あらすじ
フリーター、パート、派遣、請負......不安定化する若者たちの労働現場。そのナマの姿を、自身も長年フリーターとしてサヴァイブしてきた著者が取材した渾身のルポルタージュ。この国の生きづらさの根源を「働くこと」から解き明かす宣戦布告の書!!
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Posted by ブクログ
本書で度々指摘されているように、フリーターやワーキング・プア等の若年労働力を巡る問題を複雑にしているのは、彼らのプライドに関わるデリケートな部分である。本書のタイトルのように「生きさせろ!」とストレートに叫ぶことを彼らの多くは忌避するし、むしろそう叫ぶものを侮蔑することで自らの優位性を確認する。「社会のせいにしたくない」という台詞は、この世代が大人になる過程で刷り込まれた「中流的」プライドが吐かせるギリギリのつぶやきなのだろう。
そのような彼ら心のタガをさらに固めるものとして、自己責任論や「犠牲の累進性」(典型例として曽野綾子「貧困の光景」を挙げよう)を強調する言説が存在する。「第三世界の貧困」を「餓死するものがいない」日本の現実と対比させることで、彼ら・彼女らはアフリカの不幸を嘆いているのではない。日本の貧困を糊塗し、追い込まれている人たちをさらに追い詰めているのだ。フリーターになったのは自己責任。三食欠かすわけでもなく何を甘えているのか、と。
しかし、一人一人がフリーターにならない努力をしていれば、世の中にフリーターという存在はいなかったのか?そうではない。初めからそのような労働力の存在が期待されていた中で、たまたま彼らがその役割であっただけなのだ。つまり、彼らでなくてもまた別の「誰か」が彼の代わりにフリーターをしていただけの話である。そんな当たり前の事実を本書を通して多くの人に共有してほしい。