【感想・ネタバレ】おくのほそ道(全) ビギナーズ・クラシックス 日本の古典のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年07月01日

やわらかく、日本人らしい奥ゆかし表現で、初夏から、晩秋にかけての風情がよい。

「おくのほそ道」とも、「奥の細道」とも。本書は前者を採用している。松尾芭蕉と、弟子曾良との、俳句付きの旅行記である。

1689年元禄2年3月27日深川を出発し、日光、仙台、鳴子、酒田、新潟、直江津、高岡、敦賀、大垣、を...続きを読む回って、9月8日に、伊勢長嶋に至る。

松尾芭蕉に同行した、曾良とは、出発以来、山中温泉まで同行、曾良は親戚を頼って伊勢へ、芭蕉は、そのあと越前、近江を回って、伊勢長島で再び曾良と合流するというもの。
もともと、伊賀上野の無足人の準武士であった、松尾家の出身であり、のち江戸に下り、俳諧で、俳聖と呼ばれるようになる。

野ざらし紀行、鹿島紀行、更科紀行、嵯峨日記など。

月日は百代の過客にして、行かふ年もまた旅人なり
・行く春や鳥啼き魚の目は涙 千住
・早苗とる手もとや昔しのぶ摺り 福島 信夫の里
・夏草や兵どもが夢の跡 平泉
・五月雨の降り残してや光堂 平泉
・閑かさや岩にしみ入る蝉の声 立石寺
・五月雨をあつめて早し最上川 奥州 大石田
・荒海や佐渡に横たふ天の河 越後
・一つ家に遊女も寝たり萩と月 越後 市振の関
・赤々と日はつれなくも秋の風 金沢
・むざんやな甲の下のきりぎりす 小松 多太神社
・石山の石より白し秋の風 山中温泉
・よもすがら秋風聞くや裏の山 加賀 全昌寺
・月清し遊行の持てる砂の上 敦賀 気比神宮
・蛤のふたみに別れ行く秋ぞ 大垣 これがおくのほそ道の、終句です。

目次
人生は旅―みちのく憧憬
旅立ち―弥生のあけぼの
草加の宿―旅の第一夜
室の八島―木の花咲耶姫
日光―仏五左衛門の宿
黒髪山―同行者曾良
那須野―八重撫子のかさね
黒羽―玉藻の前・那須の与一
雲巌寺―禅の師仏頂和尚の庵
殺生石―那須温泉〔ほか〕
葦野の柳―西行の遊行柳
白河の関―白妙の卯の花
須賀川―風流の初め
栗の花―遁世の境地
浅香山―浅香の沼のかつみ
信夫の里―しのぶもじ摺りの石
飯塚の里―佐藤氏の遺跡
飯塚―飯塚温泉の一夜
笠島―五月雨の道
武隈の松―岩沼の二木の松
宮城野―仙台の名所見物
壺の碑―多賀城出土の石碑
末の松山・塩竃の浦―琵琶法師の奥浄瑠璃
塩竃神社―和泉三郎の宝灯
松島―造化の天工
松島―雄島が磯
松島―瑞巌寺
石巻―繁華な港町
平泉―高舘・光堂
尿前の関―人馬同居の宿
山刀伐峠―危険な山越え
尾花沢―紅花と蚕飼い
立石寺―岩にしみ入る蝉の声
最上川―五月雨を集めた急流
出羽三山―羽黒山
出羽三山―月山・湯殿山
酒田―海上の夕涼み
象潟―能因島・ねぶの花
越後路―佐渡の夜空の天の河
市振―遊女と萩と月
越中路―黒部川・那古の浦
金沢―愛弟子の早世
多太神社―実盛の甲
那谷―白秋の風
山中―温泉宿の美談
別離―曾良の病気
全昌寺―一夜の隔て
汐越の松―西行の歌
天竜寺・永平寺―北枝との別れ
福井―等栽という陰士
敦賀―気比神宮と遊行上人
種の浜―ますほの小貝
大垣―終着、そして新たなる旅路へ

