杉田七重のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ泣ける小説でした〜!
児童書「時計島シリーズ」。選ばれた4人の男女。
本で読んだ時計島に招待され、ゲームに勝てば巨額の富が手に入る。あらすじはチャーリーとチョコレート工場そっくり。でもファンタジー要素はなくて現代、現実の物語。
登場人物みんな重めの過去や悩みがある。
みんなが幸せになれてすごくよかった。
ジャックが浮世離れした人物にみえて実はとても幼くて人間的なところもいいですね。
最後に時計島シリーズが並ぶのもいい。
物語の力と、物語が現実に影響を与えることがテーマで、ハリーポッターや児童書が大好きなわたしにはささりまくりでした。
ルーシーとヒューゴの恋愛要素はいらなかったかなとは思いましたが。 -
Posted by ブクログ
アウシュヴィッツ収容所を体験した人々に取材を続けている新聞記者が、いつものようにダヴィドへのインタビューをしていた。いつも通りに終わろうとしたところ、インタビューの終わりに、彼が「収容所に恋人がいたんだ。」とぽつりと呟いた事がきっかけでこの本が作られることになった。
スロバキア出身のツィッピという女性と,ポーランド出身のダヴィドという男性が出会い、恋をするノンフィクション作品です。
過酷な状況でも、危険を犯しても、人は恋をすることを求めるのだなと思った。むしろ危険な状況でいつ自分の命も無くなるか分からない極限な状況だからこそ、少しの時間でも大切にしたいからなのかもしれない。
恋物語もだが、この物語では、収容所のような人を人とも思わないような過酷な環境の中でも、ツィッピは生きる事を諦めずに、持ち前の語学力とコミュニケーション力、過去に学んできたデザインの知識を活かして、収容所の中で個室を与えられ、特別な待遇を受けるようになり、何人ものユダヤ人を裏で救っていた事に驚いた。
ツィッピは、ユダヤ人のカティアという女性と共に(彼女も簿記ができることと、たまたま看守側に自分に好意を持っている知り合いがいたことで特別待遇になる)ガス室へ送る予定の収容者の番号を使われなくなった既に死んだ収容者の番号にすり替えて、必要な死者数に達してるように見せかけたり、弱っている女性がガス室に送られないように匿ったり、バレないように慎重に収容所の人々を救っていったのだ。
ツィッピも、カティアも2人とも当時の女性としては知識や教養があった事で、収容所での事務仕事をこなせる貴重な人材として重宝された。どんな過酷な環境でも生きる事を諦めないことと、持って生まれた体力と気力、教養、運、全てを兼ね備えた人だけが生き延びる事ができたのだと思い知らされる。
物語自体は沢山の死人が出て悲惨なものですが、ツィッピとダヴィドを通した視点が常に明るく前向きで、読んでいてそこまで暗い気持ちにはならない不思議なノンフィクションでした。 -
Posted by ブクログ
アウシュビッツ収容所の過酷な生活描写に、強い衝撃と悲しみを感じた。極限状態の中で人間の尊厳が奪われていく様子に心が痛んだ。
一方で、そのような環境の中でも恋愛が存在していたことは印象的だった。人はどんな状況でも愛を求め、また愛によって癒しや生きる気力を得るのだと実感した。
気づき
教養や専門性など、自分が持つ知識や能力が、極限状態においても生き延びる手段になり得ることに気づいた。ただ生きるだけでなく、「何を持っているか」が生死を分ける可能性があると感じた。
これから考えたいこと
なぜドイツ全体がユダヤ人を迫害する思想へと傾いていったのか、その背景をより深く理解したい。
また、このような思想は決して他人事ではなく、自分自身も同じような思考に陥る可能性があるのではないかと考えた。過去の歴史を学び続けることで、同じ過ちを繰り返さない姿勢を持ちたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ映画を見て、原作があることを知り読んだ。
映画では離れていてもお互いを思いあっている描写が多かったけれど、本ではそれほどでもないというか、離れている間にもそれぞれに出会いと別れがある、という表現として受け取った。
特にドッグは新しい出会いがあっても長続きしなくて、新しいロボットを向かい入れたことで安定した付き合いが始まるのかな…と思ったり。
ロボットのモデルがラピュタの巨人兵というのも本で知れて良かった。
小4の息子に感想を聞いたら、お母さんがドッグで自分がロボットという視点で見ていたそうで、「いつの間にか自分じゃない新しい人が来ている感じ」と思って恐かったという感想だった。 -
Posted by ブクログ
千年以上誰も読むことの出来なかった、古代エジプトの文字、ヒエログリフ。
