【感想・ネタバレ】生きさせろ! 難民化する若者たちのレビュー

あらすじ

フリーター、パート、派遣、請負......不安定化する若者たちの労働現場。そのナマの姿を、自身も長年フリーターとしてサヴァイブしてきた著者が取材した渾身のルポルタージュ。この国の生きづらさの根源を「働くこと」から解き明かす宣戦布告の書!!

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自己責任の名のもとに私たちを使い捨てる社会に、企業に、反撃を開始する!この国の生きづらさの根源を「働くこと」から解き明かす宣戦布告の書。 フリーター、パート、派遣、請負・・・・不安定化する若者たちの労働現場。そのナマの姿を、自身も長年フリーターとしてサバイブしてきた著者が取材した渾身のルポルタージュ。この国の生きづらさの根源を「働くこと」から解き明かす宣戦布告の書!! 闘いのテーマは、ただたんに「生存」である。生きさせろ、ということである。生きていけるだけの金をよこせ。メシを食わせろ。人を馬鹿にした働かせ方をするな。俺は人間だ。スローガンはたったこれだけだ。生存権を二一世紀になってから求めなくてはいけないなんてあまりにも絶望的だが、だからこそ、この闘いは可能性に満ちている。「生きさせろ!」という言葉ほどに強い言葉を、私はほかに知らないからだ。
(「はじめに」より) 自らのフリーター時代の経験やフリーターの実態についてのインタビューやNPO法人もやいの湯浅誠さんのインタビューや偽装請負、ホワイトカラーディセンプションの問題や不安定化した原因についての考察、プレカリアート運動など、低賃金で使い捨て利益を上げながら、人々を追い詰める企業や言説、政治に対して反撃するための情報が満載の読む武器としての優れたルポルタージュです。

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2022年12月17日

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約10年前の本。
10年前の人物たちは皆2~30代だった(命を絶たされた人もいるが)。今はどうしているんだろう。大企業と派遣会社、そして政府の壮絶な貧困生産事業に読むのが辛くなり、これがノンフィクションの日本であることに暗くなった。彼らのような世代の人々が今40、50代になる。

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2022年10月31日

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“日本の場合、求職活動しないと失業者としてカウントされない。失業者数のカウントの世界基準だったらもっと高くなるという話です。(略)まあ、そういうふうに失業者がたくさんいるとわかると政治的にまずいので、できるかぎり低く数字を出そうとするのは当然です”(251ページ) と書いてあったけど、世界基準でカウントしたらどのくらいなのか気になる。
日本って新卒一括採用とかもあるのに就職氷河期もあったし引きこもりも多いしネットカフェ難民とかも問題になってたし、大丈夫じゃないのに求職活動していない滑落者が多いような(増えた?)感じがするよね。

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2019年09月15日

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市場原理やいきすぎた利益追求は弱者を追い詰める。自己責任論で断罪している人を見ると悲しくなる。構造的な問題だ。そういうことをわかっていないのに、自分の力で今の自分があると考える人を見るとアホだなと思う。

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2019年08月19日

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今から9年前に発行され、後に文庫化(ちくま文庫)されたが、今の雇用情勢は当時より悪化している。本書では「労基署は何もやってくれない」と訴えているが、今や労基署の窓口で失業者に対応する職員も、そのほとんどが「非正規社員」である。安倍政権は発足以来、国会で「自民党政権になって以来、雇用情勢は回復している」と強調するが、雇用が増えているのは「非正規社員」であり「正社員」は減少傾向が止まらない。工場の多くが非正規社員になったことで、日本企業の技術力は完全に失われた。
とある投資家が「日刊ゲンダイ」に執筆しているコラムで
「スーパーの『ダイエー』が凋落したのは、人件費を削ったからだ。パート社員が売り場の主力を占めていたのに、彼ら彼女らの勤務時間を削ったために、彼らは一斉に退職した。結果として売り場が荒れ、それが業績低迷につながった」
と書いていたが、その通りだと思う。正当な仕事に見合う真っ当な評価を下す経営者が増加しない限り、日本経済の復活はありえないと思うのは、私だけではあるまい。

