【感想・ネタバレ】徒然草 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年01月28日

 兼好法師の人生観と信念の在り方について書かれた随筆である。時代は日本の中世だが、現代の私たちも考えることについて書かれているので、読みやすい。優秀な人の日記をのぞき込んでいる感覚で読める。

 無常感が兼好に大きく影響を与えている。例えば、季節の移り変わりは急に起こるのではなく、次の季節が徐々に進...続きを読むんだ結果であること。出来事(本書では祭り)のピークだけでなく、始まりの準備段階や終わりの静けさまで味わってこそ、真の出来事を見て体験したことになると言っている。これには、共感の声が多数上がるのではないかと思う。最近だと「エモい」という言葉の一部に包含されてしまぅている気もするが、振り返ることも出来事の体験だと考えると、私たちは数ある物語を今も体験し続けていて、撚糸のように数ある出来事の延長線上に生きているのだろう。つまり、一生をかけて出来事を紡ぎ合わせていくのだ。

 また、自分との対話が真の友人との会話なのだと兼好は主張する。万人に当てはまるとは思わないが、言わんとしていることは分かる。誰も話を聞いてくれない、話をする人がいないと嘆く大人は多い。それは、今の友人関係では話しづらい内容だと自覚していると言っているのと同じだ。そんなことを言ったら、いつまでも思いは募るばかりである。だったら、自分に発散させれば気兼ねなく、会話をすることができるというものなのだろう。

 兼好法師は、無常観を存分に味わうことが人間のあるべき姿だと考えているのではないだろうか。それゆえに、人生の無駄をそぎ落としスマートな生き方を良しとしている気がする。目標達成のためには時間を大切にし、人間関係では無駄な主張を抑え、五感を感じるように生きることを本書から学ぶことができた。

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Posted by ブクログ 2023年07月12日

吉田兼好こと、卜部兼好とされている。兼好法師の死後、草庵に残っていたものを、まとめたもので、243段あり。

ビギナーズ・クラシックスは、よい部分の抜粋で、しかも、現代訳と原文、解説となっていて、比べながら読める。

文庫版もあって、すきなところ、感じるところ、ぱらぱらと辞書感覚で気軽に読めるのがい...続きを読むい。

冒頭しか知らなくても、こういったダイジェスト版で拾い読みをして、やがては作品全体を知ろうとするものです。
また、各段も、すべてが大事ではく、そのところどころを読むだけでも十分役に立てるかと存じます。

序段 
つれづれなるままに、日暮らし硯に向かひて、心にうつりゆく由なしごとを、そこはかとなく書き付くれば、あやしうこそもの狂ほしけれ
今日はこれといった用事もない。のんびりと独りくつろいで、一日中机に向かって、心をよぎる気まぐれなことを、なんのあてもなく書きつけてみる。すると、しだいに現実感覚がなくなって、なんだか不思議の世界に引き込まれていくような気分になる

3段
よろづにいみじくとも、色好まらざらむ男は、いとさうざうしく、玉のさかづきの当なき心地どすべき
どんなにすばらしくても、恋の真味を知らない男は、非常に物足りない、みごとな玉製の盃の底が抜けたように、見かけだけで男の魅力が欠けている

8段
世の人の心惑はすこと、色欲にはしかず、人の心は愚かなるものかな
色欲ほど人間を迷わせるものはない、なんて人間はばかなんだろう

19段
折節の移り変はるこそ、ものごとにあはれなれ
四季の移り変わるようすは、何につけても心にしみるものがある

29段
静かに思へば、よろづに過ぎにしかたの恋しさのみぞ、せむかたなき
心静かに思い出にふけると、何事につけ、過ぎた昔の恋しさだけがどうしようもなくつのってくる

30段
人の亡き後ばかり悲しきはなし
人の死後ほど、悲しいものはない

75段
つれづれわぶる人は、いかなる心ならむ 紛るる方なく、ただ独りあるのみこそよけれ
時間を持て余す人の気がしれない 何の用事ものかくて、独りでいるのが、人間にとっては最高なのだ