ISBN:9784043574025
出版社:KADOKAWA
判型:文庫
ページ数:258ページ
定価:680円(本体)
発売日:2002年06月15日 第4版

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Posted by ブクログ 2023年03月27日

芭蕉がおくのほそ道の旅に出た3月下旬(陽暦では5月中旬だが、原文尊重で)になると、読みたくなる(仕事の繁忙期で、とても旅行などに行ける時期でもないこともあり)。

訳者の絶妙な補足や解説もあってか、ひとつひとつの句に、人間らしさ、もっと言うと人間臭さが感じられる。
俳聖・芭蕉といっても、どこか遠くの...続きを読む高尚な人というよりも、身近なおじさんという感じ(失礼)。

芭蕉が敬愛した西行を次は読んでみたくなった。

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Posted by ブクログ 2022年11月14日

五十数歳にして「おくのほそ道」ビギナーにとって、素晴らしい入門書。これをきっかけにより詳しく知りたい人向けに、色々な参考資料も載っている。

自分的にはこれ1冊で「おくのほそ道」のエキスパートにでもなった風にすら感じている。

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Posted by ブクログ 2022年09月30日

 神田の古本まつりに行ったときに100円で売られているのを見つけて、松尾芭蕉かあ、人生で一度は読んでみたい気がしなくもないなあ、ということで購入。俳句なんか中学のときに夏休みの課題で覚えた「月みれば ちぢにものこそ 悲しけれ わが身一つの 秋にはあらねど(大江千里)」くらいしか知らないし(いや待てよ...続きを読むこれは百人一首だ俳句ですらない)、大人になってからは月に何回かプレバトで梅沢富美男の句がけちょんけちょんに酷評されているのを見るくらいしかないのだけれど。
 読んでみたら意外とおもしろかった。本の構成が素晴らしかったと思う。松尾芭蕉が書いた文章の現代語訳→原文→俳句の解説→他の古歌の紹介など追加情報、という順番になっているから、最初に原文を見てしまって「うわ意味わかんねえ」と及び腰になる隙を与え図に読み進めることを可能にしてくれた。自分が過去に行ったことのある地名が出てきたらにわかに心躍ったし、句の解説もわかりやすかった。17音ではなかなか自力で詳細までは想像が及ばないけれど、解説を読んでみたらああこの言葉の裏にはそういうことが内包されていたのかとか、この時の芭蕉にはそういう背景があったのかとか、感心することが多かった。少し前にあるテレビで番組で東大生が初めて俳句作りに挑戦していたけれど、自分の頭の中にだけあるコンテクストを17音の中に入れ込みすぎて、結果的に読み手には何も伝わらない意味不明な句になっている、と指導者の方に指摘されていたのを見た。入れ込みすぎてもダメ、かといって見えたり感じたりしたものをそのまま文字にしただけでもダメ。どんなに頭が良くても、いろいろな知識があっても、そういったバランスは一朝一夕に得られるものではないんだなあと思ったのを覚えている。
 気に入った句がいくつかあったのでメモした。どこかに旅行したり似たような心境になったりしたときに、地名や単語を少し変えて自分流にモディファイしてみたら楽しそうだなあ(もちろん出典を明らかにした上で)。自分でゼロから句を詠むのは、まだまだ無理、、、

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Posted by ブクログ 2022年09月19日

栃木県大田原市へ林業体験した際に訪れた雲巌寺をきっかけに芭蕉の足跡を知りたくなり手に取った。東北から北陸へ旅をしたくなる。

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Posted by ブクログ 2021年06月08日

正直、私の中の松尾芭蕉のイメージは『ギャグマンガ日和』の芭蕉でしかなかった。

改めてこの『おくのほそ道』を読むと、松尾芭蕉というひとの人間性の一端が垣間見える。
’俳聖’と呼ばれるような人物でも愚痴も溢すし疲れもするし気の合う人と会えばちょっとだらけもする
し師匠リスペクトが過ぎる面もあるし…なん...続きを読むとも親しみを感じる。

