H・P・ラヴクラフトのレビュー一覧

  • 狂気の山脈にて―クトゥルー神話傑作選―(新潮文庫)

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    この本の中で一番好きな話は、『ランドルフ・カーターの陳述』。『狂気の山脈にて』と『時間からの影』が順番に並んでるのは、よかった。

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    2021年01月03日
  • 狂気の山脈にて―クトゥルー神話傑作選―(新潮文庫)

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    新潮文庫のクトゥルー神話傑作選第二弾。今回のセレクションがちょっと変わったラインナップだなーと思いつつ読んでましたがそれらについては巻末の編訳者解説に書いてあるのでいろいろ納得。
    なにはともあれ『狂気の山脈にて』→『時間からの影』の2作がこの順番で収録されているのは大変オイシイ展開なので、順番に読んでその世界観を堪能して欲しいですね。

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    2020年12月12日
  • インスマスの影―クトゥルー神話傑作選―(新潮文庫)

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    クトゥルーの神々、おぞましさがうまく想像できないけれど、おぞましさが文章の端々から滲み出ていました。面白かったです。
    神話というのが良いです。
    「異次元の色彩」「ダンウィッチの怪」「クトゥルーの呼び声」「インスマスの影」が特に好きでした。
    みんなして「私も……」「実は私も……」と冒涜的な何かについて話始めるの良かった。
    「インスマス面」とは一体……怖いけど見てみたいです。

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    2020年07月28日
  • ラヴクラフト全集7

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     完結巻だからなのか、既刊からこぼれたものを拾い集めて編集した感はある。しかし、決して駄作凡作ばかりというわけではない。
     小説の原型となった、夢の内容を書き起こした手紙を収録した『夢書簡』は、夢の描写が緻密でなかなか面白かった。物書きの練習に夢日記をつけるのも良いのかもしれない。
     最後に収録された『断片』。要は序章のみ存在する未完作品なのだが、実は完成していたが本編を何者かに奪われて、後年に原稿がオークションに出されて、落札された原稿を巡って――という物語またはTRPGシナリオが既にありそうだ。特に『Azathoth』。
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    2020年03月22日
  • ラヴクラフト全集6

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     6巻は、後に「ドリーム・サイクル」と呼ばれる世界観に統合されるものを舞台やネタにした作品を収録。
     そして、クトゥルフ神話とドリーム・サイクルの世界観を統合した、前期ラヴクラフト神話の集大成とも言うべきファンタジー大作『未知なるカダスを夢に求めて』。夢の世界で苦しみながらも自由に大冒険を繰り広げるというヤングアダルト的なその内容は、ラヴクラフトの当時の状況を知ると、以前の苦境から解放されたであろう彼の心境を表していると、どうしても勘ぐってしまう。

    【アザトース、異形の神の幼生、下級の異形の神たち(蕃神)、バステト、ノーデンス、ニャルラトホテプ(暗黒のファラオ)、ロビグス】
    《ズーグ族、ノフ

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    2020年03月15日
  • ラヴクラフト全集4

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    ①宇宙からの色
     荒地を見張る老人が語った、かつてそこに住んでいた家族に起きた悲劇とは――
     非知的生命体による侵略物。映画で例えると『遊星からの物体X』とか『ブロブ』とか。こういう恐怖は時代を問わず通じる。

    ②眠りの壁の彼方
     精神病院に強制入院させられた、殺人を犯した男。二重人格を思わせる発作を起こす男にわたしは興味をひかれ、ある試みを実行すると――
     ラヴクラフトが初めて宇宙的恐怖をテーマにした作品で、確かに、後に生まれる神話に連なる作品の「原型」と思わせる内容。

    ③故アーサー・ジャーミンとその家系に関する事実
     突如、焼身自殺を遂げた学者、アーサー・ジャーミン。彼がそのような暴挙に

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    2020年03月08日
  • ラヴクラフト全集3

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    ①ダゴン
     船乗りのわたしは運悪くドイツ軍に拿捕された後、すきを見て逃げ出す。漂流の後に小島に漂着したわたしは、丘の頂上を目指すことにしたのだが――。
    ●「窓に!窓に!」で有名な、クトゥルフ神話の原型とも指摘されている短編。

    ②家の中の絵
     道中で雨宿りのために家屋に入ったわたしは、そこでテーブルに置かれた古書に目を奪われて――。
    ●夢幻的なホラー。そこにいたのははたして死者だったのか生者だったのか。
    現場がアーカムの近くなので、食屍鬼をゲストにした物語やTRPGシナリオがありそう。

