杉田七重のレビュー一覧

  • 怪盗紳士モンモランシー

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    19世紀イギリス。逃亡中の失敗で、全身に瀕死の重傷を負ったモンモランシー。外科医の実験台となる事で奇跡的に回復し無事、刑期を務めた後、出所となった。「お金持ちになる!」の野望を胸に、獄中で練り上げた計画を実行に移す。紳士と泥棒の二重生活が始まった。無数に走る下水道を駆使して鮮やかに宝石店を襲う様や、全くの別世界だった紳士としての嗜みを習得していく様子がとても面白い。様々なピンチも訪れるが、恵まれた運や知恵を絞って躱していく。ヨーロッパを巻き込む陰謀に関わるなど意外な展開を見せたラスト、続きが気になる!

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    2021年10月30日
  • ブラックホールの飼い方

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    ネタバレ

    面白いと同時に深く考えさせられることが書いてある本だった。

    ブラックホールとの出会いから色々なことを経験する中で、お父さんとの関係、弟やお母さんとの関係、自分のおうちとは何か、自分を形づくってるものは何か、、ということを身をもって知っていく様子が描かれている。

    お父さんとの冗談ばかりのやりとりが、自分にはリアルで(私もいつも家族としょうもないことを言いあって笑ってるから)、だからこそ、そういうやりとりを思い出すステラの悲しみがすごく伝わってきた。同時にそれだけ大きな悲しみをステラがそれを乗り越えていく様子も、丁寧に描かれていて、納得できる展開だった。

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    2021年08月03日
  • 秘密のノート~JELLY~

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    前半はとにかくつらかった。

    でも、レノンの登場以降、主人公ジェリーの気持ちが救われたことに安堵し、また悪い流れになったときは涙が出そうになるなど感情移入して一気に読み終えました。

    この本に出会えてよかった!

    これも、日本語のタイトルと表紙がよかったと思います。原書はちょっと重すぎる…。

    中学生に読んでほしい。

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    2021年06月20日
  • フラミンゴボーイ

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    マイケルモーパーゴは、歴史の一コマを取り出して現代の私たちと繋げてくれるのが、なんてうまいのだろう。これまで第2次世界大戦を舞台にした物語を何作も届けてくれているが、毎回切り口が違って、毎回素晴らしい。
    イギリス青年のヴィンセントが、子どもの頃出会った忘れられない物語の一場面と一枚のゴッホの絵をきっかけに南仏カマルグを訪れ、そこで知り合った女性ケジアによって過去の物語が語られる。
    ロマの少女ケジアと障害を持ったロレンゾの物語は二人の家族の物語であり、第2次世界大戦末期ナチスによって侵略されたフランス田舎町の時代の空気を伝えるものでもある。
    その物語の中に占領軍のドイツ兵カポラルを描くことで、軍

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    2020年03月03日
  • 最後の1分

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     同時多発爆発事故(事件か事故かは不明)が起きることになる、クリスマスを目前に控えた、昔ながらの個人経営の商店が立ち並ぶ、近くに飛行場のある小さな街の、その爆発から1分前からの出来事を、1秒を1章単位でカウント・ダウンして描いていく、といった異色の作品。
     事故の中間報告を掲載したホームページのアドレスまで載っているが、そのホームページの記載内容も含めて、全てはフィクションである。
     街の人々の生活と同時に飛行機の中での不審者についても平行して語られる。
     この不審者のエピソードものちに重要になってくるのだが、ネタバレになるので割愛。
     ただ、ネタバレ、とはいっても、読者は既にここに描か

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    2018年01月04日
  • 小公女セーラ

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    (おすすめのポイント)
    ・セーラは父と母が亡くなってしまい、貧乏で、悲しい生活の中でも優しい心を忘れず、他の貧乏な下働きの人に食べものを分けてあげるところです。
    ・最初はお金持ちだったセーラ。でもお父さんが亡くなってしまい、セーラは夜おそくまで働かされます。でもクリスフォードさんに助けられていたり、そこがおもしろかったです。
    ・セーラという女の子が、新しい学校に転こうしてきていじめられます。でもセーラはいじめをのりきって成長していきます。ふしぎなこともあって、おもしろい作品です。
    ・私は、セーラが貧乏になっても、ずっと、いつまでも王女様の気持ちを忘れずに、やさしくしていたのでとてもいい人だと思