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2016年05月14日

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ネタバレ

本書で度々指摘されているように、フリーターやワーキング・プア等の若年労働力を巡る問題を複雑にしているのは、彼らのプライドに関わるデリケートな部分である。本書のタイトルのように「生きさせろ!」とストレートに叫ぶことを彼らの多くは忌避するし、むしろそう叫ぶものを侮蔑することで自らの優位性を確認する。「社会のせいにしたくない」という台詞は、この世代が大人になる過程で刷り込まれた「中流的」プライドが吐かせるギリギリのつぶやきなのだろう。
そのような彼ら心のタガをさらに固めるものとして、自己責任論や「犠牲の累進性」(典型例として曽野綾子「貧困の光景」を挙げよう)を強調する言説が存在する。「第三世界の貧困」を「餓死するものがいない」日本の現実と対比させることで、彼ら・彼女らはアフリカの不幸を嘆いているのではない。日本の貧困を糊塗し、追い込まれている人たちをさらに追い詰めているのだ。フリーターになったのは自己責任。三食欠かすわけでもなく何を甘えているのか、と。
しかし、一人一人がフリーターにならない努力をしていれば、世の中にフリーターという存在はいなかったのか?そうではない。初めからそのような労働力の存在が期待されていた中で、たまたま彼らがその役割であっただけなのだ。つまり、彼らでなくてもまた別の「誰か」が彼の代わりにフリーターをしていただけの話である。そんな当たり前の事実を本書を通して多くの人に共有してほしい。

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2013年12月22日

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2007年3月発行。
若者がおかれた現状の悲惨さを具体的なインタビューで構成。
不安定な層が4割というのは個人の責任ではなく、社会問題というのは全くその通り。
派遣といえども、明日から来なくていいとだけ言って首を切れる物ではないこと。
労働法などを知らなすぎて不正をされる場合もあるので、そういう知識ももっと広めるべきですね。
一人では立ち向かえない場合、一人でも入れる労働組合や、相談に乗って貰える組織があることなど書かれています。知って下さい。
この不況で相談の人手も足りないのではと心配だが…

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2009年10月07日

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最低限の生存権すら切り崩されていく現代ニッポン。
社会的な連帯から切り離され、バラバラにされた若者を「生きさせろ!」の言葉でつないだ、若い者の自由と生存を求める運動の原点になった著作。
真正面から生存する自由を主張する「生きさせろ!」という言葉は、何よりも強く、わかりやすい。

大言壮語でもなく、大上段からの説教でもない、かつて生きづらさを抱えてリストカット、フリーター生活、右翼活動家として生きてきた彼女だからこそ、若者に寄り添い、新しい希望を描く言葉を生みだせたのだと思う。

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2009年10月04日

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企業に使い捨ての激安労働力として利用されるプレカリアートの反撃。「プレカリアート―デジタル日雇い世代の不安な生き方」で登場する人より深刻な問題を抱えた人が多く登場する。笑える所は松本哉の「貧乏人大反乱集団」「高円寺ニート組合」「素人の乱」のところぐらい。
安定した正社員になれそうにない人は特に読む事を強くお薦めする。
日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞受賞。

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2012年08月13日

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この若者の問題、すっごく興味があります。
マンガ喫茶で寝て、日雇いアルバイトをして暮らしている若者たち。
彼らの生活水準を上げるためには、どうすればいいのか。
彼らだけじゃ、どうにもならない。
こういう人がいるという状況を、だんだんあたり前と思って、見捨てることだけは絶対にいけないと思う。

