【感想・ネタバレ】最後の語り部のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2024年01月28日

タイトルと表紙からのイメージと違ってSFだった。彗星の衝突を避けて宇宙に飛び出した少女。将来は語り部になりたいと思っていたのに、慌ただしい出発の中で、希望していた神話のインストールに失敗する。380年後に目覚めた時、予定とは違いディストピア的な状況。物語の力を頼りに戦う少女。面白かった。でも、まだま...続きを読むだ続編がありそうな気がする。

0

Posted by ブクログ 2023年07月09日

ペトラ達家族と他選ばれ者は、彗星が地球に追突するため、宇宙船に乗って新しい土地を探しに行く。その間長い眠りにつき、目覚めたのは380年後。しかし、目覚めた時すべてが変わり果てていた。SF読み物。ペトラに起こる悲劇と支えてくれる物語の力に圧倒される。ぐいぐい引き込むストーリー展開が面白い。今年1の本に...続きを読む出会ったかも。

0

Posted by ブクログ 2023年06月22日

★5 彗星衝突のため地球を脱出した少女。睡眠から目覚めると画一的で理想的な社会で… #最後の語り部

■あらすじ
地球にハレー彗星が衝突してしまう西暦2061年の近未来。限られた一部の人間だけが宇宙船で地球を脱出をすることができた。
宇宙船に乗り込んだ主人公の少女ペトラとその家族は、新しい住処である...続きを読む星へ移動するため、380年間の長時間睡眠をしていた。
そして長時間の移動を経てペトラが目覚める。目の前には家族の笑顔があるはずだったのだが…

■きっと読みたくなるレビュー
おもしろいっ
本作、設定自体は地球脱出もので、よくありそうではあります。しかし次々と主人公ペトラに襲い掛かる難題が、読み手を惹きつけてやまないんすよ!エンタメ性が抜群で熱中して、あっという間に読んでしまいました。

何と言ってもペトラが愛おしすぎる。
まだ13歳の少女が、誰も経験したことないような環境に晒され、不安の中で生き抜いていく。完全に親目線で感情移入しまくってしまいました。

誰も助けてくれない宇宙の彼方で、ひとり脳みそをしぼって立ち向かう姿が泣ける。少女の生き抜く術が、おばあちゃんから引き継いだ『物語』というところが、あまりにも慈愛に満ちてる。しかも彼女が物語を語らうシーンは、まるで魔法をかけているかのように幻想的で美しい。

また本書は現代の差別社会の問題が強烈に描かれています。
本書引用、父の言葉「平等は素晴らしい。しかし平等と画一は違う。」

見た目、ルール、価値観を画一的に統一にすれば、過ちは発生しない…どこかの地域にありそうな主義主張。難題にひとり彼女が立ち向かっていく愛と勇気は、新しい大地のように広く、満天の星空のごとく綺麗でした。

■ぜっさん推しポイント
生き残るために知恵を絞るペトラが、おばあちゃんの物語から「強さ」の本当の意味を知る。女の子だった少女から、一人前の人間に成長する姿があまりにも痺れる…

そして物語の後半、ペトラとある人物と対峙するシーン。
心が通じ合う瞬間なんて、なにも語れなくなるんですよね。こんな胸が詰まるシーンは久しぶりです。

これだから読書はやめられない。素晴らしい一冊でした。

0

Posted by ブクログ 2023年11月29日

2061年、地球は彗星が衝突する軌道にあり、ごく一部の人間が宇宙船で380年かけて惑星セーガンに移動しようとしていた。主人公のペトラ12歳は弟のハビエル七歳、科学者の両親とともに乗船する。昔話が得意な祖母は地球に残りペトラはそれが悲しくて仕方ない。宇宙船は船に乗れなかった人との闘争や睡眠を促し保つシ...続きを読むェルターに入るときの不穏さを見せ発射する。宇宙船には世話人と呼ばれる眠らない人たちも乗船していて、ペトラの世話人ベンはなにか思うところがあるようだ。人に遅れて眠りについたペトラが目覚めるとそこには一緒に目覚めるはずだった家族はおらず、船はコレクティブという単一で、まるでエビのような透明な肌の人?たちに支配されていて、睡眠中に知識を詰め込んだ地球人のままグループはコレクティブに奉仕する存在となっていた。
杉田七重の訳本!歴史や民族に関わるような児童書かと思いきや、SFとは。でも、訳文が美しく、独特の世界に没頭して読みました。たった一人で、記憶をなくしたふりをしながら自分の良しとする世界を、祖母の物語を支えにして探していく主人公がまっすぐで、応援しながら読みました。家族との再会シーンもありますが、驚愕の出会いです。しかし、現実であと40年後には睡眠で遠くまで行く技術は確立するのでしょうか?睡眠も結構カロリー使うし、子どもは厳しい気がするなぁ。
翻訳もの特有の読みにくさはあるものの、一応小学生から大丈夫。一般的には中学生以上向けです。

0

Posted by ブクログ 2023年09月16日

SFとしては設定があるあるなのと、突っ込みどころが多くて勢いで押し切るほどでもないのが気になった。船内クーデター(?)で実権を握った「コレクティブ」も、地球人の記憶を消し、従わないものを「粛清」するほどの冷酷さを持ちながら、なぜかペトラたちのかつての持ち物や本をきちんと分類して保管するなど、なかなか...続きを読む脇の甘いところがあって謎。

とはいえ、中盤はペトラの脱出計画がうまくいくかというハラハラだけで一気読み。こういうドキドキする本てストレス大きいんだよねなどと思いつつ。

なので物語の力……というよりは、エンタメとして読んだかな、という感じでした。



【この先ネタバレ】



クライマックスでペトラがつかまって、もう一度記憶を消されるんだけど、結局無事というか、記憶は消えないまま残るのだけど、それはあの夢で描写された記憶の中の司書やおばあちゃんが、記憶のファイルを守ったからなのかな。設定の根幹にかかわるところなので、あそこらへんがいちばん作品としてあいまいに感じるところだったかも。

0

Posted by ブクログ 2023年07月10日

滅亡する地球から脱出し、新たな星での民話や伝承を伝える「語り部」なることを夢見るペトラ。だが星へ向かう途中船内で革命が起こり、再び起きた時には「画一化、均一化」を掲げる社会が形成されていた。
説明にあった「物語を武器に立ち向かう」とはどういう事なのか興味を持ったのがきっかけで読み始めました。

新天...続きを読む地で活躍するため、最新の技術により科学の知識を脳にインストールすることができるSF要素と、おばあちゃんから伝説や民話を教わる場面が同居してて味わったことのない読書体験でした。

知識や物語は脳にインストールしただけでは意味がなく、自分のものとして使う(語る)事で意味が生まれる。
誰もが同じ身体、同じ考えに統一された世界で少しずつ自分や仲間の記憶をつないでいく話でした。

毎度のことながら…知識無しで読んだので児童文学という位置付けということを知らず、終盤まで「この大風呂敷畳むの無理では!?」という気持ちでしたが、事件の解決というよりも主人公が語り部として成長するまでを描いているのだと納得し満足。
これは子供にも読ませたいかも(まだ当分先ですが…)

多様性の話、コチラは肯定的ですがちょうど今「正欲」を併読していて合わせて色々考えてしまう。

0

「SF・ファンタジー」ランキング