【感想・ネタバレ】黄昏の彼女たち 下のレビュー

あらすじ

リリアンがフランシスにした告白の衝撃は、ただでさえ緊張に満ちたふたりの仲をさらに大きく揺さぶった。リリアンの夫レナードに隠れての、先の見えない関係をいつまで続けられるのか。彼女たちをとりまくすべてがままならぬ状況で、ある夜、ついに悲劇は起きる。殺人という最悪の形で……。露見を恐れて嘘を重ねたことで、“犯人”は警察の捜査に怯えながら暮らすことに。ところが、事態は予想だにしなかった意外な展開を迎える……。1920年代を舞台に、時代に翻弄される女たちの姿を殺人事件の行方を通して描く、ウォーターズ文学の極み。『半身』『荊の城』の著者、瞠目の傑作ミステリ!/解説=大矢博子

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Posted by ブクログ

和訳 黄昏の彼女たち
ロンドン郊外。保守的な母親と静かに暮らしていくはずの女性と下宿人の若い夫婦。
女性は控えめで美しい妻の方に惹かれてゆく
期待どおりのハラハラドキドキ

全文はブログで
www.akapannotes.com

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2025年08月06日

Posted by ブクログ

上巻と下巻のこのテイストの違いといったら・・・!フランシスに感情移入しちゃって、早く読み進みたいんだけどいやちょっと待って先送りさせて、と読むのを躊躇したり。二人はこの先どうなるんだろう。誰にも言えない秘密を抱えて二人でひっそりと生きていくのかな。

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2017年05月12日

Posted by ブクログ

なぜ1920年代という時代を設定したのか、と考え続けながら読んだが、なるほど、上流階級なのに下宿人をおかねばやっていけなかったり、階級では下のはずの下宿人のほうが羽振りがよくお洒落や流行にも詳しかったり、帰還兵たちが浮かばれなかったり、さまざまな矛盾や転覆が底流となるのはこの時代だからこそ、なのか。
「大戦間小説」としてよく出来ている。

上と下がゆがんだ鏡のように映し合う。
またピエール・ルメートル「天国でまた会おう」が男性版、こちらが女性版として、読むことも出来る。

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2016年02月21日

Posted by ブクログ

☆4.0

第一次世界大戦が終わって数年、戦争で父と兄弟を失ったフランシスは、母と二人、男手もなく広い屋敷を抱え苦しい生活をしていた。生計のため断腸の思いで下宿人を募集し、若い夫婦に間貸しすることに。
そこで"運命の人"との出会いがあるとも知らず。

この運命はフランシスを眩しいほどの刺激的な幸福と、この幸福の裏側にある罪悪感を共にもたらし、そして悲劇の夜へと導いてゆく。

上巻は二人の思いが芽生え深まり、形作る様子がたくさんの描写の積み重ねによって記される。
フランシスからリリアンへの思いがどんな感情なのかは、リリアンの仕草や姿態から知らず識らず艶めかしさを受け取るフランシスを見ているとすぐにわかってしまう。
おそらく彼女自身が気づく前に。
そういう書き方がとても巧みな作家なのだろうな。

上巻最後に爆弾が投げ込まれ、下巻から展開はノンストップ。下巻読んでいる間、息つく暇もない。
"緩急つける"というが、言うならば完全に上巻が"緩"で下巻が"急"。本当に最後の最後までどう決着がつくのかわからなかった。

そこに愛はあるのか。そこに幸せはあるのか。
相手の顔も見えないくらいの黄昏に、彼女たちはいる。

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2023年02月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上巻事件が起きず、ラブストーリーだったのに比べて、下巻に入ったら怒濤の展開で殺人事件が発生してあれよあれよと展開していく。
どうなるんだろうと主にフランシスの立場でハラハラさせられ、最後、なんとも言えない終わり方。キライじゃないけど。途中の苦しさが読み進める速度を遅れさせた。

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2017年05月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

フランシスに感情移入しすぎて、動悸が止まらず。ページを追うのももどかしい。読み終わってからフランシスとリリーは、今後どうなっていくのかなぁ…と想像を巡らせた。第二次大戦も生き抜いて、年老いてから二人で暮らしたりとか?
第一次世界大戦と第二次世界大戦の間は、つかの間の平和な時代だと思っていたけど、帰還兵だけでなく国に残った人たちにも影響を与えていたとは。
解説で「天国でまた会おう」を挙げていて、〈大戦間小説〉というジャンルを知った。こんなはずじゃなかったという気持ちが描かれているのかな。気になる。

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2016年10月17日

Posted by ブクログ

 大戦後のロンドン郊外、兄弟と父を亡くし母と二人暮らしになった屋敷の娘フランシスは、生計のために家に下宿人をおくことにした。それに応じてきたのは、若い夫婦で、フランシスは妻と交流を深めていく。