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2009年10月04日

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"雨宮処凜さんの本を初めて読んだ。ワーキング・プアといわれている現状を取材しまとめたのが本書。派遣、請負で働く若者達の現実を知ることができる。ここにかかれていることが全てではないにしても、読んでいて本当にこれが現実に起きていることなのかと愕然とする。
地道に働くことで生活ができる社会にしていかないと、この国は崩壊していくという危機感とともに、何かせずにはいられなくなる。
最低の賃金で働き、雇用調整があれば真っ先に解雇される。住む場所も追い出され、ネットカフェ難民になっていく仕組みがよくわかる。
こうした若者を支援する人たちも登場している。応援したくなるところもあるが、そうでない団体も登場する。社会に訴えかけるには、多くの人に共感を得ていくべきだと思っている。ただ、「俺たちは生活できない!」と叫んで、暴動や犯罪をけしかけているような人たちには賛同できない。
こうした若者達は半ばあきらめの心境で日々何とか暮らしているのが現状なのだろう。こうした若者達の声に政治家こそ声を傾けるべきだ。若者達も、政治に関心をもち投票していくことが世の中の仕組みを変えていく1歩ということを再認識してほしいと思った。
今日の新聞にトヨタ自動車の決算発表が記事になっていた。世界中に自動車を販売して20兆円の売り上げがある中、本業での利益 営業利益が4610億円の赤字。20兆円の売り上げに貢献した労働者にしっかり給料として支払われるような仕組みとして機能しなかったということになる。もちろん、実際は1年単位で給料を払いきったりしないので、給料がもらえないことはないけど、短期的に単純にみたらそういうことになる。
働くことで、人間らしい生活をおくることができるそんな社会を作っていかないといけない。そんなことを思ってしまった。こうした社会を作っていくには、年寄りではなく若者にも参加してもらわないといけない。社会全体を俯瞰して考えるのは難しいことだし、若いころは自分のことで精いっぱいだったりするから関心を持ってもらうのも難しいことなのでしょうがね。ただ、読書をしている人たちの中に必ずリーダーとなる若者がでてくると確信している。一緒に世界を変えていこう!という若者がきっといる。"

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2018年10月17日

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不安定労働、将来のなさなど、身近な問題で初めは暗く感じるかもしれませんが、第六章「抵抗する人々」を読んで、抵抗のための考え方に触れてみると心強くなってくるかもしれません。

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2010年10月24日

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最近の若者は根気がない、フリーター・ニートは甘えだという考えが違ったと思った。当事者にも至らぬ点があったのかもしれないが、一番の問題は社会構造なのだと痛感した。競争社会といわれているが、そもそもそのイスが少ない。大企業だけが利益を出す(そこで働く個々人もノルマに追われて余裕のない状況だと思うが・・・・)現状はとても危険だと思う。過労死予備軍だといわれている正社員、社会からドロップアウトして貧困にあえぐだけでなく非難の的になるフリーター・ニート。日本は今後どうなってしまうのだろうか・・・・・・。

経済大国という肩書きをすててでも、もっとスローペースな社会になってしまったほうがいいのではないかとも感じてしまうほどの惨状だと思う。

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2010年07月16日

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文章に引っかかったのかなんだかよくわからないが少し読みづらかったのだけれど、読み終わった。具体例が豊富に出てくるのでよくわかる。大企業がどんな体制を強いているのかとか、クリーンなイメージの裏でなにをしているのかなど、わかりやすくてよかった。特に、クリーンルーム(無菌室みたいな部屋)での作業を派遣社員がやるという話に衝撃を受けた。危険な仕事は、専門の知識を持つものがやるべきだし、事前の安全確認を万全に行わなければならないのが倫理・道徳である。普通の人が普通に考えること(だと私が思ってるだけなのか?)と企業倫理や経済効率優先の結果生み出される理論との大幅なズレが問題である。

