あらすじ
女性的な息子と男性的な娘をもつ父親が、二人の性を取り替え、娘を女性と結婚させ、息子を女官として女性の東宮に仕えさせた。二人は周到に生活を送っていたが、やがて破綻していく。平安最末期の奇想天外な物語。
※本作品は紙版の書籍から口絵または挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
これはちょっとやばいかも
というわけで三宅香帆さんの『妄想古文』で気になった『とりかへばや物語』を早速
ただし、ちょい逃げでビギナーズ・クラシックスです
まずもう『とりかへばや物語』がおもろー!いやマジすごいわ!平安時代すごいわ!
まぁちょっとこの時代の特徴でもある男女関係の乱れがエグいんだけど、1個々々の関係性自体はまぁそれなりに心が通っているので許せなくはない
自分らしくあるってことはどういうことなのか、そして人間の本質ってなんなの?幸せってなんなん?ってことを考えさせられるすんばらしい物語でした
そして、やばいのはビギナーズ・クラシックスよ
いわゆるダイジェスト版って感じなんだけど、一節が「あらすじ」「現代訳」「原文」「解説」「平安時代の豆知識」って構成になっていて、もうめちゃくちゃに読みやすいのよ
まさにビギナーズ・クラシックス(初心者のための古典全集)なのよ
これはほんとハマりそう
次は『枕草子』か『土佐日記』かな〜
Posted by ブクログ
性とは一体どうあるべきなのかを強く訴えかけている本だと思う。
所謂男らしさ、女らしさに縛られているこの社会で兄弟はそれぞれの性格とのギャップを感じ、父親が性を偽装し別々の性別で人生を送っていく。
女君は男の姿であるときの果断に富んだ性格が本来の女君の姿になることで一変しステレオタイプの男を待ちわび苦悩し
男君においては引っ込み思案な性格から宇治の女にもアタックする疑いようのない色男へと変貌した。
このように考えると男はこうあれ、女はこうあれという規範が確固たるものとなりすぎているあまりに、幼少期の性格がどうあれ型にはまった性格に変わっていってしまうのだとも思った。
また元の性別に戻る引き金を引いた内大臣が女を得られなければ渇望し、得られればまた次へと「ゲームのような感覚」で、そして行方のわからなくなった女をいつまでも思い恋慕に浸り続ける滑稽さとそのゲームへ取り組む真面目さを感じられる。
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びっくりするぐらい現代的だなと思わせる箇所があり、それだけでも読んでよかったと思う。作者不詳とのことだけど、男性によって書かれたなんてありえないと思う…。
Posted by ブクログ
息子と娘を入れ替えるという王朝物語です。
あまり知られていないですが、面白おかしく、ドキドキ
しながら読めました。
実際にこんなことがあったら大変ですが、兄妹のラブコメと解釈するとますます思いロイです。所々飛ばしているのは
ご愛敬という事で。
Posted by ブクログ
男君と女君で入れ替わる
現代でも漫画やアニメでありそうな物語
面白そうな所がダイジェストで読め
解説文 現代語訳 古文 用語説明も
ばっちりついてるので分かりやすい
ご都合主義の面白半分で
描かれてた物語なんだろうな〜
と勝手に思っていたけど
そうでは無く当時の価値観や
常識に縛られるさまの描写...
男君は戻った後の世界に
すんなり馴染んだのとは対象的に
女君はその後生きていくのが
しんどいなぁと思った
快活さが薄れて物思いに塞がれ
自分の意思で殿方と結ばれる訳ではなく...
「日出処の天子」の刀自古ちゃんを
ちょっと思い出してしまった
これNHKでドラマ化してくれないかな?
