【感想・ネタバレ】半身のレビュー

あらすじ

門をいくつも抜け、曲がりくねった小径をたどった奥にある石の迷宮――ミルバンク監獄。1874年の秋、テムズ河畔にそびえるこの牢獄を慰問のために訪れたわたしは、不思議な女囚と出逢った。19歳のその娘シライナは、監獄じゅうの静けさをかき集めたよりも深い静寂をまとっていた。なぜこんな人が、こんなところに? すると、看守から聞かされた。あの女は霊媒なの。戸惑うわたしの前に、やがて、秘めやかに謎が零れ落ちてくる……。魔術的な筆さばきの物語が終局に至って突きつける、青天の霹靂のごとき結末。サマセット・モーム賞など多くの文学賞に輝く本書は、魔物のように妖しい魅力に富む、絶品のミステリ!

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

これはなかなか読み応えがあってね。
いや文字多いわーってことでへこたれそうになるかと思いきやなんか上手いこと読ませてきて。そんなドラマチックな展開があるわけでもないようにも思うんだけど。。アレだ、言葉の魔術師。てきな。
で、何が読ませるって老嬢と呼ばれてしまう30女の悲哀というかもう男も女もこの年までモニャモニャしてるとろくな事にならないというか厨二病的な情けなさを持って同じく厨二病を患う読者の心にグイグイくる。
最後もまぁ酷いというか切なくなるわけで、こういう暗いというかパーティーピーポーには分からないぜこの気持ちみたいなのは小説の醍醐味ではないか。

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2023年09月16日

Posted by ブクログ

マーガレットは初めてミルバンク監獄にやってきた。囚われている女囚の慰問のために。盗人、赤ん坊殺し、詐欺、色々な過去を持つ女囚のなかで、一人静謐な雰囲気を持つ女囚がいた。その名はシライナ・ドーズ。霊媒だったという。彼女に引き寄せられながらマーガレットはミルバンク監獄に慰問に通う。そしてだんだんと生活の中に監獄にいるドーズのことが占めるようになってきた。それはマーガレットを何処に導くのか。

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2018年10月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1874年のロンドンが舞台なので、そういう時代がかったお話が苦手な人はいるかもしれませんが、私はわりと苦にならない雰囲気でした。
ただ、題材が守護霊だったりレズ(?)だったりして、だいぶ後半まで「これはミステリなの?」というギモンがあり、「創元推理文庫」から出てるからにはたぶんミステリだよね?と思いつつ読んでました(笑
他人とうまくやれない29才の老嬢という主人公に感情移入しすぎて、これまた緊張で心臓が痛くなるシーンがありましたが、感情移入したゆえにラストは切なかったです。
そんなのあんまりだよー・・・(涙
一番印象に残ったのが、主人公のお母さんのセリフ。
「よそのお宅にうかがったら、もっと自分から話題を見つけなさい。ご夫人方のお子様の健康を気遣うなり、皆様のご旅行のお話をうかがうなり、絵や刺繍の出来栄えを誉めるなり。なにもなければ奥様のドレスを話題に・・・」  
すごく勉強になりました。

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2014年04月29日

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19世紀イギリスで女囚刑務所へ慰問に訪れた令嬢マーガレットが、詐欺罪・暴行罪で服役中の霊媒師シライナと出会って心惹かれていき、やがては狂おしいほどに恋焦がれていく…という話。
霊媒師が主役で「心霊現象は実在する」という立場で書かれたゴシックホラー小説のようであるが、地に足の付いたミステリ小説的な種明かし・どんでん返しで幕を閉じる。

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2025年04月01日

Posted by ブクログ

マーガレットがシライナに惹かれていく様子や看守に見つからないようにこっそりと触れ合う様子の描写が本当に綺麗だったので普通に辛かったです

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2024年10月29日

Posted by ブクログ

前半はめちゃくちゃ退屈、中盤で結末はハッキリと予想出来る(実際に何から何まで予想通りでした)
こんなんもう駄作確定じゃないですか

でも面白かったんだよなぁ

なんていうか凄い高級車な感じなんですよね
お、なんか上手い例えかもしれん

サラ・ウォーターズの文章は高級車を思わせる
洗練されていて美しくゆとりがある空間
スピードを上げる場面では力強く加速するけどスムーズでバタつかない
サスペンションも高性能でどんなデコボコ道でもそれを感じさせない
そんな文章

あれ、伝わる?