    ③無名都市
     アラビアの砂漠で伝説の古代都市を見つけたわたし。探究心から内部に侵入したわたしが目にしたもの

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    2020年03月07日
  • インスマスの影―クトゥルー神話傑作選―(新潮文庫)

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    最近ではTRPGなどサブカル界隈でよく知られている〈クトゥルフ神話〉。ラヴクラフトの作品群は、その原典だ。あの奇怪な架空の神話体系は、ひとりの男のパラノイア的妄想に端を発しているのである。

    …人類の誕生よりはるか昔、宇宙の彼方から地球に降り立った異形のモノたち。その存在は謎に包まれており、彼らの正体を暴こうとする者には死が待ち受けている。〈Cthulhu〉ーークトゥルフ或いはクトゥルーと仮称される、〈それ〉は人外の秘境に身をひそめ、復活の時を待っている。〈大いなるクトゥルー〉が目覚める時、地上には災いが満ち人類は滅亡するという…

    …こう書くとB級SFホラー感満載だが、実際に読んでみるとSF

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    2019年08月28日
  • ラヴクラフト全集1

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    それぞれ初めて読んだということはないけれど、全集としてとりあえず一通り読もうって企画。
    改めて読むと、なんか描写というか文章が下手な人だったのねという印象。(^^;
    もしかすると、翻訳のせいかもしれないけれど、たまになにを言っているのかわかりづらい地の文があるんだよね。
    読み直して思ったのは、旧神やら、いわゆるクリーチャーとの邂逅がおっかない話という印象があるんだけど、実際は話者の意識の変遷がおっかない話なのねってこと。
    その視点で見ると、この本では「闇に蠢くもの」が特異な話なんだよなぁ。
    現代のクトゥルフ神話の系列作品では、こっちの方が近い印象なんだけど。

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    2018年03月19日
  • ラヴクラフト全集6

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    白い帆船★3
     楽園を目指した灯台守。この結末は、今いる世界こそが楽園であるという示唆なのか。

    ウルタールの猫★3
     HPLは猫好きだったのかしらん。ウルタールという地名は、この後の話でも出て来る。

    蕃神★3
     思い上がった賢人バルザイ。神の怒りに触れる展開は素直すぎるほど。

    セレファイス★2
     夢の中で楽園に行くというパターンが新鮮味がなく。

    ランドルフ・カーターの陳述★3
     墓から入っていった地下にいる友人と電話で会話するシチュエーションは不気味。

    名状しがたいもの★3
     モンスターよりも、夜が更けるまで怪奇話を墓石の上でし続けた彼らが怖い。

    銀の鍵★3
     これは重要アイテムで

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    2018年02月06日
  • ラヴクラフト全集6

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    全集⑤巻まで続けて読んでおきながら、
    その後スルーした⑥巻を今頃。
    ジーン・ウルフ『書架の探偵』読後、猛烈に気になり始めたので。
    理由は↑これ↑をお読みの方には何となくおわかりいただけるかと。
    春日武彦先生の書評エッセイ集『無意味なものと不気味なもの』で
    「ランドルフ・カーターの陳述」ネタばれレビューを読んで
    敬遠していたのだけれども、猛烈に実地確認したくなったので。
    内容はランドルフ・カーター・シリーズとも呼ぶべき
    一連の中短編と、その魁となった初期作品。
    面白かったのは下記の二編。

    ■ランドルフ・カーターの陳述(1919年)
     行方不明になった友人ハーリイ・ウォーランについて
     問い質さ

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    2017年08月06日
  • ラヴクラフト全集3

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    ダゴン
     短い!「窓に!窓に!」の終わり方が印象的だけど、本文にダゴンの言葉が出てこないのはなんだかなあ。『インスマウスの影』のダゴン教団の聖地だったのだろうか。

    家のなかの絵
     これまた短い!そして起承転結でいえば、起承で終わるという中途半端さ!爺さんが食人鬼だったんでしょ。

    無名都市
     超古代の遺跡を探検…。何かが起きるぞ、という雰囲気を醸し出す書き方は、HPLのお家芸ですね。

    潜み棲む恐怖
     雷で現れる地底人、マーテンス一族。不思議なこともあるものですねえ。

    アウトサイダー
     時々記憶をなくしては、自分が何者なのかを問う、不死者のライフワークだろうか。

    戸口にあらわれたもの
     

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    2017年05月10日
  • ラヴクラフト全集1

