【感想・ネタバレ】今昔物語集 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典のレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年01月21日

「今は昔、~となむ語り伝えへたるとや。」の説話集。
天竺(インド)、震旦(中国)、本朝(日本)から成る。
ウサギが焼身自殺して月になる話。
紫式部の父、藤原為時が素敵な漢詩を読んで国司になった話。
谷底に落ちても平茸とってくる強欲な受領の話。
平定文が美女に夢中になりすぎて・・・してしまう下品な話。...続きを読む
様々な面白おかしい話が、古文とともに楽しめる。

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Posted by ブクログ 2023年07月19日

膨大な古典であるにもかかわらず、謎多い奇書、それが、今昔物語集である。

1120年ごろに成立しているようだが、作者もわからないし、成立時の資料もなく、しかも、600年近くも歴史の闇に眠っていた書なのである。

膨大なライブラリーなのに、その痕跡すら歴史には残っていない。

今は昔 で始まる冒頭、と...続きを読むなむ語り伝へたるとや で終わる文末 できわめて独創的な形式でできている。

説話集、それも、インド:天竺部、中国:震旦部、日本:本朝部(仏法部、世俗部)からなっていて、31巻千数十話に及ぶ。

今昔物語集をよみがえらせたのは、芥川龍之介である。
「羅生門」「鼻」「芋粥」は、今昔物語集から取材している。

安倍晴明、弘法大師の法力合戦、前妻のミイラと交わう男、
女の生霊が夫ととりころす、平安京の夜に跳梁跋扈する百鬼夜行。
広大な今昔物語集の人生観、世界観に魅了される。

目次

インド(天竺)・中国(震旦)部
・志をたて、王妃マヤ夫人の腹に宿るシャカボサツ
・悟りを開いて、ブツダとなったシッダールタ太子
・死に臨んで、息子ラゴラに父の情愛を示すシャカ
・この世の親子の情愛も通用しないあの世の現実
・炎に飛び込み、身を焼いて食事に差し出したウサギ
・盗みに失敗して親を殺した過去をもつ新人の国王

日本(本朝)部
・法力を競い合い、ライバルを祈り殺した弘法大師
・美女の色しかけのおかげで、学者となった青年僧
・洪水に流され、愛児を捨てて老いた母を助けた男
・清少納言の夫、剛刀一閃、強盗一味を斬り捨てる
・力士を杖のように振りまわした怪力のチビ学生
・矢竹を指で押し砕き、強盗もふるえた怪力の美女
・画伯と名工の大勝負―死体画像とからくり仏堂
・美人患者の色香にふりまわされた好色の老医師
・陰陽道の大スター安倍晴明が操った恐るべき呪術
・紫式部の父、絶妙の詩によって念願の国守となる
・以心伝心の妙技で馬盗人を射殺した武人の親子
・捨てられた女の生霊、薄情な相手の男をとり殺す
・捨てられて窮死した前妻のミイラと愛し合った侍
・変装した自分の妻に言い寄り、なぐられた軽薄男
・全裸になって追いはぎを笑わせ、危機を逃れた役人
・長大な鼻をゆでては脂抜きをする高僧の食事風景
・谷底に落ちても茸取りをする、がめつい役人根性
・色香と鞭で若い男を調教する、盗賊団の美人首領
・死体の捨て場所だった羅城門のある夜のできごと
・名刀と交換した弓矢でおどされ、妻を犯された夫
・部下の公文書を偽造させ、殺害した極悪非道の上司
・天下の色事師を焦がれ死にさせた氷のような美女
・妻の悪口に乗せられ、老いた姨母を山に捨てた夫

解説
 「今昔物語集」 作品紹介
付録
 「今昔物語集」探求情報
 「今昔物語集」組織内容
 官位相当表
 「今昔物語集」参考地図

ISBN:9784043574094
出版社:KADOKAWA
判型:文庫
ページ数:290ページ
定価:720円(本体)
発行年月日:2002年03月
発売日:2002年03月25日初版
発売日:2005年11月05日9版

