雨宮処凛のレビュー一覧

  • 生きさせろ! 難民化する若者たち

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    本書で度々指摘されているように、フリーターやワーキング・プア等の若年労働力を巡る問題を複雑にしているのは、彼らのプライドに関わるデリケートな部分である。本書のタイトルのように「生きさせろ!」とストレートに叫ぶことを彼らの多くは忌避するし、むしろそう叫ぶものを侮蔑することで自らの優位性を確認する。「社会のせいにしたくない」という台詞は、この世代が大人になる過程で刷り込まれた「中流的」プライドが吐かせるギリギリのつぶやきなのだろう。
    そのような彼ら心のタガをさらに固めるものとして、自己責任論や「犠牲の累進性」(典型例として曽野綾子「貧困の光景」を挙げよう)を強調する言説が存在する。「第三世界の貧困」を「餓死するものがいない」日本の現実と対比させることで、彼ら・彼女らはアフリカの不幸を嘆いているのではない。日本の貧困を糊塗し、追い込まれている人たちをさらに追い詰めているのだ。フリーターになったのは自己責任。三食欠かすわけでもなく何を甘えているのか、と。
    しかし、一人一人がフリーターにならない努力をしていれば、世の中にフリーターという存在はいなかったのか?そうではない。初めからそのような労働力の存在が期待されていた中で、たまたま彼らがその役割であっただけなのだ。つまり、彼らでなくてもまた別の「誰か」が彼の代わりにフリーターをしていただけの話である。そんな当たり前の事実を本書を通して多くの人に共有してほしい。

    0
    2013年12月22日
  • ともだち刑

    Posted by ブクログ

    いじめの様子がリアルに描き出されていると思います。教育者を目指すものとして、読んでおいて良かったと感じました。

    0
    2013年12月01日
  • 生き地獄天国 ――雨宮処凛自伝

    Posted by ブクログ

    特定のイデオロギーに傾倒すると何処かでなにか間違ってしまうような気がしてたが、雨宮処凛が同じことを言ってくれて、このまま行動してもいいのだと、勇気と元気が湧いた。

    0
    2013年06月21日
  • 生き地獄天国 ――雨宮処凛自伝

    Posted by ブクログ

    蜜ひとが、全人類の中で唯一
    本当の意味で尊敬している人物
    雨宮処凛様の自伝

    蜜ひとの女神様による
    蜜ひとの聖書

    0
    2013年06月08日
  • ともだち刑

    Posted by ブクログ

    深く傷ついた体験を赤裸々に語り私の中のトラウマがえぐりだされていく。傷口がつつきまくられて痛みがぶり返していく。友達に刑を付けたことの感性が私にはすごくわかる。友達刑は非情で残酷な世界だ。

    0
    2012年07月22日
  • 排除の空気に唾を吐け

    Posted by ブクログ

    現代の日本の労働問題について、鋭い視点で書かれている本。決して、マスコミや新聞では、詳しく報道されない事が色々と書いてあって、勉強になりました。

    努力もしないで、何でもかんでも国のせいにするな。という人がいるけれど、この本を読んでからは、何でもかんでも国のせいじゃないか!と思いました。国の制度が中途半端なおかげで、貧困や自殺者を日々、生み出している、というのは本当に本末転倒な話であり、国会議員や福祉、労働に携わっている官僚に猛省を促したいと思いました。

    0
    2012年05月19日
  • 生き地獄天国 ――雨宮処凛自伝

    Posted by ブクログ

    今労働問題など運動を繰り広げ、「プレカリアートのマリア」と呼ばれる雨宮処凛の自叙伝です。イジメ。リスカ。バンギャ。民族運動…。よくこんなにいろんなことを経験したもんだなと、最初はあっけにとられました。

    現在、貧困・労働問題などで、活発な執筆および労働運動を展開し、『プレカリアートのマリア』と呼ばれる雨宮処凛の自叙伝です。一読して唖然としました。壮絶な人生です。いろいろな意味で無茶苦茶です。イジメ。リストカット。自殺未遂。バンギャ。民族運動。そして転向して、プレカリアート問題と、本当に驚かされました。この前、某無料動画サイトで彼女が当時組んでいた右翼パンクバンドの『維新赤誠塾』のライブおよびドキュメンタリー映像を観る機会があったので、ここに今回彼女の自叙伝を取り上げてみました。

