雨宮処凛のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
見えにくく隠されている問題点を具体的に引き出し、わかりやすい。
人間の社会的支えである経済性あるいは精神性の貧困状態を現象面で具体的にとらえ、てその構造の矛盾を指摘している。
貧困の詳細を社会(政治・行政・司法・企業・)と個人のギャップから見つめて実名で開示していることが、わかりやすい内容にしているのだろう。
しかしその反面ドップリと入り込んでいる文体には、一般に通じにくい単語が多く、読者を狭くしているようにも思える。
プレカリアート・ネオリベ・ガテン系・・・などなど。
コミュニケーションなど、対談している二人の中でさえ単語の意味がずれているように思えるものもある。
賃金の格差や最低賃金の意味についてなど、現象面だけで結論付けることなく、もう一歩踏み込んで矛盾の根源に迫ってほしかった。
小手先の解決ではなく一歩一歩確信を得ながら生きて行くには、本質をとらえた上で手順を踏まえることが大事なように思える。
例えば、物価と賃金は社会の両輪なのだから、最低賃金が生活可能賃金でなければその意味を失うということを掘り下げて欲しい。
更に、社会が責任転嫁している個人責任についても、企業がつぶれるのは別の浪費原因があるからに他ならないということを示して欲しい。
昔は個人経営・自営業が社会の多くの部分を支え、社会はその自営業の流れで成り立ち政治はその流を円滑にすることに力を注いできた。
しかし企業が肥大化し、数の暴力で社会の前面に出てしまった現在は、まるで独裁のように横暴になり、基本であるはずの個人が運営する自営業とそれに順ずる中小企業を使い捨ての奴隷化と見下し、政治と大型企業が結託することで脅かしている。
こうした支配体制は社会の目的を見失って、共食いの如くに自分の足を食べようとしている結果の現れである。
社会と個人の関係をまともに戻すには、金の卵を産む鶏を殺してしまう童話を思い出して、欲張った社会が目先の利益に我を忘れている現状の矛盾に気付く必要がある。
ブッシュと共に政治に組した小泉純一郎とそれをバックアップした竹中平蔵たちが推し進めた構造改革は、我欲を達成するための詐欺的手腕であって、社会の底辺を救済する自営組織である暴走族などの共同体の相互扶助までも突き壊した。
生きやすい社会というのは左翼でもなく右翼でもなく、生活に根ざした家族を単位にして成り立つ。
けして数のリンチ的責任不在や物量のベニスの商人的価値観や知識の机上の論理的暴力で成り立つものではない。 -
Posted by ブクログ
いやーだいぶ落ちたよ。
プレカリアートとは、「不安定な」(英: precarious、伊: precario)と「労働者階級」(独: Proletariat、伊: proletariato)を組み合わせた語で、1990年代以後に急増した不安定な雇用・労働状況における非正規雇用者および失業者の総体。
プレカリアートと呼ばれる人達の叫び。叫びというか日常。
彼らの日常は私たちにとって脅威だよ。
人間の幸せってなんだっけ。働くこと、生きること、日々喜びを感じること。
根本が揺り動かされてしまうよ、この本で。
この本を読んで取るべきアクションは今の環境やポジションを守る姿勢になることじゃない。
知ること、情報として事実として訴えることが、彼らの生活を変える可能性があるんだよ。
だから、私もしっかりと事実を知る。事実とは言えないかもしれないけど、社会をそうやって相対的に俯瞰してみていくことが必要なんだと思う。
もっと、たくさんの人に読まれる本になりますように。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
いま多くの人が「生きづらさ」を感じている。
一九九八年以降、自殺者数は毎年三万人を超え、毎日のように練炭自殺や硫化水素自殺のニュースが報じられている。
鬱病など、心を病む人も増える一方だ。
これらの現象は、現代社会に特有の「生きづらさ」と無縁ではない。
その背景には、もちろん経済のグローバル化に伴う労働市場の流動化が生んだ、使い捨て労働や貧困、格差の問題もあるだろう。
他方で、そういう経済的な問題とは直接関係のない「純粋な生きづらさ」もあるだろう。
本書では、さまざまな「生きづらさ」の要因を解きほぐしながら、それを生き延びていくためのヒントを探っていく。
[ 目次 ]
第1章 「生きづらさ」はどこからくるのか?(「生きづらさ」と現代 空気を読んで自殺する ほか)
