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Posted by ブクログ 2012年04月13日
クトゥルーの世界観が、テクストの平原を越えて自在に暴れまくる秀作「未知なるカダスを夢に求めて」収録。ペルシア神秘主義詩の最高峰アッタールの「鳥の会議」や、ボルヘスの「創造者」に、類似するオマージュが発見できる。国境と言語を越えてあらわれる神的存在は、旧態の神的なるものなのか否か…幻想文学の観点からも...続きを読む興味深いテクストのひとつ。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
今までのラヴクラフト全集と違い、全ての話が繋がっているように思える一冊。
「未知なるカダスを夢に求めて」はかなり有名な一作ですが、他の「セレファイス」や「蕃神」なども面白いですよ。
Posted by ブクログ 2012年05月18日
クトゥルフ神話の開祖ラヴクラフト全集6巻。探究者ランドルフ・カーターが夢に見た夕映の都カダスを求めドリームランドを冒険する「未知なるカダスを夢に求めて」を大部分にすえ、「銀の鍵」「銀の鍵の門を越えて」「ウルタールの猫」「蕃神」「名状しがたいもの」ほか読み逃せない作品を全9作収録。
クトゥルフに本格...続きを読む的に興味持ったのはLiarsoftのスチームパンクシリーズからだったので、それだったらドリームランドものだから6巻読むといいよというアドバイスに従い、本当は2巻を読みたかったのですがこちらを先に読んでみましたらこれがなかなか! 面白かった! セレナリアをプレイした人なら「セラニアン」 インガノックなら「インクアノク」 ソナーニルなら「ソナ=ニル」に反応できるはず、そして何よりランドルフカーターにね!
6巻の半分は実は「未知なるカダスを夢に求めて」で、他の8編は銀の鍵の門を越えてがちょっと長いくらいであとは掌編ばかりですごく読みやすかったです。ウルタールの猫は猫好きにはたまらないでしょうね~猫自体がランドルフの味方で、にゃんこに助けてもらいたくなります。にゃん。「名状しがたきもの」もなかなかですが「ランドルフ・カーターの陳述」がホラーとして傑作だと思います。
「未知なるカダスを夢に求めて」は面白いのだけど会話文とかの起伏が無いに等しいので想像力で補わなくちゃいけないのがつらいですねー淡々としてます。まあ翻訳だから仕方ないけど… 最後の展開に一気に惹きこまれましたね~ナイアルラトホテップに騙されてからノーデンスに救われるまでの宇宙的な描写にただただ圧倒されました。ネタバレになっちゃうんですが、求め続けた夢の場所が幼き日の故郷の風景ってのがすごく真理だなぁ…なんて思いました。
次読むなら二巻!ちょこちょこ読んでいきたいからやっぱり買った方がいいかしら。
Posted by ブクログ 2020年03月15日
6巻は、後に「ドリーム・サイクル」と呼ばれる世界観に統合されるものを舞台やネタにした作品を収録。
そして、クトゥルフ神話とドリーム・サイクルの世界観を統合した、前期ラヴクラフト神話の集大成とも言うべきファンタジー大作『未知なるカダスを夢に求めて』。夢の世界で苦しみながらも自由に大冒険を繰り広げる...続きを読むというヤングアダルト的なその内容は、ラヴクラフトの当時の状況を知ると、以前の苦境から解放されたであろう彼の心境を表していると、どうしても勘ぐってしまう。
【アザトース、異形の神の幼生、下級の異形の神たち(蕃神)、バステト、ノーデンス、ニャルラトホテプ(暗黒のファラオ)、ロビグス】
《ズーグ族、ノフ=ケー(グノフケー)、夜鬼(ナイトゴーント)、食屍鬼(グール)、ドール、ガグ、ガスト、月棲獣(ムーン=ビースト)(蟇じみた月の生物)、シャンタク鳥、飛行するポリプ、レンの男、レンのクモ》
(収録されている一編、邦題の『蕃神』は端的に言うと「渡来神」。原題の『The Other Gods』を直訳すると「(他の、もう一つの、向こう側の、過去の、)神々」。素直に受け取るなら外なる神、または旧支配者を指すと思われるが、正体はやはり這い寄る混沌とその下につく存在なのか。)
Posted by ブクログ 2018年02月06日
白い帆船★3
楽園を目指した灯台守。この結末は、今いる世界こそが楽園であるという示唆なのか。
ウルタールの猫★3
HPLは猫好きだったのかしらん。ウルタールという地名は、この後の話でも出て来る。
蕃神★3
思い上がった賢人バルザイ。神の怒りに触れる展開は素直すぎるほど。
セレファイス★2...続きを読む
夢の中で楽園に行くというパターンが新鮮味がなく。
ランドルフ・カーターの陳述★3
墓から入っていった地下にいる友人と電話で会話するシチュエーションは不気味。
名状しがたいもの★3
モンスターよりも、夜が更けるまで怪奇話を墓石の上でし続けた彼らが怖い。
銀の鍵★3
これは重要アイテムですね~。銀の鍵。時間を超えてとある秘密の部屋に入れるようです。
銀の鍵の門を超えて★4
今までのHPLの小説の中で一番壮大で、わくわくして面白かった。ここまで次元や宇宙を超越した描写はなかなかない。これまでの短編の話のエッセンスの記憶を時々刺激されることもあいまって、ここまで読み続けてきた甲斐があったと言えるだろう。
未知なるカダスを夢に求めて★2
今までの話の集大成!読み始めはなるほど、そういう企みだったのか!と感心したが…。長いよ。長すぎる。もう長すぎてうんざり。結局、カーターは何しに行ったんだ?
Posted by ブクログ 2017年08月06日
全集⑤巻まで続けて読んでおきながら、
その後スルーした⑥巻を今頃。
ジーン・ウルフ『書架の探偵』読後、猛烈に気になり始めたので。
理由は↑これ↑をお読みの方には何となくおわかりいただけるかと。
春日武彦先生の書評エッセイ集『無意味なものと不気味なもの』で
「ランドルフ・カーターの陳述」ネタばれレビュ...続きを読むーを読んで
敬遠していたのだけれども、猛烈に実地確認したくなったので。
内容はランドルフ・カーター・シリーズとも呼ぶべき
一連の中短編と、その魁となった初期作品。
面白かったのは下記の二編。
■ランドルフ・カーターの陳述(1919年)
行方不明になった友人ハーリイ・ウォーランについて
問い質され、経緯を語る青年ランドルフ・カーター。
無線機で会話しつつ、
墓地の下の奥深くへ侵入した友人が見たものとは。
■銀の鍵の門を越えて(1933年)
エドガー・ホフマン・プライスの習作に
ラヴクラフトが大幅に手を加えて
仕上げたという「銀の鍵」後日談。
失踪したランドルフ・カーターの財産相続人たちの会議。
当惑する列席者をよそに、
ランドルフの現況を滔々と語るチャンドラプトラ師だったが……。
時間は不動で終わりも始まりもなく、
過去・現在・未来はすべて同時にあり、
ランドルフ・カーターは
窮極にして永遠なる彼自身の一局面として
あらゆる時代に遍在する――という考え方が興味深い。