驚異の移動力には素直にびっくり。夕飯食べてから普通に出かける距離ではないような気が。

俳句そのものに対してどうこうは言えないが、自然や景色、更には自分の心に対して本当に素直に真で向き合っているのだな、という事は感じる。

ビギナーズクラシックスらしく読みやすい。
地図・年譜も完備で隙がない。

コロナが明けたら旅に出よう。
出来たら芭蕉の足跡を辿る旅をしたい。


45刷
2021.6.8

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Posted by ブクログ 2019年01月02日

学校で必ず習う冒頭の「月日は百代の・・・」以外の部分を初めてまともに(大半は現代語訳で)通読。

風情ある景色の移ろいを書き留めているのかと思うとそうでもない。土産を持たされても重たいだけだし、宿だって道中どこにでもあるわけではなく、冷たい土間で一夜を明かすこともある。奥羽の関所では旅人自体が珍しく...続きを読む通過も難儀する。
そんなようなことを、李白だの西行だのの基本的教養を下敷きに書き綴っている、と言われてもそうわかるものでもない。

それでも旅好きの人が読めば「あーこのあたりか。ルートは今と同じだなー」といった楽しみ方はある。個人的にツボだったのは山形「出羽三山」参詣の下り。ここ数年来、ここを踏破してみたいというのが個人的な念願なのだ。芭蕉が参詣後に奉納した句がなんともいい。

「涼しさや ほの三日月の 羽黒山」(羽黒山)
「雲の峰 いくつ崩れて 月の山」(月山)
「語られぬ 湯殿にぬらす 袂かな」(湯殿山)

とくに月山(がっさん)。標高1,400m、峰のように連なった雲が風で次々形を変えふと姿を見せる山頂。うーん、行きたい。

きちんと回ると二泊三日必要。仕事の合間を縫ってうまくスケジューリングできるかな、なんて言っているうちはできないのである。住み慣れた庵も(いったん)打ち捨てて今年あたりいよいよ(新幹線で)挑戦したい。

(ちなみにもともとは修験道、神仏習合の聖地だが、明治以降は神社)。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年05月23日

断片的には読んできたが、今回初めて通して読んだ。
内容はあまりにも有名だが、こうやって通して読むと、松尾芭蕉という一人の天才の魂の軌跡みたいなものが浮かび上がってくる。すでに俳諧の世界ではトップに君臨しながらも全てを捨てて旅を続ける心境がなんとなく分かることで、その俳句の精神世界が少し理解できたよう...続きを読むな気がする。
ある意味、究極のロードノベル。

詳しい日本語や、旅の経緯が入った地図、俳句の説明など、私みたいに古語や俳句に疎い人間にも分かるように丁寧に編纂されていて本当にありがたかった。入門書として最適で、これを読むと、芭蕉や俳諧の世界がもっと詳しく知りたくなった。

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Posted by ブクログ 2017年02月11日

一応中学・高校で古文はやったが、あまり馴染むこともできず、その後はすっかりご無沙汰、でも古典にまったく興味がないわけでもない……といった向き(つまり僕だが)にはありがた過ぎる角川文庫の「ビギナーズ・クラシック」シリーズの中の一冊。

「おくのほそ道」自体は短い作品なので、全文が収載されているが、本書...続きを読むではそれを場面ごとに細かく項分けしている。各項は現代語訳→原文→解説で構成されるが、これとは別に随所に理解を助けるためのコラムが挿入されている。現代語訳と原文は総ルビ。巻末では「解説」で芭蕉の人物伝と、「おくのほそ道」全体の概説がなされ、「付録」には本作の旅程図、芭蕉の年譜などが付く。まさに至れり尽くせりである。

古典とはいえ要は旅行記なのだから、肩肘を張る必要はない。芭蕉とともに旅を楽しめばよいと思う。各所に垣間見える芭蕉の人柄や人生観、当時の人びとの人情なども興味深いところである。