79段
よき人は知りたることとて、さのみ知り顔には言う
立派な人は知っていても、知ったかぶりをしないものだ

108段
寸陰惜しむ人なし
短い時間を積み重ねて大切に使う人はいないものだ

109段
過ちは、やすき所になりて、必ず、仕ることに候ふ
失敗というものはきまって、なんでもないところで、やらかすものなんです

155段
世に従はむ人は、先づ機嫌を知るべし
世の中の動きにうまく合わせようとするなら、なんといっても時期を見逃さないことだ

170段
さしたることなくて人のがり行くは、よからぬことなり
大した用事もないのに、人を訪ねるのはよくない

175段
世には心得ぬことの多きなり
この世の中には、わけのわからないことが多いものだ

233段
よろづのとがあらじと思はば、何事にもまことありて、人を分かずうやうやしく、言葉少なからむにはしかじ。
人前でどんな過失もないようにしたい、と思ったら、何事にも誠意をもって当たり、人を差別せず礼儀正しく、よけいな口をきかないのが最上である

243段
問ひ詰められて、え答へずなり侍りつ
問い詰められて、応えられなくなりました
(兼好の父が、8歳の兼好に問い詰められたのをかたっています) 了

目次 ()は段数

自己発見の道へ つれづれなるままに(序)
出世の本道とは いでや、この世に生まれては(1)
政治の倫理規正 いにしへの聖(2)
いい男の条件 よろづにいみじくとも(3)

長寿への警鐘 あだし野の露(7)
女の色香の威力 世の人の心(8)
住まいは人なり 家居の、つきづきしく(10)
蜜柑の木を囲う独占欲 神無月のころ(11)
友あれど心の友はなし 同じ心ならむ人(12)

読書は古人との対話 独りともし火のもとに(13)
旅は心のシャワー いづくにもあれ(15)
四季の移り変わり 折節の移り変はるこそ(19)
むなしい欲望の遺跡 飛鳥川の淵瀬(25)
思い出は心をうるおす 静かに思へば(29)

葬儀と後日談 人の亡き後ばかり(30)
月見る女の心配り 9月20日のころ(32)
悪筆は個性の表現 手のわろき人の(35)
ばかを嘲る大ばかもの 5月5日、賀茂の競べ馬(41)
独善の悲哀 仁和寺にある法師(52)

住まいは夏向きに 家の作りやうは(55)
会話のマナー 久しく隔たりて(56)
求道者の覚悟 大事を思ひ立たむ人(59)
芋代に財産食いつぶす 真乗院に、盛親僧都とて(60)
謎文字の歌 延政門院いときなく(62)

既視体験のふしぎ 名を聞くより(71)
「うそ」の分析 世に語り伝ふること(73)
利に群がる蟻人間 蟻のごとくに(74)
孤独の哲学 つれつれわぶる人(75)
軽薄人間の定義 今様のこととも(78)

無能の能ということ 何事も入り立たぬ(79)
未完の完ということ 羅の表紙は(82)
偽善も善、偽悪も悪 人の心素直ならねば(85)
滑稽なる骨董品 ある者、小野道風の書ける(88)
怪獣猫またの正体 奥山に猫また(89)

決心即実行の難しさ ある人、弓射ること(92)
生と死は隠れたコンビ 牛を売る者(93)
過度の執心は破滅のもと その物に付きて(97)
生き字引の翁又五郎 尹大納言光忠入道(102)
男は女に磨かれる 女のもの言ひ掛けたる(107)

女の本性ねじけ論 かく人の恥ぢらるる女(107)
人生はこの一瞬の積み重ね 寸陰惜しむ人(108)
安心にひそむ危険 高名の木登り(109)
勝つ思うな、負けぬと思え 双六の上手(110)
分相応にふるまえ 40にも余りぬる人(113)

良友と悪友の条件 友とするにわろきもの(117)
鰹の生食の始まり 鎌倉の海に(119)
ペット飼育批判 養ひ飼ふ物には(121)
男子の必修科目 人の才能は(122)
鏡に映る醜い顔 高倉院の法華堂の三昧僧(134)

始めと終わりの美学 花は盛りに(137)
生前の心得 身死して財残る(140)
京・関東の比較論 悲田院の尭蓮上人は(141)
家族愛の政治論 心なしと見ゆる者(142)
ありのままの死 人の終焉のありさま(143)

理想の老境 ある人のいはく(151)
無常迅速ということ 世に従はむ人(155)
春の日の雪仏 人間の営みあへるわざ(166)
訪問のマナー さしたることなくて(170)
自己本位を貫け 貝を覆ふ人の(171)

酔いどれ百態 世には心得ぬこと(175)
人生は一点突破 ある者、子を法師に(188)
独身礼賛論 妻というものこそ(190)
夜の輝き 夜に入りて(191)
「うそ」と人間鑑定 達人の人を見る眼(194)

