山田蘭のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
なんとも凝った作りの作品。
評価は上下巻を通したもの。
この下巻では現実世界での事件を女性編集者が謎解きをする。上巻の作中作のフーダニットと現実世界の事件のフーダニットが見事に解き明かされるのだが、その鮮やかな切れ味に私は見事に騙され翻弄された。
構成が複雑なので、ミステリーを読み慣れてないと戸惑いを感じる可能性もあるし、上下巻に分かれているのが、登場人物の確認をするのに不便な所でもどかしくもあった。それがリーダビリティを損なったのは残念である。が、それを補って余りある傑作であるのは間違いない。主人公の女性編集者の活躍は良質な冒険小説を読んでいる趣きもあった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。
メールやチャット、音声の書き起こし、小説や脚本の一部がまとめられている形式。
その分、どれが情報として大事なのかわかりにくかったが、最後まで読めば全部必要だったなと感じる。
途中からほんとにオカルトありきなのか?と疑うようになったので、最後の種明かしが面白かった。しかし、毎朝の電話はもうちょっと伏線欲しかったな。説明が唐突に感じたけど、前フリあったけ?読み落としでるかも。
真相については、なぜ赤ん坊が必要だったのか?を考えるとしっくりくる。しかし、ストーリーとしてはそこらへんがぼかされていてうまかった。なぜ?よりも赤ん坊は誰?どこへ行ったのか?をアマンダが追っているので、読者 -
-
-
-
Posted by ブクログ
⭐︎オーディブルにて聴了
全く自分が想像していない人がそれぞれ犯人だったので、聴きながらうっかり「えっ!?」と言ってしまい恥ずかしかった。(外出中だった)
それくらい面白い作品だった。
スーザンの推理力と行動力と好奇心は素晴らしいなと思った。彼女のように正義感が強く懐疑心があり、積極的に物事を取り組むような人は、周りから少し嫌われやすいなと思ったので、自分も気をつけようと思った。(初めて登場人物から色々学んだ。)
最近、ミステリー小説を読むことから遠ざかっていたけどやっぱ面白いなぁと思ったのと、ミステリーはやはり英国じゃないと!と再認識させられた良い作品だった。
-
-
-
Posted by ブクログ
群○象をなでるかのごとき、≪アルパートンの天使たち≫怪事件に触れた人々の証言。この事件を題材に本を書こうと取り組むアマンダは、そんな人々の話から象を特定し、その中の自分が必要な情報を探しだそうとする。犯罪ノンフィクション作家としての伝手や手法を駆使して。
つまり、集英社の紹介文「事件から18年、巧妙に隠蔽されてきた不都合な真相を、犯罪ノンフィクション作家の「取材記録」があぶり出す。」どおり。
アマンダ自身が嘘やらはったりやらを噛まして立ち回る人物なので、他人の嘘やはったりも敏感に嗅ぎ分ける。そんなアマンダがその辺をくみ取りしながら、謎を解いていく過程が読みどころ。
また、同じ事件を追うオリヴ -
Posted by ブクログ
ネタバレ「ポピーのためにできること」の作者、ジャニス・ハレットの本邦二作目。好みのストーリーだったので「ポピー…」を飛ばして今作から読んでみた。
18年前にカルト教団の中で起こった陰惨な事件「アルパートンの天使たち」。その事件録を作るために、作家のアマンダは関係者たちへインタビューを行うが、超常現象としか考えられないことや、関係者たちの証言の違い、果てはインタビューを行った関係者の死亡事故があり。。。
いわゆる、証言や証拠書類だけで構成される作品。ジョセフ・ノックスの「トゥルー・クライム・ストーリー」もだが、この形式の小説はほぼ登場人物の会話だけでできているため、厚さの割に非常に早く読める。
ホラ -
Posted by ブクログ
10作程続く予定の5作目。
作家のホロヴィッツと探偵のホーソーンのコンビの関係性も深くなるのかと思いきや、相変わらずのよそよそしい態度のホーソーンとホーソーンのことを知りたいがために裏で嗅ぎ回るホロヴィッツ。一向に縮まらない二人の距離であるが、その緊張感が良い。
解説で述べられているように、
「『半・作中作』とでもいうべき構造を備えた作品」で、随所に趣向を凝らしてある。ホロヴィッツ本人が作中のホロヴィッツとして登場するため、少々、混乱するといった具合である。(5作目となるとさすがに慣れてきたが。)
ホロヴィッツが自身の小説のために事件を深掘りしていくのだが、小説家の割には観察力も洞察 -
Posted by ブクログ
ネタバレどこかに「名探偵アティカス・ピュント」シリーズが存在することを願わずにはいられない。というか読んでいる最中は、既刊8作が書店に並んでいると錯覚するほどだった!
スーザン編はわずかな導入のみで、ほぼ作中作であるピュント編のみの上巻。小さな村に住む各人の人生が田舎らしく面倒に絡み合う様が丁寧に描かれていて読みやすかった。登場人物をインプットするのに多少時間がかかったけど、ピュントとジェイムズ・フレイザーの2人の調査に同行できたようで楽しい調査パートだった。魅力的な世界観で、たしかにクリスティを思わせる。これで1作としても惜しくない作中作。パディントン発の列車で乗客の死に気付かないジェイムズ・フ -
Posted by ブクログ
ネタバレ上巻から続いて、ピュント編「愚行の代償」で始まる下巻。2度殺される話(1度目の殺人が失敗している話)自体は割とあるけど、そこから復讐に繋がる展開が見事だった。狂気じみた人間が犯人だと面白い。不穏な世界観のなかでも、ピュントの温かみのある人柄にはほっとした。
スーザン編は、1番怪しそうな奴は犯人じゃないのかと思いきや、やっぱり犯人だったという展開。ピュント編と比較すると生々しさが増していて、「いや浮気しすぎやろ」「カスばっかり!」と言いたくなるけど、そんな泥沼人間模様も楽しい。
ピュントもそうだけど、スーザンも推理においてその人の些細な言動から情報を拾い上げることが多くて、かなり洞察力が優 -
Posted by ブクログ
ネタバレシリーズの続きがあることに気づいたので仕事帰りウキウキで購入。この作中作の形式で続編を出せるなんて、天才としか言いようがない。
カササギ殺人事件同様に作中作が丸ごと組み込まれているけれど、導入はスーザン視点で丁寧に描かれていたので前作よりも簡単に読めた。スーザンは相変わらず沢山の悩みを抱えていて、置かれた環境で必死にもがいている姿を見ると応援したくなる。また、前作にいたジェイムズ・テイラーとの再会も嬉しかった。あけすけな性格で、スーザンが好ましく思うのも理解できる(あけすけすぎるけど笑)。
作中作はピュントシリーズ3作目「愚行の代償」で、元妻のメリッサと同姓同名の女優が殺される展開には笑 -
Posted by ブクログ
「やっほー!」がこわい。。(笑)
地の文がなく、すべてメールとメッセージアプリ、供述調書や新聞記事など、膨大なテキストで構成されたミステリ。こういうの好き!
登場人物も多く、しかも翻訳ミステリのためかなかなか名前を覚えられず……好みはわかれるかも。
そして、いろいろなやりとりから徐々に事件の全貌が見えてくるスタイルなので、それを冗長に感じる方も少なくないかもしれません。
が、わたしはその全てが好みだったので、とても楽しめました。だんだん登場人物の名前、関係性やキャラクターが、一覧を見ずともわかるようになってきて、何が起きているのか、このあと起こるのか、ページをめくる手が止まらなかった。
ペ