杉田七重のレビュー一覧
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ロゼッタストーン。そう聞くだけで胸が躍る学生時代を私は送った。古代エジプトの文字であるヒエログリフ解読の歴史ついては、学部生の頃、恩師から「エジプト学史」の授業で学んだ。文字通り、エジプト学の歴史を扱う講義だった。エジプトの面白さは古代史だけではない。トレジャーハンティングの時代を経て、考古学、歴史学的な調査に至るまで、実に興味深いエピソードに溢れているのだ。
本書は、ヤングとシャンポリオンの2人によるヒエログリフの解読レースを克明に追ったものだ。細かいエピソードを積み重ねることで、2人の天才のキャラクターを浮き上がらせている。あまり日の当たることのないヤングにここまでページを割くとは、作者のドルニックはヤング推しなのか。
もちろん、解読の謎解きもエキサイティング。版元がミステリの老舗、東京創元社さんなのもうなずける。実際、ドルニックはアメリカ探偵作家クラブ受賞作家でもある。これは立派なミステリなのだ。たまらん。
実は去る2022年がシャンポリオンによるヒエログリフ解読から200年のメモリアルイヤー。本当なら東京創元社さんは去年のうちに出したかったんじゃないかなと想像している。
なお読んでいて、いくつか誤りに気がついた。たとえば、「大いなる家」ペル・アアのくだりは、ペルとアアが逆に解説されている。他にも王朝名の間違いなどもあった。とはいえ本書は学術書ではない。読み応えのある人間ドラマであり、芳醇なミステリなのだ。やはり、たまらん。 -
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ナポレオンのエジプト遠征で発見されたロゼッタストーンに刻まれていたのは古代エジプトの文字“ヒエログリフ”だった。英仏二人の言語解読レースの行方とは。→
ロゼッタストーンもヒエログリフも知らない真っ白な状態で読み始めた私でも、とても楽しく読めた。エジプトにまつわる話やナポレオンの逸話なども入っていてグイグイ引き込まれた。
ヤングとシャンポリオンがいいんだよなぁ……。ヒエログリフはシャンポリオンが解いたというのが歴史的事実らしい→
けど、ヤングやそれ以外の人たちも関わっていた(というか、影響し合っていた?)のがわかって良き。
ラストの「n」のくだりはゾクリとした。うわぁぁぁ!ミステリ好きはこういうの好きじゃない?私は好きだ!
エジプトについて、文字についてもっと知りたい気持ちが盛り上がる一冊。 -
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★5 彗星衝突のため地球を脱出した少女。睡眠から目覚めると画一的で理想的な社会で… #最後の語り部
■あらすじ
地球にハレー彗星が衝突してしまう西暦2061年の近未来。限られた一部の人間だけが宇宙船で地球を脱出をすることができた。
宇宙船に乗り込んだ主人公の少女ペトラとその家族は、新しい住処である星へ移動するため、380年間の長時間睡眠をしていた。
そして長時間の移動を経てペトラが目覚める。目の前には家族の笑顔があるはずだったのだが…
■きっと読みたくなるレビュー
おもしろいっ
本作、設定自体は地球脱出もので、よくありそうではあります。しかし次々と主人公ペトラに襲い掛かる難題が、読み手を惹きつけてやまないんすよ!エンタメ性が抜群で熱中して、あっという間に読んでしまいました。
何と言ってもペトラが愛おしすぎる。
まだ13歳の少女が、誰も経験したことないような環境に晒され、不安の中で生き抜いていく。完全に親目線で感情移入しまくってしまいました。
誰も助けてくれない宇宙の彼方で、ひとり脳みそをしぼって立ち向かう姿が泣ける。少女の生き抜く術が、おばあちゃんから引き継いだ『物語』というところが、あまりにも慈愛に満ちてる。しかも彼女が物語を語らうシーンは、まるで魔法をかけているかのように幻想的で美しい。
また本書は現代の差別社会の問題が強烈に描かれています。
本書引用、父の言葉「平等は素晴らしい。しかし平等と画一は違う。」
見た目、ルール、価値観を画一的に統一にすれば、過ちは発生しない…どこかの地域にありそうな主義主張。難題にひとり彼女が立ち向かっていく愛と勇気は、新しい大地のように広く、満天の星空のごとく綺麗でした。
■ぜっさん推しポイント
生き残るために知恵を絞るペトラが、おばあちゃんの物語から「強さ」の本当の意味を知る。女の子だった少女から、一人前の人間に成長する姿があまりにも痺れる…
そして物語の後半、ペトラとある人物と対峙するシーン。