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ネタバレ購入済み

短編集

mac
2022年09月30日

一部ご紹介します。
『炎に飛び込み、身を焼いて食事に差し出したウサギ』:昔々、とある場所で、行き倒れた老人を、ウサギとキツネとサルが見つけた。
キツネとサルは、食べ物を探してまわり、老人に与えた。だが、非力なウサギだけは、何も与えることができなかった。
そこで、ウサギは、キツネとサルに焚き...続きを読む火の準備を頼んだ。彼等が火を起こしたところで、ウサギは言った。
「僕には食べ物を探し出す力がありません。だから、僕の体を焼いて食べてください。」と言うや、 たちまちウサギは炎の中に踊り込んで焼け死んだ。
このとき、老人に変身していた神は、このウサギが火に飛び込んだときの姿を、そのまま月の中に移して、命あるもの全てに見せるために、月面に刻み込んだ。
月を見上げる人間の心には、ウサギへの愛情と共に自己犠牲の意味が染み込んでいく。
月はウサギの墓標なのである。
・『前妻のミイラと愛し合った侍』:昔々、京に若くて貧乏な、だが仲の良い夫婦が住んでいた。
ある時、仕官(就職)の機会が訪れた。それには、地方に赴任することが条件だった。
遠い地方に下るには、それなりの旅支度がいる。旅支度は自腹で用意しなければならなかった。そして、法律が守ってくれない時代でもあった。 そこで、最愛の妻を捨てて、裕福な女に乗り換えた。
だが、希望が叶い生活が落ち着くと、思い出すのはかつての妻のことばかりだった。
やがて、任期を終えて、帰京した男は、別れた前の妻の元へ走った。
すっかり荒れ果てた家の中に入ると、前妻は、いつもいた場所に、ひとり座っていた。
他には誰もいない。
男は、妻に、地方の赴任先で長年心にかけていたことをあれこれと語った。
妻は夫を見て、捨てられたことを恨むようすもなく、嬉しそうに聞き、長年積もり積もった思いを語っているうちに、夜も更けていった。
「話はこのへんにしてもう寝よう」ということになり、南側の部屋で二人は固く抱きしめ合い、互いの愛を確かめた。
夜が明け、日の光が部屋に差し込んで、男は目を覚ました。
隣を見ると、自分が抱きしめて寝ていた女は、からからに干からびて骨と皮ばかりになった死体だった。
貧困であるがゆえ、愛し合いながらも別れざるを得なかった男女の物語である。

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Posted by ブクログ 2013年04月20日

芥川も元ネタとして使うほどどれもこれも面白いストーリーばかり。文学は古典を超えることはできないのか、と思わされる。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

おもしろかったです。
平安時代にこんな大作が書かれていて、また編者がよくわかっていないということにも驚きました。
「鼻」「羅生門」のもとになった作品ものっていて興味深かったです。
このシリーズの特徴でわかりやすく現代語訳されていて、古典が身近に感じました。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

かなりバラエティに富んだ内容です。
「大昔の話でしかも説話…?」と思っていたけれど、読んでみると場面が想像できるくらいのリアリティ。
弘法大師の話がライバルと呪い合戦をする話が、一番印象的。

【B】

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

芥川龍之介が好きなので、一度は読んでみたかった。

講談社学術文庫に全訳版があるが、読むのに相当苦労しそうだったので、角川文
庫の簡易版にした。

十分楽しめた。

法力で人を殺めたり、チビ学生が力士を投げ飛ばしたり、坊さんが女を抱きたい
がために必死で勉強したり、強盗一味をあっさり切り捨...続きを読むてたり、夫が別の女性と
思って、変装していた妻を口説こうとしてなぐられたり、姨捨山の話だったり。
好きな女性を辱めようと、便器を盗んで排泄物を見たり。

しかしまぁ、いろいろな話があるなぁ。

しかも、なんか独特というか変な話がある。

その現代語訳もおもしろいが、原文で読むとまた笑ってしまう。

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Posted by ブクログ 2021年01月14日

平安末期、世は乱れ
権力者の風流な文化人貴族は恋愛や金儲けに
うつつを抜かし、質実剛健野蛮な武家の世への
移り変わりがわかる。
厄病などは医療的処置はなくただ祈祷する
ばかりで現代に感謝、感謝。

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Posted by ブクログ 2018年03月05日

「 今昔物語集 」 古典を読むときは 角川ソフィア文庫から。読みやすくて 1冊で終わるので、入門書として最適。

1冊の中に 笑いあり、驚きあり、下品あり、愛あり、人生訓ありの飽きないチョイス。説話のタイトルづけも上手い。芥川龍之介がモチーフに使った説話や インドや中国の説話も押さえている