非理には非理を 人の田を論ずる者(209)
味噌の酒肴 平宣時朝臣、老いののち(215)
貧富平等論 ある大福長者(217)
技と道具との連携 よき細工は(229)
無技巧の技巧 園の別当入道は(231)

社交の極意 よろづのとがあらじ(233)
主体ある精神を 主ある家には(235)
ずっこけた感涙 丹波に出雲という所(236)
すり寄る美女をかわす意地 2月15日、月明かき夜(238)
父と問答の思い出 八つになりし年(243)

解説 兼好と「徒然草」 作者・作品の紹介
付録
 「徒然草」探求情報
 兼好略年譜
 「徒然草」参考系図
  卜部氏系図
  天皇家略系図
  平氏(北条・大仏・金沢)略系図
  堀川家系図
 「徒然草」関係京都略地図

ISBN:9784043574087
出版社:KADOKAWA
判型:文庫
ページ数:306ページ
定価:720円(本体)
発行年月日:2002年01月
発売日:2002年01月25日初版
発売日:2015年08月25日39版

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Posted by ブクログ 2022年08月01日

つまみ読みだけど、とても面白かった。手にとって良かったと思える一冊。

印象的なのは特にこの二つ。

●人生は、長くも思えるが、実際は今この一瞬の積み重ねである。何かしたいのであれば、今日の夜、明日の朝と思わず、今この一瞬に行動せよ!

●目の前の一事に全力であたれ
(弓2本のくだり)怠け心が出てく...続きを読むる隙も与えず、やろうと思ったその瞬間からすぐさま実行せよ。

人生訓的な内容がとても心に刺さる。
当時の余談もめちゃくちゃ面白い。高官のラブレター代筆とか。

あと兼好法師は女性に厳しい。

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Posted by ブクログ 2020年04月08日

わかりやすい!読みやすい。訳の後にある一言が、おもしろかったり新たな視点だったり解説だったり。それが、読者にとっての徒然草に幅をもたせてくれる。
繰り返し読んでもっと咀嚼してみたい。

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Posted by ブクログ 2016年05月23日

兼好さんの考える生き方考え方振舞い方指南本。今に通じる話ばかりでなかなか刺さるものがあります。ちょっとひとと話すときに気をつけねばと考えさせられました。

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Posted by ブクログ 2016年01月16日

古文への最初の出会いとその後の一般的な付き合い方が、日本人を古典から決定的に引き離していると思います。
「ビギナーズ・クラシックス」シリーズは、原文の直訳だけではなく、訳文の中に解説的な補足と文意をより理解しやくする表現を加筆してくれています。

例えば有名な序段の一文。訳文の括弧内は、訳者の配慮で...続きを読む加筆されたと思われる表現です。

原文
つれづれなるままに、日暮し硯に向かひて、心にうつりゆく由なしごとを、そこはかとなく書き付くれば、あやしうこそもの狂ほしけれ。

訳文
(今日はこれといった用事もない。のんびりと独りくつろいで、)一日中机に向かって、心をよぎる気まぐれなことを、なんのあてもなく書きつけてみる。すると、(しだいに現実感覚がなくなって、)なんだか不思議の世界に引き込まれていくような気分になる。

括弧内の有無で理解が全然違います。

鎌倉時代に書かれたエッセイが、こんなに自由な主張をしていたとは全然知りませんでした。無常観を底にした随筆ですから、これを特に高校生のような時期――散漫で、傷つきやすく、知識も浅いとき――に、「高尚な」文学として紹介してしまえば、古典との修復不可能な関係と、致命的な眠気に導くこと簡単です。

しかし実際には、くだらない話や自慢話も収められた、フランクに触れられる内容です。
なんだか、おじさんのFacebookへの投稿みたいな感じですよ。

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Posted by ブクログ 2013年07月27日

改めて勉強してみた。やはり吉田兼好の視点はいいね。ビジネス社会でも役に立つ。弟子が難しい仕事をしているときは師匠は見守り、簡単なところになると「気をつけろ」とアドバイスをするくだりなど、なかなかいい視点だ。もう一度読みたい。