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2022年07月05日

Posted by ブクログ

後半4分の1の面白さとそれまでの退屈さと極端な作品。以前読んだ『荊の城』が面白くて読んだのですが。1800年代半ばのヨーロッパの監獄に収監されている女囚の慰問を行う、平たく言えば、愚痴を聞く高貴な女性の話。愚痴を聞いているうちに、霊媒師の女囚を好きになって、二人で逃亡を企てる。ここまでが4分の3で、ここに至るまでが無駄に長くて退屈でした。でも残りは目が離せない展開でしたので、まあまあというところです。監獄内の表現が不気味でリアリティがありました。

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2022年02月11日

Posted by ブクログ

ダフネ・デュ・モーリアの「レベッカ」に勝るとも劣らないミステリアスな物語を読んだ。

19世紀の霧渦巻くロンドンのテムズ川河畔の監獄に収監されているうら若き女性の霊媒。そこを慰問に訪れる貴婦人は老嬢(といっても20代だろうが、今なら普通)、美しくないがゆえに、個性がありすぎるゆえに愛に飢えている。

美しい霊媒の女囚「シラナイ」に傾斜していく。いや、ゆがんだ愛ゆえに嫉妬に狂い、正気を失うヒロイン「マーガレット・ブライア」。

ミルバンク監獄の不気味さに(史実という)ぞっとし、霊媒というまがまがしさに迷わされ、ヒロインと女囚の交互に書かれる日記形式の構成の巧みさに、いよいよ謎が濃くなってくる。

後半すっかり夢中になって一気に読んだ。人間の性質の不思議さ。他人の行動を感知してしまう鋭い人が必ずいるのだ。

だましがこの世から無くならず(現実のあとを絶たない詐欺被害事件など)、だます人が多いなら、だまされる人ももっと多いのにかねがね不思議に思ってきたが、サラ・ウォーターズに完璧脱帽。

そくそくと迫るミステリが好きなら、おすすめ。

ミステリばかりではなく女性なら関心のあるもどかしいばかりの自己確立の物語でもある。何層にも意味が取れる内容に筆者の非凡さをみる。また、伏線がいたるところにあったということが後でわかり読み返したくもなる。

次作『荊の城』期待してしまう。

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2021年09月06日

Posted by ブクログ

少々頭のおかしいとされ抑圧されてるレズの女性の話がどう転んでいくんだろうと我慢しながら読み続けて、最後にようやく種明かし。読み返せばピーターが実在していて、最初からレズの話なんだとわかるけど、ピーターが実在するのかしないのかが最後まで分からない。降霊術を当時の人がどう捉えていたという設定なのかが分からないので、そこが最後まで引っかかった。この後、この時代だとどうなったのか、は気になる。

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2021年06月16日

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ネタバレ

シライナ・アン・ドーズが霊となって自宅に”脱獄”してくることをマーガレット・プライアと同じく本用に信じていた…
霊媒師であるシライナ・アン・ドーズはペテン師であった訳だが、最後まで信じられなかった…

シライナ・アン・ドーズの逃避行のために、マーガレット・プライアはある意味”半身”であったのかもしれない。

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2021年05月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

そ、そういうオチね(^_^;)
かなーり楽しく読んでたのが、ラストのネタバラシで一気に冷めてしもうた…。こういう雰囲気小説は最後まで雰囲気で押し通して欲しい派なんだよな〜

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2019年05月07日

Posted by ブクログ

読むのに時間がかかってしまったけれど、読み終わって何とも言えない声が出た…。
時間ができたらまたゆっくり読み直したい。2回目はまた楽しめそう。

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2018年08月13日

Posted by ブクログ

結末があまりに残酷で、つらい…。でも静かに少しずつ展開していくストーリーが終盤で一気にそれまでの伏線が回収され、夢中で読みました。
マーガレットの熱情、少しずつシライナに惹かれていく心理描写がとてもよかった。

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2017年06月28日

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真相の残酷さにもんどりうつ。
過酷な状況でも、霊媒師の女の決して手折れない美しさが印象的。
そしてその強さがどこからきたのかを知ると、「ヒィ!」と息を呑んでしまう……