    彼女はバンギャ時代を経て上京後、キャバクラ嬢をしていたそうなのですが僕がその中で爆笑したのは『軍歌が歌えるキャバ嬢』というフレーズで、キャバクラ嬢という職業とのあまりのギャップに大笑いしたことを覚えています。この本は人によっては非常に不愉快な内容を含みますのであんまり人にはお勧めできませんが、ある1人の女性の軌跡というものを知るには悪くないとは思うんですが・・・。

    それは実際にこの本を手にとって読まれる方にお任せします。

    0
    2011年08月11日
  • プレカリアートの憂鬱

    Posted by ブクログ

    この本に書いてあることは、就職先の決まらないまま大学を卒業しようとしている自分にとって、近い将来自分の身にふりかかる出来事であるかもしれないと思う。
    あとがきを読んで泣いてしまった。

    0
    2011年01月31日
  • ともだち刑

    Posted by ブクログ

    あたり前だが後味が悪かった。

    あの世代のリアルな、「処刑」
    きっと誰にでも覚えはあるはず。
    あんなにも閉鎖的な空間、そのなかで持て余される攻撃性。そしてそれは閉塞的な状況という絶望をスケープゴートに与える。

    教師を目指している方にはぜひ読んでもらいたい。「火の通りきっていないジャガイモを食べてしまった時の匂い」がする中学校には、必ずともだち刑がある。

    0
    2010年04月28日
  • プレカリアートの憂鬱

    Posted by ブクログ

    バブル世代として、今就職できない若者のことを知りたいと思って読みました。
    派遣のランチのストレスとかも、わかる~
    普通に働くのが難しい時代。

    0
    2010年01月11日
  • 「生きづらさ」について~貧困、アイデンティティ、ナショナリズム~

    Posted by ブクログ

    中国に行く前に空港で買った本。
    現代の日本を取り巻く生きづらさについて原因を探った本。解決策が十分提示されているとは言えないと思うが、とてもよく現状を捕らえていると思う。

    持論では、人間の欲求はマズローの欲求段階説に従っており、これらが満たされないことに人は不満や生きづらさを感じるものだと思う。

    現代の日本に生きづらさが蔓延しているのは、もっとも基本となる生存欲求が満たされない人(働きたくても働けない人)ばかりでなく、働いている人の中でも所属の欲求や承認欲求が満たされないことに原因がある。

    本の中で「犠牲の累進性」という言葉が出てくる。世の中にはもっと苦しんでいる人がおり、、下を見ることで現状に満足させるエクスキュースの言葉として否定的に使われているが、様々なレベルで不満が渦巻いているというのは事実だろうと思う。

    生存のレベルで苦しむ人と承認のレベルで苦しむ人の課題はそれぞれ解決されなくてはならないと思うが、問題はこれらがトレードオフではないかということである。

    本にも書いてあったが、我々は生まれてすぐに他人と競争する主体として存在し、誰かを犠牲にすることでしか我々の社会や暮らしは成り立たないのではないか。

    実際自分はそういう会社で働いているし、多くの同僚は同じ感情を抱いているのではないかと思う(実際にそういう発言をした上司はいた)。

    もちろん生存の欲求は承認の欲求より優先されるべきだと考えているが、これが社会全体の問題である以上、トレードオフ・合成の誤謬・囚人のジレンマが生じ、個人の努力によっては解決されない問題だと考える。知恵と合意によってルールとして社会が選択しなくてはならない。

    知恵として個人的に魅力を感じているのは、ベーシック・インカムという仕組みである。最低限の生存欲求を満たすことですぐに救える命があると思うし、生存欲求を離れて人がよりリスクをとって生きることのできる社会で、人はゼロサムではなくよりwin-winな関係を築けるのではないだろうか。

