中村有希のレビュー一覧

  • 荊の城 下

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    『半身』がおもしろかったんだよなぁと手に取り。
    ヴィクトリア朝がドンピシャで好みなんですよね。
    良い意味で混沌とした不潔感が文章の中に再現されてて、やっぱりこちらもおもしろかった!
    信じてたのに覆される感もたまらんです。
    そう言う意味では『半身』よりもディープかも。

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    2017年01月04日
  • 黄昏の彼女たち 下

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    ネタバレ

    フランシスに感情移入しすぎて、動悸が止まらず。ページを追うのももどかしい。読み終わってからフランシスとリリーは、今後どうなっていくのかなぁ…と想像を巡らせた。第二次大戦も生き抜いて、年老いてから二人で暮らしたりとか?
    第一次世界大戦と第二次世界大戦の間は、つかの間の平和な時代だと思っていたけど、帰還兵だけでなく国に残った人たちにも影響を与えていたとは。
    解説で「天国でまた会おう」を挙げていて、〈大戦間小説〉というジャンルを知った。こんなはずじゃなかったという気持ちが描かれているのかな。気になる。

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    2016年10月17日
  • 黄昏の彼女たち 上

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    ネタバレ

    いつ二人の関係が周りにばれるのかとヒヤヒヤして、読むのが辛い。
    ウォーターズの作品やから、このままで終わるとは思えへんけど、今のところ恋愛小説にしか思えない。
    早く下巻も読んで、ほっとしたい。

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    2016年10月06日
  • 黄昏の彼女たち 上

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     大戦後のロンドン郊外、兄弟と父を亡くし母と二人暮らしになった屋敷の娘フランシスは、生計のために家に下宿人をおくことにした。それに応じてきたのは、若い夫婦で、フランシスは妻と交流を深めていく。

     …サラ・ウォーターズなので…(お察しww)
     と思ってたら、やっぱりサラ・ウォーターズだった。

     まぁ、そこのところはおいておいて、大戦終了後のあらゆる価値観が根底から覆る中の混乱が、足元から登ってくる冷気のようで怖い。その中で必死に抗おうとしているフランシスの姿は潔く見える。
     が、それも虚構といえなくもない。

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    2016年07月07日
  • 黄昏の彼女たち 下

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     大戦後のロンドン郊外、兄弟と父を亡くし母と二人暮らしになった屋敷の娘フランシスは、生計のために家に下宿人をおくことにした。それに応じてきたのは、若い夫婦で、フランシスは妻と交流を深めていく。

     …サラ・ウォーターズなので…(お察しww)
     と思ってたら、やっぱりサラ・ウォーターズだった。

     まぁ、そこのところはおいておいて、大戦終了後のあらゆる価値観が根底から覆る中の混乱が、足元から登ってくる冷気のようで怖い。その中で必死に抗おうとしているフランシスの姿は潔く見える。
     が、それも虚構といえなくもない。

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    2016年07月07日
  • 荊の城 下

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    下巻は2部の続き(モード視点)から始まり、事件の真相を読者とモードは知ることになる。そして3部はスウ視点に戻り、ロンドンに帰るために奮闘する冒険譚のようになった。何も知らないスウがいつ真相を知ることになるのかハラハラしたし、育ての母親のこと、モードのことを想うスウの心情が哀れだった。最後は収まるところにきちんと収まったのかな……結局、2人の少女の純愛の話だったんだなあ……。

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    2016年05月11日
  • 荊の城 上

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    顔見知りの詐欺師「紳士」から、貴族令嬢であるモードを騙して結婚する計画の協力を求められたスウは、報酬に惹かれて引き受ける。19世紀半ばのイギリスの生活の描写が丁寧で、陰鬱な貴族の館の情景が目に浮かぶよう。スウと紳士が城館に入ってからは物語が動き出し、目が離せなくなりました。スウとモードの2人の間に友情とは言えない感情が芽生えてからの文章が、なまめかしく、色っぽい。そして、驚きの展開で……下巻に続く。