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Posted by ブクログ 2023年12月08日

徒然草の内容に関心があっても、古文は苦手という人にオススメ。先に意訳があり、内容を楽しんだ後に原文を眺める、という仕様になっており、各段に解説もあってわかり易い。個人的には、先に古文がある方が読み慣れているので、少々心地悪かったが、読み終わる頃には古文の意味合いがスムーズに入ってくるようになったので...続きを読む、古文の練習としてもある程度意味のある本なのだと思う。兼好法師の鋭利且つ独特な視点は、現代にも十分通ずる内容だ。

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Posted by ブクログ 2021年05月03日

今から700年前の随筆であるが、現代にも通じるところが多い。
●無常迅速:考え方や価値観、繁栄、生死は常に変化
●牛を売る者:生死は常に身近にあり、死があるからこそ生が引き立つ。
●高名の木登り:ミスは油断したときに(安きとき)に起こる
●未完の完:あまりに完成された者は趣が無く、どこか欠けていたり...続きを読む、足りない方が趣があるものである。(そのためわざと未完で終わらせる建造物がある)
●蟻のごとくに:多くの人は名誉や金銭のために、蟻のようにあくせくしているが老いと死はすぐにやってくる。名利に明け暮れている人は、老いが近づいていることを意識しない(老いや死を恐れない)。一方で、無常の原理をわきまえず、老いと死を必要以上に恐れる愚人もいる。

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Posted by ブクログ 2019年11月10日

高校に入試問題などで読んだ(解いた)のが最後…問題として解くのではなく、随筆としてじっくり読めました。兼好法師の自然や世相に対する美意識と真理を貫いた人間観や教訓は確かな説得力をもってズドンと胸に落ちました。何度でも読み直したい一冊。

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Posted by ブクログ 2017年10月25日

現代語訳、原文、軽い解説という構成。 教科書に載るような古典だし普通だったらあえて手を出そうと思えないけど、内容は「うらべかねよしのエッセー」といった感じで今読んでも古さは感じない。 700年前のものとは思えない。 なかなかおもしろい。

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Posted by ブクログ 2016年08月07日

読書録「ビギナーズ・クラシックス徒然草」4

編・出版 角川書店

p210より引用
“ 何事も、自分の外に向かってあれこれ求
めてはならない。自分に目を向けて、自分が
やるべきことに全力を注げばよいのだ。”

目次から抜粋引用
“自己発見の道へ
 旅は心のシャワー
 独善の悲哀
 利に群がる蟻人間...続きを読む
 鏡に映る醜い顔”

 日本の古典文学をわかりやすく記した作品
集の、徒然草を解説した一冊。
 現代語訳・原文・解説と、作品に登場する
寺社仏閣や図や絵を交えて書かれています。

 上記の引用は、灯台下暗しを戒めた話での
一節。自分の足場をしっかりと固め、少しず
つその範囲を広げることで、最終的に大きな
事が出来るようになるとのことです。
いろんな事をしたいと思っても、自分の足場
をしっかりと固めるのも、なかなか上手く行
かないものです。
 昔々の人々についての話ですが、どんなに
時代が変わっても、人のしていることの大き
な部分はあまり変わっていないのだなと思わ
ざるをえません。

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Posted by ブクログ 2014年02月15日

本書は古文の知識を必要とせず、原文・現代語訳付きなので読みやすいのではないのでしょうか。
卜部(吉田)兼好は、深い洞察力とバランス感覚に優れていた人物であったことが本文から感じ取ることができます。
また、各段でオリジナルの表題がつけられております(例えば、「いい男の条件」、「女の色香の威力」、「孤独...続きを読むの哲学」など…)。これがまた面白さにつながっていると思います。
自分なりの表題を考えることも、本書の楽しみであり理解を深めることになるかと。

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Posted by ブクログ 2013年08月03日

古典はあまり読んだ事が無いので挑戦しました。でも、とりあえず入門っぽい本から。
女性にえらく厳しい。と思ったら、男性にも厳しかった。趣深い文章で、大変鋭いので、読んでいて胸が痛いことも度々。
大変読みやすく構成されているので、助かります。

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Posted by ブクログ 2013年06月09日

人間の力ではどうにもならないはかなさを「無常」と呼んで、その中でどう生きていったらよいかを説いた本。今でも通用する内容。

「自分と対面できるような『つれづれ』(ひまな)の時間を持つことで、人生の真実が見える」

「やり残した部分を残す(完成させない)ことで、ものの命は永く続く」

「自分の外に向か...続きを読むってあれこれ求めず、自分に目を向けて、自分が今やるべきことに全力を注げばよい」

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Posted by ブクログ 2013年01月17日

徒然草って、こんな本だったんだ!凄く冷静に人間を観察されていました。どんな話題も現代に置き換える事が出来、不思議な感じ。どんなに時代が変わろうとも人間なんだなぁ。