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2011年09月03日

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『絶望に効くクスリ』でその存在を知って以来,気になっていた雨宮処凛。デビュー作の自伝にもにも興味があるが,とりあえず今の自分のテーマであるワーキングプアを扱ったこの本から。花沢健吾のカバーイラストもテーマにマッチした雰囲気で良い。いざ文章を読んでみると,結構まとも。すこしホッとしました。どうしても色物的なイメージがあったので。「生きづらさ」,「不安定」,「自己責任」という視点から,今の日本の若者が置かれた現状を総覧する。山田昌弘などの学者と比べて(比べるのが間違いだろうが),バランスは悪いけど,格差問題に対するスタンスとしては一方の極だろうと思う。ワーキングプアの若者が,貧困を自分のせいだと考えがちであるとの指摘は,なるほどと思った。自分にもその傾向はあるからね。やっぱり「自分は社会の犠牲者だ!」って言いにくい空気がありますよね。自己否定を自己成長に繋げることができなければ,待っているのは自殺でしかない。自分が今までその手段をとらなかったのは,まだ逃げ道があったから。もし今の状況が続くとすれば,どうなるかは分からない。著者が期待を寄せるプレカリアート運動が,社会を変える流れを作り出すとは,正直思えないけれど,黙って自分を責め続けるよりはましなのかもしれない。それも現実逃避なのかもしれないけれど。本文の最後に著者は問う。「社会から必要とされたから増えたのに,なってみると説教される立場なんて,フリーター以外に存在するだろうか?」本人は反語のつもりだろうが,僕ならイエスと答える。それはまさに,新司法試験の下の司法修習生だ,と。

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2009年10月07日

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同世代の書き手としては最も現在最も信頼と共感を寄せることができる雨宮氏.論に少々強引さを感じるところもあるが,アメリカ追従の新自由主義的政策がもたらした「格差社会」をインタビューを中心にしたルポ形式で鋭く抉っている.

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

裏表紙にある、携帯メールを見て驚いた。こんな内容で明日の仕事が指示されるのか。そりゃ希望もなくなるよな。こんな働かせ方しかできない社会は間違っていると思う。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

賛否両論はあるようだけど、結構楽しめた。フリーターの生活の実態が見えた(いろいろな種類のフリーターが居るにしても)。とりあえず、俺は自宅警備でもしよう。ちなみにぼくは雨宮さんがこの本で前より好きになりました。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

我々は反撃を開始する。
若者を低賃金で使い捨て、それによって利益を上げながら若者をバッシングするすべての者に対して。

我々は反撃を開始する。
「自己責任」のなの下に人々を追い詰める言説に対して。

我々は反撃を開始する。
経済至上主義、市場原理主義の下、自己に投資し、能力開発し、熾烈な生存競争に勝ち抜いて勝ち抜いて勝ち抜いて、やっと「生き残る」程度の自由しか与えられていないことに対して。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

興味があったので読みました。
何で私たちがこんな目にあわないといけないんだという叫びが詰まった文。
しかし私は全面的に支持は出来ない。だってさ、どうしようもない人も居るだろうけど。もっと頑張れよと思うエピソードもあるからです。
親が祖父が貧乏だから今不幸なんだ。。って何考えてんだよ努力しろよ。自分で頑張って抜け出せよ。家だって貧乏だわ。国立大学にいってたせいか学生ながら親元に仕送りをするような子もいたんだ。そういうのを見てるので私は彼らは甘えていると思ってしまった。

自己責任という言葉の元で不幸になると書いてあるけど最低限しなきゃいけない事、するべきではない事を考えないといけない。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

ワーキングプアと呼ばれる環境について、細かな取材をもとに書かれた、ドキュメンタリー調の内容。
労働者をアジテートするような、扇動的な文章や表現がやたらと多いので、その点でかえって興醒めしてしまうところもあるのだけれど、それを除いて考えても、今の労働環境の過酷さはよく伝わってくる。

派遣や請負という勤務形態で働く労働者は、企業にとってはかなり便利な存在だけれど、当人にとっては何の保証も権利も与えられない、使い捨て労働力になってしまっている。
では、正社員なら、派遣や請負で仕事をしている人よりもマシかというと、それが全然そうでもない場合もある。
Y電器やニコンをモデルケースとして解説した、過労死に至るまでの経過を読むと、残業代もつかないまま長時間働かされ続けるという、正社員には正社員なりの過酷な状況があるということがわかる。