    0
    2010年01月05日
  • 「生きづらさ」について~貧困、アイデンティティ、ナショナリズム~

    Posted by ブクログ

    面白かった。
    対談形式なのも読みやすかったし。

    「高いコミュニケーション能力を求められる世の中で、KYを意識し過ぎている」ことが、精神的な面での「生きづらさ」に繋がっているという内容はすごく納得できた。

    それと、社会問題化している派遣や貧困問題についてもとても勉強になった。

    アイデンティティをナショナリズムに求める過程がちょっと厳しいが、読むに値する一冊。

    0
    2009年10月30日
  • 生きさせろ! 難民化する若者たち

    Posted by ブクログ

    2007年3月発行。
    若者がおかれた現状の悲惨さを具体的なインタビューで構成。
    不安定な層が4割というのは個人の責任ではなく、社会問題というのは全くその通り。
    派遣といえども、明日から来なくていいとだけ言って首を切れる物ではないこと。
    労働法などを知らなすぎて不正をされる場合もあるので、そういう知識ももっと広めるべきですね。
    一人では立ち向かえない場合、一人でも入れる労働組合や、相談に乗って貰える組織があることなど書かれています。知って下さい。
    この不況で相談の人手も足りないのではと心配だが…

    0
    2009年10月07日
  • 排除の空気に唾を吐け

    Posted by ブクログ

    数々の社会問題、事件を考察しその背景にあるものを探る。
    働くこと、自殺すること。格差社会に生きるということについて考えさせられる。
    政治家や企業家たちへの批判も面白い。

    0
    2010年01月16日
  • 排除の空気に唾を吐け

    Posted by ブクログ

    初めて彼女の本を読んだ。無差別殺人やネグレクトのニュースを見て、世間一般の考えかたしかしていなかったが、その事件の背景となるものが、この社会に蔓延している「排除」であるということはとても考えさせられた。いまや、生まれながらにして「勝ち組」と「負け組」ができあがっているような。家庭状況により最初から道が閉ざされている場合も多いのでは。まさに子は親を選べないというか・・・少しでも周りが問題意識をもって、この社会を変えていこうとしないと、結局今の政治には何も期待できないし、状況が好転するとも思えない。正社員ではない私もあまり人ごとではないのかも。

    0
    2009年10月07日
  • 排除の空気に唾を吐け

    Posted by ブクログ

    日本の社会は「教育課程からの排除」「企業福祉からの排除」「家族福祉からの排除」「公的福祉からの排除」そして「自分自身からの排除」があるとの主張。

    秋葉原での無差別殺人や、寝る場所を確保したいだけで渋谷で傷害事件を起こした老女の話、製造業派遣で即刻解雇・退寮を迫られ「派遣村」に押し寄せた人々などの赤裸々なルポ。

    自己責任という言葉で片付けられてはならない。あたら消費を誘う市場原理主義の中で、貧困からの脱却は困難を伴う。

    学歴がない、住居がない、助けてくれる家族もない、正社員ではない、肉体が病んでも生活保護が受けられない、そんな自分がいけないんだと、自信をなくし自暴自棄になる・・。

    行政福祉の手がおよばず餓死や自殺も増加している。

    この国はなんと「絶望」を増長させるだけのシステムの国になってしまったのだろう。

    党派的な運動ではなく、ホントに「生きさせろ!」との立ち上がりが不可避な状況なのだ。

    派遣労働者たちの現実、シングルマザーの日常について、淡々とした語り口ではあるが力強い文章。深い悲しみと怒りが胸に迫る。

    決して他人事ではない。

    イラクの部隊に料理人として駐留したジャーナリストとのインタビューではイラク戦争は「民営化された戦争」であり、今後は日本の派遣会社も戦地を派遣先の対象としないとはいえないとの言葉に、肌寒さを感じた。