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    2019年01月30日
  • 小公女セーラ

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    ロンドンの寄宿学校に特別寄宿生としてやってきた富豪のクルー大尉の一人娘、セーラ・クルー。誰に対しても優しく、素敵な物語を作るのが得意な彼女は、まるでお姫様の様に贅沢に過ごしながらも決して高飛車になることなく、たちまち皆の人気者に。同級生のアーメンガルドに小さなロッティ、召使いのベッキーと仲良くなる彼女に、しかし悲劇は唐突に訪れる。クルー大尉が亡くなり、無一文で身寄りのない孤児となってしまった!? まさに天から地へ落ちるが如く一変し、まるで奴隷のような生活を強いられてしまうセーラ。しかし持ち前の想像力でどんな苦境も乗り越えていく彼女に、ある日信じられない奇跡が起こり――

    世界的に名作なバーネッ

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    2013年07月24日
  • 時計島に願いを

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    トラウマをかかえた子どもを引きつける『時計島』シリーズ。過去、現実からのがれたくてその島に押しかけた子どもたちが何人かいた。そして今、大人になったその子どもたちがふたたび時計島に呼び寄せられ、新たなゲームがはじまる。

    各人がおのれのトラウマと向き合いつつ、ゲームを進めていく展開。でも、バトルロワイヤル的な陰惨さはなく、むしろ絆がうまれていくのが読んでいて好もしい。正直、ちょっとひねりをきかせたロマンス小説じゃねーかと思わなくもなかったけれど、それはそれでいいというか、さわやかな読後感でした。

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    2025年12月01日
  • タイガー

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    身分制、奴隷制が存続した大英帝国が舞台のディストピアファンタジー。絶滅したはずの〈タイガー〉が少年の前に現れ、世界を変える力のある「守護者」をさがすよううながす。

    ディストピアのあり方や、タイガーの導きなど、さほど目新しい感じはしなかったのだけど、デイヴ・マッキーンのさし絵がとにかくすごくて、本全体としての中身と姿形とが絶妙に仕上がった1冊。これは紙版で買って損はないと思わされた。

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    2025年12月01日
  • ヒエログリフを解け ロゼッタストーンに挑んだ英仏ふたりの天才と究極の解読レース

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    ネタバレ

    1000年以上誰も読むことができなかった古代エジプトの謎の文字“ヒエログリフ”。

    ロゼッタストーンの発見から解読まで。
    未知の文字を解読することの難しさ、そもそも文字なのか?とか表音?表意?とか考えてみたら、難しすぎる作業。シャンポリオンが最終的に解読した話は知っていても、ワクワクして楽しい読書だった。
    ただ、シャンポリオンがなかなかの性格なので、ヤングに頑張って欲しいって思ってしまう…。

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    2025年11月25日
  • ヤギの睾丸を移植した男

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    科学の中にある真実、人間の中にある真実。
    教養のあるエリート層はフィッシュベインの正義を支持するし、他方、画期的な若返り術を受けたい人々はブリンクリーを信じようとする。
    本当は、みんながフッシュベインの側について、エビデンスのない医療を撲滅するのが望ましいんだけど、素晴らしく力強い論評力を持つブッシュベインをもってしてもブリンクリーを上手く抑えられなかったのを読むと、騙されやすい人々の意識は決して変えられないのだと痛感させられる。
    でも、そうした騙しの医療が猛威を振るっていたからこそ、ブッシュベインの公衆衛生にかけた正義が燃えに燃え盛っていたこともまた事実。
    公的機関が公平な社会のための一応の

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    2025年11月18日
  • ヒエログリフを解け ロゼッタストーンに挑んだ英仏ふたりの天才と究極の解読レース

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    とても面白かった。序盤はなかなかヤングとシャンポリオンが登場せずヤキモキしたが、ロゼッタストーンについての説明なども必要だから仕方ないか。

    万能の天才ヤングとエジプトに魅せられたシャンポリオン。ヤングがヒエログリフの解読だけに専念していたら結果は違っていたのだろうか。
    雑学的に登場する他の登場人物も興味深く、掘り下げて知りたくなった。

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    2025年11月09日
  • 時計島に願いを

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    時計島に住む作家ジャックから,昔時計島に家出したことのある子供,今は大人になった4人に招待状が届く.新しい本の版権を争って謎解きゲームが始まる.
    主人公のルーシーは両親を亡くしたクリストファーを養子にするため頑張るが、というお話.ただ願うだけではなく勇気を持っておそれに立ち向かうこと.物語の主張ははっきりしていてブレないし,複雑な生い立ちの状況も考えさせられ,工夫を凝らした島の様子も楽しい.なぞなぞを考えるも全くわからなかった.