「自己責任だろう」とか「そんなにツラかったら辞めればいいだろう」という意見もあるだろうけれど、こんなヒドいところで働いてたら、それもムリだろう、と思う。
劣悪な就労環境におかれると、身体とあわせて精神にも失調をおこすようになる。新興宗教の洗脳と一緒で、まず判断力が低下させられているから、状況を改善しようというような心の余裕も、時間の余裕も与えられることはない。

この本を読んで思うのは、「知らない」ということは、信じられないほどの不公平な状況に追いやられたとしても、そうとは知らずに、それに抗うことも出来ない可能性が高い、ということだった。
この、「知らない」人をとことんまで利用して甘い汁を吸いつくす、人材派遣会社というシステムが持つズル賢さは、童話に出てくるキツネなんか目じゃない。どんな時代にも、構造の歪みを巧妙に利用して儲ける人がいる。その仕組みに乗せられないようにするには、やはり「知る」ことしかないのだと思った。

闘いのテーマは、ただたんに「生存」である。生きさせろ、ということである。生きていけるだけの金をよこせ。メシを食わせろ。人を馬鹿にした働かせ方をするな。俺は人間だ。
スローガンはたったこれだけだ。生存権を21世紀になってから求めなくてはいけないなんてあまりにも絶望的だが、だからこそ、この闘いは可能性に満ちている。「生きさせろ!」という言葉ほどに強い言葉を、私はほかに知らないからだ。(p.10)

本当に、こうして書いてみると不安定な立場で働く若者たちは、企業にとってはあまりにもおいしすぎる存在ではないか。低賃金で社会保険料までむしりとれるうえ、県から助成金をひっぱる道具にもなるのだ。(p.50)

貧乏やっちゃうと、安くても働きたいと思う。たとえば、今日はお茶漬けしか食えなかった。明日は牛丼食いたい。だったら本来だったら1000円もらわないと割が合わない仕事でも、700円、800円でやりますって。そういうのを社会がすごく利用している。(p.133)

3月7日、母親は、昨日が自分の誕生日だったので「昨日50歳になったよー」と勇士さんの留守電に入れた。しかし、相変わらず勇士さんからの連絡はない。心配になった母親は3月10日、ネクスターに連絡。その日、アパートを訪れたネクスターの社員によって、首を吊って亡くなっている勇士さんが発見された。
部屋のホワイトボードには「無駄な時間を過ごした」と書かれていた。死亡推定日時は、3月5日とされた。母親が誕生日を知らせる留守電を入れたときには、すでに勇士さんは息絶えていたことになる。(p.166)

子どもが亡くなったときには、『ああ、もう怖いものはなくなった』と思いました。自分より先に子どもが、しかもあんなふうに腐敗した姿で亡くなっていると、それ以上怖くてつらいことは考えられなくなりました。しばらくは、人の笑い声を聞くと腹が立ちました。何がそんなに嬉しいのよと腹を立てながら、大粒の涙がぼろぼろ出てきて本当に困りました。夕方、買い物とかに行きますよね。夕方って人の顔がはっきりわからないのでシルエットが浮かぶ。そうすると、23歳の骨格がわかるんです。なぜかわかる。そうなるといつまでもそのシルエットの人物を目で追ってしまうので、苦しくなってくる。これは一生続くことなんです。(p.182)

ILO(国際労働機関)は間接雇用を禁止していますが、労務供給というのは、むかしはヤクザの仕事でもあったわけです。(p.242)

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2020年07月15日

Posted by ブクログ

某渋谷先生がすすめてた本。

衝撃的。
まぁ、要するにフリーター難民とか名ばかり管理職とかがテーマ。
とりあえず、労働市場、ひどい。

絶望的な感じしちゃった。
もうちょっと解決策みたいなの講じてほしかったな。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