    多くの人に読んで欲しい。知ってほしい。

    0
    2009年10月07日
  • 「生きづらさ」について~貧困、アイデンティティ、ナショナリズム~

    Posted by ブクログ

    私はオバサンで、正社員一筋で働いてきました。派遣の実態を正確には知りません。所詮他人事なんです。昔から、下層の労働者は搾取されるもので、じゃあ何故生活を安定させるために努力をしないのかと、思ってきました。この本を読んで、どうしようもない現在の仕組みが少し判った気がします。昔とは大きく違うのですね。特にショックだったのは、最近の人はネットで繋がっているから、そこで何らかの「承認」を得られていると思ってました。「バーチャルな承認」だけでは駄目なのですね。現実の人間関係の中での承認がやはり必要なのですね。私は年寄りなので、バーチャルな世界は二の次だから、ネットだけでは孤立していると思うのだと思っていたのです。所属する場所がないのはキツイことです。私は今の職を失えば、清掃か介護の仕事にありつけるかどうかという立場ですが、あえて言えば、「正社員」を失くし、新しい雇用形態を全体で考えるべきではないでしょうか。「希望は、戦争」しかないでしょうか。

    0
    2011年07月17日
  • 「生きづらさ」について~貧困、アイデンティティ、ナショナリズム~

    Posted by ブクログ

    「行きづらさ」について書かれている。
    この本では、精神的な「生きづらさ」と社会的・経済的な「行きづらさ」が渾然一体であるとして語られている。
    そうやって押し付けられるダブルの「行きづらさ」。
    どうにかしたいものです。



    興味深い箇所。

    P9 L4〜L5
    (萱野稔人)「おそらく精神的な「行きづらさ」と社会的・経済的な「生きづらさ」って、どこかで重なってるんですよね。」

    P10
    空気を読んで自殺する

    P13
    空気を読むことの重圧

    P14 L5後半〜P15 L5
    (萱野稔人)「生きていくうえで、空気を読む必要がものすごくあるわけです。人間関係のなかで要求されることのレベルがとても高い。
     いまの社会では、場の空気を読んで、相手の感情や行動を先回りして、互いにコンフリクトがけっしてあらわれないようにふつまえっていう要請がすごくあるじゃないですか。そうしないと、自分のことをまわりから認めてもらえないし、自分の居場所もつくれない。そういうハードルの高い人間関係のかたちがあるから、一度それにつまずいてしまうとなかなか立ち直れない。つまり、コミュニケーションのあり方が行きづらさのもともとの原因にある。
     コミュニケーションのなかで要求されるスキルや繊細さって、時代のなかでどんどん高度になっているんですよね。だから勝ち組の年長者は、いまの行きづらさのリアリティがまったくわからなかったりする。いまでは小学生でさえ、相手の期待や場の空気を壊さないようにするにはどうふるまったらいいかを、すごく考えています。でも、要求されるレベルが高いから、それがちょってでも狂うと―たとえば友達の機嫌をそこねてちょっとでも無視されたりすると―学校へ行けなくなる。そして、一度不登校になると、コミュニケーションのハードルが高いから復帰がすごく難しい。引きこもりになりやすいんです。」

    P36 L8〜P37 L2
    他者からの承認
    (萱野稔人)「空気を読んで、まわりに過剰に同調するというコミュニケーションのあり方って、いいかえるなら、それだけ人びとが他者との関係に依存しないと自分を維持できないってことをあらわしていますよね。他者から否定されたら自分の存在を支えられなくなるからこそ、空気を読んで、まわりに自分の存在を受け入れてもらおうとするわけです。自分の存在が他者からの承認に依存している度合いがとても高い。他者とのあいだにズレやコンフリクトが生まれて、他者からうっとうしがられたり見切られたりすることを極度に恐れて、無理にでも他者に同調してしまうんです。」

    P37 L6〜L14
    (萱野稔人)「やっぱり、人から認められることが、自分の存在価値を証明する一番の回路だと思いますよ。もともと人間って、自分の存在価値を自分では証明できないから、他者にそれを認めてもらうしかないんです。どうしても他者からの承認を求めてしまうんですよ。
     ただ、どれくらい他者からの承認を必要とするかという度合いは、人によっても時代によっても違ってきます。おそらく、高いコミュニケーション能力が要求されるいまの社会って、その度合いが強い社会なんでしょう。そうした社会では、他者とのコミュニケーションのなかでそのつど自分の能力や価値を認めてもらわないといけないという圧力がものすごくあって、そうした社会の圧力にあわせて、個人のほうも「自分の価値を証明しなきゃいけない」、「他者に認められないといけない」っていう衝動に強く駆られてしまうんです。」

