あらすじ
雅な和歌とともに語られる「昔男」(在原業平)の一代記。垣間見から始まった初恋、清和天皇の女御となる女性との恋、白髪の老女との契り、男子禁制の斎宮との一夜などを経てやがて人生の終焉にいたる様子を描く。
※本作品は紙版の書籍から口絵または挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
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伊勢物語
編:坂口 由美子
出版社:KADOKAWA
角川ソフィア文庫 A 2 2
恋愛の古典的テキストである
六歌仙である在原業平(在五中将)とおもわれる昔男の元服から死までの125段の短編集
むかし、男~
むかし、男ありけり
である連作短編集、説話集である
妻問いという、女の寝所に忍んでいく、いわゆる夜這いが、平安時代の恋のやり方であった
色好み、恋の雅という考えは、後の源氏物語の光源氏へと受け継がれている。
在五中将から、光源氏へ、モテる男とは、こうあらねばならない。
男と女が、詠み合う、恋の和歌、いわゆる、相聞のやりとり、まるで、今でいうラインのやり取りに似ているが、奥ゆかしく、艶っぽい。和歌ってほんとうによいと感じました。短すぎず、長すぎない長さなんだなと感じました。
内容は、けっこうえぐい。母系社会であるので、女の家が貧富であることはある程度、恋に影響がでる。旅にでることで、そのまま見捨てられる女、一夫多妻と世界で、女からは男を追うこともできず、待つことが基本だ。
通いにあたって、お互いのやりとりは、まさに相聞である
女から、直接行動を起こすことは、当時は、慎みの無いこと、奥ゆかしさが求められることからもあって、外から見ていると、なにやらもどかしい。たとえ話にことよせて、想いを伝えるのは、胸が痛むことだなあと感じました。
目次
はじめに
透き間から昔男の忍ぶ恋〈初段〉
春雨をながめて日がな想う女〈二段〉
ひじき藻に熱い思いを贈りやる〈三段〉
月と春去年も今年も変わらぬが〈四段〉
童の崩した築地は恋の路〈五段〉
芥河はかなき女は露と消え〈六段〉
うらやまし京恋しやかえる浪〈七段〉
友と見る浅間の山に立つ煙〈八段〉
東下り──東国の沢に淋しくかきつばた〈九段―一〉
東下り──道暗く夢にも宇津にも逢わぬ女〈九段―二〉
東下り──隅田河問えど答えぬ都鳥〈九段―三〉
みよし野でたのむの雁とめぐり逢い〈一〇段〉
武蔵野の野焼きの煙たえかねて〈一二段〉
恥ずかしや武蔵鐙を踏み違え〈一三段〉
くたかけと悪態ついて捨てられて〈一四段〉
忍ぶ道えびす心を見てしまい〈一五段〉
妻去りて尼の羽衣手に涙〈一六段〉
風速く天雲遠く去って行く〈一九段〉
便りには植えてくれるな忘れ草〈二一段〉
恋しさは千夜を一夜に八千夜にも〈二二段〉
筒井筒──筒井筒幼なじみに恋心〈二三段―一〉
筒井筒──筒井筒沖つ白波乗り越えて〈二三段―二〉
筒井筒──筒井筒高安の女遠くなり〈二三段―三〉
梓弓君に寄り添うわが心〈二四段〉
色好む女にじらされ通いつめ〈二五段〉
水の面映る我見て物思い〈二七段〉
あれほどに固い契りも水漏れし〈二八段〉
枯れ草葉呪えば生える忘れ草〈三一段〉
朝顔の浮気気にして下紐を〈三七段〉
若者の命かけたる恋心〈四〇段〉
紫と緑の草木野に満ちて〈四一段〉
色好む女と通わす情と文〈四二段〉
行く蛍雁に伝えよ秋の風〈四五段〉
妹よ決して結ぶな草枕〈四九段〉
男女ともはかない心あてにせず〈五〇段〉
密やかに恋した男はわれからか〈五七段〉
集まって騒ぐ女が鬼に見え〈五八段〉
なつかしき花橘は元の妻〈六〇段〉
筑紫まで好き者の噂届くとは〈六一段〉
逃げた妻見る影もなくやつれ果て〈六二段〉
九十九髪昔男もほだされて〈六三段〉
狩の使──狩の使恋する女は斎宮〈六九段―一〉
狩の使──斎宮は忍び行けども夢うつつ〈六九段―二〉
狩の使──逢坂の関越えられぬ浅き縁〈六九段―三〉
斎垣など越えて行くのが恋の路〈七一段〉
