中村有希のレビュー一覧
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いやいやもう、これは堪能しました。心理描写の精緻なこと、時代背景の巧みな取り入れ方、人間性への深い洞察、どんどん引き込まれていく語り方、どれをとっても一級品。すばらしい。
…なのに☆四つなのは、上巻がちょっと長いかなあと思うから。もちろん、この上巻があってこその下巻の展開なわけで、それはわかるのだけど…。せっかちな読者(わたし)はいつまでたっても「ミステリ」にならないので、これって高級な百合もので、紹介文の「傑作ミステリ」って看板に偽りありじゃないの?などと思ってしまった。
「事件」が起きるのは下巻に入ってからで、そこからはもう怒濤の展開。息を詰めて一気読みすることになる。解説の大矢博子さ -
Posted by ブクログ
シリーズ最終巻。とても残念。ふたりの掛け合い&活躍、カムデンの面々のとっ散らかった日常が本当に楽しかったのに。もっとこの世界で遊びたかったなぁ。
今巻は主役面目躍如、アンジェラが大活躍。かなりハードボイルドな解決が何段階もあっておもしろかった。
このシリーズを読み始めた頃には思いもしなかったが、最近の現実社会を考えると、アンジェラとキャレドニアのような老後生活を送りたいなあとしみじみ思うようになってしまった。健康面にも金銭面にも恵まれていて、衣食住かつ医療完備、深く分かり合っている友達と同じ場所で暮らしている。そういう意味でもこのシリーズはcozyだったし、現代のfantasyとしてもステ -
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Posted by ブクログ
ネタバレ背徳感とミステリーは相性がよいのかな。
良心の呵責にとらわれて騙したつまりが、嵌められていたスウ。いっぽう、紳士に泥棒ファミリーへと連れてこられたモードはとんでもない真実を知る。
途中の経過がかなり退屈なので、飛ばし読みしたが、筋は拾えた。
諸悪の根源たちは最後に成敗されるのだが、ひょっとすると、リチャードもサクスビー夫人ですらもさほど悪人ではないのでは、と思える部分もある。金欲にとられた人間はみずからを滅ぼす、というのが本作の教訓なのだろうか。二人の誤解が解けるラスト。
しかし、個人的にこういう騙し愛みたいなのは好きじゃない。物語としては面白いのだけど。 -
Posted by ブクログ
海の上のカムデン・シリーズ、または「老人たちの生活と推理」第8作。
フロリダの高級老人ホーム「海の上のカムデン」で、今日も元気に暮らす老人達。
アンジェラは小柄で辛らつだが、おしゃれで頭も切れる。
親友のキャレドニアは巨体をゆるいカフタンに包み、性格も鷹揚。
老人ホームの企画でスペイン語を習い、その実践もかねて、メキシコへのバス旅行が計画される。
張り切る二人。
ところが、遺跡を見学中に、死者が‥!?
そのときは自然死と思われたのですが‥
メキシコ旅行の話もたっぷり盛り込まれ、スペイン語で喋ろうと観光地だけでなく地元の人が集まるあたりを歩いたり。
ご当地の警官とも知り合い、慣れない土地での