    P39 L3〜L14
    (萱野稔人)「いまニートの話がでましたが、こうして見てくると、精神的な「行きづらさ」のなかに、すでに社会的な「行きづらさ」の要素が一通りあることがわかります。
     たとえば、貧困や不安定労働における「行きづらさ」って、たんにお金がないから行きづらい、ということだけにはとどまりませんよね。そこには、社会からまともに扱われないとか、居場所がないといった行きづらさも含まれています。そういった生きづらさの原型は。すでに精神的な生きづらさのなかに見いだされるものです。
     もともと、要求されるコミュニケーション能力がどんどん高くなり、他者からの承認を得るためのハードルもどんどん高くなるなかで、多くの人が生きづらさを抱えるという状況があって、さらにそのうえで、ある時期からいきなり就職が厳しくなり、労働条件も厳しくなっていったということでしょう。それによって「行きづらさ」が、もっと社会的な問題まで広がってきたわけです。」

    P65 L5〜L7
    (萱野稔人)「おそらく左翼の陥りがちな誤りはそのへんにありますよね。左翼はどうしても「こっちが正しいんだ」という態度で、相手のいうことを否定し、説得することに向かってしまいがちですから。で、相手が直面している実存的な問題やリアリティを見落としてしまう。」

    P85 L5〜P86 L14
    フリーター、アイデンティティ、承認―なぜアカデミズムはフリーターの問題に対応できないか
    (萱野稔人)「フリーターこそ実は自立させられていると言う話は、本当にそうだと思います。
     ここで「所属」の問題をもう少し考えてみたいのですが、「所属」というのは、一方で、いざというときに頼りになって生活を保障してくれるものであるのと同時に、他方で、「私はここに所属している」というかたちでアイデンティティを保障するものでもあると思うんですよ。
     たとえばフリーターは、どこにも所属していないアルバイターとして、社会的には何者でもありません。これに対し、学生のアルバイトなら、大学という所属する場所があるわけですよね。だから少なくとも社会的には何者かとして認知される。「フリー」の人間はそれがありません。もちろん有名人なら、どこに所属していなくても自分の名前だけは社会的に認知してもらえますが、しかし、普通の人にはそれは無理です。実際、有名人だって、自分の名前が知られていないところでは、「日本人」だとか、職業だとか、どこどこの会社(組織)の人間だとか、役職とか、そういうところで認知されるほかありません。要するに、所属というのは、物質的なレベルにおける社会の保障と、精神的なレベルにおけるアイデンティティの保障の、両方にかかわっているのです。
     僕の属しているアカデミックな思想の世界では、これまでずっと「所属がないことはいいことだ」といわれてきました。「あらゆる所属をふりはらって、所属先のさまざまなしがらみとか、共同体的な縛りから逃れるのが自由なんだ」、と。ラディカルぶりたい研究者ほど、そういうことを得意げにいっていたわけです。でも、自分は大学の研究者として確固とした所属先をもっているのに、口先では「所属やアイデンティティをふりはらえ」なんていうのは、ちょっとおかしいですよね。実際、彼らはいまの流動化した社会の状況やフリーターの問題にはぜんぜん対応できていません。」

    P90 L5〜L8
    (萱野稔人)「「おまえなんていてもいなくても同じ」という立場におかれるのは、ひじょうにつらいことです。人は誰でも自分の存在価値を認めてもらいたいわけですから。「おまえじゃないとダメだ」とか「おまえのおかげだ」って誰でもいってほしいものですよね。自分が存在している価値なんてないんじゃないかという状況に人間は耐えられません。」

