中村有希のレビュー一覧
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ネタバレ1874年のロンドンが舞台なので、そういう時代がかったお話が苦手な人はいるかもしれませんが、私はわりと苦にならない雰囲気でした。
ただ、題材が守護霊だったりレズ(?)だったりして、だいぶ後半まで「これはミステリなの?」というギモンがあり、「創元推理文庫」から出てるからにはたぶんミステリだよね?と思いつつ読んでました(笑
他人とうまくやれない29才の老嬢という主人公に感情移入しすぎて、これまた緊張で心臓が痛くなるシーンがありましたが、感情移入したゆえにラストは切なかったです。
そんなのあんまりだよー・・・(涙
一番印象に残ったのが、主人公のお母さんのセリフ。
「よそのお宅にうかがったら -
Posted by ブクログ
ネタバレ上巻だけ一度読んだことがあるが、冗長すぎて挫折してしまった。今回数年ぶりにリトライ。
戦後の1947年、戦時中の1944年、さらに1941年と時が遡っていく構成。ミステリーと言われているが、特に謎めいた事件が起きるわけではない。
戦時下という状況がなくとも成り立つような話かもしれないが、戦火かまびすしい極限状態だからこその盛り上がりなのかもしれない。
本の紹介文から各種のレヴューまであいまいに濁しているものが多いが、そう書かざるを得ないような感慨がある。
最後のラストシーンが美しいがその余韻を読者に残す為にあえて、この構成にしたのだろう。一巡して最初の章に戻ったときに、とある人物の視点か -
Posted by ブクログ
ネタバレなしで感想。ネタバレすると全て面白くなる。
前評判は「濃厚な百合でいろいろとやばい」。
実際開いてみると、スウのいかにも育ちの悪い言葉づかいから始まって、盗人たちの卑劣な日常、ロンドンに立ち込める重い霧、饐えた臭い、全てが生々しくて陰鬱で、恐ろしく魅力的だった。表現の一つ一つが実に女性らしく豊かなのに、感傷も甘ったるさもなくて秀逸。
そこに加わる伏線に次ぐ伏線、先の読めない展開は見事。ただ上巻と下巻では小説のジャンルがシフトしていくからそこが合わないと気に入らないと思う。私はこのパターンすごく好きだった。
そして。母ちゃんも二人と一緒だったんだね。 -
Posted by ブクログ
う〜〜ん、予想外に大変におもしろかった!!かつては華やかなりし時代を生きた、大領主館エアーズ家。第二次大戦後、大戦で傷ついた若き領主と、母と姉、住み込みのメイドと、おかかえ医師。物語はこの5人でほぼ進むが、問題は「信頼出来ない語り手」である、一人称で語られるという点。ずっとこれは、ミステリーではなく、ゴシックホラーものなのかと思って読み進めたが、最後にきて、う〜ん、これはミステリーになるのかなぁ〜と思ったりして。とにかく、これはいったい何なの?なんだかわからないけど、で、どうなるの?どうなるの??的に、頁を繰ってしまった。最後の最後の行、これは、どうゆうこと・・・それが答えだというのかなぁ・・
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Posted by ブクログ
ついに若き当主のロデリックが心労のあまり館を離れることに。
その費用を捻出するために、家族はますます倹約を余儀なくされます。
館のすぐ近くを売った土地に、新しいアパートが建つことに。
果たして、ロデリックの言っていた館の呪いとは…?
説明のつかない不気味な現象に見舞われる館。
残されたエアーズ夫人と令嬢キャロラインを放ってはおけない気持ちのファラデー医師は、ますます頼りにされます。
令嬢キャロラインは地味な外見だが芯は強くいきいきとして、ファラデーとは身分も違うが、しだいに心が通い合うように。
不器用な二人の接近ぶりと行き違いがありありと描かれてまた、見事です。
館の壁に妙な文字が浮かび出て、