樋口美沙緒のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
作者さんの初めてのBL作品だったということで、感性がJUNEに近く、暗くて重めテイストです。ゲイがノンケに一途な想いを抱く報われないシリアス恋愛もので、かなーり使い古されたテーマですが、それでも原点回帰に一役買う読み応えがありました。
男と付き合っては最後に相手から暴力を受けて、幼馴染みの俊一の元へ逃げ込むことを繰り返している予備校生の望。実はずっと俊一に片想いをしているのですが、15の時に自分の性癖を告白したところ「俺を好きにならないなら、別にいいよ」と釘を刺されて以来、親友としての付き合いを保つことに心を砕くことに。
ゲイであることを俊一ばかりか家族にも受け入れてもらえなかった望は、孤独や淋しさを埋めるために「誰か」を好きになろうと努力してみるものの、悉く失敗してしまい余計に俊一への想いを強くしてしまうのです。
他にもイイ男はいっぱいいて、その誰かを好きになろうと思っても望の心に住んでいるのは俊一オンリー。これはもう、理屈じゃないんですよね。
でも、他の誰かを好きになっていなければ俊一に悪いと思ってしまう望。
気の毒なのは「誰か」的立場の相手の男です。
いくら隠しても、相手の男が望の俊一への想いに気付いてしまい、最後には怒り狂って暴力を振るわれてしまうという悪循環です。
本編では俊一の気持ちには触れられていません。見た目、まったくノーマルに生きている男です。ただし、望のことは親友以上に位置づけているのはわかります。すごく大事に思っているけど、それはあくまでも気持ちとしてであって、肉体関係とか生々しい関係はありえないと思っている常識人。
望を特別扱いしているようにみえて、実はかなり上から目線で傲慢な態度です。そのくせ、望が離れていくとひどく衝撃を受けてしまうのです。
愛する形は様々で、だからこそエゴイスティックになってしまうのだということが、絶妙に描かれてるなと思いました。
望のダメダメな行動を浅はかだ、バカだと思う反面、理性で恋はできないのだと非常に共感してしまいます。想いが通じないことの切なさが胸に迫るストーリーでした。
望が人間的にたくましくなったことが「愛のはなし、恋のこと」で、俊一の視点から語られています。
追われることが当たり前だったりうざかったりしたのに、追われなくなると気になって仕方なくなる恋の身勝手さが描かれています。二人の転機があるようなので、ものすごく続きが読みたくてたまらなくなりました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ私いつも思うんですよ、BLの攻め様にね……
とりあえずお前人の話をまずちゃんと聞けっっ!!!
って。
今回もご多分に漏れず、そんな攻様と、分かって貰えないけど健気な受様の
王道少女漫画的展開一直線の擬人化昆虫シリーズ続編です。
前回と同じパターンのハイクラス×ロウクラス(病弱)
またか……? と思ったものの、樋口さんのファンタジー大好きなので
全然気にせず読めました。
『身分違い』『すれ違い』『健気受け』の三拍子揃って嵌らないわけないです。
切なくてきりきり胸が引き絞られる展開が序盤から終盤までこれでもかって
ほど続きますが、最終的に幸せなので大満足。
攻のちょっと気持ち悪いくらいの執着にニヤニヤすること請け合い。 -
Posted by ブクログ
ネタバレネタは今では使い古された『惚れ薬』。
『媚薬』じゃないですよ『惚れ薬』。
これはギャクかコメディかと思いながら読み始めると、なるほど中々シリアス路線。
それも、結構なドシリアスです……惚れ薬なのに。
作中、いろんな伏線も張り巡らされていて、主人公キユナ(受)の
出生の秘密だとか、謎も多くて先が気になり、非常にテンポよく
読むことが出来ました。
『惚れ薬』というスパイスが、物語を重たくせず、かといって薄くも
せず、とにかくその当たりのバランス、塩梅が絶妙。
泣き所もしっかりあって、結構冒頭あたりから胸が絞られます。
そのぞうきん絞り具合が、結構終盤までぴっぱられるので、全体
通してずっと胸がきゅんきゅんしっぱなし。
すれ違いすぎてて、イラっとしますが、勿論ハッピーエンド。
ファンタジー大好物なので、非常に楽しく読めました。 -
Posted by ブクログ
ついつい「天狗の嫁取り」と読み比べてしまったりして。こちらは狗神様ですが、ファンタジー色としてうっすら相似する部分があって、どっちが好みか比較するのも面白いです。
というわけで、神様×20歳の人間♂の婚姻譚。花嫁契約ものです。命を助けたことへの対価として、ハタチになったら迎えにいくと10年前に狗神から言い渡された約束が、話の発端です。神様、10歳の子のどこがよかったの??と思ったけど、神社の守りをしている家の息子だったのね…
ファンタジーで里山が主な舞台になっていますが、比呂の置かれていた環境はシビアで現実的です。彼が別世界に連れ去られて狗神相手に自分本位な正義を主張しているところは、自己中で子供っぽいなと感じさせられますが、生活がかかっている比呂にしてみれば必死だったわけなんですよね。
お祖母ちゃんも唯一の家族だから自分が頑張らなければと思っているのに、現実はままならない。そんな非力な自分の情けなさを狗神にぶつけても、まったく気持ちが通じない焦燥感がひしひしと伝わってきました。ま、相手は人間臭さがあっても「神様」なので、傲岸不遜です。一切比呂の話は通じません。偉そうだなと思ったのですが、よく考えたら神様なので当然なんですよね。
でも、比呂は物怖じせずに思ったことを全部狗神に言います。それは正しいことかもしれないけど、相手を傷つけているということになかなか気付かない。一方の狗神も、傲慢な態度を崩さないので反発しあって花嫁どころの状況じゃなく、前半は焦れ焦れさせられました。
でも、Hだけは、言う事聞かない比呂を神通力で操るってのが神様らしくて、おいしいエロ。
後半は盛り上がる展開でした。比呂が精神的に成長できていくのがいい。狗神の苦悩を理解しようと目覚めるところでは安堵しました。里山の危機や仇の八咫の神、鈴弥など障害を乗り越えて、やっと気がつくんですよね。そこまでの道のりが長い話でした。好きなんだと気付くのは、狗神と離れてから。泣ける場面でした。そして、比呂のかわいげはここからなので、受キャラとしての魅力が前半ちょっと弱かったのが残念。
その分、脇キャラは全員個性が強く、狗神と比呂を補うに充分な魅力がありました。
そして、お約束のもふもふ尻尾プレイもエロかわで満足。狗神ほんとにツンデレです。尻尾だけが正直にデレてた。