世の中に絶えて桜のなかりせば〈八二段〉
いたわしや雪踏み分けて小野の里〈八三段〉
千歳にも生きてくれよと母想い〈八四段〉
月々に時を重ねて老いとなる〈八八段〉 ほか
解説
寡黙な本文とおしゃべりな行間──主題と変奏の物語
参考図書
天王と藤原氏系図
紀氏と在原氏系図
「伊勢物語」関係年表
平安京条坊図
初句索引
コラム目次
大和物語
月やあらぬ
六歌仙
「文学のふるさと」
都人の旅
能楽「隅田川」
「源氏物語」への影響
えびす心
能楽「井筒」
昔から人気の「伊勢物語」
もとになった「今昔物語」
「狩使本」
暦
「大和物語」在中将(業平)の死
ISBN:9784043574230
判型:文庫
ページ数:258ページ
定価:720円(本体)
2007年12月25日 初版発行
2023年04月10日 34版発行
Posted by ブクログ
ずっと読みたかった古典のひとつ。
芥川は、2人の可愛らしいやり取りから、その後の惨劇の対比がすごい。
「白玉」と「露」の対比がエモい。
解説では、「お姫様の問いがカマトトか、と疑われるほど現実離れしている」と突っ込んでいるけと、カマトトで良いじゃないの。
私は逆にその初々しい、家の外側の世界を何も知らない感じが強調されて、そんな世間知らずのお姫様が恋をして、駆け落ちしたことに、若さゆえの無知や勢いを感じて、しみじみしてしまうのであった。
筒井筒は、学生時代に授業で学んだような…
再び読んでみて懐かしい気持ちと、幼馴染が成長して結婚するって少女漫画的展開にキュンとしたのでした。
伊勢物語は、あまりにも周辺や人物の描写が足りない話もあって、不完全な部分を自分の経験や考えで補完してしまうので、人によって感想が異なるかもしれない。
現代語訳→原文→解説、の順に記載されているので読みやすい。
原文を読んでみたら「いとなめり」と言う言葉が!
「ナメる」と言う言葉がここから来たそうな。
そんな言葉の発見や学びもあって楽しく読めました。
Posted by ブクログ
この書き出しが定番になってきましたが、大河ドラマの影響で読みました。笑
ビギナーズ・クラシックスは本当に読みやすくてまさに古典ビギナーの私(多分、永遠にビギナーでしょう!笑)にはちょうど良い具合に楽しめました。千年も昔より語られる恋のお話は今なお色褪せず、艶っぽさすら伝わってきますね。物語の力ってホント凄いデス!
Posted by ブクログ
王朝の理想像「昔男(むかしおとこ)」の人生を追った
連作歌集物語です。
美男で心優しく情熱的な色男。
そんな彼に高貴な人も市井の人も惹かれていくさまが
歌と共につづられています。
王朝の人間模様もわかるとてもわかりやすい一冊です。
Posted by ブクログ
感覚ってふるびないものなんだなあ。言葉も生活も違うずっとむかしの作品だけど、なんでかみずみずしく、心に刺さる。
国語の授業や入試問題だと一段だけとかぶつ切りだから、なかなか入り込めず、伊勢物語をおもしろいと思ったことなかったけど。業平の人生、まるごと読むから愛着もわくし感情も入ってきやすくなる。気づいたら好きになってる。これだから色男は。
Posted by ブクログ
あー、もう本当に面白いな!
業平のストライクゾーンが広すぎるし、スケコマシまくってるのにまったく悪びれないところが凄いよ。
東下りでちょっと良い歌を詠んで、みんなで泣いて・・・
って、アンタ上司の女に手を出したからやん!自分のやんちゃが原因やろうになにオセンチぶっこいてんの!!
と突っ込まずにはいられません。
イケメンで家柄が良くてエリートで女性を口説くのが上手いとあれば、そりゃあ遊びまくりますわな。
私は生まれ変わるなら業平になりたいわ…
12.06.28 再読
在原業平が恋の歌を量産しながら、日本列島を股にかけて乙女たちをたぶらかしまくる話。
伊勢物語なんて高校の古典授業以来でしたが、意外と面白かったです。
「(恋なんかで)死にそうなんやったら、さっさと死ねば?」みたいな歌もあって、ちょっと感動しました。クールすぎるぜ!