確かに長いけれど、途中から止められなくなった。
ラストのあの人物のセリフ、恐ろしいけど、シビレル。

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2016年04月05日

Posted by ブクログ

これをミステリーと呼ぶべきか。
むしろわたしは恋愛小説と呼びたいと思うくらいに、主人公の純真な恋心を見事に描いている。

19世紀のイギリスに存在した牢獄を舞台にしたお話。
牢獄を慰問のために訪れる役についた少女と、その牢獄にとらわれている霊媒少女との謎と恋の物語である。

ストーリーというよりは、その雰囲気を読むべき小説。
何故少女ふたりは恋に落ち、そしてその恋はふたりをどこへ向かわせるのか。重苦しい世界を描きながら、暗い空の下で浄化しそうな恋のため息が聞こえてきそうな物語です。

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2015年07月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

霊が絡んでくるので、どんな結末になるのかと思っていたら、やられました。こんなどんでん返しがあるとは。看守は予想がついたが、小間使いはノーマークでした。シライナの日記にも度々登場していたにも拘らず。この人の作品は初めて読みましたが、他のも読んでみたくなりました。というわけで「荊の城」も注文中。

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2013年02月19日

Posted by ブクログ

 ラストが、え〜つて感じで、いい意味でも悪い意味でも、ありのような、なしのような… ラストをどうとるかで好き嫌いが分かれる作品です。
 自分も最初はなし派でしたが、先に読んでいた妻とあえこれ言いあっていたら、細部の仕掛けもわかってきて、あり派に転びました。

 



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2017年08月15日

Posted by ブクログ

ジェットコースターの醍醐味を味わおうと思ったら、まずは急勾配の坂を上っていかなければならない。
それはひどくゆっくりしたものだが、やがて頂上に達するとそこからは絶叫の連続だということが、予想できているからこそ、あのゆっくりゆっくしとした昇りの中で次第に精神は高揚していくのである。
しかし、それがいつまでもいつまでも続くと、実はこの上り坂は絶叫マシーンにつながっていないのではないかという懐疑的な気分になってしまう。
まさしくこの長編小説がそうだった。
いつまでもいつまでも長い上り坂が続くのだ。
約480ページの文庫本の3分の2までがこんな調子だったのだ。
「はてさて、この長編小説は一体何を描こうとしているのだろうか…」と思った途端、ガタンと車体が揺れて、さあそこから始まる始まる絶叫の連続。
「このミステリーがすごい」2004年度海外編第1位。
サマセット・モーム賞受賞作。

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2013年09月22日

Posted by ブクログ

ノブレス・オブリージュで女囚刑務所へ傾聴慰問を始めた精神的不安定で引きこもりのマーガレットは、慰問先の刑務所で詐欺罪で収監されている美しい霊媒師シライナと出逢う。

こうなるんじゃないかな、こうなるんじゃないかなという嫌な予感と、恋という形を取った依存がじりじりと強くなっていく状態を、「良くない、ああ、良くない」という不安と焦燥でもって読ませる一冊だった。
ゴシックホラーとも違う、ミステリとも違う、ラブロマンスとは言えない、カテゴライズしにくい作品。

マーガレットがシライナに入れ込んでいく様は、モリエール著「タルチュフ」のタルチュフに騙される金満家オルゴンと同じで、古今、詐欺師に騙される人の心情とはこうしたものなのだろうなと思う。

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「あなたがいつ世間なんて気にした?なぜいまさら気にするの?」

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2025年02月20日

Posted by ブクログ

久しぶりの帰省で見つけた本を備忘録として登録。
自分でも内容をよく覚えてないのでレビューが書けません。

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2021年12月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公の人生酷すぎない?書いてる部分はまだ先を考えてるけど、時間が経って現実を受け止めたらもう耐えられないでしょ。一回未遂もしてる訳だし。
と思いながらも、最終章もあまりショックをうけないまま読み終えてしまった。この手のストーリーでハッピーエンドはそうないわな。