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Posted by ブクログ 2014年03月14日

古典でおなじみ徒然草。兼好法師のような生き方、憧れる。彼の人間分類は現代でも多く当てはまるところに驚かされる。

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Posted by ブクログ 2012年05月03日

久しく隔たりて より

「才ある人はその事など定めあへるに、おのが身をひきかけて言い出でたる、いとわびし。」

兼好さんに諫められたようで、ひやりとしました。

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Posted by ブクログ 2011年11月25日

出版社/著者からの内容紹介

鋭い人間洞察の宝庫「徒然草」を現代に甦らせる画期的試み。古典が面白い!
目次
自己発見の道へ―つれづれなるままに
出世の本道とは―いでや、この世に生まれては
政治の倫理規正―いにしへの聖
いい男の条件―よろづにいみじくとも
長寿への警鐘―あだし野の露
女の色香の...続きを読む威力―世の人の心
住まいは人なり―家居の、つきづきしく
蜜柑の木を囲う独占欲―神無月のころ
友あれど心の友はなし―同じ心ならむ人
読書は古人との対話―独りともし火のもとに〔ほか〕

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Posted by ブクログ 2023年12月13日

各章の頭にまず現代語訳があり、そこで内容を把握したうえで原文に触れる形式となっており、高校の古文の授業レベルでしか古典に触れて来なかった身としてはまずそこが新鮮に感じられた
そしてこの現代語訳は当時の時代背景や周囲の状況など非常に懇切丁寧に拾われており、逆にこれだけの情報が原文ではこの一言にて言い表...続きを読むわされているのかと、驚きをもって読み進めることもできた
それが古典文学の奥深さなのか、作者兼好法師の文才のなせる業なのかわからないのは浅学の身の悲しさであるが、同じシリーズの別の作品を手にとる動機としたい

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Posted by ブクログ 2023年08月06日

兼好法師の書いた徒然草を、現代語訳と原文を並べて編集。
全体的な感想は、世間でもてはやされるほどすごいことが書いてあるわけではないんだな、という印象。
でも、第155弾「世に従はむ人…」で、何かが変わるときは突然変わるのではなく、小さな変化の積み重なりで物事は動いている。
例えば季節の移り変わりは、...続きを読む春から夏に変わるのではなく、春の中から夏が生まれ、夏の中で春が終わり、秋が生まれ…という具合である。
人間の場合は、生→死という変化が最も大きな変化だが、季節のようにそのスピードは一定しない。
だから、何かをしようと思ったらすぐに実行に移すべし、というところはなるほどと思った。

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Posted by ブクログ 2022年10月06日

学生の時に授業で習ったけどほんの一文だけだったので購入。
現代語訳もあるので初心者でも読みやすいです。当時の人も今の人と同じようなこと思ってたんだな。エッセイとしてでも読めます。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年05月04日

吉田兼好は、晩年の爺さんが硯に向かって常に何かしら書き記してるような文藝人間のようなイメージがあったが、兼好8歳ぐらいのときのエピソードがあったり、不動産投資家みたいなとこがあったり、意外な部分もあった。

友達はいても心から話せる友達でないと、気を使ったり我慢したりして、かえって孤独感を感じるし虚...続きを読むしくなる。とか、読書は古今東西見知らぬ人と友達になるようなものだ。みたいな文章があって、雑誌のコラムに載ってそうな感じがする。

財産や利権にしがみつく者も、仁義や仏法にしがみつく君子や僧侶も同類で過度の執着は己の心を曇らせ、破滅を誘う、みたいな文も良かった。

女によって男は磨かれ、外見とかも取り繕おうとする。って書いてる割に、女は要らぬことまでよく喋り、利己主義で頭が回るのに、変なことを遠慮し、素直でないくだらないものと評してるのが面白い。今だったら批判されたかもしれない。

ペットを飼うことの批判とかも面白い。自由に動き回る獣や鳥を檻に閉じ込めて束縛するのは、動物のこれからを生きる喜びを奪い苦しめると言った旨だが、今のコロナ禍にも一筆書いて欲しい。いくら好きでも四六時中いたら嫌な部分も出てくるだろうし、別居してたまに会うぐらいの方がお互い新鮮で良いだろうと現代に通ずる非婚みたいなことも述べてたりする。