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    2025年10月11日
  • 最後の語り部

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    タイトルからは想像出来ない内容だった。
    「過去の間違いや過ちを忘れずにいて、子どもや孫たちの未来がより良いものになるようにするのが、われわれの務めだ。」
    過去を消去するのがいいのではなく、反省し改善に努めていくべきというのが印象に残った。
    ただ忙しく立ち働くだけ。……一糸乱れぬ流れ作業には、彩りも面白味もない。
    効率だけで心を動かさない世界に足を踏み入れたくないないと感じた。

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    2025年10月05日
  • ヒエログリフを解け ロゼッタストーンに挑んだ英仏ふたりの天才と究極の解読レース

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    ノンフィクションに苦手意識があったので、読めきれるか不安を感じながら読んだ。
    読んだ感じとしてはあまりノンフィクションとは感じずに読むことが出来た。
    解読がなかなか進まなさと本の長さにやるせなさを感じ、読書が進みにくいところもあった。

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    2025年09月26日
  • 時計島に願いを

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    ネタバレ

    これ児童書なんだ。
    面白かった。
    大人である私としては、ルーシーとアンジーの対面したところが1番印象に残った。
    姉妹だからこそ、思う事がありわだかまりに繋がっていたのだろうし、許せない気持ちもわかるが、ルーシーなりに受け入れたところがウルッとした。

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    2025年09月23日
  • 時計島に願いを

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    昔子どもだった大人が読む大人へのファンタジー。
    最後はちょっと出来すぎなほどのハッピーエンドだけれど
    途中はシビアな現実問題も描かれる。
    時計島やヒューゴの描いた絵を想像するのも楽しく
    けっこう長編だけれど
    次が気になってサクサク読める。

    待ってても世界は変わらない。
    まずは自分の真の願いに気づいて
    それが叶うように願って
    努力して
    怖くても勇気を出して1歩進む。
    子どもも子どもだった大人もがんばりましょう!

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    2025年08月16日
  • 時計島に願いを

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    最初はなかなかページが読み進める事が出来なかったのですが、どんどん引き込まれて幸せな気分で気持ちよく詠み終えることができました。

    人気作家が、少年少女時代に実際に「時計島」にやって来た4人の男女を招き、新刊の版権争奪戦ゲームをさせる。
    登場する人物は、其々に過去の苦い経験や、その事から生じている悩みを抱えている。
    登場人物それぞれが自らの恐怖と向き合い、前に進む姿に心揺さぶられました。


    作中に出てくる時計島の物語の中のことば
    響きます。ささります。
    「勇敢な子こどもだけが、願いを叶える事ができる」
    「願うだけでは充分ではないことを勇敢な子どもだけが知っている」
    「願いを叶えるためには自分

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    2025年07月12日
  • 海賊たちは黄金を目指す 日誌から見る海賊たちのリアルな生活、航海、そして戦闘

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    面白かったーー。
    マンガ「ダンピアのおいしい冒険」読者はみんな読んだ方が良いと思う。
    以前、この漫画のもとになったダンピアの手記は楽しく読んだのだけど、この本で書き手の個性もよくわかった。
    戦闘の様子はあまり触れずに、植物動物のことばっかり書いてるダンピアさんよお。

    複数の手記を横断しながら海賊たちの事実に迫る記録という体裁で、この本ではほぼ主役のリングローズ、準主役のダンピア、シャープ、ウェーファのみならず、ソーキンズがどんな人だったか、などもよくわかる。
    (リングローズはもっとも中立的に、かつ筆豆に書いていたからこの本では中心人物になったのかも)

    スペイン人に対して、残虐は残虐なんだけ

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    2025年06月30日
  • 時計島に願いを

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    読み終わったそばからまた読み返したい。読み終わってしまったことを認めたくない。時計島に戻りたい。
    これはもう、私にとって忘れられない児童文学になりました。これがデビュー作…!!

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    2025年05月16日