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Posted by ブクログ 2016年11月18日

旅行記書きとして、そして俳句の読み手として(どっちも中途半端ですが)、一度は読んでおかねばとかねがね思っていた古典。
平泉のような有名なくだりは勿論読んだ事がありますが、通して触れてみると、なぜ芭蕉があんなにも平泉に思い入れがあったのかよく理解できます。

それにしても、驚くほどの簡にして要を得た文...続きを読む章です。本文に対し、訳文(通釈)の長いこと長いこと。こういう物の書き方、爪の垢でも煎じて飲んで学ばなければなりません。

ビギナーズ・クラッシクスと銘打たれた本シリーズは初めて読みましたが、文字通り初心者にはサクサク読めてありがたい編集です。
冒頭の一文を「時は永遠の旅人である。」と訳すこの編者、割と好きですよ(笑)。

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Posted by ブクログ 2016年01月11日

歴史と名勝を訪ねて、風流を味わう徒歩の旅。それは辛い路だったでしょうが、毎日おなじ時間に起きて、毎日おなじ場所に勤める者としては、憧れてします。

「だったらさ、あんたもやったらいいじゃない」

もし声をかけてくれるようなことがあったなら、芭蕉さんにはそんな風に言われそうだな。


おかしみのある章...続きを読むから、もの哀しい章、愚痴っぽい記事、ちょっと自慢っぽい記事まで、現代でいえば旅ブロクのような感じでも楽しめます。
毎日書き続けた日記的なものとは違って、全旅程が終わってから時間をかけて最終稿に至ったものだそうですから、各章に漂う情緒、各章のつながり、要するに構成にも相当にこだわって作られたのでしょう。そのあたり、解説でもよく説明してくれています。


本書の構成は初心者にも親切で、
・わかりやすい補足込みの現代語訳
・原文
・記事全体解説
・記事中の句の解説
その他適宜、文中の和歌、歌人、名勝などについても個別に解説が付されています。
巻末の付録には、「おくのおそ道」により深く分け入るための参考文献のリストや、芭蕉の足跡をたどるための最寄り駅リストもあります。

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Posted by ブクログ 2015年05月19日

「ビギナーズ・クラシックス」というだけあって、とても分かりやすく、全文が掲載されており、とてもお勧め出来る書籍。
原文も勿論掲載されている。
訳文を読んでから原文を読むと、非常に分かりやすく、更に解説もある。
俳聖の芭蕉が、旅を通して辿り着いた俳諧道とは、どのようなものどだったのだろうかと考えるのが...続きを読む楽しくなる。

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Posted by ブクログ 2013年07月21日

かの有名な紀行文「おくのほそ道」を地図や詳しい解説で読みやすくした入門書。
芭蕉や曾良の生き方やものの考え方が、読めば読むほどわかってくる。面白いコラムや、俳句の解釈例等も充実。あなたも二人と一緒に、元禄を旅してみませんか…?

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Posted by ブクログ 2021年03月11日

 東日本大震災が起きた時、私を打ちのめしたのは被害の大きさもさることながら、「東北の地理がわからない」ということだった。連日新聞やテレビのニュースで伝えられる被災地の市町村名を聞いても、そこが東北のどの辺りなのかわからず、とても申し訳なく思った。 
 翌年、現代ではなく別の角度から東北にアプローチし...続きを読むようと思って読んだのが松尾芭蕉の『おくのほそ道』である。江戸を発って、日光を経てから白河の関を越えて東北に入る。福島は内陸部を通るが、仙台からは海沿いを歩き、松島、石巻を経て平泉へ。険しい峠を越えて日本海側へ抜け、北陸を旅して岐阜の大垣に着くまでの約5ヶ月にわたる旅路だ。
 
 旅情溢れる文章と、今に伝わる有名な俳句の数々と共に風光明媚な東北各地の情景が目に浮かぶ。私たちは芭蕉の書いたものを読んで江戸時代の旅に思いを馳せるが、芭蕉もまた旅日記を綴りながら平安時代の西行法師や源平の合戦の跡に思いを馳せており、この本には二重の追憶がある。