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    ・インスマウスの影
    インスマウス面という描写が印象的。町から逃げ出すところが一番ハラハラした。この本中で一番面白かった。
    ・壁のなかの鼠
    不思議な寺院の話。厄介な人格が出てきたのか、何かに憑依されたのか。
    ・死体安置所にて
    足を切って棺桶に入れてた葬儀屋が死者に足を食われる話。あんまり不思議さはない。
    ・闇に囁くもの
    宇宙人の存在をほのめかす人物と手紙のやりとり。文章は長いものの、目立った展開がなく、最後まで静的な印象。結局何も起きてないと言うこともできる。

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    2016年12月27日
  • ラヴクラフト全集1

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    文体がとっつきづらく読みづらい。呪われた家系って設定が好きなのかな。元ネタとしてもう少し読んでみる予定。

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    2016年11月10日
  • ラヴクラフト全集4

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    "きみはこの惑星でのわたしの唯一の友だったーーこの寝椅子に横たわる忌わしいもののなかに、わたしを感じとって見つけだしてくれた唯一の魂だった。また会うことがあるだろうーーおそらくオリオン座の三つ星の輝く霧のなかか、先史時代のアジアの荒涼とした大地か、記憶にのこらない今晩の夢か、太陽系が消滅している遥かな未来の他の実体で。"[p.71_眠りの壁の彼方]

    「宇宙からの色」
    「眠りの壁の彼方」
    「故アーサー・ジャーミンとその家系に関する事実」
    「冷気」
    「彼方より」
    「ピックマンのモデル」
    「狂気の山脈にて」

    「資料:怪奇小説の執筆について」
    「作品解題」大瀧啓裕

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    2016年06月30日
  • ラヴクラフト全集3

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    「無名都市」の階段を下りていく描写が非常に好みだ。同様のモチーフは他の作品でも見られるが、この作品は延々とそれをやっている印象がある。

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    2016年05月28日
  • ラヴクラフト全集4

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    「故アーサー・ジャーミンとその系譜」が印象的。主人公が自分の系譜を調べていくと実は……な展開を持つラヴクラフト作品は複数あるが、これもその例の一つ。

    「狂気の山脈にて」は冒険風味を味わえる作品。「ピックマンのモデル」は描写が要を得ていて面白く、「宇宙からの色」は科学的な(?)律儀さが現れていて楽しい。個人的に比較的好みが多い巻か。

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    2016年05月28日
  • ラヴクラフト全集2

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    TRPGで有名らしい「クトゥルーの呼び声」を筆頭に収録。

    他の巻に比べ、怪異に直接対峙している(というか、対峙している描写が比較的正気のまま書かれている?)作品が多いのが特徴。幻想的な雰囲気を楽しめる「エーリッヒ・ツアンの音楽」がこの間の中ではお勧めか。

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    2016年05月28日
  • ラヴクラフト全集1

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    アーカムから一日往復一便、バスが向かうインスマスの街は古色蒼然に荒れ果てた奇妙な街だった。街の噂を聞きつけて、貧乏旅の途中主人公はインスマスに向かうことにする。一体この街はどういった街なのか? 面妖な住人達が跋扈する中、主人公は恐怖の夜を迎える。(インスマスの影)

    言い回しは少しく長いがくどくはなく、ねっとりとした恐怖の描写とは対照的に街区の描写は要点を押さえている辺りが好印象。

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    2016年05月28日
  • ラヴクラフト全集5

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    科学系の話がほとんどだった第4集人は打って変わって、悪魔や呪いの話でまとめた第5集。最後についてくる「ネクロノミコンの歴史」が表すとおり、ネクロノミコン絡みの話で統一されているとも言える。

    「ネクロノミコン」に絡む部分を除き、全体にゴシック・ホラーや霊的カラーの強い1冊なため、「恐怖におののいた」と書かれていても、なんとなく漠然とした印象を受ける短編が多い。

    その中において、何らかの薬剤をフレッシュな死体に注入することでゾンビ化させる「ハーバート・ウエスト」はかなり新鮮に見える。ゾンビ映画を髣髴とさせる幕切れも良いのだが、解説的には「凡作」なのね。うん。

    また、ラブクラフトを読むには避け

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    2016年04月18日