群ようこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
れんげ荘シリーズ7作目。相変わらず主人公は幸運ばかりで楽しそうだ。FIRE後も淡々と生活は続いてゆく。久しぶりにおしゃれをして小さな結婚披露パーティーに出たり、いつもの買い物を遠回りして中年太りに対抗したり。心穏やかな出来事ばかりだから読んでいても不安がない。
今回は猫の「ぶっちゃん」が出てこなくて安心した。どうもあのベタついた人と猫のラブシーンが苦手だ。チユキさんの仔犬もしつけてあげないと犬が不幸だと思う。自由放任で良いのは猫だけ。同じ家畜でもそれぞれ生態が違うのに、全部同じ「猫かわいがり」なのが雑に感じた。一点、コナツさんの生活が落ち着いたのは良かった。
ドラマチックな展開もなく常に淡々としているから、まるでテレビを見ているおばちゃんのように、あれこれ突っ込んだり主人公の虫が好かんとか文句たれつつも、どんどん読めてしまうのがすごい。文体に乗せられる。例えるならば柔道の組手でいつのまにか吹っ飛ばされているような。もはや群ようこ節である。
この勢いで2025年出版の最新刊まで駆け抜けてしまいそう。 -
Posted by ブクログ
大企業を早期退職し、貯金をとりくずしながらボロアパートで暮らす独身中年女性の物語。シリーズ6作目。
無職で独身、趣味も恋人も子供もないが、ごく常識的な成人女性は東京でどんな生活を送るのだろう、という思考実験のよう。ただ、今どきアパート内のご近所付き合いはあり得ないし、煩わしい男性が一切出てこないあたりは作者の理想を込めた夢の国なのだろう。
地の文が少なくて会話が多い。ショッキングな出来事もないし、男尊女卑の気配もなく、ひたすら淡々と大人の女性たちが生きてゆくフィクション空間は心地よく読みやすい。変な話、良い意味で大人向けの少女小説のよう。
ただ、続けて読むうちに主人公が嫌いになってきた。どうも猫との距離感に違和感がある。自分がいわゆる「猫狂い」ではないからかも知れないが、主人公のやり取りを読んでいると、猫を動物という他者として尊重するのではなく人格を投影する出汁にしているような感じがどうしてもしてしまう。
養老孟司先生と飼い猫まるのドライでありつつ愛情深い関係性の方が好きだ。動物は動物であり人間ではない。だからどんなに言葉が通じているように見えても人間の思い込みでしかない。その他者性を新鮮に感じさせてくれる存在であってほしい。子供の代用品ではなく。 -
Posted by ブクログ
今回のお話は、
お正月、兄夫婦の暮らす実家で過ごし、姪甥に久しぶりにあったキョウコ。
キョウコは風邪をひき、一日くらいで快方に向かうものの、一人暮らしの自分の今後が不安になる。チユキさんとクマガイさんの優しさにほろり。チユキや兄夫婦から相次いで送られてくる動物写真にちょっと胸焼けがしつつ、会えないブッちゃんのことを思う(今回も会えない)。棟梁と心の中で名付けたフレンチブルと道端で出会う。
甥のケイは、一人暮らしの家で猫と犬を飼い始める。子猫と子犬に夢中の兄夫婦。
チユキさんは、賃貸に出しているマンションの賃借人が退去したものの、汚れてしまいクリーニング費用を半分もってもらいたいが、相手が払ってくれない。不動産関係のオジサン達との会食をセッティングされるも、行きたくない。山に住むパートナーと犬達に翻弄されつつ、山へせっせと通う。
コナツさんは両家の支援を受けて中古戸建を買うが、湿っぽくカビていてリフォームも大変。
クマガイさんは、年下の友人三人を相次いで亡くし、落ち込む。キョウコとクマガイさんとで、クマガイさんおすすめの洋食店で食事をする。毎巻恒例の達観したクマガイさん節がここでようやく発揮される。「今できることを明日に後回ししてもいい。その明日がこなくてもいい。」
ネタ切れ感がすごいし、全然幸せの輪という内容でもなかったような…。
れんげそうシリーズの当初コンセプトを引き継いでくれてるのって、クマガイさんのお言葉だけではないだろうか。
とにかく、キョウコが風邪ひいて…っていう話を引きずりすぎで、ここがすごく長く感じた!
1日で民間療法で回復するのは風邪だとすら私は思わないが…こんな考え方も、現代の競争社会過労社会に影響されてしまってるということなのだろうか。
クマガイさんは、もうお寺の入り口に貼ってあるありがたいお言葉みたいな存在だよね。前半〜中盤ほとんど出てこなくて(いちごくれたくらい)、後半思い出したかのような帳尻合わせでキョウコと食事し、ありがたいお言葉と人生観を残してくれる。
あー、一個謎だったのは、チユキが不動産関係の会食に行かなければならず嫌だと言った時に「必要なことなんでしょう」と言って若干突き放してたことかな。
キョウコの会社員時代の苦い思い出からしたら、「会食だとか必要だとか言って、オジサン達は若く綺麗なチユキさんに会いたいだけでしょ、なんでそんなオジサン達にチユキさんの大切な時間と心を使わなければならないの。チユキさんは不動産のオーナーなんだから、誰にも命令される立場でもないし、行かなくても何もあなた自身は困らないのよ。」くらい言ってあげるんだと思っていたし、立ち入ることが嫌いなキョウコだとしても、言わずとも心の中でモヤモヤする…みたいな描写があってしかるべきだと思ったのだが。
「(財産を)持ってる人は大変、私は何も持ってないから気楽」みたいなノリで、キョウコ冷たいなと思ってしまった…。
文句言いながらも、この先も読みますし、アンチじゃないよ!
こんなふうにアレコレ言いながらも読むのが、楽しいんです。ここまで付き合ったら、キョウコもクマガイさんもチユキさんも私の心の中のお友達。友達って文句言いながらも、気になる存在なのです。