その解読に挑んだのが、イギリスのヤング、フランスのシャンポリオンという、2人の天才だった。
ヒエログリフが刻まれたロゼッタストーンが発見されたのは、ナポレオンのエジプト遠征がきっかけだったのは知らなかった。ナポレオン、意外なところで役立ってる。
この本の前半は、ロゼッタストーン発見の経緯やら、ヒエログリフのなんたるかや、オベリスクを3年かけてイギリスに運んだお金持ちや、貴重な手がかりを探り当てた盗掘犯(笑)やら、脇の話が豊富。主役の2人はあまり出てこないのに、すこぶる面白い。
そして、ヤングとシャンポリオン。2人はライバルであり、協力して解読作業に当たったわけではないけど、どちらかが欠けていたら解読は不可能だったのでは?という関係性が良い。
天才が頭脳をフル回転させてヒエログリフに立ち向かう様は、凡人には、「すごい」としか言いようがない。ヤングは、ヒエログリフ以外にも様々な分野の研究をしているけど、シャンポリオンはヒエログリフ一筋!エジプト愛が溢れ出ている。
2人が辿った解読の行程をわかりやすく解説してくれるので、へ〜、とか、なるほど〜、のオンパレード。まさに、知るは楽しみなり、だ。
ザックリ言うと、ヤングが突破口を開き、シャンポリオンが知識と閃きで深堀りし、ヒエログリフはほぼ解読に至る。しかし2人とも、「もっと時間があれば!」と思いながら生を終えた。まさに死の間際まで執筆や研究をやり遂げたのに、アウトプットし切れなかったのは天才ならではなんだろう。
私が印象に残ったのは、「(文字を)書くことの発明は、知的な大発明の中でも最大級であると言われている」。という一文。確かに。話すだけでは、未来へ何も残せない。書く事で記録したからこそ、昔に何があったのか、私たちが知ることができる。書いて、読めるっていうのは、すごい事なのだ。
それはそうと、我が家の冷蔵庫には、私がエジプト展でお土産に買ってきた、ロゼッタストーンのマグネットが貼り付いている。いつか本物を見てみたいものだ。 -
Posted by ブクログ
貴重な当時の海賊日誌をまとめストーリー仕立てにした本。こんなひどいことをと思いつつ、こんな生活をしないと生きていけない時代だったのだろうなと想像しながら読みました。恵まれた今の日本に生まれた人間としては、価値観が大きく変わる良本でした。
この本を読んで海賊のイメージがかなり変わりました。辛く長い航海の日々、時には捕虜と仲良くなり、時には慈悲もなく残虐に、いとも容易く多数の兵士に打ち勝つ海賊の強さ。(怖いもの知らず、生きるのに精一杯な人間は強い。。。)
そして最後は国に雇われ、その知識が活かされるなど、普通の人がしていない経験をしているというのは何事にも変えられないのだなぁということも思いました。そして、本物の海賊には絶対に会いたくない。。。 -
Posted by ブクログ
面白かったーハチャメチャすぎて笑ける
多分めっちゃ笑かそうとして書いてる
何かしなあかん事とかで頭いっぱいで自分を追い詰めてしまっているときにオススメ
「お決まりのライフスタイルに意外性はない、徐々につまらない人間になって死んでいく
乱雑な机でアイデア革命をおこし突飛な考えを生み出しましょう」
「親にとっていちばん肝心なのは早いうちに観念すること、子供がいるかぎり家は片付かない、だから何があっても気にしない
子供が生み出す乱雑さと闘ってへとへとにすごすか、ありのままを受け入れるか、選択肢はふたつしかありません
大事なことだけに意識を集中させましょう
例えばどの幼稚園に入ればハーバードに入れる可能性が一番高いか、といった問題に」
「本は断じてがらくたではありません
そもそも自宅に本を置かない人間を正しく判断するのは難しいのです
初めて友人の家を訪れた時本が1冊もなかったらくるりと背を向けて家にかえり、二度と口を効かないということもあるでしょう
だから本は人目の着くところにどこにでも置いておきましょう」
軽い気持ちで読めば気持ちがどんどん軽くなります -
ヤギの睾丸を移植した男
- カート
-
試し読み
Posted by ブクログ
ヤギの睾丸を移植した、では全く語りきれない、稀代の詐欺師、ブリンクリーの生涯。
20世紀初頭のアメリカというピンポイントな時と場所が、ブリンクリーを産んだ、とも言えなくもない。科学がいろいろな不可能を可能にし、人々は「科学」ぽいものに簡単に騙された。また、規制は次々生まれる科学にも詐欺師の手口にも全く追いつけず、医師免許がなくても医師を名乗ったり、医師免許も金次第で簡単に取れたりする。
まずい手術、不用意な薬品の販売、など何人の命を奪ったかも分からない偽医者だが、人々からの人気は絶大だった。