『おくのほそ道』はいろいろな出版社から出ておりどれを選んでも良いと思うが、この角川ソフィア文庫版は先に現代語訳がありその後に古文と解説を載せていて朗読にも向いている。地図やコラムも適宜挟まれており、安心と信頼の「ビギナーズ・クラシックス」である。

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Posted by ブクログ 2019年12月01日

「蚤虱馬の尿する枕もと」は尿前の関の句である。宿泊先は住居の中に馬屋があった。蚤や虱がいて、馬が枕元で放尿するとユーモラスに描いている。この宿泊地は山形県最上郡最上町の旧有路家住宅(封人の家)として観光名所になっている。
「尿する」の読みは「バリする」説と「しとする」説が対立する。「バリ」は俗語であ...続きを読むる。俗語であることで俳諧らしさが出るとする。これに対して「しとする」説は尿前(しとまえ)の関と合わせる。

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Posted by ブクログ 2018年04月09日

俳聖・松尾芭蕉の五ヶ月に渡る奥羽・北陸の旅日記。崇拝する西行の面影を偲び、雄大かつ過酷な自然に対峙し、源平合戦の昔を想う。紀行文に留まらない俳諧の真髄を貫く。

理由あっておくのほそ道を読もうと思ってそういえばビギクラにあったような……と思い手を取ってみた。文化文政の頃の文章は八犬伝読んでるけど元禄...続きを読む時代のやつって全然読んでないしましてや俳諧紀行文はめちゃ専門外だわ~となってしまった。ビギクラは最初に現代語訳で次に本文なんだけど文語文の簡素さに惚れ惚れしてしまったよね(そこ?
なんというかこの文章をそのまま旅行誌とかに載せてもいいなって思っちゃった。それくらいいろいろ浮かんでくるし実際におくのほそ道聖地巡礼したくなったりもしました。東北以外はオマケ程度なのかなと思ったけど越後~北陸の方もとてもよくて荒波やの句もそのまま情景が浮かんできてしまった。途中で曽良と別れるのはちょっとしんみりしてしまったけど最後に曽良含めた門人が沢山集まって旅のゴールを迎えてくれたのがなかなかにドラマチックでした(?)最後の句が最初の句と対句みたいになってるのも好きだしまだまだ旅に生きるという芭蕉の信念が伺えました。

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Posted by ブクログ 2016年01月16日

元禄文化期に活躍した松尾芭蕉が、1689年5月に江戸深川を出発し、東北・北陸を巡る約2,400km、約150日間の旅を経て、美濃大垣を再び発つまでを描いた、日本の古典における代表的な紀行作品。芭蕉がこの旅で訪れた国は、武蔵、下野、岩代、陸前、陸中、出羽、越後、越中、加賀、越前、美濃である。
本作品は...続きを読む、有名な「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり」という序文より始まるが、芭蕉は『おくのほそ道』の旅の後、西国への旅に出て途上で没し、「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」という辞世の句を残した。まさに、芭蕉にとって、時は永遠の旅人であり、自らの人生もまた旅なのであった。
私が久し振りに本作品を手に取ったのは、奥州藤原氏の栄華の跡である平泉を訪れるにあたり、真っ先に「夏草や兵どもが夢の跡」を思い出し、合わせて「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」の立石寺も立ち寄りたいと考えたからであるが、東京から栃木、福島を経て(鈍行列車で)東北へ向かうにあたり、奥州へ向かう道すがら各地に立ち寄る様子が記された本作品は、格好の案内となった。事実、私は普通のガイドブックは持たずに本書だけを携えて旅をした。
殊に、芭蕉の旅のクライマックスのひとつであったと思われる、源義経の最期の地と言われる平泉・高館義経堂から見下す風景は、三百年以上の時を隔てていても、「夏草や・・・」という芭蕉の思いを共有できるものであった。
本書には地図や解説、足跡の最寄駅一覧まで載っており、訳書の中でも有用な一冊である。