心が通じ合う瞬間なんて、なにも語れなくなるんですよね。こんな胸が詰まるシーンは久しぶりです。
これだから読書はやめられない。素晴らしい一冊でした。 -
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ジョージは愛犬ギズモともうすぐサヨナラの時を迎える。その前に、してあげたいことの計画をたてる。一つ一つクリアしてゆく過程は楽しいのだが…
その中で、ジョージが抱える問題(いじめにあっていること、親友マットとの関係、精神的に辛くなると発作が起きてしまう)、両親の問題、そしてギズモを通して知りあったリブの抱える問題、たくさんの大変な問題が見えてくる。
ジョージとマットとの関係は辛い。
マットが大人になろうとして変わってしまった。仕方がない部分もあるが、それまでの親友を新たな仲間といじめるのは最低。
ジョージはマットの変化を受け入れられずに痛々しい行動をする。それが痛々しい。 -
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小学生向きの夏休みのおすすめの本で紹介されていたので読んだ。
まず、主人公ステラの聡明さに驚いた。
11歳でカール・セーガンやアインシュタインの理論を知っていて、ホットサンドとトマトのスープが作れる!すごい。弟との関係はリアル。
彼女がブラックホールに出会って、なんでも吸い込むラリーと過ごして、自分の心に空いた悲しみに気づいていく。
バスタブでブラックホールの中を旅して、目印のステラで特異点のドアを開けたシーンは、幻想的。
と、同時にその特異点のお家のドアは彼女の心の奥底に繋がってるんだろうな。ちょっとうるりときてしまう、素敵な話だった。
とても良い本なのだけど、表紙の挿絵が金髪のまるで白人の女の子みたいに描かれてるのが違うんじゃないかな、と思った。ステラ・ロドリゲスや親戚のセレステおばさんという名前。アメリカの白人というよりスペイン系やプエルトリコ系の名前に感じられた。 -
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ネタバレ面白いと同時に深く考えさせられることが書いてある本だった。
ブラックホールとの出会いから色々なことを経験する中で、お父さんとの関係、弟やお母さんとの関係、自分のおうちとは何か、自分を形づくってるものは何か、、ということを身をもって知っていく様子が描かれている。
お父さんとの冗談ばかりのやりとりが、自分にはリアルで(私もいつも家族としょうもないことを言いあって笑ってるから)、だからこそ、そういうやりとりを思い出すステラの悲しみがすごく伝わってきた。同時にそれだけ大きな悲しみをステラがそれを乗り越えていく様子も、丁寧に描かれていて、納得できる展開だった。 -
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マイケルモーパーゴは、歴史の一コマを取り出して現代の私たちと繋げてくれるのが、なんてうまいのだろう。これまで第2次世界大戦を舞台にした物語を何作も届けてくれているが、毎回切り口が違って、毎回素晴らしい。
イギリス青年のヴィンセントが、子どもの頃出会った忘れられない物語の一場面と一枚のゴッホの絵をきっかけに南仏カマルグを訪れ、そこで知り合った女性ケジアによって過去の物語が語られる。
ロマの少女ケジアと障害を持ったロレンゾの物語は二人の家族の物語であり、第2次世界大戦末期ナチスによって侵略されたフランス田舎町の時代の空気を伝えるものでもある。
その物語の中に占領軍のドイツ兵カポラルを描くことで、軍服の下には血の通った一人の父親がいることを、立場を超えて心が通えることを教えてくれる。
人が戦争をしているときでも、湿原の情景とフラミンゴの生態が変わらずに力強く美しいことに感動する。
その美しい自然の中の人々の愚行や哀しみに胸がしめつけられる。 -
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同時多発爆発事故(事件か事故かは不明)が起きることになる、クリスマスを目前に控えた、昔ながらの個人経営の商店が立ち並ぶ、近くに飛行場のある小さな街の、その爆発から1分前からの出来事を、1秒を1章単位でカウント・ダウンして描いていく、といった異色の作品。
事故の中間報告を掲載したホームページのアドレスまで載っているが、そのホームページの記載内容も含めて、全てはフィクションである。
街の人々の生活と同時に飛行機の中での不審者についても平行して語られる。
この不審者のエピソードものちに重要になってくるのだが、ネタバレになるので割愛。
