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スウが侍女として入ったのは、俗世間とは隔絶した辺鄙な地に建つ城館。そこに住んでいるのは、スウが世話をする令嬢、モード。それに彼女の伯父と使用人たち。訪ねてくる者と言えば、伯父の年老いた友人たちだけという屋敷で、モードは親しい友人もなく、蔵書狂の伯父の手伝いをして暮らしていた。他に話し相手もないそんな環境で、同い年のスウとモードが親しくなっていくのは当然のことだった。たとえその背後で、冷酷な計画を進めていようとも。計画の行方は?二人を待ち受ける運命とは?話題沸騰の新鋭サラ・ウォーターズが贈る傑作長編。CWAヒストリカル・ダガー受賞&第1位「このミステリーがすごい! 2005年版」海外編ベスト10。
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Posted by ブクログ
ネタバレなしで感想。ネタバレすると全て面白くなる。
前評判は「濃厚な百合でいろいろとやばい」。
実際開いてみると、スウのいかにも育ちの悪い言葉づかいから始まって、盗人たちの卑劣な日常、ロンドンに立ち込める重い霧、饐えた臭い、全てが生々しくて陰鬱で、恐ろしく魅力的だった。表現の一つ一つが実に女性らしく豊かなのに、感傷も甘ったるさもなくて秀逸。
そこに加わる伏線に次ぐ伏線、先の読めない展開は見事。ただ上巻と下巻では小説のジャンルがシフトしていくからそこが合わないと気に入らないと思う。私はこのパターンすごく好きだった。
そして。母ちゃんも二人と一緒だったんだね。
Posted by ブクログ
下町娘のスウと令嬢モードはそれぞれに追いつめられ、自分の智慧を使って難局をきりぬけていこうとしますが、その先には再会と、とんでもない真実が。スリがでてきたり、出生の秘密がからんだり、本書は「オリバー・ツイスト」との比較がよくなされますが、それよりなんといっても似ているのは令嬢かどわかしがテーマになっているウィルキー・コリンズ「白衣の女」の影響が大。ただ、こうした先行作品よりやたらと面白いのは、これまでタブー視されてきた19世紀末の裏社会・裏文化についての要素をたっぷりもりこんでいること。これが謎をとく鍵にもなっています。サラ・ウォーターズは「半身」も面白いのですが、こちらを読んだ人にはラストがなかばにして見えてしまいます。もし、いずれも読んでいないのなら、とにかく「荊の城」をいきなりよんだほうがよいかも。
Posted by ブクログ
文学にもその国の特徴が色濃く出る。イギリス文学の特徴も魅力的だ。
私が思う魅力キーワードとは「女性作家」「18・19世紀」「城」「保守的」「古」「頑固」「暗色」そして「ミステリ」。
これがその物語に複合的に備わっていると、私はイギリス的だなと好きになる。おもしろくなる。
ミステリの発祥地だけど、ミステリっぽさが単なる謎解きではなく、謎が「どうなんだろう、なぜなんだろう」とゾクゾクさせられ、引っ張っていかれるのは伝統を感じる。
『嵐が丘』や『ジェーン・エア』に始まり『レベッカ』の系統にこの小説は属すると思う。現代の「ブロンテ姉妹」「モーリア」派だと勝手に名づけた。
前作『半身』は思いもかけない結末だったが、この物語は思い至るも、絶妙な筆運びに酔いしれて、私は一気読みだった。
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小説・文芸
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