ネオリベラリズム(=ネオリベ)が推し進める策略による犠牲者の現状を取り上げる。「働かざるもの食うべからず」なんて言葉はネオリベの欺瞞。現実は働いても食えない、生きられない、逆に働くことで死んでしまう、死ぬために働いているような状況にある。
明らかに犠牲者であるプレカリアート(不安定さを強いられた人々)はしかし、ネオリベに仕組まれた巧妙な詐術によって自己責任論を内面化させている。ネオリベはさらにそこにつけこむ。私たちにとっては負の循環が、ネオリベにとっては願ったりのスパイラルなのだ(不安定にされている人々を殺し続ける限りいずれは破綻するけれど、今のところ)。自己責任論を内面化させられているプレカリアートはその循環を自ら積極的に回しているようなもの。ネオリベは何の手を下さなくてもみているだけで、思い通りに人々が動く。バカにされていると思わないだろうか。バカにしているのだ、私たちを、そして人間の生を。見くびられているのだ。怒れ、内にではなく外へ向けて。
喫緊の生きづらさ(あるいは「生きられない」こと)は制度や構造のせいである。その先にも個々人の生きづらさは絶対残る(P.268)。だから、制度で解決できることはさっさと解決しなくちゃいけない。その先の「人間としての」生きづらさに向き合うためにも。



リア王の中で一番気に入った科白は「リアのおっさん!リアのおっさん!」という道化の科白だったのですが、その道化に関連して、前回の読書会でめちゃくちゃな紹介に終わった河合隼雄の「影の現象学」にも、道化が言及してありました。それで、それによると、道化という人格は、王が自らを完全に光り輝く存在とするために、その影の部分を切り離すために作り出だれたそうです。古代の絶対的存在としての王はなんらの過ちも犯すはずはないし、罰せられることもないはずなんだけど、現実には天変地異などによって、国が被害を被ることもある。王をすべての物事の統治者としてみるならば、それは王の失敗としか考えられない。この矛盾を解くために王に代わって罰せられたり、失敗役をつとめたりするものとして道化の必要性が生まれた。そしてその絶対的な王に支配された王国の統一性は、それと矛盾する存在の切り離しを前提として保たれているんだけど、それはしばしば事実を犠牲とした規範性の維持によって成し遂げられる。王が規範と秩序をあらわすとき、道化はその規範で律しきれぬ新たな真実をそこにもたらし、価値の顚倒、や「統一」のために切り捨てられた物事の多様性を知らしめると河合隼雄は言うのですが、それが「生きさせろ」にもリンクするものがあるのではないかと思いました。
どういうところでかというと、社会学者入江さんの話のところです。ネオリベは中国や韓国、北朝鮮など敵を外に作って国内の「格差」から目をそらせるということをやってきた。ポストネオリベの段階に入った今も景気が上がり調子になってきたことの裏に何か問題が隠されている気がすると指摘しているところがあるのですが、つまりネオリベへの統一によって排除された平等や労働者、生存権等という犠牲にされた事実が今表出してきているのではないかと思いました。ネオリベが排除した事実を知るんだ!!ネオリベに騙されるな!!ネオリベの一面性に気付け、と言うように。
一方で、リア王においてさまざまな仕打ちを受けることから狂気になって狂気故に、リアは内面化されてべったりと自分と同化していた価値観に、疑惑を抱くようになったのだけれど、自己責任論を内面化している人たちにそれを自己と切り離して考えさせる契機になるのは一体なんなのだろうと思いながら、読みました。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

日々暮らす最低限の生活を保障しろという日雇いなどで暮らす若者の声が、「生きさせろ」という痛烈なメッセージでもって綴られています。普段の生活ではあまり意識しないですが、社会はどんどん変わりつつあるという事が実感出来ました。経済の成長が止まるとどのような事になるのか・・・
グローバル経済の波に飲まれて社会はさらにどう変わっていくのか・・・
注意深く時勢を見極めていかねばと思いました。

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2009年10月04日

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