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    2016年05月09日
  • 半身

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    真相の残酷さにもんどりうつ。
    過酷な状況でも、霊媒師の女の決して手折れない美しさが印象的。
    そしてその強さがどこからきたのかを知ると、「ヒィ!」と息を呑んでしまう……

    確かに長いけれど、途中から止められなくなった。
    ラストのあの人物のセリフ、恐ろしいけど、シビレル。

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    2016年04月05日
  • 黄昏の彼女たち 下

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    いやいやもう、これは堪能しました。心理描写の精緻なこと、時代背景の巧みな取り入れ方、人間性への深い洞察、どんどん引き込まれていく語り方、どれをとっても一級品。すばらしい。

    …なのに☆四つなのは、上巻がちょっと長いかなあと思うから。もちろん、この上巻があってこその下巻の展開なわけで、それはわかるのだけど…。せっかちな読者(わたし)はいつまでたっても「ミステリ」にならないので、これって高級な百合もので、紹介文の「傑作ミステリ」って看板に偽りありじゃないの?などと思ってしまった。

    「事件」が起きるのは下巻に入ってからで、そこからはもう怒濤の展開。息を詰めて一気読みすることになる。解説の大矢博子さ

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    2016年03月11日
  • 旅のお供に殺人を 老人たちの生活と推理

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    シリーズ最終巻。とても残念。ふたりの掛け合い&活躍、カムデンの面々のとっ散らかった日常が本当に楽しかったのに。もっとこの世界で遊びたかったなぁ。

    今巻は主役面目躍如、アンジェラが大活躍。かなりハードボイルドな解決が何段階もあっておもしろかった。

    このシリーズを読み始めた頃には思いもしなかったが、最近の現実社会を考えると、アンジェラとキャレドニアのような老後生活を送りたいなあとしみじみ思うようになってしまった。健康面にも金銭面にも恵まれていて、衣食住かつ医療完備、深く分かり合っている友達と同じ場所で暮らしている。そういう意味でもこのシリーズはcozyだったし、現代のfantasyとしてもステ

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    2015年12月01日
  • 年寄り工場の秘密 老人たちの生活と推理

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    何はともあれ、作者が存命でよかった!そしてこのシリーズの続編が読めるなんて嬉しい。

    久しぶりだったし登場人物が多いので読む前は少し心配だったが、読み始めてすぐにアンジェラとキャレドニア、その他カムデンの面々を思い出してすっと入り込めた。この人数で皆さんお年寄りで、セリフだけで誰が話しているか分かるのは、著者と訳者の工夫がすばらしいと思う。
    今回は、最後キャレドニアが活躍したところがお気に入り。いつもかき回すのはアンジェラだけど、今回はキャレドニアの食い意地が勝ち(笑)

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    2015年12月31日
  • 旅のお供に殺人を 老人たちの生活と推理

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    海の上のカムデンシリーズ最終作。

    歯医者の使う舌圧子から、スペイン語の勉強会、そして、いつものメンバーはメキシコ旅行へ行くことに。
    それも3回も。
    しかも1回目も2回目も死人が出ることに。

    メキシコ旅行の気分になれたのは良かったが、
    いつものアンジェラとキャレドニアの捜査活動が今一つだったし、
    マーティネス警部補とのからみが少なかったのが残念。

    アンジェラがティファナの街を、犯人から逃げ回る場面は圧巻。
    しかもそこが最後の山場でないところも面白かった。

    これが最後なのが、とても残念。

    0
    2015年10月27日
  • 半身

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    これをミステリーと呼ぶべきか。
    むしろわたしは恋愛小説と呼びたいと思うくらいに、主人公の純真な恋心を見事に描いている。

    19世紀のイギリスに存在した牢獄を舞台にしたお話。
    牢獄を慰問のために訪れる役についた少女と、その牢獄にとらわれている霊媒少女との謎と恋の物語である。

    ストーリーというよりは、その雰囲気を読むべき小説。
    何故少女ふたりは恋に落ち、そしてその恋はふたりをどこへ向かわせるのか。重苦しい世界を描きながら、暗い空の下で浄化しそうな恋のため息が聞こえてきそうな物語です。

