可愛らしかったです。
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和泉国に赴任していた夫と別れ、バツイチのプレイガール和泉式部。
それとは釣り合わないほどの高貴な弾正宮為尊親王。
本来ならば結ばれることない運命の二人だったが、弾正宮為尊親王は身分を考えず傍若無人の振る舞いをするほどに式部の魅力に惹かれた。
しかし、弾正宮は亡くなってしまう。
悲嘆に暮れる式部と、そこまで兄を夢中にさせた式部へ興味を持つ敦道親王。
式部の思わせぶりな態度に振り回されながらも次第に敦道親王、式部は互いに惹かれていく。
やはり、とはずがたりからも分かるようにこの時代の男はすぐに自分に行かれる女には全く惹かれない。
むしろ素っ気なく、ごく稀に心弾むような言葉をかけてくれる今で言うツンデレを好む男が多い。
和泉式部は恋多き女として知られているがやはりこの引き具合、攻め具合の絶妙さが、多くの人を魅了したのだと思った。
和泉式部の自分はいずれにしろ悪く言われるのは変わらない。なら、敦道親王のそばにいる方がいいと思ったり、北の方を追い出す羽目になってしまっても正気でいる式部の度肝の強さが圧巻だった。
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恋多き女性といわれる和泉式部。
和泉式部が手がけた『和泉式部日記』は、現代のドラマの脚本にも勝るのではないかと思うほどの恋模様が描かれている。
愛する人が亡くなった後に、その弟である敦道親王と和歌のやりとりをする部分からは、和歌の教養が伺えると同時に、恋多き女性と言われる所以が垣間見られる。
返歌を送られても、すぐに返事をするのは・・と返事をためらう部分や、返信するのは何回かに一度にしようと、駆け引きをする部分は、いつの時代も変わらない心情なのだろう。
挿絵やコラムもあり、古典の知識も深まる1冊。
Posted by ブクログ
なんやこの程度かというのが正直な感想。ただただ恋愛の駆け引きが描かれているだけ。その人のどこが良いのか人間的な魅力もいまいち描かれていない。この時代の人は恋愛だけで生きていたのか?今の時代の人がこのレベルの小説を書いたなら誰も読んではくれないだろう。あれかな、昔の東京オリンピックのバレーボールのレベルと今のバレーボールとのレベルとの違いかな。回転レシーブするだけで大騒ぎやったもんな。あ、でも町田康が訳してくれたら、もっと面白くなるかも。
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恋多き女性、和泉式部が恋人の為尊親王と死別した後に出逢った為尊親王の弟の敦道親王との出会いから「召人」として正妻、北の方のいる宮の邸に入ってからまでの日記。
編者の川上裕子さんの解説が面白くてとても分かりやすかったです。
確かに、この内容は教科書には向いていなさそうです。
家集(個人の歌集)などに出てくる恋人たちが少なく見積っても10人以上はいたらしいモテモテの和泉式部はプレイガールと噂されていたようですが、ここに描かれる彼女の日々はなかなか切ない印象でした。
北の方が邸を出ていってしまうところでぱったりおわっていますが、その後の年表を見ても波乱万丈な人生だったように思えます。
切なくも苦しい恋愛ストーリーの中に、和歌の教養と自らの一途さをアピールしまくっているような本だなと思いました。
Posted by ブクログ
今まで現代語訳も含め、なぜかあまり読んでこなかった『和泉式部日記』。
正直、魔性の女にそれほど興味がない。
彼女のどこがそんなに魅力的なのか、わからなかった。
さらに、自分の和歌の鑑賞力のなさもあって、彼女の和歌のどこがそんなにすごいのかがわからない。
というわけで、ビギナー向けの本書を読んでみた。
原文を取り混ぜての構成。
分かりやすい解説。
どういう内容かは、これでだいたい把握できる。
皇位を継承する可能性が残っていた時期の為尊・敦道親王に、受領層の娘である和泉が関係することの政治的意味。
まして、為尊親王が夜歩きのせいで病を得て死んだとされたことで、和泉が悪者とされる。
解説によって、こういう背景がわかると、少し関心の持ち方が変わってくる。
敦道が和泉にひかれる気持ちと、彼をいさめる大人たちとの間で揺れるダイナミズム。
和泉自身も、対等な関係での恋愛を貫くか、親王の召人という立場で屋敷に入ることを受け入れるかで揺れ動く。
二人のこういうダイナミズムの中で恋愛が発展していくのだから、スリリングだ。
それにしても、この日記は誰に読ませるつもりで書いたのだろう。
解説者の川村さんは、和泉が敦道親王を擁護するために書いたと考えている。
どういう形で世の中に出たのだろうか。
Posted by ブクログ
そのうち源氏物語などの古典を読めたらと思っているのだが、その前知識として平安時代の文化や貴族の生活様式を軽く学べたらと思って読んだ。訳や解説が易しく丁寧だし、絵やコラムなどもあって当時の雰囲気を知るのにちょうどよかった。内容そのものも面白かったので満足。和歌で想いをやりとりするとはなかなか粋な文化だ。歌が物語を情緒豊かにし、物語がさらに歌の趣を深くしているという感触があったが、この歌と物語の共鳴が生む効果の絶大さは新鮮な驚きだった。