芥川が好きで好きで、当時そこばっか読んでたなぁ。だって「消えなましものを」ですよ!?消えなましものをって・・・どんだけ切ないんだ。
狩の使いの「夢うつつとはこよひ定めよ」もチョーカッケー!とテンション上がったけど、誰も同意してくれなかったのも今はいい思い出…。
09.03.19
Posted by ブクログ
「応天の門」や「花の業平」を好みつつも、伊勢物語(に限らず古典全般だが)は教科書レベルでしか読んだことないなあとふと思い立って手に取ってみたのでした。
買ってから全文載ってないことに気づき少し落胆したけど、「現代語訳」「原文」「寸評」の構成はビギナーにも分かりやすくかつ「古典読んでる」感を満足させるのにいい塩梅で、サクッと読めるボリュームでも満足感がありました。
六段「芥河〜」、四五段「行く蛍〜」が、ままならぬ恋の哀しさ、命のはかなさをしみじみと感じられて好きです。
寸評の読み応えがあったのが二四段「梓弓〜」で、教科書的な説明だけでは中々腑に落ちない枕詞や序詞の役割が、少し理解できた……かもしれない。
Posted by ブクログ
「むかし〜、こんな男がいたんですよ〜」
「な〜に〜〜〜、やっちまったなぁ」
はい、それはクールポコね
餅つきしながらネタやる人たちね
「むかし、男ありけり…」で極有名な『伊勢物語』をビギナーズ・クラシックで読んでみました
超絶美形で和歌の達人だけど他のことはちょっと苦手で、とにかく女子大好きな在原業平(みたいな人)を主人公に据えて平安時代の恋模様が描かれる古典の名作です
それにしてもビギナーズ・クラシックいいわー
そして古典面白いよね、やっぱ
五七五七々がまずなんかこうズドンと来るのはなんでだろう?
これが日本人のDeNAってことなのだろうか?ってそれはベイスターズな横浜DeNAベイスターズな
あー、また中身に触れてないw
いやでもとにかく平安面白い
わりとなんでもありで面白い
次は土佐日記あたり行く?
業平行ったらやっぱ貫之よね
Posted by ブクログ
中三の息子に伊勢物語くらい読んどけよ、一緒に勉強する為にと買ってみたのですが、先ずは親が読んでなきゃ強いこと言えねえな、と音読もしつつ読んでみました。
100篇以上の小話からなる伊勢物語ですが、メインのお話は、当代きっての遊び人の在原業平の恋愛話です。多くの女性と関係を交わしていく様子が和歌と共に綴られています。業平が成人式を迎えたところから老境に入り死に至るまでが描かれており、さしずめ、やさ男の一生涯といったところかと思います。
さて具体的な恋愛(と言っていいのかな)の内容ですが、結構やばいです。
平安時代は、通い婚姻だし、ってか重婚ということだし、夜這いはあるし、作中で業平は好きでもない人ともエッチしちゃうとか、かわいそうだからって白髪の老女とあれのこれのしちゃうとか、気持ちが受け入れられず呪ってやるとか。。。まあ冷静に見れば現代社会でも似たようなことはあるのかもしれませんが、なかなか激しい。。。
もともと中三の息子に音読でもさせっかと思いましたが、ちょっと保留にしておくことにしました。わざわざアブノーマルな恋愛を教えなくてもいいかと。
なおこうした内容の面白さが実現されているのはひとえに編者の坂口氏の解説によるところが大きいと思います。現代語訳が分かりやすいのはもとより、時代背景の説明が秀逸です。ある業平の恋愛が阻まれる理由に、摂関政治を推し進める藤原氏の影響がある(相手が藤原氏の娘であったため、天皇の外戚になるべく娘を利用するため、業平との恋愛を許さない)とか、教えてもらわないと分かりません。また惟喬親王と業平が親しい理由に、天皇の世継ぎとなれなかった親王と天皇家の血筋ながら政治の中心で活躍できなかった業平の共通点を見出すなど、こうした解説が話を立体的に把握させてくれます。
かつては古典なんて、『めんどくせえ』とかしか思わなかったけど、年を取って読んでみると古典は存外に面白い。特に音読してみると不思議にリズムがしっくりきます。おすすめ。あくまで物語ではあるもの1000年前の平安の日常や恋愛事情の一部が垣間見え、非常に面白かったです。
Posted by ブクログ
学校の教員が卒論で伊勢物語をテーマにしていたため、作品に興味をもった。
作者が巻末に述べた、『おしゃべりな行間』は読み手の想像力を掻き立てるものであったように感じた。最初は順序に沿って現代語訳→原文(同時に現代語訳も見る)と読んでいたけれど、途中から原文→現代語訳(同時に原文読む)のようにして自身の感じ方を明確にできるように意識した。
人物が歌で想いを伝える描写は読み取りが正確にできるように考えていました。
古典や文化に興味を持ち始め、関係がある本を読むようになったけれど、まだ現代語訳は全く出来ない…できるようになるぐらい、色んな作品や文を読みたい。
Posted by ブクログ
武蔵野の野焼きの煙に耐えかねての場面での和歌
武蔵野はけふはな焼きそ 若草のつまもこもれり我もこもれり
