杉田七重のレビュー一覧
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ネタバレSNSでおすすめされていたのを見て、読んでみました。プロローグから引き込まれました。最後の方までどうなるかわからず、飽きずに楽しく読めました。読後感もとても良かったです。
英語ならではのなぞなぞの訳し方も、なるほどと参考になりました。
ただ196ページの
You can roll there but not rock.は
「揺れてもいいけど、転がっちゃダメ」ではなく
「転がってもいいけど、揺れちゃダメ」が正しいのではないかなー……?と思いました。
rollが転がるで、rockが揺れるという意味なのでは……?
まぁ、ここでの日本語訳はあまり内容に影響はないのですが…… -
Posted by ブクログ
地球の記憶をもつ唯一の少女ペトラが、恐ろしい計画を実行しようとする大人たちを相手に静かな戦いを挑む。物語の力を信じる「最後の語り部」としてーー。
おばあちゃんから語ってもらった物語に力をもらい、リスクを背負って行動し続けるペトラの姿に胸を打たれました。ペトラ自身も物語を語ることを通して、子どもたちを救おうとします。
読んでいると喉の奥のほうから熱いものが込み上げてくるような場面が何度かあり、本を一度閉じて、しばらくその気持ちをゆっくり味わっている自分がいました。読み終わったときも同じことをしました。こんな体験をさせてくれる本が先生は好きです。大好きな本として心に浮かぶのは、先生の場合、こういう本です。
ペトラは地球の記憶を忘れているように振る舞いながら秘密裏に動く必要があります。バレてしまうと記憶を消されるか、亡きものにされるからです。しかし、その秘密が見破られそうなピンチも何度も訪れるので、ものすごくハラハラします。
実をいうと、先生は怖がりなので、ピンチに差し掛かったときも本を一度閉じて、気持ちを落ち着かせてからまた読み始めました。この本を読むときは、基本的にずっとハラハラしながらどんどんページをめくっていました。でも、喜びが溢れることも、勇気をもらうことも、感動で胸が熱くなることもありました。クライマックスは特に。
物語がもつ力、それを語るすばらしさを感じられるお話です。「物語」が主題の物語なので、司書としてはなおさらみんなに読んでほしいです!
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すばらしかった。感動した。喉の奥のほうから熱いものが込み上げてきた。ペトラが物語の力を信じて語り部たろうとする意志の強さ、リスクを負って子どもたちを救おうとする勇気と覚悟が心を打った。
そして何より、物語のすばらしさを力強く描いているのがこの本の大好きなところだった。ペトラ自身がおばあちゃんの語りからどれだけ力をもらっているか…。大事な決断の場面で、ペトラの心にはいつもおばあちゃんのお話が浮かんでいる。そして、ペトラ自身も「最後の語り部」として宇宙船の子どもたちを励まし、慰め、そして本当の彼らを呼び戻している。
ペトラの語りを聞きながら引き込まれていく子どもたちの様子がいいなあ。語りの途中に子どもたちの言葉やペトラの思考が挟まれる描写があってすごく臨場感がある。地球の記憶を唯一もつペトラの語りによって、子どもたちが奪われた記憶を取り戻していくのかもしれないという期待感にページを読む手に力が入った。
地球にいた頃の記憶を取り戻す場面は、本当に感動的。ついにペトラの願いが届いた喜びや、真実や思い出を分かち合えない孤独なペトラに心強い味方ができた喜びも溢れて、胸がじんじん響いた。
ペトラは、記憶をもつと絶対悟られないように、組織に絶対忠実であると思われるように振る舞う必要がある。だから、それが見破られそうなときはすごくドキドキする。ペトラはピンチを何度も切り抜けていくのだけれど、そうした場面はひどくハラハラして、何度か意識的に本を閉じて没入感を解かないと耐えられなかった。自分が怖がりだからだけど、ちょっと怖い話が好きな子にはいいかも。基本的には宇宙船に乗り込んでからずっとスリル感がある。
ハビエルの手のほくろが、ああいう形で生きてくるんだなあー。その人物特有の特徴を描写して、はっきり書かずとも読者に確信させる「作家の技」は、子どもたちと共有できるといいかも。 -
Posted by ブクログ
ネタバレマイケル・モーパーゴさんの作品は大好きでたくさん読んでる。ほとんどの本が戦争が背景にある。
今回の『ガリバーのむすこ』も同じで、アフガニスタンに住む少年オマールは戦争のせいで爆撃で父を亡くし、妹も行方不明になった。難民となり、イギリスへ向かうが途中で船が転覆し気を失う。気がついた時は体を動かそうと思っても動かせない。自分の体の上には小さな人が立って分からない言語で話してくる。本当にガリバーみたいなお話。そこではオリバーはガリバーの息子として接せられることになる。