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2021年07月02日

Posted by ブクログ

倫敦の監獄を訪れた「わたし」が出会った不思議な女囚シナイラ。気品ある彼女は霊媒。なぜ監獄に?そしてわたしはシナイラと交流していく。戸惑うわたしの前で恐るべき謎が解かれていく。この話はジャンルがわからない。歴史ミステリのような、でもホラーのような。そして衝撃の結末へ。ラストで明らかになる「謎」の意味。この仕掛け、手が込んでいる。ウォーターズはCWA賞も受賞するが、この作品でサマセットモーム賞を取り、他の3つの作品でブッカー賞候補になっている。

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2021年04月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 雰囲気や筆致は好きだったが、描写される箇所が少なく、もう少しこの世界観を色々なところにまで広げて欲しかった。
 話も面白かったけれど、如何せん派手ではなく、後半は一気に読んだが、ぐいぐい引き付けられて離れられないというほどでもなかった。肝の部分が終盤に集約されていて、それまではシライナと主人公の交流に重点がおかれている。その交流も、ときおり大きく進展はするものの、基本的には遅々としたもので、終盤の展開のためにここまで長い物語にする必要があったかはちょっと疑問。
 しかも結末が、そういうこれまでの展開を一気に投げ捨てるようなものだったから、腑に落ちる感覚はあれど、期待に沿うようなものではなかった。霊媒がある程度真実性を持って語られ続けていたのに、それがそうではないと終盤になって明かすのは、ちょっとアンフェアな気もするし...。
 不条理さは好みではないものの、面白くはあった。もう少し短ければ良かったと思う。これまでの描写が全部伏線で...ということにするには、色々な粉飾が多過ぎたし、膨らんだ前提部に反して、オチがあっさりし過ぎている。

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2020年10月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

3+

ゆっくりとゆっくりと毛糸玉で殴り続けておきながら、実は中に剃刀を仕込んでましたというような趣き。いやまあ何かあるのは匂わせているので通常驚かないのだが、毛糸玉殴りが長過ぎてうんざりさせられるのが効いていたか。

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2020年04月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「死をもちて赦されん」の後ろで見かけて。

残念ながらだまされることはなかった。
なんともいえないゴシック調と言うか、
ヴィクトリア朝と言うかの雰囲気の盛り上げ方はとてもうまいと思うし、
霊媒の女囚に魅かれていく様の描き方も上手だが、
恋愛小説またはホラー小説で終わることはないと疑い続けていたので。

なんの根拠もなく、
実は亡くなった父の遺産をほとんどを相続していた主人公が、
母親に命を狙われているかと思いこんでいたので、
結末はそれほど衝撃的ではなかった。

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2016年04月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日記形式だけど主人公の心の描写が上手過ぎて、ねっとりとした感情が気持ち悪かった。もちろん同性愛云々ではなく。
せっかくのトリックも、集中できずに驚くところまでいかず。

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2014年10月01日

Posted by ブクログ

海外小説って苦手だなーという思いに拍車がかかった作品。
読むのが正直しんどかった。
女性が書く女性キャラって時に生々しすぎて反吐が出ます。

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2014年08月22日

Posted by ブクログ

 え? この話はどっちに行くの? 何が起きるの? と読み進めるうちにだんだんと雰囲気に引き込まれていく。ドーズ嬢の魔性の美しさが恐ろしい。

 さんざん振り回されるのに、オチまで読み切ると「なるほど」と納得できてしまうところがすごい。あの時代の貴婦人らというのはすごいね。戦後パンティストッキングと女性は強くなったというけれど、ほんとだなぁ。

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2013年06月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み終わってひええと思わず呟く。
描写に容赦がないなぁ。
ヴィクトリア朝時代のおどろおどろしさもよく出てました。

ダイアナ・ウィン・ジョーンズの「牢の中の貴婦人」を思い出しました。
どちらも救いはないけれど、こちらの方がより深く沈み込むような…。

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2013年05月11日

Posted by ブクログ

厳密には「ミステリ」ではないような気もするが…もやもやとした部分が一気に解決されるラストの読後感は、確かに「ミステリ」なのかも。19世紀のロンドンを舞台に繰り広げられる、監獄と霊媒と鬱屈した女性の幻想的な物語…と、思いきや。ラストは、目の前の霧が晴れたようなスッキリ感もありながら、ぞっと来るほど絶望的でもある。重たい霧が立ち込めるロンドンの秋を、冷え冷えと体感できる一冊。

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2020年12月18日

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