あらすじ
世の中すべてが大きく転換する無常のさまを直に見つつ、混迷の中を生きた長明が書き記した日本古典の傑作『方丈記』。原文も通釈も総ルビ付きだから、この美しい文体が誰にでもすらすら読める。
※本作品は紙版の書籍から口絵または挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
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角川ソフィア文庫の『ビギナーズ・クラシックス』シリーズ。
原文(全文)、現代語訳、解説の3点セットで掲載されており、これ一冊で『方丈記』がまるっとわかります。
『方丈記』を読み始めるあたっての最初の一冊としておすすめです。
鴨長明・『方丈記』・無常観、その程度の知識しかなかった私が初めてこの本を手にしたのは20歳の時ですが、私のものの見方やこころのありようはこの書によって明確に形作られたと認識しており、今なお人生のバイブルというべき書になっています。
『方丈記』は大きく2部構成。
前半は、青年期の長明を襲った火災、風災、遷都、飢饉、地震と、それに伴う人の命と住まいの儚さを描いています。
後半は、前半を受けた上で、「方丈の草庵」を理想の住まい方として提唱しています。
本書は(筆者から長明に対する茶々はあれど)解説が非常に充実しているとともに、今後の勉強への足掛かりとして多数の文献が示されているのも、ありがたいポイントかと思います。
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災害文学の授業ネタとして、初心者用のこのシリーズを読みました。現代語訳、解説を読んで長明の無常観を深められた気がします。後世に影響を与えた和漢混淆を音読しようと思います。
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好きです
鴨長明の飄々とした語り口。
だけど彼もいろいろ大変だったようですね
人生の辛酸を味わってこそ描ける、水のように柔く濁りのない文体なのでしょうか
ゆく川の流れは…
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自然の力の前では人間なんて無力なものです.大震災を受けて痛感しました.鴨長明はたくさんの震災を受けて,無常観に目覚めます.震災後のこんな時だから,これからのライフスタイルを構築する上で何かの足しにならないかと方丈記を手に取りました.
贅沢に慣れ切ってしまっていて,ちょっと停電になっただけでも不便で仕方がない.震災後の電力不足の時代にいかに生きるか,考え直すきっかけになる本です.
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古典というと敷居が高いような気がしていましたが、このビギナーズ・クラシックシリーズは読んだ方のレビュをみるとなかなか評判が良かったので読んでみました。
現代語訳、解説をよむとそれなりにわかり、古典が身近に感じ楽しく読めました。
このシリーズのほかの作品も読んでみたくなりました。
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古典を専門にしている先生が、『方丈記』を読めるくらいが、標準的な古典文法を理解できているレベルだという話をしていたのを思い出して、高校生ぶりに読んだ。福原遷都の話になる前、大火事、辻風、飢饉のくだりまでの文体が特にかっこいい。結末はすっかり忘れていた。念仏を唱えて終わるんだったか。
すごくアホな感想かもしれないけれど、方丈の家の自慢話のところが長いのは、後で自分の住居への執着を自己批判するための伏線であるというくだり、解説者の人の解説のテンションにすっかり騙された。解説者の人は、鴨長明を普通に本当に批判しているんだと思った。解説も伏線だったのね。
すっかり古典から離れていたので忘れていたが、『方丈記』は『徒然草』とその「無常観」で比較されるんだったか。『徒然草』も「無常」を主題に読まれるんだということをすっかり忘れていた。「仁和寺にある法師」くらいしか覚えてない。
基本的には、「ゆく川の流れ」の喩えで、人の栖の「無常」を説いて、具体例として火事、辻風、飢饉、遷都、地震といった天災人災による「無常」のい具体例を語る。そして、何ものにも左右されない方丈の庵の自慢話をした上で、その自慢話も一つの現世への執着であることを自己批判して、「不請の念仏」を唱えて終わる。
最後の「不請の念仏」の解釈が山場。表記の揺れの話も含めて、とっても古典っぽさを感じさせる解釈の現場を体験できる。
久しぶりに古典を読むんでも、一度、それなりに古典文法を勉強した人間ならそこそこ読める。古典の学び直しにはちょうどいい難易度で、それでいて和漢混淆文のなんか古典っぽい感じの雰囲気もあり、内容も現代の価値観と違って面白い。初心者にもちょうどいいんじゃないかと改めて思う。
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著者、鴨長明。1155生~1215没ということは、平安末期から鎌倉時代前半に生きた人物であり、60年間の人生における社会の様相などをルポルタージュした作品である。