戦争は大切な人が死に誰も平和にならない。戦争は起こすべきではないことが、この作品を通し感じられた。それと共に作品の中に登場する人々の関わりが温かく、優しくなれるような気持ちにもなった。やっぱりマイケル・モーパーゴさんの作品は好き。 -
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母さんと別れ、ボートに乗り込んだ難民の少年オマールがたどり着いたのは小人の国だった。そこは、300年前に「ガリバー」が訪れたリリパット国で……。とびきり楽しいお話の中に平和を実現するための鍵を閉じ込めた、今読んでおきたい作品。子どもたちにぜひ手にとってほしい。
「まるで病原菌のように、戦争はあらゆる人間をほろぼす。その病気を治療する薬は善意と思いやりと理解しかないと、ガリバーはいっていました。」
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奇想天外な設定で面白さを出した賑やかな話なのかなぁと思いながら手にとったが、さすがマイケル・モーパーゴさん。面白さの中に心にズシリと響くものを描いている。特に、リリパット国とブレフスキュ国の間に平和の橋をかけたガリバーの力の込もった言葉と行動は、今まさに世界が直面している問題と重ねながら読まざるをえず、ぐいぐい引き込まれた。
「難民」であるアフガニスタン人の主人公オマールが抱える寂しさや困難も身に沁みる。だからこそ、「帰る家のある幸せ」や「家族と共に暮らせる幸せ」を確かに実感することもできた。母と同じボートに乗れずに別れなければいけない序盤の場面は胸が痛むが、それがクライマックスの幸せにしっかり結びついていくところもいい。
手こぎボートで単独世界一周に挑戦するジェイジェイに助けられたオマールと小人たちが、摩訶不思議な体験を後日談としてジェイジェイに語る構成もとても楽しい。第4章までが後日談。そしていよいよ第5章で、ジェイジェイとともに、オマールのこれからの人生を切り拓いていく場面に立ち合うことができたのは嬉しい体験だった。
「わたしたちは、おたがいのことを思って生活しなくちゃいけない、そうですよね?」とジェイジェイが語る場面は、そこまで読み進めてきた読者にしかわからない重みがあった。 -
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イギリスの海賊バッカニアの物語。海賊達の日誌や記録をベースにしたノンフィクション。海賊といえば、よく映画に登場する荒くれ者で金銀などの財宝に目がくらみ 残虐行為も辞さない恐ろしい人達というイメージがあった。当然、世間のルールは無視、一般社会とはかけ離れ、上下関係の厳しい世界を想像していたが、重要な決め事は多数決、指導者は選挙で決める民主主義的な世界だったようだ。逆に掟を破ると追放されるし、船という狭い世界においては逃げ場がないので、それは当然の帰結だったのかもしれない。また航海は必ず記録を取り、各人が航海日誌をつけていた。海賊の中には、医者がいたり、博物学に詳しい人物(ウィリアムダンピア)もいた。数世紀後の私達が、この航海を辿ることができるのも彼らの記録があったおかげだ。
この本では、ウィリアムダンピア等数名の経歴、海賊になった経緯、カリブ海からパナマ、ペルー周辺の海賊活動、ライバル国スペインとの戦い、その後の逃避行、南アメリカ南端を回ってカリブ海諸島に到達し、本国へ帰還するまでの状況を細かく紹介しており、大変面白く読めた。
著者は数名の航海日誌を相互参照し、彼等の行動や考えを詳細に検証して、多少の推測も含めているが、大変信憑性の高いノンフィクションとなっている。強大なスペインに立ち向かうイギリス海賊も、スペインとイギリスが友好関係を結ぶと立場が微妙になる。海賊たちのその後の人生もいろいろ。自分の航海日誌を元に本を出版した ウィリアムダンピアは、合計3回も世界就航し、何度も危機に会いながらも生還して博物学にも大きく貢献。彼は海賊という カテゴリーを大きく超越した人物だった。 彼の波乱の人生を見ると、幸運な人物というのはこういう人のことを言うのだろうと思った。とにかく面白い本で翻訳も大変読みやすかった。 -
Posted by ブクログ
児童図書と言っても、
私に取っては
骨太でずっしりとくるテーマでした。
所々にセント・キルダの言い伝えが
美しい言葉とともに描き出されて
とても味わい深かった。
世界のはてという絶景の様子もまざまざと
目前に広がっているように感じられ
その表現の素晴らしさは
岩島での過酷さを体感として迫ってくるようで
とてもとてもつらかった。
一体、この話はどこへ辿り着くのだろうと
恐ろしかった。
実話がベースになっていたとは驚きです。
主人公クイリアムの母の言葉に
「壺いっぱいの善意と清潔な耳があれば
どこにいたって幸せでいられる。」
というのがありました。
読んでいる途中でつらい時
私自身、その言葉で励ましていました。
瑞々しい若い頃に読んだなら
確実に自分の価値観に影響を与える一冊になったような気がします。
もちろん、今、瑞々しくはなくても
大いに自分の価値観に刺さる一冊になりました。