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Posted by ブクログ 2017年09月24日

日本古典文学大系や、日本古典文学全集で読めば、全部読める、わけだが、あの漢字片仮名表記の本文に気持ちが萎えること早幾度。
ダイジェストでのおつきあいばかりとなっている。

田辺聖子さんのものは、本朝部を扱っていたと思う。
本書では、やはり本朝部が大半を占めるけれど、天竺部、震旦部からも採録されている...続きを読むのがいい。
きっと注釈をつけるのは大変なんだろうと思う。

臨終のお釈迦さまが、息子ラゴラに愛着を示したという話、法力で争った相手を呪い殺した弘法大師の話、相手の連れてきた識神を封じ込めた安倍清明の話などが印象深い。

後半は有名な話が多かったかな。

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Posted by ブクログ 2016年07月14日

今まで読んだ今昔物語の中で1番読みやすい!

インドや中国の話もあるとは知らなかった。知識不足でした。

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Posted by ブクログ 2014年04月06日

入門編として最適。現代語訳の後なので、原文も何となく理解出来るし、ピックアップされてる話も面白かった。

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Posted by ブクログ 2012年12月29日

今昔物語集のダイジェスト。
現代訳のあとに原文、プラス解説というつくりが読みやすい。原文音読するとたのしい!
釈迦誕生から始まる割に、えぐかったりエロかったりな話もたくさんで、人間の性を感じます。
もっと読んでみたいな。

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Posted by ブクログ 2011年12月04日

有名だけど読んだことのなかった古典。。
原文と現代語訳がセットになってるので読みやすかったです。
前半のシッダルダの人間性のでている章や、中国部分の話も面白かったし、日本の部では、平安?当時の考え方が出ていたり、笑い話としての説話も入っていて、非常に面白かったです。
いつか全部の説話を読んでみたいと...続きを読む思えるものでした。

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Posted by ブクログ 2011年09月25日

今昔物語のおもしろい話をまとめてあります。現代語訳 原文 解説があってとてもわかりやすく入門者に親切な内容でした。

世俗的な内容が多くて笑える話もありました。特にイケメンが冷たい女にてひどく振られる話や浮気症の夫を懲らしめる話が面白かったです。「今昔物語自体が面白い」という印象です。

解説の...続きを読む中にもありましたが9〜11世紀当時は女性もかなり男性と対等な立場で恋愛などしてたことが良く分かります。時代劇で目にすることの多い戦国・江戸時代の男女関係とは一味違った様子が印象に残りました。

昔の人々と我々の価値観が違うということと同時に、ところどころ「笑いのツボ」を共有できそうだということを実感できます。面白かったです。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

噂に聞くとおり、読みやすさ抜群。日本最大級のお話百科は仏様の哀切な話からえげつないゴシップまで取り扱っています。不思議な話、ビックリする話が好きな人は今昔物語集を読もう。編者の添えるコラムがまたちょっとした読み物としていい。

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Posted by ブクログ 2022年06月05日

寅さん(22作目)で、博のお父さん(志村喬)が読んでいたので読んでみる。
その部分は収録されてなかったが、話にバリエーションがあり、ここから取材した小説も多いとのこと。

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Posted by ブクログ 2022年05月29日

芥川王朝物を読んだら元ネタが気になって気になって…
オマケに今昔物語に対する芥川の絶賛の仕方が素敵なのだ
〜芸術的生命、野生の美しさ、原色…〜


一番の魅力は素直な人間臭さ
そしてユーモア
計算高いイヤらしさはないのに、何か数学的な美しさも感じる不思議な作品たち
アラビアンナイトを彷彿させるお話も...続きを読むある
こんな時代にもしかして大海原を越え、大河を渡り、山脈も砂漠も横切ったり…なーんてことあるのかなぁ?