当時、世の中の様相は自然災害が頻発しており、長明が記している災害だけでも、大火、竜巻、飢饉、大地震等
と、被災した民衆は多数に及び、悲惨な光景を嫌でも目の当たりにしていたようである。
しかしながら、著者は一人暮らしであったほか、被災から守られ、むしろ客観的に、世の中の様子をとらえていたようである。現在でいうルポライター、またはジャーナリスト的な存在だったかもしれない。
この「方丈記」、まずは鴨長明の「無常観」から始まり、最後は彼の人生哲学で締めくくられる。
彼は、どちらかというと貴族階級に生まれたが、当時の世の中が貴族社会から武家社会への転換点を迎えていたことから、彼自身には武家社会に対する反抗心みたいなものもあったように思われる。
また彼は確かに貴族階級に生まれたが、跡継ぎ問題でモメ、結局その争いに負けてしまい、不具な環境下に放り出されることとなった人生であった。
誰かに常に守られ、手厚く扱われてきたような人生かが、一転して自分で生きていかねばならない境遇となった。それでも彼はけっこうたくましく、その環境に一人挑んでいった。
また彼は文才もあり芸術をたしなむ才能も持っていた。つまり彼は、一人で生きていける素養を持った人物であったということだ。
都の生活をしていた者として、都の様子に当然関心が向くのであるが、次々に起こる自然災害で悲惨な様相を呈している都の様子を見ながら、冷静な視線でルポルタージュし、そして思索を巡らしそれを記している。
彼は、自分一人で生きていくことの達人だったかもしれないが、人の為に尽くすという発想にまでは至らなかった。その点で歴史の名を遺した人物として、少々物足りなさを感じるのはやむをえないかもしれない。
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「冬は雪をあはれぶ。積もり消ゆるさま、罪障にたとへつべし。」p.120
どこかに出典がありそうでもありますが、この例えは好きです。
罪は自然に消えず、行動で雪ぐしかないという固定観念があったのですが、雪に例えるなら時間と共に消えてしまうものになります。
それは方丈の庵での生活の清々しさが洗い流してくれるからということなのでしょう。
鴨長明の方丈自慢について解説文は批判的ですが、私としては鴨長明に憧れてしまうので、大目に見て欲しいですね。
ビギナーズクラシックスは大抵抜粋ですが、方丈記は短いテクストなので全文訳です。
シリーズの体裁上、語釈がないのですが、その分意訳多め、解説長め、図版多めになっています。
原文は全編にわたって流れるような文章となっているため、意味を汲みきれなくてもつい読み進めてしまいそうなところがあります。
なので、訳・解説は過剰だけれど、ありがたかったです。
原文の大まかな構成としては、災害の話からはじめて、方丈の暮らしの話に移っていきます。
世の無常から自己の心へという構成は、例えば杜甫の詩でも多用されていますが、すごく収まりがいいですね。
平家物語の時代の災害について描写されているので、比較してみるのも面白いです。
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かなり面白く読みました。
読み手によって感じるところが結構変わるんじゃないかと思いました。
私には、いろんな敗北感とかトラウマを感じながら喧騒を離れて、これでいいんだ、これがいいんだ、と書き付けているように感じました。そうだとしたら、いたく共感します。
そう思いたくなるときもあるし、心の奥底にはいつもその思想があるような気もします。だから自分も、その結論にいつか達するんじゃないか。
随筆の古典て、すごくブログっぽいですね。
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時代背景を記す部分が言わば長い前書きのよう。方丈の庵について描いた28〜34章は読み応えがあったが、最後の2章で執心をめぐる問答となって、ずっこけた。平安末期〜鎌倉の時代にもかかわらず、人々の感じ方や考え方は、現代とそれほど変わらないのだなと感じた。
ビギナーズ・クラシックスのシリーズは現代語訳がわかりやすいのでありがたいのだが、この本に関しては解説がやや批判的なのが引っかかった。
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方丈記:鴨長明:鎌倉時代と、受験の時に暗記した程度で、きっとつまらん内容と思っていた。方丈とは、広さを表す言葉で、都から離れた庵の広さが方丈(四畳半)だったことに因む。現代文の訳が大変わかりやすく、大地震、竜巻、大飢饉のような災害時に見たこと、出世、自己顕示などの欲望などつぶさに描かれているが、現代人の自分が読んでも違和感ないどころか、人々の営みは千年前と大して変わらないことに驚く。読む機会があってよかったと思う。
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角川のビギナーズ・クラシックスシリーズは大好きなのに、
この編集者の武田友宏という人は一体なんなの?
