雨宮処凛のレビュー一覧
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ネタバレ○津田塾大学准教授の萱野氏と作家の雨宮氏の著作。
○非正規雇用者の労働状況や思想(右翼左翼)関係をテーマに、現代社会の労働のあり方についての対談をまとめたもの。
○雨宮氏の非正規雇用(フリーター)やメンヘラーについての考察や指摘は、自身の経験に裏打ちされたものでもあり、大変分かりやすく、また、実態をリアルに伝えてくれるもの。
○本書で提示された問題点や課題については、大変本書の発行から5年たった今でも、変わらずに存在し続けており、むしろ、「貧困」への流れなどは加速しているように感じる。
○思想云々ではなく、このような現場が間近にあるということについて知るには、大変良い本だと思う。 -
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生きる意味が見つけづらい時代だ。いや、ただ余裕ができて「考える余裕」ができただけなのかもしれない。それまではそもそも「生きる」こと自体が目的であり、その「意味」を見つけようとする余裕なんてなかったのかもしれない。
この世の中に、或いは生きることに意味なんてないと、そんな風に思う。この本は雨宮氏がどうやって意味のない自分に、意味のない社会に、それぞれ"意味付け"を行ってきたかという記録の本である。いじめにより心が空洞になり、空洞を実感したからこそ彼女は意味を求め続けた。ある時はミュージシャンに、ある時はサブカルに、そしてまたある時は右翼団体に。
社会は自分たちに明確な意味を見出せていない。でもた -
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「『世界』と思いきりセックスしたい!」・・・とっても過激な内容で綴られる、ゴスロリ作家・雨宮処凛さん流、地球の歩き方。なんせこの人、初めての海外旅行が北朝鮮という、かなり変わった方です。そしてイラクなど、本書で取り上げられる国は、かってどこかの大統領が「悪の枢軸」と呼んだ場所・・・。
雨宮さんが「よど号グループ」の方々との接点があったことから、公安から「がさ入れ」があったことなど、興味深いエピソードが綴られています。
本書を読んで感じたのは、そこが「悪の枢軸」だとしても、実際に見て、知ることは大切なことだということです。もちろん、その国に共鳴する必要はありません。ただ、知った上で、自分の頭 -
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見えにくく隠されている問題点を具体的に引き出し、わかりやすい。
人間の社会的支えである経済性あるいは精神性の貧困状態を現象面で具体的にとらえ、てその構造の矛盾を指摘している。
貧困の詳細を社会(政治・行政・司法・企業・)と個人のギャップから見つめて実名で開示していることが、わかりやすい内容にしているのだろう。
しかしその反面ドップリと入り込んでいる文体には、一般に通じにくい単語が多く、読者を狭くしているようにも思える。
プレカリアート・ネオリベ・ガテン系・・・などなど。
コミュニケーションなど、対談している二人の中でさえ単語の意味がずれているように思えるものもある。
賃金の格差や -
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いやーだいぶ落ちたよ。
プレカリアートとは、「不安定な」(英: precarious、伊: precario)と「労働者階級」(独: Proletariat、伊: proletariato)を組み合わせた語で、1990年代以後に急増した不安定な雇用・労働状況における非正規雇用者および失業者の総体。
プレカリアートと呼ばれる人達の叫び。叫びというか日常。
彼らの日常は私たちにとって脅威だよ。
人間の幸せってなんだっけ。働くこと、生きること、日々喜びを感じること。
根本が揺り動かされてしまうよ、この本で。
この本を読んで取るべきアクションは今の環境やポジションを守る姿勢になることじゃない。 -
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[ 内容 ]
いま多くの人が「生きづらさ」を感じている。
一九九八年以降、自殺者数は毎年三万人を超え、毎日のように練炭自殺や硫化水素自殺のニュースが報じられている。
鬱病など、心を病む人も増える一方だ。
これらの現象は、現代社会に特有の「生きづらさ」と無縁ではない。
その背景には、もちろん経済のグローバル化に伴う労働市場の流動化が生んだ、使い捨て労働や貧困、格差の問題もあるだろう。
他方で、そういう経済的な問題とは直接関係のない「純粋な生きづらさ」もあるだろう。
本書では、さまざまな「生きづらさ」の要因を解きほぐしながら、それを生き延びていくためのヒントを探っていく。
[ 目次 ]
第1章 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
事件・犯罪の背景には「社会の病」がある。
[ 目次 ]
第1章 「秋葉原無差別殺人事件」と派遣労働
第2章 十六分に一人が自殺。「自分自身からの排除」の背景
第3章 メンヘラーの逆襲!―九〇年代「アダルト・チルドレン現象」と、二十一世紀の「生存運動」
第4章 制度の貧困に利用される「家族」―北九州・餓死事件から見えてくるもの
第5章 私と同い年の死刑囚・造田博―九〇年代の永山則夫
第6章 子どもを餓死させた母と、自らが餓死した母
第7章 急速に進む「派遣切り」―「所持金ゼロ円」で逮捕される「難民」たち
第8章 民営化された戦争―イラクで「料理人」として働いた安田純平さん
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Posted by ブクログ
最近の若者は根気がない、フリーター・ニートは甘えだという考えが違ったと思った。当事者にも至らぬ点があったのかもしれないが、一番の問題は社会構造なのだと痛感した。競争社会といわれているが、そもそもそのイスが少ない。大企業だけが利益を出す(そこで働く個々人もノルマに追われて余裕のない状況だと思うが・・・・)現状はとても危険だと思う。過労死予備軍だといわれている正社員、社会からドロップアウトして貧困にあえぐだけでなく非難の的になるフリーター・ニート。日本は今後どうなってしまうのだろうか・・・・・・。
経済大国という肩書きをすててでも、もっとスローペースな社会になってしまったほうがいいのではないかと