ただ、ネタバレ、とはいっても、読者は既にここに描かれている人々が1分後に殆ど全員死んでしまうことが判っている。
そう考えれば、これほど無慈悲で残酷な本も珍しいのではないか。
ここでは休暇旅行を楽しみにしている女性、お腹の中から蹴ってくるこれから生まれてくるであろう赤ん坊をいつくしむ母親、バスの中で大騒ぎする子供たち、母親の井戸端会議を尻目に拙い歌を披露する幼い子供、娘に会うことを心待ちにしている老人、不倫をしている男とその妻、そしてその愛人、認知症の老婆、物乞いの男、久しぶりに再会することになる恋人たち、そういった人々のことが語られている。
なんの変哲もない日常がそこにある。
そこには、僕自身に重なるような人物もいるし、あなた自身に重なるような人物もいるかもしれない。
あるいは自分の母親、父親、兄弟、姉妹、友人、それらに重なるような人物がいるかもしれない。
読者はそんな登場人物たちが、1分後には悲惨な状況で死んでしまうと判っていても、助けることもできなければ、「逃げろ!」と警告を発することも出来ない。
ただただ死に向かってのカウント・ダウンを数えることしか出来ない。
どんな人生を歩んでいようが、どんなに幸せだろうが、どんなにうしろめたいことをしていようが、どんなに夢や希望を抱いていようが、死はそんな個人の都合にはかまうことなく「一括」で処理されてしまう。
そうか、爆弾テロや自爆テロって、こういうことなのだろうな、と思わずにはいられなくなる。
偶然が重なり助かった人や、娘を亡くしながら助かった母親(ただし瀕死の重傷を負う)等もいるが、10名の12~13歳の子供たち、5名の2~3歳の幼児たちを含め、全65名が死んでしまうことになる。
そんな子供たちや幼児たちも含め、登場人物が多数出てくるので、それぞれに深く人物を描くことは出来ていないが、それでもこれだけの登場人物をそれぞれにきちんと描き分けることは出来ていると思う。
また、それぞれの人物の描き方が、終焉を迎えるにつれてどんどんと短くなり、終わり近くの章では、次々に視点が移り変わっていくのだが、それにより、より緊迫感が増してくる。
自爆テロなどのニュースでは「被害者は○○人です」と簡単に纏められて報道されることが多いが(特に海外での事故など)、実際にはそんなに簡単に語れることではないんだよな、と改めて思い知らされる。
読み終った後に、実に色々と考えさせられた作品だった。
星五つは、読み物として、というよりも、この特異な読書体験に対して。 -
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(おすすめのポイント)
・セーラは父と母が亡くなってしまい、貧乏で、悲しい生活の中でも優しい心を忘れず、他の貧乏な下働きの人に食べものを分けてあげるところです。
・最初はお金持ちだったセーラ。でもお父さんが亡くなってしまい、セーラは夜おそくまで働かされます。でもクリスフォードさんに助けられていたり、そこがおもしろかったです。
・セーラという女の子が、新しい学校に転こうしてきていじめられます。でもセーラはいじめをのりきって成長していきます。ふしぎなこともあって、おもしろい作品です。
・私は、セーラが貧乏になっても、ずっと、いつまでも王女様の気持ちを忘れずに、やさしくしていたのでとてもいい人だと思ったからです。 -
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ロンドンの寄宿学校に特別寄宿生としてやってきた富豪のクルー大尉の一人娘、セーラ・クルー。誰に対しても優しく、素敵な物語を作るのが得意な彼女は、まるでお姫様の様に贅沢に過ごしながらも決して高飛車になることなく、たちまち皆の人気者に。同級生のアーメンガルドに小さなロッティ、召使いのベッキーと仲良くなる彼女に、しかし悲劇は唐突に訪れる。クルー大尉が亡くなり、無一文で身寄りのない孤児となってしまった!? まさに天から地へ落ちるが如く一変し、まるで奴隷のような生活を強いられてしまうセーラ。しかし持ち前の想像力でどんな苦境も乗り越えていく彼女に、ある日信じられない奇跡が起こり――
世界的に名作なバーネットの一編がついにつばさ文庫に登場。以前は「秘密の花園」を読みましたが、「秘密の花園」以上にこの「小公女」は私の姉が大好きな作品で、前からちゃんと読みたいなと思っていました。姉と話がしたかったので。ダイジェスト版で何となくストーリーは知っていたり、あと09年に放送された志田未来ちゃん主演のドラマを見ていたりしたのですが、ちゃんとしたのを読んだのは初めてです。普通のつばさ文庫よりも文字がびっしりでひょっとすると完訳に近いかも?