第2章 貧困とアイデンティティ(いろんな意味で状況が変わってきた 盛り上がるフリーターや反貧困の運動 ほか)
第3章 認められることの困難とナショナリズム(「希望は戦争」論争 格差とルサンチマン ほか)
第4章 「超不安定」時代を生き抜く(二〇〇八年インディーズ系メーデー ニートや引きこもりは労働問題 ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
事件・犯罪の背景には「社会の病」がある。
[ 目次 ]
第1章 「秋葉原無差別殺人事件」と派遣労働
第2章 十六分に一人が自殺。「自分自身からの排除」の背景
第3章 メンヘラーの逆襲!―九〇年代「アダルト・チルドレン現象」と、二十一世紀の「生存運動」
第4章 制度の貧困に利用される「家族」―北九州・餓死事件から見えてくるもの
第5章 私と同い年の死刑囚・造田博―九〇年代の永山則夫
第6章 子どもを餓死させた母と、自らが餓死した母
第7章 急速に進む「派遣切り」―「所持金ゼロ円」で逮捕される「難民」たち
第8章 民営化された戦争―イラクで「料理人」として働いた安田純平さん
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
最近の若者は根気がない、フリーター・ニートは甘えだという考えが違ったと思った。当事者にも至らぬ点があったのかもしれないが、一番の問題は社会構造なのだと痛感した。競争社会といわれているが、そもそもそのイスが少ない。大企業だけが利益を出す(そこで働く個々人もノルマに追われて余裕のない状況だと思うが・・・・)現状はとても危険だと思う。過労死予備軍だといわれている正社員、社会からドロップアウトして貧困にあえぐだけでなく非難の的になるフリーター・ニート。日本は今後どうなってしまうのだろうか・・・・・・。
経済大国という肩書きをすててでも、もっとスローペースな社会になってしまったほうがいいのではないかとも感じてしまうほどの惨状だと思う。 -
Posted by ブクログ
今まで雨宮処凛の本はノンフィクションしか読んだことがなかったけど、小説でも面白いものを書いていることが分かった。
普段平板化している感情に深く響くものがある。笑ってしまう場面も多い。
読者を笑わすセンスは<1>が一番ひかり、<3>は笑う所は少なく、悲劇的な事態が多い。
異性の登場人物と主人公がセックスする場合が田口ランディの作品並みに多い。そういえば田口ランディの作品は同性の友達が物語の主要人物として登場する事が少ないように思った。この雨宮処凛の作品は同性の友達が主要人物として頻繁に登場する。
受験勉強は意味のない暗記テストで高得点を取る為の忍耐勝負であり、大学受験勉強の価値を認めず大学生を馬鹿にしている記述がいくつかあった。
夢を追いかけてヴィジュアル系のバンドマンとして活動する男を強く肯定し、その男たちとセックスする事で自分をパンピーとは違う特別な存在だと錯覚するという記述もいくつかあるが、バンドマンとして夢破れた者などの現実もわずかに書かれている。
キャバクラ嬢になる事は許しても風俗嬢になって体を売ったりする事は否定する記述もある。
大学を出てなくてV系ファンでキャバクラ嬢も経験した雨宮処凛本人の価値観でもあるのだろうか。 -
Posted by ブクログ
雨宮処凛の主張は明快である。その明快さの所以は、きっと(いや、間違いなく)自分が苦しみ、体験してきたことから生み出されている。だから読み手の心に届く。
この日本で「餓死」する人が少なからず居る、という事実に目を逸らしてはいけない。私たちが学校で習った「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」なんてちっとも守られていないのは、あの「年越し派遣村」ではっきりと目に見える形で報道されたはずだ。
行き過ぎた資本主義は、「会社を守るため」という御旗の下に、多くの人々を犠牲にしている。と、声高に主張すると必ず「会社がなくなると困るのはあなたたちでしょ」となる。そのような単純なモデルにならないよう、企業と労働者が築き上げてきたのが、近代から現代にかけての労使関係ではなかったのか?
バブル崩壊以降、「恥の文化」を持つこの国の人々は、浮かれていたツケを払わんとするあまり、「自己責任」とばかりに安易に積み上げてきたものを手放してしまった。そのことを理解し、軌道修正することを、この本は読み手に強く求めている。