    P104 L4〜P108 L9
    (萱野稔人)「・・・・・。雨宮さんは、最初に左翼の集会へいったものの、ここは自分のくるところではないと思って、右にいった。しかしその後「プレカリアート」という言葉に出会って、フリーターの労働運動や反貧困の運動にどんどんコミットするようになった。このように、左右両方の世界に身をおいた人間から見ると、右と左はどう違うんですか?」
    (雨宮処凛)「「ミニスカ右翼からゴスロリ左翼へ」とよくいわれるんですが(笑)、自分としてはあまり変わっていません。『右翼と左翼はどうちがう?」という本にも書きましたが、右翼と左翼の人たち何人かにお話を聞いた結果、違いは、憲法と天皇しかないように思いました。その二つ以外は、ものすごく入り組んでいる。その団体によってまったく違うし、極左と極右が同じことをいってたりする。憲法と東大以外で違いを見つけられませんでした。
     あとはファッションセンスの違いでしょうか(笑)。右翼はベルサーチとかが好きで、左翼はラフなというか、貧乏くさい格好していますよね(笑)。だから、憲法、天皇、あとちょっと服も違うみたいな。・・・・・」

    P163 L9〜L12
    (萱野稔人)「つねにシノギを削り、そのつどのコミュニケーションをつうじて自分の能力や価値を認めさせる、というのが、いまの人間関係の基礎になっているんですよね。なかなか安住できる人間関係がない。」
    (雨宮処凛)「やはり最悪の出会い方しかできないのが、行きづらさの根本問題だと思いますね。」

    P165 L9〜L12
    (萱野稔人)「リストカットをしている子に話を聞くと、やっぱり自分を責めているんですよね。自分を責めて、否定して、その結果として自傷行為に走る。たとえば自分への罰としてリストカットをして、罪滅ぼしするという子がいました。自分の手首から流れる血が見ていると、罪悪感が消え、心が安らぐ、と。」

    P177
    メンヘラーが労働運動で自己を回復する

    P180 L11〜P183 L6
    自己を肯定する二つの宣言

    0
    2009年10月04日
  • 生き地獄天国 ――雨宮処凛自伝

    Posted by ブクログ

    初めて彼女を知った時、とても衝撃を受けたのを覚えている
    リストカットに追っかけ自殺未遂にバンド結成
    はたまた北朝鮮やらでもデモやら映画やら。
    読んでいて「ああ、私だけじゃないのね」ってとっても安心した。
    多分、世間で言う普通の人間には全くもって理解しがたい内容だろうが
    ショッキングな文章に私はとてつもない安らぎを感じたのは事実。
    生きにくいこの世の中に一人ぼっちなんかじゃないんだと
    世界のどこかで私と同じ思いをしているダメ人間が沢山なんだと万歳気分で明るくなれる
    これは同じ仲間以外に、私は普通ですと言い切る幸せな人達にも読んで欲しい。
    たぶん鼻で笑われるだろうが(笑

    0
    2009年10月04日
  • ともだち刑

    Posted by ブクログ

     雨宮処凛の本を初めて読んだ。
     著者の実体験を基にした女子中学生のいじめ現場が書かれている。
     「これは、今の日本を包み込む空気そのもの」と解説で斎藤孝氏が言っているように、ただの女子中学生の話じゃなくて、自分にもリンクさせて読んでしまった。
     
     組織内で誰か一人がそういった対象になるのは、構造上よくあることだよなと思う一方で、いじめられないように根回しして、話を合わせて、機嫌取りに力を注ぐんじゃなくて、自分自身の向上心に力を注いだらいいんじゃないかな。とニーチェの本を読んだ後に思ってしまった。

     組織って面倒臭いな。。

    ■初めて言葉がロックされるその感触に、私は笑いながら戸惑っていた
    ■人が存在するためには、自分以外の承認が絶対的に必要で、それがないなら存在していないのとどう違うのだろう
    ■蝕んで蝕んで、そしてその熱いかたまりは今も私の中で燻り続けている

    フレーズとか情景描写とか共感できるもの多数。☆五つ。

     雄一

    0
    2009年10月04日