作り話よりも嘘みたいなブリンクリーの活躍?に前半は心躍らせながら読んでしまった。ただし、何百人もその裏で命を奪われたり傷害を負ったりしているので、笑っている場合ではないのだが、それでも次々と詐欺を思いつき、すぐさま実行し、大量の人を騙してとんでもない金儲けをする(そして地元の町に街灯や郵便局を建てるなど、慈善的な活動も相当している)、その切れ味がすごい。
後半は、本当に被害者の姿であったり、裁判であったりが描かれるので、そんなに快活には読めないです。でも、仕方ないパートではある。 -
Posted by ブクログ
古代エジプトは極度に乾燥した気候であり砂漠に捨てたものはいつまでもそのままであった。ナイル川により耕作は安定していて永遠性が信じされていた。そういう文化のもとに古代エジプトの永遠を求める思想がうまれた。ヒエログリフは紀元後の時点ですでに神秘的な目で見られていた。ひと目見て美しくこの世の真理を表しているとさえ長らく信じられていた。
このようにエジプトの歴史からヒエログリフの解読の歴史を解説していく。ナポレオンのエジプト遠征によるロゼッタストーン発見からトマス・ヤング、シャンポリオンの2名の登場とその解読の過程へと進む。
ヒエログリフは絵文字ではなく表音文字と表意文字の両方の側面があった。作者が英語文化圏の人であるためヒエログリフの解説はアルファベットなどの表音文字を中心に進む。しかし漢字文化圏である日本人は表意文字と表音文字を見ることに親しんでいる。実際解読の過程で中国語の解説書を読んで参考にしたシーンがあるくらいだ。その点が本書の解説がなんだかズレていると感じる点になる。これは文化が違うから仕方のないことだが。
総じて非常に面白く読んだ一冊。線文字Bや暗号解読についても気になったのでサイモンシンの暗号解読を読み始めた。 -
Posted by ブクログ
長編を読む際は、別の本と併読することが多い。
でも今回は一冊通しで読み切った…!ノンフィクションなのに、書いてある出来事が丸ごとフィクションみたいで、全然飽きなかったから。
その分、随分カロリーを消費しちゃったけど笑
「『短いながらも愉快な人生』というのが海賊たちのモットーで、本書の原題”Born to Be Hanged”(絞首刑になるために生まれてきた)に象徴されるように、絞首台に上がって早期に人生を終える者が多い」(訳者まえがきより)
これは、かの有名なカリブの海賊たち(※)の冒険譚であり、略奪劇である。それも前述の通り、全編ノンフィクションだ。
著者はなんと2年にも及ぶ航海の記録を、7名の海賊が残した日誌から、そして、彼らを取り締まる側の手記も交えながら、本書を仕上げている。海賊の航海日誌は犯罪の証拠になり得るため、書き手は事実をうやむやにしたり、時には誇張したりするらしい。(実際、略奪や殺害をかなり遠回しな言い方に書き換えていたり…)
そこでより公平な視点も取り入れるために、今回取り締まる側の手記も拠り所にしたわけだ。
(※)ほとんどが、イギリス人・フランス人・オランダ人
「絞首刑になるために生まれてきた人間は、溺れ死にはしないというのは本当だぞ」(P 88)
17世紀後半の中南米。そのほとんどを掌握していたスペイン軍に、孫娘をさらわれた先住民の王は、海賊たちに救援を求める。海賊側も、目的地のパナマを同時に攻略すれば、そこに眠る金銀財宝を自分たちのモノにできるため、取引に応じる。
孫娘の救出作戦を経て、追われる身となった海賊たちの長きにわたる航海が、ここに幕を開ける…。
史料をもとにするだけで、こんなに臨場感たっぷりな出来になる!?もう最初の冒険から解散後に至るまで、ヒヤヒヤしっぱなしだった。
なかなか黄金にありつけないけど、みんな信じられないくらいに命を繋いじゃってるし…
スペイン領の情報ネットワークも見上げたもので、海賊が上陸した街や村では既に海賊襲来の通達がなされており、セキュリティも強化されていた。海賊側のとんでもない判断ミスでイラついたりもしたけど、お宝や食料(特に肉!笑)・水のために果敢に飛び込んでいくスタンスは、逆に潔さすら覚えてしまう。
確かに出くわすのが軍艦であれば冷や汗ものだが、商船であれば千載一遇のチャンス。それに船体が深く沈んでいるともなれば、それだけ積荷が多いということ。あとは、略奪行為一択である。
勝手気ままな印象の海賊暮らしだが、船の上は意外と秩序だっていた。
船長の選出など、何事も多数決で決定するという民主制。遠征の際には契約書が作成され、労働災害に対する補償が定められていたり(負傷した部位によって取り分が決まる等)と、何だか人道的。仲間意識も強いから、クリスマスもご馳走を並べてみんなで祝う。
一方で、真面目だった船員が船長に選ばれ、船長らしくあろうとして冷酷非道になっていく…といった生々しい現実も、同時に突きつけられた。
破壊や略奪行為ばかりを強調するディズニーランドの「カリブの海賊」が、霞んで見えてくる…