中村有希のレビュー一覧

  • 荊の城 上

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    あたしたちはみんな秘密を抱いていた。本物の秘密と企みを。

    サラ・ウォーターズ初体験です。

    第一部はある策略のために侍女として城に遣わされた娘の視点で話は進みます。城の暮らしに戸惑いながらも女主人と心を通わせ、策略の実現に葛藤する娘の心情が丁寧に描かれ読ませます。

    第一部の最後に切れ味の良いサプライズがあるのですが、第二部が第一部のお話を別の視点から語り直すだけになっており、求心力が弱まったのが残念に思いました。

    これでまだ上巻ですが、下巻はどのように話を引っ張っていくのか、気になります。

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    2020年07月24日
  • 半身

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    ネタバレ

    3+

    ゆっくりとゆっくりと毛糸玉で殴り続けておきながら、実は中に剃刀を仕込んでましたというような趣き。いやまあ何かあるのは匂わせているので通常驚かないのだが、毛糸玉殴りが長過ぎてうんざりさせられるのが効いていたか。

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    2020年04月22日
  • 夜愁 下

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    第二次大戦後の英国で生きる人々の人間関係の変遷を、1947年に始まり、1944年、1941年と、時間を遡るかたちで描いていく。この6年間位のあいだに小さな人間関係サークルの中が激動する。読み終わった時に、この形式で書かれたことにそんなに重要な意味というか意義があるのだろうかちょっと考えてしまった。美しい希望を持って始まったある出来事が短い時間であっという間に無意味な物にかわってしまう虚しさだろうか。

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    2019年06月29日
  • 荊の城 下

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    このミス海外編2005年版1位。サラ・ウォーターズは2004年版の半身に続けて2年連続1位ということで自分も2冊続けて読んでみた。2冊目で読みにくさに慣れたこともあって若干しんどいものの上巻はとても面白かった。第1部の最後は意外だったし、第2部で別人の視点から同じ場面を再現してくれて、新たな事実などで物語がよく理解できてグッドでした。ただ、前作もそうだったんだけど、この人の小説は拘束や虐待、逃避行の苦行の場面描写がやたら長くて読み続けるのに骨が折れるのですよ。第2部の後半や第3部のあたりがそんな感じで下巻は半分ぐらいしんどかった。全体としては、意外性あるし結末が読めなくワクワク感があって良いと

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    2019年01月22日
  • タラント氏の事件簿[完全版]

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    密室からの消失、呪い、幽霊、猟奇殺人、怪奇現象、安楽椅子探偵……。
    数話は神秘主義に走りすぎな嫌いもありますが、怪奇趣味と不可能犯罪の二本柱が印象的な短編集です。

    かなり一作一作のクオリティは高いし満足できる短編集だったんですが、反面、途中途中に覗いたガチな呪いとかアクシンデンタル過ぎるトリックが少し興醒めでした。

    偉そうに言ってますが、結構前に読んだので、詳細あんまり覚えてません!←
    以上です!!←←


    ◉古写本の呪い…密室から消えた本の謎。
    ◉現れる幽霊…鏡に映る幽霊と階段で背後に聞こえる足音の謎。
    ◉釘と鎮魂曲…殺害現場から消えた犯人の謎。
    ◉第四の拷問…乗ったら必ず死ぬモーターボ

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    2018年06月27日
  • タラント氏の事件簿[完全版]

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    2000年に新樹社から出ていた単行本に四編を追加収録した「完全版」。
    毎話、提示される謎も魅力的なんですがそれを鮮やかに解決してみせる謎の紳士タラントが所謂「話を聞いた時点で何でもお見通しですよ系」なので、私の中ではブラウン神父と近い印象でかっこいい。それ故、シリーズの最終話である「最後の取引」で説明のつかないオカルトの世界へ飛び込んでいく辺りが度肝を抜いて印象深いし凄いです。
    追加で収録された4篇も「邪悪な発明家」「消えたスター」と手堅い奴から「危険なタリスマン」という最後の取引から戻ってきたタラントが活躍するオカルト世界を踏まえた設定など、完全版ありがとう、って感じです。

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    2018年02月18日
  • 半身

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    ネタバレ

    「死をもちて赦されん」の後ろで見かけて。

    残念ながらだまされることはなかった。
    なんともいえないゴシック調と言うか、
    ヴィクトリア朝と言うかの雰囲気の盛り上げ方はとてもうまいと思うし、
    霊媒の女囚に魅かれていく様の描き方も上手だが、
    恋愛小説またはホラー小説で終わることはないと疑い続けていたので。