ばかなの?くずなの?しぬの?
始終長明の人格を攻撃することに狙いを定め、
どの注釈にも必ず「また自画自賛」とか「また自慢が始まった」とかがつく。
編集者が長明を嫌うのは分かるけど、
その嘲りに満ちた考えを読者にまで届けるなんて。
せっかく古典を楽しんでいるのに、
編集者の下衆な悪口を聞かされてこっちは興ざめもいいところ。
三流編集者とはこういう人を言うのだな。
私は「徒然草」の兼好よりも、長明の方が断然好感持てて好きです。
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教科書で扱う古典だが、きちんと読んだことがなかったので読んでみた。和訳が最初にあるのでわかりやすいが、解説はやや主観的で偏った印象。とはいえ、文面だけからは辿り着けない解釈が語られているので参考にはなる。
方丈記は、災害文学で、かつ隠遁文学なのだなと感じた。また、訳を読んでから長明の原文を読むと、その意味がわかりやすいだけではなく、長明の文章力がとても的確であることを感じられ、原文の方も楽しむことができる。
古典に馴染みのない人でも気軽に読めて良いと思う。星3つなのは、隠遁文学的なところと、やや解説が偏っていたことによる。
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方丈記の原文と対訳が節ごとに掲載されている。解説も解説者の主観がかなり入っているように感じるものの、必要最低限で分かりやすかった。
出世の機を逃した鴨長明は隠遁を気取りながらも、社交界と接触を続け、天皇とも懇意にしていたという。そんな人物が自己を肯定したり否定したり、ブツブツ言いながら人生を模索するさまは普遍的な鬱陶しさがある。こういう人は古今東西いたし、誰の心にもこういう逡巡はあるものだなというのが分かった。
鴨長明は文章が非常に上手い。それは認めるし、それだけでも方丈記を読む価値はあるが、彼の人生観や思想に特筆すべき点はないように思う。
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このシリーズは、原文、現代語訳、解説で読め、原文の雰囲気を味わえる。原文の全文ではなく、部分が取り上げられているものが多いが、「方丈記」は全文が載っているよう。キンドルの原文で比べると、すこしカナ、文章周りが異なる点もあった。コラムとして関連情報が挿入され、またイラスト、地図的なものが登場するのもありがたく、便利。
天災のあとに、しばらくは誰もかれもが天災に対し、人間が無力であることを語りあい、少しは心の濁りも薄らいだようにみえるが、月日が経ち、年が過ぎてしまうと、話題に取り上げる人さえいなくなるというのは現代にも言える。
また、自分一人で住む菴での生活も、結構楽しそうで、面白そう。無常について、住居や環境、人間付き合いの観点から考えてみるというのも面白かった。しかし繰り返し読みたいほどではない。
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「行く河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし。世の中にある、人と栖(すみか)と、またかくのごとし。」から始まる鴨長明(1155-1216)の方丈記。これをとても分かりやすい現代語訳と原文、解説に分けて書いた本だ。高校時代の古文の授業ではちっとも面白くなかった本だが、今になって読み返してみるととても面白い。平安末期から鎌倉時代にかけて、諸行無常を知り質素にシンプルに生きようとする長明は現代のミニマリストのようだ。高校時代に面白くなかったのは、いろんなものが欲しいし、未来に期待している状況なのに、無常と言われても共感できないからだ。これが未来に期待しなくなった中年になると面白くなる。この800年間にこの本を読んだ人たちも同じ感想を抱いたからこそ、代々写本され読み伝えられてきたのだろう。人間というのは、実は進化していないらしい。800年の時代を超えて共感できる人と出会える楽しみが、この本にある。
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下鴨神社の御曹司は跡目相続のごたごたや中央政権の公家から武家への交代,大きな災害を経験して人生に無常を感じて庵を立てて隠棲しているが,結構世事に詳しく達観できてはいないのか。
行く河の流れは絶えずして,しかも,元の水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは,かつ消え,かつ結びて,久しくとどまりたる例なし。世の中にある,人と栖(住処)と,またかくのごとし。
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講義の補助文献として購入しました。入門書としてはすごくわかりやすいです。資料も簡単ながらまとめてあって助かります。さらりと知っておきたいならこれくらいで本当に十分でした。