いろんな書籍からの教えを引用してるのを見るに結構読書家・勉強家なのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2020年08月23日

日本が世界に誇る文学の名作を読んでみようと思い、まずは読みやすそうな徒然草から。

今も昔も変わらない人間の本質の話や、処世術など内容は多岐にわたる。その中でも、人の無常観は印象に残った。四季の移ろいや自然の変化は人の関与できない部分であり、何人にも平等である。それに敏感になれるかは日常の豊かさに繋...続きを読むがる。

祭りの話で
祭りの中の一番の盛り上がりだけを見るだけではもったいなく、祭りが始まる前のドキドキ感や終わった時の虚しさなど一連の流れ、移り変わりを含めて楽しむものだ
というものがあったが、納得。
コスパを求めて盛り上がりだけ体感してしまいそうなので、移り変わりを楽しめる大人になりたいです笑

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Posted by ブクログ 2020年03月11日

この世は無常という考えを常においている世捨て人のエッセイ。全部を載せているわけではなく抜粋版。載せかたとしてはまず口語訳、そして原文という順番が斬新。この順番だと先に意味を掴めるので原文も読みやすい。
花見をする人への揶揄だとか、年を取ったら頑張ること自体見苦しいだとか視点が鋭く面白い。昔から人間っ...続きを読むて変わらないんだなぁ。今のコロナ騒動を見たらどう思うだろうかと想像を巡らせたくなる。どうせ人は遅かれ早かれ死ぬんだから躍起になってペーパーを買いだめするのは下品、とか言いそう。

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Posted by ブクログ 2016年07月16日

こういった…昭和以前の文芸作品みたいなのには苦手意識があったんですけれども、読んでみると割かし現代に通ずる部分もあり…なかなか楽しめましたね!

ヽ(・ω・)/ズコー

早い頃から世捨て人になってしまった兼好さんですけれども…独身のまま生涯を終えられたんでしょうか? 解説を読む限り、そのように感ず...続きを読むるのですが…

こういう世の中から一歩引いた目で世間を見渡してみると…実に様々なことが分かる! ということが分かる書物でしたねぇ…まあ、この人はおそらく結婚には向かなかったのでしょう…。

↑なんか女人に性的な誘いを受けてうまく躱す方法みたいなのを文章にしてしたためていましたしねぇ…女子が苦手だったのかもしれません!

↑みたいな憶測が個人的には飛び交いますけれどもまあ、読んで損はない書物だと思いますよ!

さようなら…。

ヽ(・ω・)/ズコー

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Posted by ブクログ 2014年03月08日

通釈と原文を合わせ読めるのが良い。「つれづれなるままに」は「今日はこれといった用事もない」となる。兼好が見てきた物事には全て意味がある。そんな考えを分かりやすく知る事が出来る。

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Posted by ブクログ 2012年12月16日

「枕草子:清少納言」と「方丈記:鴨長明」と「徒然草:吉田兼好」 日本3大随筆のウチのひとつ

むろん古典を読める能力は残念ながら持ち合わせていませんので、現代語訳でつまんでみました。
原文は枕草子と対応して243段で構成されているようですが、本書はそのうちの75段を選択した入門書です。

読んだ感想...続きを読むとしては、13世紀に書かれていますが、ちょっと毒舌な部分があり、ナンシー関さんをふっと思い出した古典エッセイ集。

兼好法師は諸行無常をひたすらに述べていたけど、人間は本性は変化しないものかもしれません。

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Posted by ブクログ 2012年06月03日

現代語訳と古文表記を併記した「徒然草」。現代人向けの解説や薀蓄も含まれており、初心者が理解しやすいよう工夫されている。とはいっても、基本的には原文を忠実に追いかけているだけなので、面白みに欠けることは否めない。酒井順子さんの「徒然草REMIX」を副読本にすると、違った世界が見えてくるかも。

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Posted by ブクログ 2012年05月26日

いつの世も『人』という性は変わらないものなんだなぁと思いました。同じ事を思い、願い、考えているんですね。
敷居の高そうな古典文学を面白く飽きない文体で書かれています。
中学時代にも読破しましたが、自分の考え方や捉え方の変化も感じられて面白かったです。また、5年おきぐらいで一生読み続けたいなとおもいま...続きを読むした。

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