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Posted by ブクログ 2015年06月05日

松尾芭蕉の名と有名な俳句は知りつつも、しっかり読んだことがなかった「おくのほそ道」です。
わかりやすく解説されているので、読むのに苦労はありませんでした。
俳句を詠み始めた身として、松尾芭蕉は読んでおかないと、と思いました。

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Posted by ブクログ 2015年06月03日

芭蕉がどのようにして句を読みながら旅を続けていったか、解説がついているのでとてもわかりやすく読めました。曾良さんがついてきてくれるおかげで孤独な旅も楽しくなっているのもわかり、別れのときや何かあるときはすべてを句が物語っていてどこまでも俳諧人であったと感じさせます。

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Posted by ブクログ 2015年06月01日

古文を平易に解説してくれるシリーズで読破。俳句でしか知らなかった作品たちだったが、紀行文として楽しめて、しかもその表現力の豊かさに驚いた。特に松島の描写なんかはすごく美しい。知るはずのない江戸時代の風景、人々の息遣いが感じられる。 「月日は百代の過客にして、行きかう年もまた旅人なり。」古文で必ず暗記...続きを読むさせられるフレーズだが、この言葉の本当の表したいところを、紀行文としての「おくのほそ道」を読んだことで味わえた気がする。松尾芭蕉、旅人の大先輩として尊敬。

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Posted by ブクログ 2014年11月25日

有名すぎて近づきがたかった、或いは知ったつもりになっていた。こうしてわかりやすく解説してくれて、芭蕉も身近な人となった。このビギナーズシリーズは私にとってとても役に立つ。学生時代にあったならば、読書も人生ももっと楽しめただろう。

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Posted by ブクログ 2014年02月09日

全文を原文でちゃんと読んでみたくなって買いました。
改めて、日本語の美しさ・豊かさ・奥深さと、芭蕉という人の博学さ・感性の鋭さにふるえました。
旅行に行っても写真をパシャパシャ撮って終わりにしてしまうことが多いけれど、
見たもの・聞いたもの・感じたことを、私も今度からちゃんと言葉で書き記していきたい...続きを読む
ところで、小学生の頃漫画版「おくのほそ道」を読んでから、ずっと見てみたいと思っていた、「象潟」の景色が、地震による海岸線の変化で今は見られないと知ってショック…!!

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Posted by ブクログ 2013年12月03日

 Eテレで放送している「100分de名著」は10月の名著が「おくのほそ道」であった。これを視聴して「おくのほそ道」の概略をつかむことができた。しかし本編を読んでいなかったので、これを機会に手に取ったのがこのビギナーズ・クラシック版である。

 この「おくのほそ道」は紀行文だとばかり思っていた。しかし...続きを読む芭蕉は46歳の時に旅をし、51歳で亡くなるまで筆を入れ続けたそうで、中には当然フィクションも含まれているという。芭蕉は純粋に文学作品を書こうとしたものだそうだ。

 「おくのほそ道」といえば日本人なら誰しも松尾芭蕉がみちのくを歩いた旅の文学として知っているものだろうが、自分が知っているのは冒頭の
 『月日(つきひ)は百代(はくたい)の過客(かかく)にして、行(ゆき)かふ年も又旅人也。』
の部分といくつかの句のみであった。
 『草の戸も住替(すみかわ)る代ぞひなの家』
 『夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡』
 『五月雨(さみだれ)の降りのこしてや光堂』
 『閑(しずか)さや岩にしみ入(いる)蝉の声』

 本書は「ビギナーズ・クラシック」と謳っているだけあって、全体にルビが振ってあるのがありがたいし、しかも解説の部分が面白い。その解説で強く興味を惹かれたものが2つあった。

 一つは「しのぶもじ摺り石」である。都人の源融とこの地の美少女虎女との悲恋伝説である。わくわくして現地に赴いたのに期待はずれに終わってがっかりする芭蕉の姿が目に浮かぶようだ。(ここで『虎女』が出てくるが、ここ南部地方にも『虎女さま』という盆踊り唄があるので気になった。しかしこちらの『虎女』は「虎蔵」が訛ったものらしく、全く艶めいた話ではなかった。)

