【感想・ネタバレ】伊勢物語 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 中三の息子に伊勢物語くらい読んどけよ、一緒に勉強する為にと買ってみたのですが、先ずは親が読んでなきゃ強いこと言えねえな、と音読もしつつ読んでみました。

 100篇以上の小話からなる伊勢物語ですが、メインのお話は、当代きっての遊び人の在原業平の恋愛話です。多くの女性と関係を交わしていく様子が和歌と共に綴られています。業平が成人式を迎えたところから老境に入り死に至るまでが描かれており、さしずめ、やさ男の一生涯といったところかと思います。

 さて具体的な恋愛(と言っていいのかな)の内容ですが、結構やばいです。
 平安時代は、通い婚姻だし、ってか重婚ということだし、夜這いはあるし、作中で業平は好きでもない人ともエッチしちゃうとか、かわいそうだからって白髪の老女とあれのこれのしちゃうとか、気持ちが受け入れられず呪ってやるとか。。。まあ冷静に見れば現代社会でも似たようなことはあるのかもしれませんが、なかなか激しい。。。
 もともと中三の息子に音読でもさせっかと思いましたが、ちょっと保留にしておくことにしました。わざわざアブノーマルな恋愛を教えなくてもいいかと。

 なおこうした内容の面白さが実現されているのはひとえに編者の坂口氏の解説によるところが大きいと思います。現代語訳が分かりやすいのはもとより、時代背景の説明が秀逸です。ある業平の恋愛が阻まれる理由に、摂関政治を推し進める藤原氏の影響がある(相手が藤原氏の娘であったため、天皇の外戚になるべく娘を利用するため、業平との恋愛を許さない)とか、教えてもらわないと分かりません。また惟喬親王と業平が親しい理由に、天皇の世継ぎとなれなかった親王と天皇家の血筋ながら政治の中心で活躍できなかった業平の共通点を見出すなど、こうした解説が話を立体的に把握させてくれます。

 かつては古典なんて、『めんどくせえ』とかしか思わなかったけど、年を取って読んでみると古典は存外に面白い。特に音読してみると不思議にリズムがしっくりきます。おすすめ。あくまで物語ではあるもの1000年前の平安の日常や恋愛事情の一部が垣間見え、非常に面白かったです。

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2021年06月06日

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