最初はセーラが完璧超人過ぎて、読んでいるうちに自分が好きなのは、と言うよりもむしろ興味があって自分が描いてみたい、内面を掘り下げてみたいと言う人物は、ラヴィニアとかミンチンなど意地悪な方なんだなあ、と感じたり。セーラをついつい妬ましく思ってしまう、そういうのってすごく人間臭い、自然な心の動きですよね。だから自分は「人間臭い」キャラクターが好きなんだなって。セーラが(まるで八犬伝の八犬士が「仁義八行の化け物」と呼ばれたようにではないけど)まるで人間離れしてるとかそういうことを言っているのではなくて、他で言うと落語とか、自分の好きな文芸や芸能では私達に近い人物(卑小な人物)が主人公となっているから、そう言う小さい人物にある物語ってのを自分はより好むんだろうなと思いました。そちらの方がより説得力があると言いますか。
思わず落語が出たけど、セーラが自分の語る物語に自分でも熱中してしまうところはまるで噺家のようだ(笑)と思ったりw ああそう、さっきの文脈で言うとセーラよりも「秘密の花園」のメアリの方がどっちかと言うと好きです。でもセーラも好き。だけどセーラだってメアリみたくなる可能性はあったわけで、そうならなかったのはクルー大尉の育て方が良かったのか、それともセーラ自身持って生まれたもので何か違っていたのか、という。でもセーラだって全部素晴らしく出来た完璧超人と言うわけでなくて、ちゃんと怒ったり、ミンチン先生を嫌いだと思ったり、もう駄目だと思ったり、エミリーに当たったり、そういう負の面も書かれてて(当たり前なのかもしれないけど)よかったです。「プリンセスのように」とよく書かれるけど、それは人として誇り高くあれ、どんな過酷な状況においても希望を捨てるな、諦めるな、夢を見続けろ、そういうことなのだろうなと思いました。特に好きなのはアンにパンをあげるところ。じわっときました。あとドナルドからの6ペンスを貰ってしまうところとか。自分もこうだったのだ、とあさましく思うところ。セーラ以外ではアメリア先生がミンチン先生に最後ぶちぎれるところとかすごく好きです。それとラストシーンのパン屋でのアンとセーラもすごく。
「小公子」もその典型だけどこの「小公女」も一種の貴種流離譚で、でも最後には(勧善懲悪と言うわけじゃないけど)スカッと胸がすくわれる、報われる話なのできっと日本人ウケがいいんじゃないでしょうかこの話。私もセーラのようにどんな苦境においても相手を想える想像力や誇りや夢、希望を失わず生きていきたいな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ巨大な爬虫類の存在は想像もされず、絶滅という概念すらなかったヴィクトリア朝のイギリスの人々。彼らはどのように“恐竜”を発見し、数億年の世界を想像し、そして、世界は6000年前に神が人間の為に創造したと言う当時の常識と恐竜の存在に折り合いをつけたのか。
貧しい女性の化石ハンター メアリー・アニング。階級も低いし女性って事で無視される…。この辺りの話を聞くと紳士ってなんだろうっていつも思う。
この前の『オオウミガラス』でもあった“絶滅”という概念が無かったり、聖書の世界との折り合いとか色々面白い。
ダーウィンの話も読んでみたくなった。 -
ヤギの睾丸を移植した男
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