 もう一つは、酒田から新潟を通って市振の関への道中に詠んだ
 『荒海や佐渡に横たふ天の河』
を「おくのほそ道」随一の絶唱と称えている。時節はちょうど七夕の頃であり、芭蕉は牽牛そして織女は佐渡島に見立てられているそうだ。当時佐渡は流刑地であったため渡ることは出来なかったのでいっそう恋慕の情が募ったという。なるほど奥の深い一句であったのだ。

 今までは上面だけで知った気になっていたのを、これで原文も現代語訳も一通り読むことができた。そして少しでも「おくのほそ道」の真価に触れることができたかもしれない。

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Posted by ブクログ 2011年11月25日

有名な俳句が多いので、なんだか聞いたことがあるフレーズが結構あります。句を読んで、解説を見て意味を知り、そしてもう一回、句を読んでみると、なんとなく深い味わいを感じます。写真や絵で補っている点もいいですね。

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Posted by ブクログ 2011年04月05日

読みやすいサイズのおくの細道入門書。
訳、原文、句解、コラムや関連する古歌の紹介、図版も充実。
文字の大きさなども非常に見やすいです。

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Posted by ブクログ 2009年12月04日

夏100の11冊目。

松尾芭蕉の超有名作を分かりやすく読破できるお得な本。
文語、現代語と解説がついて読みやすい。
「おくの細道」は単なる旅行記というだけでなく、
芭蕉の生き様が垣間見える文学書だったということが
よく分かって興味深かった。
学生時代には古文の授業とかつまんなかったのに...続きを読む

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Posted by ブクログ 2023年11月17日

山形の立石寺や最上川、宮城の石巻、松島は行ったことがあるので思い出しながら読んだ。
旅行記っていってもやはり情景を際立たせるために多少の創作や誇張が混じっている。写実的なものではなく、文学・芸術性を意識している「作品」なのだ。今の人間では考えられないほどの体力だけど、逆に歩きすぎたり動物性たんぱく質...続きを読むをとらない酒や蕎麦だけの食事だったから、51歳という若さで亡くなってしまったのだろうか。芭蕉だけでなく昔の人は今より寿命短いけど。でも今の人より絶対昔の人の方が体力ある。

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Posted by ブクログ 2022年10月06日

松尾芭蕉、有名過ぎて読んだことなかった。
現代語訳があるので読みやすいです。旅をしながら俳句、当時の旅は今と違い結構過酷だったでしょう。その中で作られた俳句、感慨深いです。

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Posted by ブクログ 2022年07月29日

感慨深いなあ、情緒的とはまさにこういうことだなあと思いながら読んでいたら、最後に驚かされた。また旅に出るんだ!って思った。なんだろう、小説や映画のふつうの冒険物語の主人公が最後、次なる冒険に旅出るところで終わるのは分かる。けど芭蕉はそういうタイプではないわけである。好奇心旺盛とかエネルギーが外に外に...続きを読むと向かうタイプではない。むしろエネルギーが内へと向かうタイプ、道中で様々な過去の武将に思いを馳せているように、悲しみが秀でているタイプに見える。だから驚いた。悲しみへの感受性が感情の核となっている人が次から次へと冒険に旅立つ。不思議なエネルギー発露の形態だな、こういうエネルギー発露の形態もあり得るんだなと思った。

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Posted by ブクログ 2018年04月08日

国語の教科書ではなかなか頭に残らないものだが、このビギナーズクラッシックスのシリーズはかなり読みやすい。

今朝の東野圭吾先生も会社の方にお借りした本だが、これまた別の会社の方にお借りした。

文学は苦手で、お借りしてから半月ほど手に取ることができなかったが、読んでみるとあっという間に読み終わる。
...続きを読む
解説が易しく、情景も掴みやすい。
なじみの俳句ももちろん登場し、少し嬉しい気持ちになる。

東北旅行してみたくなる、そんな一冊。

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