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    2015年07月25日
  • 年寄り工場の秘密 老人たちの生活と推理

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    今回は近くにできたライバル老人ホームが
    からんだお話。

    まずはそのライバル老人ホームに偵察に行って、
    幽霊の謎を解いて小手調べ。
    その後はカムデンに戻って、
    アンジェラもキャルも殺されかかりながらも、
    いつもの通り活躍。

    それにしても、
    今まで聞き込みや家宅侵入を臆面もなくやってきたアンジェラだが、
    とうとうごみあさりまでするとは。
    そのブルドーザーのような好奇心には恐れ入った(笑)。

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    2015年07月18日
  • 荊の城 下

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    ネタバレ

    背徳感とミステリーは相性がよいのかな。

    良心の呵責にとらわれて騙したつまりが、嵌められていたスウ。いっぽう、紳士に泥棒ファミリーへと連れてこられたモードはとんでもない真実を知る。


    途中の経過がかなり退屈なので、飛ばし読みしたが、筋は拾えた。

    諸悪の根源たちは最後に成敗されるのだが、ひょっとすると、リチャードもサクスビー夫人ですらもさほど悪人ではないのでは、と思える部分もある。金欲にとられた人間はみずからを滅ぼす、というのが本作の教訓なのだろうか。二人の誤解が解けるラスト。

    しかし、個人的にこういう騙し愛みたいなのは好きじゃない。物語としては面白いのだけど。

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    2015年06月05日
  • 荊の城 上

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    ネタバレ

    再読だが、後味が悪かったというぼんやりした印象があった。

    ヴィクトリア朝時代を舞台にしたミステリー。
    結婚詐欺の片棒を担ぐために侍女になった女スリと、大富豪の娘。騙しているのに、ほのかに友情が芽生えて。

    泥棒家業ファミリーの前振りがあまりに長くていらいらするが、だんだん話が進んで目が離せなくなる。

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    2015年06月05日
  • 旅のお供に殺人を 老人たちの生活と推理

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    海の上のカムデン・シリーズ、または「老人たちの生活と推理」第8作。

    フロリダの高級老人ホーム「海の上のカムデン」で、今日も元気に暮らす老人達。
    アンジェラは小柄で辛らつだが、おしゃれで頭も切れる。
    親友のキャレドニアは巨体をゆるいカフタンに包み、性格も鷹揚。

    老人ホームの企画でスペイン語を習い、その実践もかねて、メキシコへのバス旅行が計画される。
    張り切る二人。
    ところが、遺跡を見学中に、死者が‥!?
    そのときは自然死と思われたのですが‥
    メキシコ旅行の話もたっぷり盛り込まれ、スペイン語で喋ろうと観光地だけでなく地元の人が集まるあたりを歩いたり。
    ご当地の警官とも知り合い、慣れない土地での

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    2015年05月23日
  • エアーズ家の没落 下

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    ネタバレ

    結局、怪奇現象の原因は分からないまま。拍子抜けはしたけど、どうでもよくなるぐらい次々に起こる不幸に翻弄された。主人公が結婚しようと思ったのは館が好きやったからやんね、絶対!
    最後の一文で主人公が厄を招いたと思ったが、解説を読んで、原題に注目したら…そういうことか!

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    2014年09月05日
  • エアーズ家の没落 下

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    怖かった。登場人物たちの追い詰められていく心が迫ってきて、びくびくしながら読んだ。
    自らが意識しない妄執の、なんと恐ろしいことか。
    はっきりとした解答のないまま、すっと手を離されたような最後。

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    2013年06月27日
  • 夜愁 下

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     普通の小説では、禁じ手とされる手法を用いていると思う。
     いや、禁じ手ではないんだけど、小説を読みなれた人ならば「ああ」と言いたくなる類の手法。
     けれども、登場人物が魅力的だからか、あるいは、作者が物語を愛し、それを描写し続けるからか、最後まで惹きつけられながら読んだ。ラストの1行にときめく。くそう。やられた。

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    2013年06月24日