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この世の誰にも、時をさかのぼることなどできはしない。だがもしも、あの時に戻れたなら……。1944年、ロンドン。夜ごと空襲の恐怖にさらされながら、女たちと男たちは不穏な日々の暮らしに、必死でしがみついていた。荒れ果てた都会の廃墟で、深夜の路上で、そして刑務所の中で、人々の運命はすれ違い、交錯する。戦争を背景にしたこの群像劇で描かれるのは、赤裸々にさらけ出される人間の生と業。ますます冴えわたるウォーターズの筆は、人生の真実をためらうことなく活写する。大胆な手法を駆使して、人間という存在の謎に迫る、渾身の大作。ブッカー賞、オレンジ賞最終候補作。/解説=若島正
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Posted by ブクログ
過去へと遡る物語っていうのは、そんなに珍しいスタイルではないと思うけど
この物語はこの語り方によって素晴らしい味わいになってる。
素晴らしく切なくほろ苦い味に。
だけど決して読後感は悪くない。
それは物語が遡ることで現在閉塞してる彼等彼女等の関係の始まりがラストになっているから。
いまでこそぐずぐずになっちゃってるけど、始まりはこんなにも輝いていたんだって。
それは一つの救いであると同時に、切なさを加速させるものでもあるのだけれど。
今まで高度な技術でもって「物語」を書いていた著者がついに「人間」を書いた!
とかあおってみる。
良質なセピア色の名画を観る感覚で読んでいけます。
日本語タイトルも秀逸。
あ、読んだことある方はご存じとは思いますが割と同性愛的表現が多いので
(というか今回結構直接的…)生理的にダメだという方はご遠慮ください。
でも食わず嫌いはもったいないとおもうな〜
…いや本の話ね。
Posted by ブクログ
結末(と言っても、年をさかのぼって書かれているため、時間的には始まり)が一番キラキラと光っていました。出会った二人の行く末をわかっていても、なぜか幸せな気持ちになりました。全編をとおして薄暗く重苦しい空気がたちこめているのですが、読後感は澄んだ気持ちになれます。特殊な事情を抱えた人物ばかりで共感を得られるような人はいないのですが、一番好きなのはケイです。揺るぎない信念を持っていて、それを曲げられないがために自分を苦しめているように見受けられますが、最近の草食男子よりもずっと男らしいです。描写があまりにも生々しくリアルな部分があるので、読み飛ばした箇所もありましたが、読む価値のある作品だとは思いました。
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小説・文芸
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