という和歌は
春日野はけふはな焼きそ という和歌をが元となっているのだが、元が野焼きというは早春に火を焼き放つことの和歌であるのに対し、これは全く違う状況を作り出しているのがとても興味深く感じた。
そして、なんと言っても最後のコラム「寡黙な本文とお喋りな行間」がとても魅力的だあった。
狩りの使いという場面では斎宮と昔男が結局どのような結末言ったのかは分からず、それ故に想像力を掻き立てられるのだという。
プラトニックな愛という説もあれば、一夜限りのものであるなど。
斎宮という身でありながらもなぜ男の寝床に行ったかと最初に読んだ際にはただ情動に駆られただけかと思いきや、それだけではなく斎宮の政権に敗れた親王の妹という点と在原業平は薬子の変によって政権から遠けられた平城天皇の孫という不遇の立場同士だったからこそこのようなことに及んでいると思う捉えられるという。
寡黙であるが故にその行間を言葉にしてみたいという思いが溢れてくる。
これを読んだとき源氏物語にも共通しているなと思った。
光源氏のその後や、浮舟、薫の最後が書かれていないからこそ、多くの人が想像をかき立てられ、現代においても色あせない作品になっているのだと思う。
Posted by ブクログ
昔の日本の風流に触れ、いまの自分にはまったく無い趣ある詩に感服した。
あえて多くを語らないことで余韻を持たせ読者の想像力を掻き立てる。
逆に全てを語りすぎてしまうと、それは「無粋」というものになってしまい、味わいがなくなる。
粋な心を持った登場人物達による贈答歌には大変興味を惹かれ楽しく読むことができた。
Posted by ブクログ
一年で最も夜の長い日に、本書を読むという粋な会があると聞き、買って読みました。
私が気になったのは、初段の以下の箇所です。
「この男、かいま見てけり。思ほえず、古里に、いとはしたなくてありければ、心地まどひにけり。男の着たりける狩衣の裾を切りて、歌を書きてやる。その男、信夫摺の狩衣をなむ、着たりける。
春日野の若紫の摺衣しのぶの乱れかぎり知られず
となむ、おいづきて言ひやりける。」(p.13)
これは!
現代でいうと、
一目惚れしちゃった女の子に、メールアドレス書いた名刺渡しちゃう、ってことですよね?
昔の人は燃え上がる恋心を行動に移したものですよ、とか言ってるけど、現代人も同んなじようなことしてますよ?
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源氏物語にも影響を与えたであろう伊勢物語。
有名な歌がここからきていたのか等、面白く読んだ。断片的にしか知らなかったが、全体像はつかめた感じがする。ビギナーズ・クラシックスの良いところ。
Posted by ブクログ
前々から興味を持っていた伊勢物語。本書は原文と現代語訳の両方と平安時代の豆知識(一部絵もあり)がついていてわかりやすい印象をうけた。個人的には現代語訳を原文より後に持ってきてもらった方が読みやすいと思ったのが残念な部分だった。しかし平安時代の人の恋愛観念がよくわかり面白かった。それは現代人には理解しにくいものだったり、共感できるものだったり。古典に興味のある人や昔の人の恋愛観に興味のある人にはオススメ。
Posted by ブクログ
「伊勢物語って源氏物語の前段」くらいに思ってたけど、意外にや読み応えありました。
恋愛模様にまざった生き様が凝縮されてぼろぼろと掲載されていくので、読書会向き、話がつきない。
この本は伊勢物語の中でも、軽い翻訳もつき、大和物語など同時代ものとの比較コラムもあって、楽しく読めました。
Posted by ブクログ
前半は色恋がみずみずしく描かれていて後半はトーンが違うなあと感じたけど、前半は若かりし頃の姿を描き後半は老いた主人公をセルフパロディーみたいに描いてるんだってさ
平安時代のそんな遊び心を持って書かれた作品が古典として残るんだねえ
でもこの頃の女性作家の作品って宮中の女官とかがわーきゃーいいながら回し読みしてたワケでしょ?
なんとなくヲタヲタしいのが多いのも納得な気が
同人誌の人気作家みたいなもんなワケじゃん(笑)
Posted by ブクログ
古典はあまり精通していないので、現代語訳と解説を中心に読み、原文に目を通すようにした。
夫の浮気、女の移り気、身分違いの恋、叶わぬ恋…平安時代のさまざまな恋模様が描かれている。なかでも、筒井筒は非常に好きな物語だ。
Posted by ブクログ
在原業平がいかにリア充であったかが理解できる本。
こんなリアルに恋の病で死ねる世界なんて…。
個人的に着てる狩衣破いてまで恋文送られたら引く。
Posted by ブクログ
古典では伊勢物語がいちばんすき。想いが強い余り夜寝ている間に魂が抜け出て相手の夢にまで会いに行き、魂が体から浮かれ出るのを結びとどめるまじないのことを「魂結び」と言うんだって。この章段がいちばんすき。省略されていて残念。