森下佳子さんの脚本で
セットは去年の「光る君へ」を流用して
Posted by ブクログ
男女の入れ替わりを通じてジェンダーに苦しむ女性を書く、平安時代とは思えない先進的な作品。コラムや豆知識も書かれていて楽しく読める。ただ最後が消化不良かも。
Posted by ブクログ
最近、古典の話を読むのにハマっている。
なぜかというと、思ってた以上に面白いからだ。
平安時代などという雰囲気もそうさせてる要因かもしれないが、何より話の内容が面白い。
時を超えて読み継がれる話には、それ相応の理由があるらしい。
今回も、とても面白かった。
Posted by ブクログ
ストーリー展開が面白く、源氏より読みやすい。
男君よ、尚侍として出仕した途端に目覚めちゃって。入れ替わり後の色男ぶりは何なのかしら。それに比べて女君の苦悩の深さよ。
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初めて粗筋把握した。こんな話しとは知らんかったわ。
ストーリーも凝ってるし文章もこなれており、これは源氏なんかよりよっぽど中高生に読ませるべきなんじゃないかと。
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わかりやすいですが、ところどころ飛ばしています。
内容ですが・・・なんか、こう、頭が良くて才能がある人が、自分ではどうしようもない理由(性別など)で思うように生きられない話はなんだかモヤモヤする。
あ、話としてはとても面白いです。斬新な着眼で。
あと、好色手籠め男には本気でイラッとした。
チ○ポもげてしまえ!
Posted by ブクログ
『本来そうであるべき姿』を強制する社会はずっと変わらなかったから、今もこの物語が生き続けている気がする。女君が内向的になっていくにつれ、男君が社会に順応していくのが対照的。
Posted by ブクログ
ずっと読んでみたかった『とりかえばや物語』。
いきなり古典は難しいので、ビギナーズ版から。
主要な場面を抜粋して、前書き(状況説明)と現代語訳、原文、解説の順に載せてくれている。非常にわかりやすく、興味が持てる構成になっている。
とくに現代語訳のあとに原文があるから、内容が頭に入った状態で原文に当たれて、なんだか古文をスラスラと読める気分になれる。
肝心の内容は、男女のきょうだいが、幼いころに女の子が活発で”男らしく”、男の子は内向きで”女らしく”育ったため、女の子は男として、男の子は女として世間にでていき、思春期を過ぎ、成年となったあたりで女の子(男として生活)の妊娠をきっかけに、もとの性のとおりの人生に踏み込んでいく、という話。
この、平安当時の女らしさ、男らしさというのがミソ。
世間一般の考える型にはまらなかった人たちの、なんて生きにくい様よ、と辛くなる。
結局はもとの性の通りに生きていくわけだけれど、あとがきにもあるように、帝に寵愛され子もたくさんもうけ、それなりの環境が整っても、自分らしく生きられなくなってしまった女君には、不幸の影が寄り添う。
男女にとらわれない生き方のできる(人によって程度はあれども)現代の、なんと幸せなことよ。
非常に示唆に富んだ一作。
古典って、面白い。
これをきっかけに、今度は原文に当たりたい。
それにしても、権中納言は好色すぎる!!
源氏物語の光源氏もそうだけど、現実に近くにいたら勘弁、の一言に尽きる。腹が立って仕方が無い。
Posted by ブクログ
女君は女の姿に戻ってから幸せになれたのか。
そうじゃない気がする…。
奇抜な発想の物語だけど、(当時において)典型的な女性像に疑問を呈しているとも言えるお話。
ビギナーズクラシックスは表紙がどれも可愛いから好き。
Posted by ブクログ
問題集などで部分的に目にしたことがあるが、通して筋を読んだのは初。
必要な情報がコンパクトにまとまっており、学習者には最適。
男女のこどもが逆であればよかったという今であればジェンダー問題で抗議が来そうな内容だが、平安時代では今以上に男女がそれぞれが自分の特性を生かし生きる道を選択することが難しいことがわかる。
男のほうは女よりも順応が早く、ただの色男になっていくというところが滑稽。
Posted by ブクログ
古典の原文に触れてみたくて、現代語訳を読む前に手に取りました。
ダイジェスト版ですが、あらすじは良く分かるし、解説も興味深く感じました。田辺聖子の現代語訳も読んで見ましたが、やはりダイジェスト版は味見と言った感じで、原文にせよ現代語訳にせよ、全体を読むとこのお話の素晴らしいところがよく分かりました。
特にこのお話は、自分らしさと社会的に負わされる役割のギャップに苦しむというのが、現代人と通じると思います。
Posted by ブクログ
男勝りの女君と引っ込み思案な男君。それぞれ男と女に入れ替えて育てられることになった。
本来の立場に戻り男装して以降、男君はキャラが変わったように、急に男性貴族らしくなる。
宮仕えを始めてから自信を持ち始めていたとはいえ、形から入ると中身も影響を受けるということか?
『徒然草』の第八十五段を思い浮かべた。
「狂人のまねとて大路を走らば、すなはち狂人なり」