    なんの根拠もなく、
    実は亡くなった父の遺産をほとんどを相続していた主人公が、
    母親に命を狙われているかと思いこんでいたので、
    結末はそれほど衝撃的ではなかった。

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    2016年04月22日
  • 黄昏の彼女たち 下

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    上巻は...
    下巻はもろにサスペンス。一気に動く。
    流れとしては申し分ないけど、やっぱ上巻が...赤面。

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    2016年02月11日
  • エアーズ家の没落 上

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    起伏の多いストーリーでは無いが、描写が丁寧で読みやすい。読んで行くうちにだんだんと仄暗さが漂ってきて、続きを読まずにいられない。

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    2015年12月14日
  • 年寄り工場の秘密 老人たちの生活と推理

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    本のあとがきにも書いてあったけれど
    作者が生きているかどうかもわからなかったので
    新作が読めて、本当に嬉しい

    まだ、老人ホームに入居する年齢ではないけれど
    その年齢になったとしても
    今抱えている悩みと同じ悩みを抱えるのね

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    2014年10月05日
  • 半身

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    ネタバレ

    日記形式だけど主人公の心の描写が上手過ぎて、ねっとりとした感情が気持ち悪かった。もちろん同性愛云々ではなく。
    せっかくのトリックも、集中できずに驚くところまでいかず。

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    2014年10月01日
  • 半身

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    海外小説って苦手だなーという思いに拍車がかかった作品。
    読むのが正直しんどかった。
    女性が書く女性キャラって時に生々しすぎて反吐が出ます。

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    2014年08月22日
  • エアーズ家の没落 下

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     陰鬱になってしまう。だってタイトルからしてエアーズ家は没落することは約束されているんだもの。
     出てくる登場人物たちが美男美女ではなく、世間的な意味でのラブロマンスではないのに、どんんどんロマンスになるのは……なんでしょうね。見事としか言えない。

     読み終えるのが怖かったー。はい。

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    2014年08月13日
  • エアーズ家の没落 上

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    ネタバレ

    3+ 
    夜愁は未読だが、その前2作とはだいぶ趣が違う。
    前2作のようなどんでん返しがあるかと思いきや、そういったものはなく、人間ドラマが中心。娯楽的要素は少ない。不可解な事件も解決されるわけではない。
    が、やはりストーリーテラーとしては一級。

    今後はこういった人間ドラマ方向に向かっていくのかもしれないが、期待できる。

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    2014年07月24日
  • 夜愁 上

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    第二次世界大戦後のロンドンが舞台。精神病院の二階の窓から放心して外の様子を見ているケイとその周りの女性たちに何があったのか。時間を遡って、さらにまた遡って最後にケイが何故そのような状態にまでなったのか読者に感動という贈り物と共に最高の説得力で読後の満足感を与える。

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    2014年06月23日
  • 夜愁 上

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    ネタバレ

    初読みしたときは登場人物が多く、話が立ち代わり出てくるわりに関係が見えないので苛立つ。最初の章が終わりかけの頃に、なんとなく方向性が見えてくる。最初にレヴューなどで人間関係を掴んでから読まないと読みづらい。

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    2014年04月22日
  • 半身

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     え? この話はどっちに行くの? 何が起きるの? と読み進めるうちにだんだんと雰囲気に引き込まれていく。ドーズ嬢の魔性の美しさが恐ろしい。

     さんざん振り回されるのに、オチまで読み切ると「なるほど」と納得できてしまうところがすごい。あの時代の貴婦人らというのはすごいね。戦後パンティストッキングと女性は強くなったというけれど、ほんとだなぁ。

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    2013年06月15日
  • 半身

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    ネタバレ

    読み終わってひええと思わず呟く。
    描写に容赦がないなぁ。
    ヴィクトリア朝時代のおどろおどろしさもよく出てました。

    ダイアナ・ウィン・ジョーンズの「牢の中の貴婦人」を思い出しました。
    どちらも救いはないけれど、こちらの方がより深く沈み込むような…。

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    2013年05月11日
  • 夜愁 上

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    登場人物の関係がイマイチ掴めないまま、
    読み進めていく。

    同性愛の三角関係は、僕の理解力の範疇を超えている。

    1947年から始まった物語は、1944年に後ずさる。

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    2013年01月12日
  • 夜愁 下

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    レビューを書いていて、改めて感じる。
    何と読み終わるまでに3週間を要している。

    久し振りに難解な小説を読み終えた気分。

    戦争に翻弄される女性を中心に書かれているのだけど、
    主人公はケイなのか、ヴィヴなのか、それともダンカン?

    「何か面白くないよな」と思いつつ読み終えたのだが、
    読み終えた瞬間、もう一度最初から読み始めたくなる。

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    2013年01月12日