 …サラ・ウォーターズなので…(お察しww)
 と思ってたら、やっぱりサラ・ウォーターズだった。

 まぁ、そこのところはおいておいて、大戦終了後のあらゆる価値観が根底から覆る中の混乱が、足元から登ってくる冷気のようで怖い。その中で必死に抗おうとしているフランシスの姿は潔く見える。
 が、それも虚構といえなくもない。

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2016年07月07日

Posted by ブクログ

いやいやもう、これは堪能しました。心理描写の精緻なこと、時代背景の巧みな取り入れ方、人間性への深い洞察、どんどん引き込まれていく語り方、どれをとっても一級品。すばらしい。

…なのに☆四つなのは、上巻がちょっと長いかなあと思うから。もちろん、この上巻があってこその下巻の展開なわけで、それはわかるのだけど…。せっかちな読者(わたし)はいつまでたっても「ミステリ」にならないので、これって高級な百合もので、紹介文の「傑作ミステリ」って看板に偽りありじゃないの?などと思ってしまった。

「事件」が起きるのは下巻に入ってからで、そこからはもう怒濤の展開。息を詰めて一気読みすることになる。解説の大矢博子さんが実に的を射た表現で指摘されているとおり、「こんなはずではなかった」という悲痛な声が行間から立ちのぼってくる。これはヒロインだけでなく、ほとんどの登場人物が抱く思いだということがひしひしと伝わってくる。英国小説では、階級の問題が大なり小なり展開に関わってくるが、ここではその描き方が皮肉で、かつ哀切で、複雑な思いを呼び起こす。

ウォーターズは、何と言っても「半身」「荊の城」のあっと驚く仕掛けがピカイチだが、「夜愁」や「エアーズ家の没落」も含めて、どの作品にも底に「怒り」があると思う。世の中のありように翻弄され、ままならぬ生をもがいている人たちが描かれていて、そこが胸を打つ。

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2016年03月11日

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上巻とは打って変わって、下巻は話のスピードが早い。殺人が起きて、それをめぐる犯人の心理描写が続く。疑心暗鬼になり、主人公は周りの人物が卑しく見えてくる。恋人さえも。
犯人の心配とは裏腹に新たな事実が沢山明らかになり、展開も予想外だった。
結局、主人公たちにとっては1番良い顛末を迎えたことになるが、途中の展開からは予想できなかった。

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2025年02月16日

Posted by ブクログ

下巻。
上巻ではまったくミステリ要素はなく女同士のラブロマンスって感じだったけど、下巻で早速事件が起こる。フランシスとリリアンの関係を知り、激昂した夫のレナードがフランシスに掴みかかってきたのを、リリアンが咄嗟に灰皿スタンドで殴り殺してしまう。2人は事故に見せかけ死体を遺棄し、罪の意識に怯えながら暮らすようになる…

殺人を犯してしまった人間の心の動揺や葛藤が延々と描かれていて、ずっと重苦しい。ミステリというよりは心理サスペンスという感じでした。別の人間に容疑がかかり裁判にかけられ、良心の呵責に耐えかねて時にリリアンを憎むようになるフランシス。最後はその容疑者が裁判で無罪になったところで物語が終わる。このあと彼女たちはどうなるんだろう。また罪の発覚に怯える日々を送るのか、それとも自首するのか、それとも…。愛以上に殺人という罪で縛られた2人はずっと離れられないんだろうなと思う。
ツイッター(X)で二度と読み返したくない本みたいなハッシュタグで見つけた本だけど、何とも嫌な余韻の残る本で、確かにもう一度読もうとは思わないけど、そういう本を読みたかったので満足です。
この作者の別の本も読んでみたいと思いました。

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2023年12月26日

Posted by ブクログ

(上巻よりつづく)

そして、事件は起こる。いや。レズビアンの関係がわかってしまったというのではない。三角関係には邪魔者はいなくなってほしいが必須。殺人事件が起こるのか?と思っていたら、その通りになった、さて…

ここからが読みどころなのだと思うが、わたしには息詰まるおもしろさというより、息苦しさのほうが強かった。でも、それがサラ・ウォーターズの真骨頂かもしれない。

時代背景が前世紀の初め、女性の地位思想は抑えられている。解説にもあるが、ヴァージニア・ウルフの小説と同傾向と思うとうなづけるものがある。

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2022年03月10日

Posted by ブクログ

上巻は...
下巻はもろにサスペンス。一気に動く。
流れとしては申し分ないけど、やっぱ上巻が...赤面。

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2016年02月11日

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