今昔物語は12世紀初め(平安時代末期)頃成立したといわれる
天竺(インド)、震旦(中国)、本朝(日本)の三部で構成される 
各部では先ず因果応報譚などの仏教説話が紹介され、そのあとに諸々の物話が続く体裁をとっている

ちなみに第一番目の話は
仏教の開祖シャカの誕生から幕を開ける
シャカがブッダとなるための修行を積む目的で人間界へ転生する
シャカの選んだマヤ夫人のお腹に宿り、右脇の下から誕生(笑)

さてここからは芥川作品と比較して楽しみたい

■長大な鼻をゆでては脂抜きをする高僧の食事風景
○芥川作品 鼻
今昔物語のがユーモアがある
鼻の長い僧侶の食事のために鼻を持ってお手伝いしていた小坊主が鼻を皿に落としてしまう
「わしだからよいものの、えらいお方だったらただでらすまないぞ!」と、この僧叱られてしまう小坊主の捨て台詞が良い
「そんな鼻が他にあってたまるかい」

■色香と鞭で若い男を調教する、盗賊団の美人首領
○芥川作品 偸盗
それぞれ内容は違うけど、いやーどっちも好きだなぁ
今昔物語では
ある女が男に優雅な生活で満足させ惚れさせた後
男装した女が鞭で男を80回打つ(ひぇ〜)
気分はどうかと聞けば顔色も変えず「大したことはない」と答える男
なかなかやるじゃないか!
豪華な食事と甘い生活
そうこの女盗賊団のボスなのだ
とうとう彼女の指示に従い男は窃盗で活躍するように…
最後は何もなかったように女が忽然と消えてしまうところもなんだか粋
フランス映画みたいにシャレている

■死体の捨て場所だった羅生門のある夜のできごと
○芥川作品 羅生門
今昔物語はあっさり淡々としている
盗人の心理描写やセリフもない
芥川作品のが面白いなぁ
盗人の心理描写の変化が手に取るようにわかったからなぁ

■名刀と交換した弓矢でおどされ、妻を犯された夫
○芥川作品 藪の中
今昔物語は本当にタイトル通りの内容
しかも妻を犯した若い男より、弓矢を渡し、隙だらけの不甲斐ない夫が妻にコキおろされる
時代の違いを感じる
個人的に「藪の中」がかなり好きな作品なので、芥川作品に軍配があがる
ミステリー仕立てで真実に迫っていく展開がサイコーに面白かったのだ

■天下の色事師を焦がれ死にさせた氷のような美女
○芥川作品 好色
落とせない女など居ない!と自信満々のモテ男が、一枚も二枚も上手の美女にやり込められ、とうとう女性の便器の中身を確認する話し
芥川作品では喜劇と悲劇の絶妙な際どいところを攻める展開が読ませる!と膝でも叩きたくなる感じだったなぁ

と、まぁそりゃ元ネタに後出しジャンケンするみたいなものだから芥川作品のが面白いのはある程度仕方ないのかも

しかしタイトルを読むだけで面白いのが今昔物語
しかも1000以上の説話集…!
そして気高く力強く生きる女性像が多いことに驚く
カッコいい女性が沢山登場します!

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Posted by ブクログ 2020年03月01日

田辺聖子の「鬼の女房」の題材に今昔物語の話が多く使われていたので気になって読んでみた。
安定の角川ソフィア文庫。現代語訳と原文と寸評のバランスが良いですね。話が長いものについてはあらすじが入ってるのでよりわかりやすい。
初心者が読むにはもってこいです。

インド、中国、日本の説話集。
好きな話は、「...続きを読む炎に飛び込み、身を焼いて食事に差し出したウサギ」。
ウサギの馬鹿真面目さが面白いしかわいそうになってくる。
普段芥川作品を読まないので、ところどころで芥川龍之介がこの話に取材して〜とあったのが新たな発見でした。
芥川作品に興味が湧いたので読んでみたいなぁと思います。
特に藪の中がどんなお話になるのか気になりすぎる、、

平定文の、恋い焦がれて死んでしまった話は崇徳院の和歌「瀬をはやみ〜」の落語にオチが似てるなあと思うと同時に、片思いで死ぬのは昔からよくある話なのかと思いました。ありがちなのかね。

そして欠巻があるということで、もしかしたら今後見つかるかもしれないですね…!

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Posted by ブクログ 2015年12月02日

聞いたことがある話から、ちょっと治安の悪い話まで幅広いです。今読んでも、笑うポイントは同じなので、十分楽しめます。

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Posted by ブクログ 2011年03月01日

怪力者の話がすごく好き^^
この本には載ってない話もあるけど。
ちょっとアダルトな話は載ってないみたいですね。残念^^ギャグめいたエロ話は面白いので他の作品に期待

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